【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績当社グループは、収益認識に関する会計基準等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。そのため、会計基準変更による業績への影響を除いた前年同期比較情報を参考値として次のとおり表示します。(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する四半期純利益
2022年12月期第3四半期
381,815
14,280
21,457
14,922
2021年12月期第3四半期組替後(※)
358,791
19,088
23,419
13,943
増減
23,023
△4,808
△1,962
978
増減率(%)
6.4
△25.2
△8.4
7.0
(※)2021年12月期第3四半期組替後は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2020年3月31日)を2021年12月期の期首から適用したと仮定して組み替えた2021年12月期第3四半期の推定値です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの売上高は、マイクロデバイス事業、ブレーキ事業および繊維事業が増収となったこと等により381,815百万円(組替後前年同期比23,023百万円増、6.4%増)となりました。営業利益は、マイクロデバイス事業は大幅な増益となりましたが、無線・通信事業やブレーキ事業等が減益となったこと等により14,280百万円(組替後前年同期比4,808百万円減、25.2%減)となりました。経常利益は、営業利益減がありましたが為替差益等により21,457百万円(組替後前年同期比1,962百万円減、8.4%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別損失の減少等により14,922百万円(組替後前年同期比978百万円増、7.0%増)となりました。事業セグメントの業績は次のとおりです。セグメント利益またはセグメント損失は営業利益または営業損失ベースの数値です。
(単位:百万円)
報告セグメント
その他全社費用等
合計
無線・通信
マイクロデバイス
ブレーキ
精密機器
化学品
繊維
不動産
計
外部顧客への売上高
2022年12月期第3四半期
108,281
63,570
115,437
39,740
9,173
27,566
9,930
373,700
8,115
381,815
2021年12月期第3四半期組替後(※)
112,797
56,208
103,387
35,127
7,946
22,685
14,223
352,377
6,414
358,791
増減
△4,516
7,362
12,049
4,612
1,227
4,880
△4,292
21,323
1,700
23,023
増減率(%)
△4.0
13.1
11.7
13.1
15.5
21.5
△30.2
6.1
26.5
6.4
セグメント利益又は損失(△)
2022年12月期第3四半期
4,200
7,427
△2,936
355
1,569
△401
7,972
18,187
△3,906
14,280
2021年12月期第3四半期組替後(※)
5,770
3,438
3,918
645
1,448
△1,104
8,622
22,737
△3,648
19,088
増減
△1,569
3,989
△6,855
△289
121
703
△650
△4,550
△257
△4,808
増減率(%)
△27.2
116.0
―
△44.9
8.4
―
△7.5
△20.0
―
△25.2
(※)2021年12月期第3四半期組替後は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2020年3月31日)を2021年12月期の期首から適用したと仮定して組み替えた2021年12月期第3四半期の推定値です。
(無線・通信事業)ソリューション・特機事業は、主力製品であるダムの管理や河川の水位・雨量を計測する水・河川情報システムや自治体向け防災行政無線システムは堅調に推移したものの、工事規制や道路気象等の情報をリアルタイムに収集・管理する道路情報システムの大型案件が減少したことにより減収・減益となりました。マリンシステム事業は、換装用機器は減少したものの、新造船用機器や欧州ワークボート等の中小型船用機器が好調に推移したことに加え、漁業用陸上無線設備等のシステムが増加したことにより増収・増益となりました。ICT・メカトロニクス事業は、車載部品やメカトロニクス製品は堅調に推移したものの、決済端末等のICT製品の需要が減少したことにより減収・減益となりました。モビリティ事業は、海外業務用無線は堅調に推移したものの、顧客の生産調整の影響を受け自動車用ITS(高度道路交通システム)が減少したことにより減収・減益となりました。その結果、無線・通信事業全体では、売上高108,281百万円(組替後前年同期比4.0%減)、セグメント利益4,200百万円(組替後前年同期比27.2%減)となりました。
(マイクロデバイス事業)主力の電子デバイス事業は、顧客の生産調整等により民生用製品(コンシューマ製品)は減速したものの、車載用電源関連製品等や5G、センサ、電池、半導体製造装置等のFA機器用製品が大幅に伸長したことに加え、円安による為替影響により増収・大幅増益となりました。マイクロ波事業は、船舶用製品が好調だったことに加え、衛星通信関連製品も韓国・北米向けが堅調に推移したことにより増収・増益となりました。その結果、マイクロデバイス事業全体では、売上高63,570百万円(組替後前年同期比13.1%増)、セグメント利益7,427百万円(組替後前年同期比116.0%増)となりました。
(ブレーキ事業)グローバルな自動車市況が不透明さを増す中、OE事業を中心とする各拠点は、カーメーカーの減産の影響を受けているものの、銅レス・銅フリー摩擦材によりシェアを拡大しています。国内および米国拠点は、シェア拡大により増収となるも原材料やエネルギー価格高騰により減益となりました。日系顧客向け中国拠点は、銅レス・銅フリー摩擦材が順調に立ち上がり増収となるも費用増により減益となりました。同じ中国でも韓国・北米系顧客向け拠点は、顧客の生産回復により増収・黒字化となりました。韓国拠点は、顧客の生産回復により前年同期並みの売上となるも費用増により減益となりました。タイ拠点は、ASEAN市場の自動車生産回復により増収・前年同期並みの利益となりました。TMD社は、アフターマーケット事業、OE事業ともに積極的な価格転嫁を進めることで増収となりましたが、ウクライナ情勢に起因するエネルギー需給ひっ迫に伴う急激なインフレにより大幅な減益となりました。その結果、ブレーキ事業全体では、売上高115,437百万円(組替後前年同期比11.7%増)、セグメント損失2,936百万円(組替後前年同期比6,855百万円悪化)となりました。
(精密機器事業)精密部品事業は、自動車用EBS部品の受注は堅調であり価格転嫁も進めていますが、減価償却費増等により増収ながらも減益となりました。成形品事業は、国内・タイ・インド拠点において家電関連製品の受注が増加したことにより増収となりましたが、車載用製品や医療用製品が減少したこと等により減益となりました。その結果、精密機器事業全体では、売上高39,740百万円(組替後前年同期比13.1%増)、セグメント利益355百万円(組替後前年同期比44.9%減)となりました。
(化学品事業)エネルギー価格の上昇や原材料の高騰・調達難の影響を受けましたが、断熱製品は冷蔵冷凍設備・住宅用原液および硬質ブロック等の受注増により増収・増益となり、ガラス状カーボン製品も半導体製造装置用の受注増により増収・増益となりました。機能化学品は水性架橋剤の受注増により増収・前年同期並みの利益となりました。燃料電池用カーボンセパレータは海外定置用が堅調に推移し前年同期並みの売上となりましたが、研究開発費増等により減益となりました。その結果、化学品事業全体では、売上高9,173百万円(組替後前年同期比15.5%増)、セグメント利益1,569百万円(組替後前年同期比8.4%増)となりました。
(繊維事業)シャツ事業は、人流回復に伴う国内市場の回復によりアポロコット等の形態安定シャツが増加したことで増収・黒字化となりました。東京シャツ㈱は、前年同期並みの売上に止まりましたが経費削減等により損失縮小となりました。ユニフォーム事業は、市場の緩やかな回復により増収・黒字化となりました。その結果、繊維事業全体では、売上高27,566百万円(組替後前年同期比21.5%増)、セグメント損失401百万円(組替後前年同期比703百万円改善)となりました。
(不動産事業)分譲事業は、静岡県浜松市や愛知県岡崎市の宅地販売を実施しましたが、東京都三鷹市のマンション販売および徳島県北島町や滋賀県東近江市の宅地販売を実施した前年同期との比較では減収・減益となりました。その結果、不動産事業全体では、売上高9,930百万円(組替後前年同期比30.2%減)、セグメント利益7,972百万円(組替後前年同期比7.5%減)となりました。
(その他)ニッシントーア・岩尾㈱(食品、産業資材等の商社機能)等の事業を、その他として区分しています。その他の業績は、売上高8,115百万円(組替後前年同期比26.5%増)、セグメント利益361百万円(組替後前年同期比97.1%増)となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末における総資産は632,152百万円となり、前連結会計年度末と比較し27,353百万円増加しました。現金及び預金の増加2,992百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)の減少4,731百万円、棚卸資産の増加27,211百万円、有形固定資産の増加7,684百万円、投資有価証券の減少4,725百万円などが主な要因です。負債総額は344,668百万円となり、前連結会計年度末と比較し12,500百万円増加しました。支払手形及び買掛金の増加4,410百万円、短期借入金の増加15,403百万円、賞与引当金の増加4,978百万円、その他の引当金の減少2,147百万円、流動負債のその他(1年内返済予定の長期借入金を除く)の減少3,307百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の減少1,650百万円、退職給付に係る負債の減少3,432百万円などが主な要因です。純資産は287,484百万円となり、前連結会計年度末と比較し14,852百万円増加しました。利益剰余金の減少1,984百万円、自己株式の減少5,857百万円、その他有価証券評価差額金の減少3,962百万円、為替換算調整勘定の増加14,221百万円などが主な要因です。以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末と比較し0.3ポイント上昇して43.1%となりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更はありません。また、新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、18,266百万円です。また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画は以下のとおりです。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額
資金調達方法
着手及び完了予定
完成後の増加能力
総額(百万円)
既支払額(百万円)
着手
完了
日清紡ケミカル㈱日清紡ホールディングス㈱(当社)
千葉県千葉市
化学品・不動産
燃料電池用カーボンセパレータ製造設備、建物等
9,600
2
借入金及び自己資金等
2022年7月
2024年12月
生産能力140%増加
(注)本件は当社と連結子会社である日清紡ケミカル㈱と共同で実施する燃料電池用カーボンセパレータの工場増設投資案件です。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、当社グループの財務戦略及び資金調達の方針と流動性の分析に重要な変更はありません。
(8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期連結累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては「第4 経理の状況 1.四半期連結財務諸表(追加情報)」に記載しています。