【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和され、経済活動が正常化に向かい需要が徐々に回復する一方、急激な為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰など、景気の先行きは不透明感を増している状況にあります。
住宅業界におきましては、新設住宅着工戸数は全体として横ばいで推移していますが、持家は大きく落ち込んでおります。新型コロナ感染症拡大の影響から住宅展示場の集客が減少したことに加え、資材価格の高騰による住宅価格の上昇が消費者マインドを低下させているものと考えております。
個人消費は、外食や旅行などのサービス消費が牽引して回復基調にありますが、電気代や生活必需品などの物価上昇による消費者の生活防衛意識の高まりもあり、厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、卸売事業における新商品開発と販売強化、小売事業における各種サービスの拡充によるお客様満足度の向上に努めてまいりました。これらの結果、売上高351億43百万円(前連結会計年度比2.3%増)、営業利益21億94百万円(同4.6%増)、経常利益23億56百万円(同5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億97百万円(同8.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
卸売事業
2022年度3月累計の全国における新設住宅着工戸数は860,828戸(前年同期比0.6%減)、当社の主力市場である北海道では29,576戸(同7.8%減)と前年を下回る水準で推移しております。その中で当社の業績に大きく影響を及ぼす持家は、全国で248,132戸(前年同期比11.8%減)、北海道で9,499戸(同18.2%減)と全国、北海道ともに前年を大きく下回る水準で推移しております。
このような状況のもと、ダクトレス全熱交換換気システム「Air save」などの換気関連商品の販売強化と適正価格による販売に努めてまいりました。これらの結果、売上高108億65百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益9億20百万円(同9.6%増)となりました。
商品分類別売上実績
(単位:百万円)
住宅金物
住宅資材
住器・EX
輸入商材
機械工具
ビル用資材
住宅その他
合計
2022年3月期
1,786
4,184
3,009
736
748
469
461
11,393
2023年3月期
1,718
4,186
3,144
629
726
434
504
11,341
前年同期比(%)
96.2%
100.0%
104.5%
85.5%
97.0%
92.6%
109.4%
99.5%
(注)上記の売上実績には、セグメント間の内部売上を含んでおります。
小売事業
ホームセンター業界においては、個人の節約志向は根強く、同業他社、他業種との競争の激化が続いております。このような状況のもと、お客様満足度の向上、接客力の強化による他店との差別化に努めてまいりました。これらの結果、売上高218億94百万円(前連結会計年度比3.6%増)、営業利益13億67百万円(同2.6%増)となりました。
部門別売上実績
(単位:百万円)
日用品
レジャー
資材
ガーデン
インテリア
その他
RE事業
合計
2022年3月期
4,978
5,678
6,456
1,300
1,475
136
1,115
21,138
2023年3月期
4,967
5,879
6,973
1,263
1,476
138
1,197
21,896
前年同期比(%)
99.8%
103.5%
108.0%
97.2%
100.1%
102.4%
107.4%
103.6%
(注)上記の売上実績には、セグメント間の内部売上を含んでおります。
不動産事業
賃貸資産の適切な管理と効率的な運用を心掛けておりますが、当年度は分譲住宅の販売実績もあり、売上高4億65百万円(前連結会計年度比23.8%増)、営業利益2億81百万円(同3.5%増)となりました。
足場レンタル事業
業務の効率化による生産性の向上と経費節減に努めており、売上高7億71百万円(前連結会計年度比13.0%増)、営業利益28百万円(前連結会計年度は営業損失14百万円)となりました。
サッシ・ガラス施工事業
工事現場での設計、監理、施工の基本を徹底することで業務の効率化に努めておりますが、小口の受注が重なったこともあり、売上高11億47百万円(前連結会計年度比3.6%減)、営業利益12百万円(同75.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当連結会計年度末には33億67百万円となり、前連結会計年度末より25百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果による資金の増加は19億1百万円(前連結会計年度は11億73百万円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が25億4百万円、減価償却費が8億14百万円、法人税等の支払額7億98百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果による資金の減少は6億41百万円(前連結会計年度は10億5百万円の使用)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出6億22百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果による資金の減少は12億33百万円(前連結会計年度は49百万円の獲得)となりました。
これは主に、短期借入金及び長期借入金の返済による支出9億77百万円及び配当金の支払額1億93百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
卸売事業(千円)
9,410,663
97.1
小売事業(千円)
14,683,262
102.0
不動産事業(千円)
224,971
153.8
足場レンタル事業(千円)
398,232
123.2
サッシ・ガラス施工事業(千円)
780,675
96.9
合計(千円)
25,497,805
100.5
(注)上記の商品仕入実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
卸売事業(千円)
10,865,276
99.1
小売事業(千円)
21,894,562
103.6
不動産事業(千円)
465,573
123.8
足場レンタル事業(千円)
771,032
113.0
サッシ・ガラス施工事業(千円)
1,147,116
96.4
合計(千円)
35,143,560
102.3
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上に該当する販売先がないため省略しております。
2.上記の販売実績は、セグメント間の取引高を消去した金額となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
当連結会計年度は、新中期経営計画(2021~2023年度 3ヵ年計画)の2年目としてグループ全体の成長戦略を推進してまいりました。
a.新商品の開発と販売強化
卸売事業におきましては、ボリュームゾーン先に対する提案型営業の推進と、換気に特化したオリジナル商品の販売強化に努め、収益基盤の拡大を図ってまいります。
b.お客様に愛される店舗づくり
小売事業におきましては、お客様満足度の向上を目指し接客力の強化に努めております。リアル店舗の強みを活かし、お客様に満足して頂ける店づくりを心がけ、利便性の向上を追求してまいります。
c.グループ戦略の強化
事業間シナジーの創出と最大化を目指し、引き続きグループ全体での成長戦略の確立に努めてまいります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ8億円増加し、351億43百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、卸売事業が30.9%、小売事業が62.3%、不動産事業が1.3%、足場レンタル事業が2.2%、サッシ・ガラス施工事業が3.3%となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ4億23百万円増加し、103億2百万円(前連結会計年度比4.3%増)となりました。また、売上高総利益率は、前連結会計年度に比べ0.5ポイント増加し、29.3%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ97百万円増加し、21億94百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。また、売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント増加し、6.2%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ18百万円増加し、1億84百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ1百万円増加し、21百万円(同8.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ1億14百万円増加し、23億56百万円(同5.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は固定資産売却益及び受取保険金の計上により、前連結会計年度に比べ1億66百万円増加し、2億12百万円(前連結会計年度は46百万円)となりました。特別損失は、固定資産除売却損及び災害による損失の計上により、前連結会計年度に比べ54百万円増加し、65百万円(前連結会計年度は10百万円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、12億97百万円(同8.9%増)となりました。
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、261億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億25百万円増加しました。これは主に売上債権が93百万円、商品が5億33百万円、仕掛販売用不動産が77百万円増加したことと、有形固定資産が2億11百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、93億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億10百万円減少しました。これは主に未払法人税等が1億22百万円増加したことと、短期借入金が7億47百万円、長期借入金が2億30百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、168億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億35百万円増加し、自己資本比率は、54.8%となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、競合他社との競争激化等様々なリスク要因があると認識しております。
特に北海道地域への依存は連結売上高に占める割合が非常に高く、道内経済が停滞した場合、業績に与える影響は深刻になると懸念されます。
当社単独で道内外の売上比率の乖離を縮小する事を目標に、経営資源の分散に努めてまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
売上高は計画比6億43百万円増(1.9%増)となりました。売上総利益は計画比4億2百万円増(4.1%増)となりました。経常利益は計画比26百万円増(1.2%増)となりました。売上高経常利益率は6.7%となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比97百万円増(8.1%増)となりました。ROEは親会社株主に帰属する当期純利益が計画に達したことにより、計画比0.2ポイント増の9.4%となりました。
指標
2023年3月期
(計画)
2023年3月期
(実績)
2023年3月期
(計画比)
売上高
34,500百万円
35,143百万円
643百万円増(1.9%増)
売上総利益
9,900百万円
10,302百万円
402百万円増(4.1%増)
経常利益
2,330百万円
2,356百万円
26百万円増(1.2%増)
売上高経常利益率
6.8%
6.7%
0.1ポイント減
親会社株主に帰属する
当期純利益
1,200百万円
1,297百万円
97百万円増(8.1%増)
ROE
(自己資本利益率)
9.2%
9.4%
0.2ポイント増
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。現在のところ、緊急での資金調達が必要な状況には無く、自己資金と従来からの借入金によって企業活動は円滑に行われております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は40億43百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は33億67百万円となっております。十分な流動資金を有しており、従来どおりの資金の配分を行っていく事を考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。