【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の概要① 業績の状況当社グループは、Society 5.0 「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会課題を解決し、価値を創造する社会」による未来を創造しています。2022年2月に企業価値「倍増への挑戦」をテーマに掲げ、新たな成長基盤の確立ステージとして中期経営計画(FY2022~FY2024)を公表しました。本中期経営計画では、基盤事業(IoT×SaaS)の拡大と成長事業(ペイメントとロボット)への積極投資をグループの事業戦略として各種施策を実施してまいりました。基盤であるIoT×SaaS事業では、フロービジネスからサブスクへの移行を継続的に推進してきた結果、サブスクの売上高が順調に拡大し、中期経営計画初年度として順調なスタートを切ることができました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は12,914百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は932百万円(同64.7%増)、経常利益は964百万円(同68.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は685百万円(同55.2%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前期比較は基準の異なる算定方法に基づく数値と比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。(ⅰ)IoTペイメント関連が好調で全体業績を牽引するとともに、サブスク移行への戦略を継続的に実施した結果、サブスク売上高が順調に拡大し、安定的な収益を確保することができました。また、横浜市敬老パスシステム構築の大型案件もあり、フロービジネスの売上高も好調に推移しました。この結果、外部顧客への売上高は、8,672百万円(前年同期比16.4%増)、営業利益は1,410百万円(同46.7%増)となりました。
(ⅱ)マシーン中国のロックダウン長期化等の影響により、部材の長納期化が発生し業績苦戦が続いておりましたが、部材の先行手配など黒字化に向けた取組みをすすめた結果、業績は徐々に回復傾向にあります。また、将来の中核事業とすべくロボットの本格的な製造に着手しております。この結果、外部顧客への売上高は、4,020百万円(前年同期比16.5%減)、営業利益は259百万円(同10.7%減)となりました。
(ⅲ)スマートシティスマートシティは、主にマンション等の不動産賃貸事業であり、前連結会計年度末時点では該当の賃貸用マンションは建設中でしたが、2022年1月に完成し、同年2月から賃貸事業を開始しております。この結果、外部顧客への売上高は220百万円(前年同期は計上なし)、営業利益は115百万円(前年同期は5百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態の分析当連結会計年度末の資産合計は、21,463百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,492百万円増加しました。これは主に建設仮勘定が2,926百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)が1,486百万円増加したこと及びリース投資資産が2,485百万円増加したことによるものであります。負債合計は、11,754百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,661百万円増加しました。これは主に賃貸用マンションの完成に伴い繋ぎ融資を短期借入金から長期借入金へ切替えたことにより、短期借入金が1,907百万円減少したものの、長期借入金(1年内返済予定を除く)が2,950百万円増加したことによるものであります。純資産合計は、9,709百万円となり、前連結会計年度末と比べ830百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が539百万円増加したこと及び自己株式が143百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ190百万円減少し、2,185百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、得られた資金は359百万円(前年同期は63百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加によるものであり、主な減少要因は、売上債権及び契約資産の増加、法人税等の支払であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、支出した資金は1,848百万円(前年同期は2,523百万円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、得られた資金は1,291百万円(前年同期は2,513百万円の収入)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入であります。
(2) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
IoT
3,001
△16.4
マシーン
3,346
△21.4
スマートシティ
―
―
合計
6,347
△19.1
(注) 金額は、製造原価によっております。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
IoT
7,689
△11.4
1,331
△42.5
マシーン
5,339
+88.7
2,319
+131.8
スマートシティ
220
―
―
―
合計
13,249
+15.2
3,651
+10.1
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
IoT
8,672
+16.4
マシーン
4,020
△16.5
スマートシティ
220
―
合計
12,914
+5.3
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
第一実業株式会社
3,451
28.1
1,763
13.7
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営成績等(ⅰ)財政状態の分析当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①業績の状況」に記載のとおりであります。
(ⅱ)経営成績当社グループは、2022年12月期は、売上高13,000百万円(期初計画13,000百万円)、営業利益1,000百万円(期初計画750百万円)、経常利益962百万円(期初計画712百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益650百万円(期初計画474百万円)の修正計画(2022年9月14日公表)を目標数値として、その達成に取り組んでまいりました。(売上高)当連結会計年度における売上高は、12,914百万円(計画比0.7%減)となりました。IoTにおいては、横浜市敬老パスシステム構築の大型案件もありフロー売上高が伸長し、サブスク移行を継続的に実施した結果、フロービジネスの売上高は4,456百万円(前年同期比28.0%増)、サブスクの売上高は4,216百万円(同6.2%増)となり、売上高は8,672百万円(同16.4%増)となりました。マシーンにおいては、当第4四半期連結会計期間において想定外の部材調達不足が発生したことにより、売上高は4,020百万円(前年同期比16.5%減)となりました。スマートシティにおいては、賃貸用不動産の完成に伴い2022年2月から不動産賃貸事業を開始したことにより、売上高は220百万円(前年同期は計上なし)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)売上原価は、9,030百万円(前年同期比0.4%増)、販売費及び一般管理費は、2,951百万円(同9.2%増)となりました。販売費及び一般管理費の増加は、主に営業・開発力強化のための継続的な人的投資に伴う人件費及び研究開発費の増加によるものです。
(営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)上記の結果、営業利益は932百万円(前年同期比64.7%増、計画比6.8%減)、経常利益は964百万円(前年同期比68.3%増、計画比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は685百万円(前年同期比55.2%増、計画比5.5%増)となりました。営業利益が修正計画未達となった主な要因は、売上高の計画未達に加え、個別案件におけるIoT関連部材高騰に伴う売上原価の増加、販売費及び一般管理費の増加によるものです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(ⅰ)資金調達の方針当社グループの資金需要の主なものは、原材料等の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用や設備投資等によるものであり、自己資金及び金融機関からの借入による調達を基本としております。
(ⅱ)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における資金の残高は、2,185百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用に影響を与える見積りは、過去の実績や現在の取引状況並びに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 目標とする経営指標についてKPIのうち、営業利益とサブスク売上高を最も重視しております。2022年度は、営業利益932百万円とサブスク売上高4,437百万円となり、過去最高を更新することができました。2023年度は、足元の部材・部品調達難の長期化やサブスクへの移行加速などの影響で短期的な業績は苦戦する見込みですが、適合計画書及び中期経営計画の最終年度である2024年12月期のKPI上振れを目指して、成長に向けた事業投資と人的資本への投資を積極的に実施してまいります。2023年度は、営業利益520百万円とサブスク売上高4,850百万円を目標としております。
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