【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高202億64百万円(前連結会計年度比3.4%増)、営業利益24億29百万円(同9.3%増)、経常利益21億39百万円(同7.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億47百万円(同10.1%増)となり、いずれの数値も、期初の業績予想数値を上回ることができました。
これは、当社グループが主に不動産事業において、「ものづくり」にこだわり、東京23区、駅徒歩10分圏内での投資用ワンルームマンション開発・1棟販売という独自のビジネスモデルを主軸としていることに加え、建築コストの上昇や、繰り返されるコロナ禍の波の中においても、将来不安を抱えた若年層の不動産投資意欲、相続税対策を目的とした富裕層による需要、企業による社宅需要、及びファンド・リートを含めた国内外投資家による収益物件への需要に応えることができたことによるものであります。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、売上高は201億12百万円(前連結会計年度比2.9%増)、セグメント利益は35億22百万円(同8.3%増)となりました。
このうち、不動産開発販売につきましては、投資用ワンルームマンション等11棟584戸及び用地1件の売却により、売上高は195億78百万円(同4.2%増)となりました。棟数・戸数ともに概ね期初予定どおりの売上を計上することができました。また、不動産仕入販売につきましては、中古分譲マンションの買取再販(1戸)により、売上高は37百万円(同82.8%減)となりました。その他不動産事業につきましては、不動産仲介及び不動産賃貸業等により、売上高は4億96百万円(同6.8%減)となりました。
(ホテル事業)
ホテル事業につきましては、「ホテルアジール東京蒲田」の宿泊料等により、売上高は1億52百万円(前連結会計年度比124.0%増)、セグメント損失は22百万円(前連結会計年度はセグメント損失60百万円)となりました。
当該ホテルは新型コロナ感染症禍中の2020年10月の開業以来、コロナ禍の長期化を主な要因として損失が続きましたが、感染症分類の5類への移行に伴い収支は大きく改善しております。今後は国内旅行客やインバウンドの増加も期待できることから、客室単価と客室稼働率の向上が見込まれ、通期黒字化を予想しております。
当連結会計年度末における財政状態については、総資産が前連結会計年度末に比べ61億47百万円増加した442億37百万円、負債が前連結会計年度末に比べ53億47百万円増加した290億44百万円、純資産が前連結会計年度末に比べ7億99百万円増加した151億92百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ59億38百万円増加し、374億11百万円となりました。これは主として、積極的な用地購入に努めた結果、棚卸資産が53億53百万円増加したことに加え、現金及び預金が6億45百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億8百万円増加し、68億26百万円となりました。これは主として、投資その他の資産が3億51百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ2億25百万円増加し、103億47百万円となりました。これは主として、プロジェクトの竣工に伴い買掛金が9億38百万円減少する一方で、1年内返済予定の長期借入金が4億48百万円、前受金が7億26百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ51億21百万円増加し、186億96百万円となりました。これは主として、厳しい仕入環境の中でも好立地の土地購入を積極的に進めた結果、長期借入金が48億8百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ7億99百万円増加し、151億92百万円となりました。これは主として、利益剰余金が8億82百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動における資金の増加が、営業活動及び投資活動における資金の減少を上回ったため、前連結会計年度末に比べ6億45百万円増加の91億31百万円となりました。
これは主に、厳しい仕入環境の中でも、当社の強みである情報収集力とプラン設計力を活かし、好立地物件や大型物件について積極的に購入できたため仕掛販売用不動産が増加し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったものの、安定した財務基盤と金融機関からの信用力を背景に、用地購入資金等を問題なく調達でき、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスを維持できたことによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の減少は、28億36百万円(前連結会計年度は4億90百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上があったものの、積極的な用地購入により棚卸資産が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、9億53百万円(前連結会計年度は3億98百万円の減少)となりました。これは主に、不動産開発目的で取得した子会社株式の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は、44億35百万円(前連結会計年度は11億99百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済及び配当金の支払により資金が減少する一方で、自社開発用地のための長期借入金を安定的に調達できたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは不動産事業及びホテル事業を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
セグメント名称
当連結会計年度
自 2022年7月1日
至 2023年6月30日
販売高(千円)
割合(%)
前年同期比(%)
不動産事業
不動産開発販売
19,578,770
96.6
4.2
不動産仕入販売
37,381
0.2
△82.8
その他
496,231
2.4
△6.8
計
20,112,382
99.2
2.9
ホテル事業
152,463
0.8
124.0
合計
20,264,845
100.0
3.4
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の販売高合計に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
自 2021年7月1日
至 2022年6月30日
当連結会計年度
自 2022年7月1日
至 2023年6月30日
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
M-SMYインベストメント合同会社
-
-
3,800,000
18.8
合同会社ゴールドJ
-
-
3,800,000
18.8
株式会社メイクス
-
-
3,447,404
17.0
株式会社PIM
-
-
2,212,370
10.9
株式会社GRAND CITY
850,096
4.3
2,173,686
10.7
株式会社アセットリード
2,704,824
13.8
981,814
4.8
東急不動産株式会社
4,355,499
22.2
-
-
MFJPN3特定目的会社
3,090,000
15.8
-
-
株式会社PRESTIGE
1,963,527
10.0
-
-
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、2022年8月4日に開示しました決算短信における業績予想を上回る202億64百万円(前連結会計年度比3.4%増)となりました。
これは主に、都心好立地のプロジェクトについて、当初想定以上の高い価格での売却ができたことによりますが、この背景には、従来から進めてきた販売先の多角化、並びに、プロジェクトごとに綿密な販売戦略をたて、それを遂行したことがあります。コロナ禍においても、当社グループは首都圏における不動産市場動向を注視し、適時適切な販売ができたと認識しております。
b.営業利益
当連結会計年度における営業利益は、24億29百万円(前連結会計年度比9.3%増)となり、業績予想数値を上回りました。
これは、主に、当社グループが創業以来、都心の投資用ワンルームマンション開発を中核事業として、少人数体制を堅持しつつ、モノづくりに拘り差別化に取り組んできた結果、国内外の販売先・投資家から商品性について高く評価されたことに加え、ゼネコン各社と協議しつつ工事原価の上昇抑制や工期遵守に努めたこと、並びに、コロナ禍収束によりホテル事業の収支が改善したことによります。なお、当社グループが重要指標とする売上総利益率は、19.9%(前連結会計年度比1.8ポイント増)となりました。
しかしながら、開発用地の高騰と建設資材並びに人件費の値上がりによる建築コストの上昇が続いており、今後につきましては、売上総利益率を維持すべく、一層の営業努力が必要であると認識しております。
なお、販売費及び一般管理費は、人件費や交際費、及び不動産仲介に係る支払手数料等の増加により、前連結会計年度比2億88百万円増加しております。
c.経常利益
当連結会計年度における経常利益は、21億39百万円(前連結会計年度比7.8%増)となりました。
当社グループは、開発プロジェクトにおける開発用地資金を金融機関からの間接金融によって賄っているため、開発プロジェクトの増加及び大型化と建築工期を中心とした開発期間の長期化等により、営業外費用である支払利息が増加する傾向があります。当連結会計年度については借入金の増加により金融関連費用は増加しておりますが、融資に関する金利などの条件は前連結会計年度と概ね変化なく、取引金融機関とは引き続き良好な関係を維持しており、資金調達に問題はございません。
なお、長期にわたる低金利政策は当面は継続するものと認識しておりますが、円安等による物価の上昇や人手不足に起因する賃金上昇等、今後の経済状況や金融機関の動向については、十分留意してまいります。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、14億47百万円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。これは、経常利益に特別損益項目を加減し、法人税等合計及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いたものであります。
前連結会計年度は、特別利益は0百万円、特別損失はありませんでしたが、当連結会計年度は保険解約返戻金で45百万円の特別利益があったほか、ゴルフ会員権評価損で5百万円の特別損失がありました。
法人税等合計については、前連結会計年度は6億27百万円、当連結会計年度は6億89百万円でした。また、法人税等調整額は、前連結会計年度は△59百万円、当連結会計年度は△40百万円となり、利益を増加させております。なお、当社では基本的な配当方針として、親会社株主に帰属する当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の40%を配当することとしております。
非支配株主に帰属する当期純利益につきましては、2020年3月に連結子会社による優先株式を発行したことから発生したもので、当連結会計年度は43百万円が計上されております。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、主に投資用又は分譲用のマンション開発販売事業を行うための事業計画に照らして、必要な資金を主に銀行からの長期借入により調達しております。長期借入金の返済期間は、事業計画における竣工・販売時期に対応して概ね2年~2年半であります。一時的な余資は主として安全性の高い金融資産(銀行預金)にて運用しております。
b.経営資源の配分に関する考え方
資金の流動性における最大の項目である現金及び預金については、当社は過去のリーマンショックの経験から、東京23区、駅徒歩10分以内という当社開発用地における土地価格の下落率を最大35%と想定し、毎月の用地購入から売買契約締結前の棚卸不動産総額の35%を確保するとともに、2年分の固定経費を保持することを目安としております。
c.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主なものは、不動産開発販売事業における開発用地の取得及び建築工事代金等のプロジェクト資金であります。資金調達につきましては、各プロジェクトや物件ごとに取引金融機関より調達しており、調達コストの低減に留意しつつ、借入金並びに現金及び預金の残高を検討材料としております。
d.資金調達
当社グループは、事業活動の維持及び将来の成長のために必要な資金について、安定的かつ機動的に確保することに努めております。
当社グループは、資金調達に際して、特定の金融機関に依存することなく、多数の金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との取引開始による間接金融の拡大、エクイティ等の直接金融での資金調達を実施し、資金調達の円滑化と多様化に努めております。また、主要な取引金融機関とは良好な取引関係を長期にわたり維持しており、必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題ないと認識しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況
当社グループは大規模な経済変動に耐えうる企業であるために、これまでキャッシュ・ポジションの重要性を常に認識し、財務体質を強化してまいりました。
当社のビジネスモデルは、少人数かつアウトソーシングの活用を前提に、都心23区駅徒歩10分圏内に投資用ワンルームマンションの開発・一棟販売するというものでありますが、昨今の都心土地価格高騰とプロジェクト用地の取得競争激化、さらには工事原価の上昇などの厳しい経営環境において「持続的成長」を展望するためには、事業領域の拡大が必要と考えております。これまでも、東京都心以外の地域での開発や戸建て・マンション分譲販売、ホテル事業や戸数100戸を超える大規模プロジェクト等に挑戦してまいりましたが、今後はM&A等も活用しながら、当社グループにおける持続的成長並びに企業価値の向上に資する投資を進めてまいりたいと考えております。
なお、当社の経営方針・経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標は売上総利益率であります。当連結会計年度の売上総利益率は、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.営業利益」に記載のとおり、前連結会計年度を1.8ポイント上回る19.9%となりました。
当連結会計年度の実績値は、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益のいずれについても、2022年8月4日に開示いたしました通期連結業績予想数値を上回ることができました。
当連結会計年度における予想数値に対する実績の状況を示すと、次のとおりであります。
項目
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
(百万円)
1株当たり
当期純利益
(円)
予想数値 (A)
20,000
2,300
2,050
1,350
43.03
実績値 (B)
20,264
2,429
2,139
1,447
46.33
差額 (B)-(A)
264
129
89
97
3.30
予想比 (%)
(B)/(A)
101.3
105.6
104.4
107.2
107.7
2023年6月期につきましては、投資用ワンルームマンション販売についての販売計画は11棟586戸でしたが、実績は11棟584戸と概ね予定どおりとなりました。
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