【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当事業年度における経営成績に関する説明は、前事業年度に当該会計基準を適用したと仮定して説明しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大が見られたものの、ワクチン接種や医療体制の強化等を受けて行動制限が緩和され、徐々にではありますが経済活動は回復基調となりました。しかしながら、ウクライナ情勢不安の長期化等の影響によるエネルギー価格や原材料価格の高騰に加えて、急激な円安の進行など景気の先行きは依然不透明な状況となりました。
食品業界ならびに当社の主力分野であるチーズ業界におきましては、外食産業向け需要が回復する一方で、主要産地における生乳生産量の減少およびエネルギー価格や飼料・肥料価格の高騰等に加えて、急激な円安の進行による国際的な乳製品価格の上昇が顕著となりました。
このような市場環境のもと、当社といたしましては、チーズ製品の価格改定等を実施するとともに需要喚起の対策に取り組んできました。さらに、原材料の安定調達に尽力するとともに、経費の削減、販売の促進および生産能力の増強と生産効率の向上を目指し、全生産ラインの安定稼働に引き続き努めました。
その結果、当事業年度の経営成績等は、以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当事業年度末における「資産の部」の残高は51,421百万円となり、前事業年度末と比べ2,787百万円減少いたしました。主要な要因は現金及び預金、有形固定資産の減少であります。
(負債の部)
当事業年度末における「負債の部」の残高は22,188百万円となり、前事業年度末と比べ2,323百万円減少いたしました。主要な要因は短期借入金の減少であります。
(純資産の部)
当事業年度末における「純資産の部」の残高は29,233百万円となり、前事業年度末と比べ463百万円減少いたしました。主要な要因は配当金の支払であります。
b.経営成績
外食産業向け需要が回復基調であったことから業務用チーズ製品等の販売が増加したことに加えて、チョコレート製品の販売が増加したことにより、売上高につきましては、41,924百万円(前年同期比102.0%)となりました。営業利益は、主に増収やチーズ製品の価格改定効果等があったものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰に加えて、急激な円安の進行による原価上昇等の影響を受けたことにより345百万円(前年同期比14.6%)となり、経常利益は359百万円(前年同期比16.1%)、当期純利益は、前事業年度に固定資産売却益および神戸工場の建設に伴う産業立地促進補助事業補助金収入が特別利益に計上されていたことから219百万円(前年同期比9.7%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,093百万円の収入(前事業年度は5,731百万円の収入)となりました。主な要因は税引前当期純利益および減価償却費の計上であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,250百万円の支出(前事業年度は363百万円の支出)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出および投資有価証券の取得による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2,403百万円の支出(前事業年度は5,403百万円の支出)となりました。主な要因は短期借入金の減少によるものであります。
以上の結果、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、4,822百万円(前事業年度末は7,270百万円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、食料品の製造・販売業であり、単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、部門別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度における部門別の生産実績は次のとおりであります。
部門
金額(千円)
前年同期比(%)
チーズ
36,517,302
100.8
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、前年同期比は前事業年度に当該会計基準を適用したと仮定して説明しております。
b.商品仕入実績
当事業年度における部門別の商品仕入実績は次のとおりであります。
部門
金額(千円)
前年同期比(%)
チーズ
3,804,498
128.6
チョコレート
2,096,457
125.2
ナッツ
482,811
96.4
その他
106,019
121.0
合計
6,489,787
124.3
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当社は市場動向の予測に基づく見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。
d.販売実績
当事業年度における部門別の販売実績は次のとおりであります。
部門
金額(千円)
前年同期比(%)
チーズ
38,949,512
101.6
チョコレート
2,213,229
107.7
ナッツ
638,321
100.2
その他
123,069
133.6
合計
41,924,133
102.0
(注)1.当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、前年同期比は前事業年度に当該会計基準を適用したと仮定して説明しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当社との販売契約当事者を顧客として販売実績を記載しております。また、前事業年度は当該会計基準適用前の販売実績を記載しております。
前事業年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
相手先
金額(千円)
割合(%)
三菱商事㈱
48,066,229
87.3
当事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
相手先
金額(千円)
割合(%)
㈱日本アクセス
18,569,115
44.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における「資産の部」の残高は51,421百万円となり、前事業年度末と比べ2,787百万円減少いたしました。これは主に投資有価証券が507百万円、売掛金が348百万円、商品及び製品が310百万円、未収還付法人税等が293百万円増加した一方で、現金及び預金が2,392百万円、有形固定資産が1,988百万円減少したことによります。
(負債)
当事業年度末における「負債の部」の残高は22,188百万円となり、前事業年度末と比べ2,323百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が6,000百万円増加した一方で、短期借入金が8,000百万円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における「純資産の部」の残高は29,233百万円となり、前事業年度末と比べ463百万円減少いたしました。これは主に、配当金の支払によります。これにより自己資本比率は前事業年度末の54.8%から56.8%となりました。
2)経営成績の分析
当事業年度におきましては、エネルギー価格や原材料価格の高騰に加えて、急激な円安の進行による原価上昇等の影響を受けたことからチーズ製品の価格改定等を実施いたしました。さらに、原材料の安定調達に尽力するとともに、経費の削減、販売の促進および生産能力の増強と生産効率の向上を目指し、全生産ラインの安定稼働に取り組みました。
当社の当事業年度の売上高は41,924百万円となり、前事業年度と比べ809百万円増加いたしました。これは、主に外食産業向けの需要が回復したことにより業務用チーズ製品等の販売が増加したことに加えて、チョコレート製品の販売が増加したことによります。
経常利益につきましては、359百万円となり、前事業年度と比べ1,872百万円減少いたしました。これは、主にエネルギー価格や原材料価格の高騰に加えて、急激な円安の進行による原価上昇等の影響を受けたことから売上総利益が減少したことによります。
当期純利益につきましては、前事業年度に固定資産売却益および神戸工場の建設に伴う産業立地促進補助事業補助金収入が特別利益に計上されていたことから、前事業年度と比べ2,051百万円減少し、219百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入等の製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要はチーズ製品の生産施設における建物の新改築や機械装置等の拡充のための事業投資であります。 当社は、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針とし、不足分は金融機関からの短期借入金により調達しております。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠90億円のコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の経営者は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。当社では特に以下の会計上の見積り及び見積りに用いた仮定が重要であると考えております。
a.有価証券の減損
当社は、取引関係の維持・強化のために取引先の株式を保有しております。これらの株式には上場株式と非上場株式が含まれております。上場株式は期末時点における時価が帳簿価額と比べ50%以上下落した場合および、期末における下落率が2期連続して30%以上の場合、期末時点で減損処理を行っております。
非上場株式については、非上場会社の決算書を基に利益の推移、株式の評価額を算出し「合理的に算定された価額」により評価し見積もっております。
b.固定資産の減損
当社は、市場価格、営業活動から生ずる損益等から減損の兆候が識別された場合、将来の事業計画等を考慮して、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。
c.棚卸資産の評価
棚卸資産の評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。
d.貸倒引当金の計上
一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財政状態が悪化した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。
e.退職給付債務の認識
退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
f.繰延税金資産の計上
当社は、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当事業年度において重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社に与える影響につきましては、事業全体への大きな影響はなく、財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるとの仮定をもとに、会計上の見積りを行っております。