【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、前事業年度より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更しており、また全ての連結子会社が3月決算から12月決算に変更しております。このため前期比較にあたっては、2022年1月から2022年9月までの9カ月間を「前年同一期間」として算出した参考数値と比較しております。また、当社は第1四半期会計期間より、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、セグメント利益の測定方法の変更を行っております。以下の前年同一期間との比較については、前年同一期間の数値を変更後の数値に組み替えて計算しております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・賃金の増加を背景に個人消費の増加基調が維持されるなど、内需主導で緩やかな持ち直しが続いています。海外経済は、米国では個人消費が予想外に底堅く推移していますが、今後は累積的利上げの遅効的影響による減速が見込まれ、景気後退を回避できるか否か、予断を許しません。このような状況下、当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)の当社グループの売上高は467億89百万円(前年同一期間比1.3%の増収)、営業利益は61億29百万円(前年同一期間比7.3%の減益)、経常利益は74億13百万円(前年同一期間比7.9%の減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は65億20百万円(前年同一期間比12.6%の増益)となりました。化学品事業、建材事業ともに販売価格の改定や為替レートの円安影響等で増収を確保しましたが、原材料費や新規設備投資の償却負担等の製造コスト上昇により営業利益及び経常利益は減益となりました。一方、特別利益において多額の投資有価証券売却益が発生し、親会社株主に帰属する四半期純利益は増益となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
①化学品事業(無機化成品)ラジアルタイヤ向け原料である不溶性硫黄は、中国市場等で需給の緩みが続いていますが、やや底打ち感が出てきており、販売はやや持ち直しつつあります。レーヨン・セロハン向けの二硫化炭素は海外顧客のレーヨン工場稼動低迷により、低調に推移しました。浴用剤・合成洗剤向けの無水芒硝は、国内販売において、為替レートの円安による仕入価格高騰の影響を価格転嫁し、収益性の回復を図りました。(有機化成品)殺菌消毒剤塩素化イソシアヌル酸は、国内市場は、アフターコロナや猛暑によりプール需要が堅調に推移し、前年を上回りました。米国市場は、顧客在庫の在庫調整やインフレ下の買い控えにより荷動きはやや鈍化しましたが、為替の円安影響や販路の多様化等を進めた結果、前年を上回りました。(ファインケミカル)プリント配線板向けの水溶性防錆剤タフエースを中心とする電子化学材料は、半導体、エレクトロニクス市場の底打ちや顧客の在庫調整が進んだ結果、足元の荷動きは回復しつつあります。機能材料は、エポキシ樹脂硬化剤(イミダゾール類)が前年を上回り、樹脂改質剤(グリコールウリル誘導体等)は最終製品の需要減等で停滞しましたが、半導体プロセス材料は評価需要や案件獲得などで前年を大きく上回りました。
この結果、化学品事業の売上高は321億3百万円(前年同一期間比0.9%の増収)と前年を上回りましたが、セグメント利益は、為替レート円安の影響や輸出物流コストの低下等の追い風があったものの、原材料費の高騰や、稼働開始した塩素化イソシアヌル酸の新プラント(NEO2022)の償却負担、収益性の高いファインケミカル製品の販売減等により、47億92百万円(前年同一期間比10.5%の減益)と、前年を下回りました。
②建材事業新設住宅着工戸数は、持家の着工が弱い動きを続けており、壁材、エクステリアともに需要は低調に推移しています。当期1月より価格改定を実施し、原材料費の上昇に係る価格転嫁に努めましたが、需要減に伴い販売量が伸び悩む一方、原材料費の高騰やコロナ後の営業活動の再開等で販売費が増加し、減益となりました。
この結果、建材事業の売上高は139億18百万円(前年同一期間比2.2%の増収)、セグメント利益は10億66百万円(前年同一期間比7.8%の減益)となりました。
財政状態は、総資産は、前連結会計年度末比102億43百万円増加し、1,274億19百万円となりました。主な増加は、現金及び預金49億45百万円、建設仮勘定22億25百万円、主な減少は、機械装置及び運搬具12億71百万円であります。負債は、前連結会計年度末比68億65百万円増加し、422億35百万円となりました。主な増加は、1年内返済予定長期借入金27億8百万円、繰延税金負債18億40百万円、主な減少は、長期借入金15億70百万円であります。純資産は、前連結会計年度末比33億77百万円増加し、851億83百万円となりました。主な増加は、利益剰余金20億93百万円、その他有価証券評価差額金8億21百万円であります。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の69.4%から66.3%となりました。 (2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は13億0百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において研究開発活動の状況に重要な変更はありません。