【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
1.経営成績の状況
(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属
する四半期純利益
1株当たり
四半期純利益
(円 銭)
当第1四半期
連結累計期間
262,734
19,497
19,214
11,593
41.59
前第1四半期
連結累計期間
247,131
18,044
18,414
16,015
56.87
前年同期比
(%)
106.3
108.1
104.3
72.4
–
(注)当社は、2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり四半期純利益を算定しております。
当社グループは「2023中期経営計画」の基本コンセプトである「明治ROESG®※経営の実践」に基づき、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現に向けて取り組んでいます。
重点課題は以下の通りです。
1.事業戦略
(食品セグメント) コア事業の成長力の回復
海外展開の強化
(医薬品セグメント) ワクチン事業の強化
受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化
(グループ全体) 新領域への挑戦
2.ROICの活用による経営管理体制強化
3.成長投資の継続と強固な財務基盤構築の両立
4.サステナビリティ2026ビジョンの着実な実行
※「ROESG」は一橋大学・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和や賃金上昇などにより、人流および景気の緩やかな回復が期待されますが、国内の生乳取引価格などの原材料価格およびエネルギーコストの上昇は依然として続いており、当社グループ業績にも影響する見通しです。
食品セグメントでは、原材料価格およびエネルギーコストの上昇に対して、価格改定などによりコスト上昇分を吸収します。また、価格改定による数量減の影響を最小限にとどめるべく、主力商品の価値訴求強化や積極的なマーケティング活動に取り組みます。加えて、海外では引き続き中国における生産販売能力を強化し、販売エリア拡大と高付加価値商品の売上拡大を目指します。米国においても、チョコレートスナックを中心に販路を拡大していきます。
医薬品セグメントでは、感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症薬のトップ企業としての競争優位性確立に取り組みます。新型コロナウイルス感染症に対する不活化ワクチンとレプリコンワクチンの開発を進めるとともに、他の開発パイプラインの加速にも取り組みます。また、海外では、CMO/CDMO事業の強化・拡大に注力します。インドに完成した新製造棟における商業出荷に向けた準備を確実に進めるほか、生産性の向上にも取り組みます。
当第1四半期連結累計期間の売上高は 2,627億34百万円(前年同期比 6.3%増)、営業利益は 194億97百万円(同 8.1%増)、経常利益は 192億14百万円(同 4.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 115億93百万円(同 27.6%減)となりました。
当社の事業子会社であるKMバイオロジクス株式会社とMeiji Seika ファルマ株式会社では、新型コロナウイルス感染症に対する不活化ワクチンの開発を進めています。承認に向けた最終段階となる第3相臨床試験(国際共同、成人40歳以下)を2022年4月に、また国内小児第3相臨床試験(6か月以上12歳未満)を2023年1月に、それぞれ開始しました。
2023年4月に、Meiji Seika ファルマ株式会社は、Arcturus Therapeutics Inc.が開発した新型コロナウイルス感染症に対するレプリコンワクチン「ARCT-154」について、全世界における権利を保有するCSL Limitedの子会社であるCSL Seqirusと日本での供給・販売提携に関する契約を締結しました。(3 経営上の重要な契約等 に当契約について記載) 同ワクチンについては、2023年4月に「成人における初回免疫(2回接種)によるCOVID-19の予防」を適応症として、日本における製造販売承認を申請しました。また、2023年6月に追加免疫についても製造販売承認を申請しました。
アストラゼネカ株式会社が日本へ導入している新型コロナウイルスワクチンについて、Meiji Seika ファルマ株式会社は安全性情報収集の業務を行っております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
報告セグメント
合計
食品
医薬品
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減
売上高
204,387
218,711
14,323
42,884
44,173
1,289
247,272
262,885
15,613
セグメント利益
14,507
15,202
695
3,815
4,604
789
18,322
19,807
1,484
(注)売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。
セグメントの業績の詳細は、次のとおりであります。
(1)食品
当セグメントには、ヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)、ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、業務用食品事業、フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)、海外事業(海外子会社、輸出)、その他・国内子会社 (国内独立系子会社、ガム、キャンデー、OTC)による製造・販売、運送等が含まれております。
売上高は、価格改定効果もあり前第1四半期連結累計期間を上回りました。海外事業や業務用食品事業は前第1四半期連結累計期間を大幅に上回り、ヨーグルト・チーズ事業、ニュートリション事業、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、フローズン・調理食品事業やその他・国内子会社は前第1四半期連結累計期間を上回りました。
セグメント利益は前第1四半期連結累計期間を上回りました。価格改定効果が原材料コストの上昇や数量減の影響をカバーしました。
事業別の概況は次のとおりです。
■ヨーグルト・チーズ事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。ヨーグルトとプロバイオティクスは昨年11月に続き、本年4月にも価格改定を実施しました。チーズは、需要拡大や販促強化を背景に、スライスチーズを中心に伸長しました。
営業利益は前第1四半期連結累計期間を上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。価格改定による数量への影響を最小化すべくマーケティング投資を強化しました。
■ニュートリション事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。乳幼児ミルクは、昨年11月と本年5月の2度の価格改定効果に加え、インバウンド需要の増加により伸長しました。スポーツプロテイン「ザバス」は、たんぱく質配合量を20gに増量させたドリンクタイプの新商品の発売などが寄与し、好調に推移しました。
営業利益は、原材料コストの増加を価格改定でカバーしたことに加え、製造間接費の減少により前第1四半期連結累計期間を上回りました。
■チョコレート・グミ事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。チョコレートは、人流回復やインバウンド需要によりナッツチョコレートを中心に好調に推移しました。市場拡大が続くグミは、商品ラインアップの拡大で新たな顧客層を獲得したことで、大幅に伸長しました。
営業利益は、原材料コストの増加を価格改定によりカバーしましたが、子会社の減益などにより前第1四半期連結累計期間を下回りました。
■牛乳事業
売上高は「明治おいしい牛乳」の中小容量品が好調に推移し、前第1四半期連結累計期間を上回りました。
営業利益は、数量減の影響などにより前第1四半期連結累計期間から損失額が拡大しました。
■業務用食品事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。人流回復により市場が拡大し、クリームやチーズ、バターなどが大幅な増収となりました。
営業利益は、原材料コストが増加しましたが、価格改定効果や数量増により前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■フローズン・調理食品事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。アイスクリームは、主力の「明治エッセルスーパーカップ」が好調に推移し増収となりました。調理食品は、2023年2月に冷凍ピザを終売した影響により減収となりました。
営業利益は前第1四半期連結累計期間を上回りました。原材料コストの増加を価格改定によりカバーしました。
■海外事業
売上高は、前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。中国の業務用事業やアイスクリーム事業、東南アジアや米国の子会社が好調に推移しました。
営業利益は、収支均衡となりました。東南アジアや米国の子会社が増益となりましたが、中国の子会社は2023年1月の天津工場稼働に伴う減価償却費の増加などにより減益となりました。
■その他・国内子会社
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。糖類を扱う商社などが好調に推移しました。
営業利益は、原材料コストの増加による飼糧子会社の減益などにより、前第1四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
(2)医薬品
当セグメントには、国内医薬品事業(ヒト用ワクチンを除く国内医薬品)、海外医薬品事業、ヒト用ワクチン事業、動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)による製造・販売が含まれております。
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。国内医薬品事業は前第1四半期連結累計期間を上回り、海外医薬品事業は前第1四半期連結累計期間並みとなりました。ヒト用ワクチン事業は前第1四半期連結累計期間を下回り、動物薬事業は前第1四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
セグメント利益は、国内医薬品事業と海外医薬品事業の増益により、前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
事業別の概況は次のとおりです。
■国内医薬品事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が増収となりました。
営業利益は、薬価改定の影響を受けたものの、増収や生産効率化により前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■海外医薬品事業
売上高は、前第1四半期連結累計期間並みとなりました。スペインやタイの子会社が好調に推移した一方、インドの子会社が減収となりました。
営業利益は前第1四半期連結累計期間を大幅に上回りました。スペインやタイの子会社の増収やインドの子会社の原価低減が寄与しました。
■ヒト用ワクチン事業
売上高は前第1四半期連結累計期間を下回りました。四種混合ワクチン「クアトロバック」は好調に推移しましたが、日本脳炎ワクチン「エンセバック」やB型肝炎ワクチン「ビームゲン」が減収となりました。
営業利益は、ロイヤリティ収入が寄与し損失額が縮小しました。
■動物薬事業
売上高は、品目数削減の影響を受け、前第1四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
営業利益は、原材料コストの増加などにより、前第1四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
2.財政状態の分析
〔資産〕
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は 1兆1,717億43百万円となり、前連結会計年度末に比べて 355億25百万円増加しました。これは建設仮勘定が減少した一方、現金及び預金が 205億46百万円、商品及び製品が82億76百万円、投資有価証券が80億60百万円、土地が77億96百万円、機械装置及び運搬具(純額)が 49億94百万円
増加したことなどによるものです。
〔負債〕
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は 4,096億76百万円となり、前連結会計年度末に比べて 247億70百万円増加しました。これは未払費用が 46億49百万円、賞与引当金が 46億42百万円減少した一方、短期借入金が 380億19百万円増加したことなどによるものです。
〔純資産〕
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は 7,620億66百万円となり、前連結会計年度末に比べて 107億54百万円増加しました。これは資本剰余金が83億88百万円減少した一方、自己株式が 83億83百万円減少(純資産としては増加)、その他有価証券評価差額金が 61億32百万円、為替換算調整勘定が52億55百万円増加したことなどによるものです。
なお、自己資本比率は 61.6%(前連結会計年度末は 62.7%)となりました。
3.キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
区 分
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
4,733
2,403
△2,329
投資活動によるキャッシュ・フロー
△8,966
△5,674
3,292
フリー・キャッシュ・フロー
△4,233
△3,270
962
財務活動によるキャッシュ・フロー
22,271
22,541
270
現金及び現金同等物に係る換算差額
2,024
835
△1,188
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
20,061
20,106
44
現金及び現金同等物の期首残高
64,872
60,939
△3,933
現金及び現金同等物の四半期末残高
84,934
81,045
△3,889
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が減少した一方で、仕入債務の減少や、預り金の減少などにより、前第1四半期連結累計期間より 23億29百万円収入減の 24億3百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入の増加や有形固定資産の取得による支出の減少などにより、前第1四半期連結累計期間より 32億92百万円支出減の 56億74百万円の支出となりました。
これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は前第1四半期連結累計期間より 9億62百万円支出減の 32億70百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が増加した一方で、短期借入金の増加や非支配株主への配当金の支払額の減少などにより、前第1四半期連結累計期間より 2億70百万円収入増の 225億41百万円の収入となりました。
これらの結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は 810億45百万円となりました。
4.経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
5.会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
6.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
7.研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は74億15百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
8.従業員数
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員の状況に重要な変動はありません。
9.生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
10.主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの主要な設備に関し、著しい変動及び変更はありません。