【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の位置付けが第5類に移行したことで、社会経済活動正常化への動きが一段と進み、企業業績・個人消費ともに緩やかな回復基調が継続されました。一方で、原材料価格の高止まり、円安とエネルギーコスト上昇等の影響により物価高が続いており、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
このような状況の中、当社グループは、競争力強化と顧客満足の向上および事業領域の拡大を進めたことに加え、製品の販売価格改定が一定程度進捗したことにより、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。また、営業利益は売上高が増加したことに加え、さまざまなコスト削減活動を実施した結果、同様に増加いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高が106億9千5百万円で前年同四半期比5億8千万円の増収(5.7%増)、営業利益は1億6千6百万円で前年同四半期比2億5千6百万円の増益(前年同四半期は9千万円の営業損失)、経常利益は円安による為替評価増等により4億7百万円で前年同四半期比3億6千万円の増益(770.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億1百万円で前年同四半期比2億6千1百万円の増益(647.1%増)となりました。
今後も日本経済の緩やかな回復は続くと見込んでおりますが、物価高や海外経済の減速等による当社グループ業績に対する影響が不透明であるため、引き続き市況を注視しながら対応してまいります。
(単位:百万円)
23年3月期
第1四半期
24年3月期
第1四半期
増減額
増減率
売上高
10,114
10,695
580
5.7%
営業利益又は営業損失(△)
△90
166
256
-
経常利益
46
407
360
770.8%
親会社株主に帰属する四半期純利益
40
301
261
647.1%
「売上高・営業利益の第1四半期業績推移」 (百万円)
次に、セグメント別に概況をご報告いたします。
当社グループの報告セグメントはインキ事業、化成品事業、加工品事業、不動産賃貸事業から構成されており、当第1四半期の売上高とセグメント利益の構成は以下のとおりであります。
詳細につきましては、「第4「経理の状況」1「四半期連結財務諸表」「注記事項」(セグメント情報等)」をご参照ください。
第1四半期業績推移
セグメント売上高 (百万円) セグメント利益又は損失(△) (百万円)
(インキ事業)
オフセットインキおよび印刷用材料は、産業構造の変化に伴う市場縮小が継続する中、重点顧客への販売強化に努めてまいりました。そのような状況下、製品販売価格改定が一定程度進捗したことにより、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。利益は売上高が増加したことに加え、前期末に実施した固定資産の減損処理に伴う減価償却費の減少等により増加いたしました。
グラビアインキは、新規顧客の開拓および製品販売価格改定が進捗したものの、贈答用の販売が低調であったため、売上高は前年同四半期並みとなりました。一方、高利益率製品である機能性インキが伸長したことで、損失幅は縮小いたしました。
インクジェットインクは、建材用途、メディカル用途等の自社製品が低調に推移し、欧米向け受託製品の需要回復が遅れているものの、市況が悪化していた前年同四半期に比べると、売上高は増加いたしましたが、利益は前年同四半期並みとなりました。
この結果、さまざまなコスト削減活動の効果もあり、下記の表に記載のとおり、インキ事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収増益となりました。
インキ事業につきましては、オフセットインキは産業構造の変化に伴う市場縮小が継続する中で、重点顧客販売によるシェア維持へ取組んでおり、今後更なる事業構造改革に努めてまいります。グラビアインキは軟包装分野での需要が堅調に推移、インクジェットインクの産業用途需要は徐々に回復し、市場拡大することを見込んでおり、拡販に努めてまいります。事業全体を通じて収益力向上に向けて製品ポートフォリオの再構築を進めてまいります。
(単位:百万円)
23年3月期
第1四半期
24年3月期
第1四半期
増減額
増減率
売上高
3,243
3,320
77
2.4%
セグメント利益又は損失(△)
△140
5
145
-
(化成品事業)
自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドは、半導体不足の緩和に伴う国内自動車生産台数増加の影響により、前年同四半期に比べ売上高は大きく増加いたしました。
包装材・容器用マスターバッチは、インバウンド需要が回復傾向にあることで一部製品の売上高が増加いたしましたが、物価高に伴い消費意欲が低下した影響等により、前年同四半期に比べ売上高は減少いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、化成品事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、製品販売価格改定が未だ十分ではなかったものの、前年同四半期に比べ増収となりました。また、利益は、原材料価格およびエネルギーコストの上昇に対して製品販売価格改定が十分ではないものの、タイ国連結子会社が好調であり、前年同四半期に比べ増益となりました。
今後の化成品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドは、国内自動車生産回復の継続により堅調に推移すると見込んでおります。一方、包装材・容器用マスターバッチは、環境対応の加速化による市場縮小の継続が考えられますので、昨今の環境問題への関心の高まりを機会と捉え、エネルギーコストを抑える液状マスターバッチやバイオプラスチックベースの着色剤等の環境に配慮した製品の開発・拡販、リサイクル材活用等、サーキュラーエコノミーに貢献できる取り組みを推し進めてまいります。
(単位:百万円)
23年3月期
第1四半期
24年3月期
第1四半期
増減額
増減率
売上高
4,937
5,364
426
8.6%
セグメント利益
74
85
10
14.3%
(加工品事業)
ネトロン®(注)は、一部の農水産物用途の包装資材が低調であったものの、工業材料である水処理用資材の輸出需要が引き続き堅調に推移いたしました。また、製品販売価格改定が一定程度進捗したことにより、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。一方、原材料価格およびエネルギーコストの上昇に対して製品販売価格改定が十分ではなく、利益は減少いたしました。
一軸延伸フィルムは、ダンボール用途が低調であったものの、食品包装用途が堅調に推移いたしました。また、製品販売価格改定が進捗したことにより、前年同四半期に比べ売上高および利益ともに増加いたしました。
土木資材は、昨年発生した豪雨災害の復興需要の影響等により、主力製品であるジオセルが好調に推移したことで、前年同四半期に比べ売上高および利益ともに増加いたしました。
農業資材は、燃油価格上昇の影響により保温資材等の高機能製品が好調でありましたが、国内農業における産業構造の変化に伴う市場縮小により汎用製品の需要が低迷した影響が大きく、前年同四半期に比べ売上高は減少いたしました。一方、前年同四半期に発生した一時的な要因の販管費が当期は発生しなかったことにより、利益は増加いたしました。
この結果、さまざまなコスト削減活動の効果もあり、下記の表に記載のとおり、加工品事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収増益となりました。
今後の加工品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、ネトロン®の水処理用資材の需要は引き続き伸長し、土木資材は豪雨等の災害が頻発していることから、国が定める「国土強靭化計画」に沿った防災・減災用途の需要が増加すると見込んでおります。
水処理用資材や土木資材などの市場の伸長が期待できる分野におきましては、生産能力の増強や新製品開発・拡販等を推し進めるとともに、包装資材や農業資材におきましては、昨今の環境問題への関心の高まりを機会と捉え、バイオプラスチックベースの環境対応製品の開発・拡販を進めてまいります。
(注)ネトロン®は三井化学株式会社の登録商標です。
(単位:百万円)
23年3月期
第1四半期
24年3月期
第1四半期
増減額
増減率
売上高
1,911
1,988
76
4.0%
セグメント利益
26
136
110
421.7%
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業は、賃貸戸建て住宅「パレットパークタウン」および本社ビル賃貸オフィスの稼働が堅調に推移いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、不動産賃貸事業の当第1四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期並みとなりました。
(単位:百万円)
23年3月期
第1四半期
24年3月期
第1四半期
増減額
増減率
売上高
22
22
0
0.3%
セグメント利益
14
14
△0
△1.3%
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
区 分
2023年3月期
2024年3月期
第1四半期
増減額
増減率
資産
47,797
48,565
768
1.6%
負債
20,531
20,860
328
1.6%
純資産
27,256
27,705
440
1.6%
当第1四半期連結会計期間末の総資産は485億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億6千8百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加1億8千7百万円、受取手形の減少8千6百万円、電子記録債権の増加9千6百万円、売掛金の減少3億7千万円、棚卸資産の増加3億8千5百万円、有形固定資産の減少4千4百万円および投資有価証券の時価上昇等に伴う増加4億4千4百万円等によるものです。
負債合計は208億6千万円となり、前連結会計年度末に比べ3億2千8百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少2億4千7百万円、短期借入金の増加7億8千万円、1年内返済予定の長期借入金の減少8千万円、未払費用の減少1億5百万円、長期借入金の減少1億3千6百万円および繰延税金負債の増加2億5千2百万円等によるものです。
純資産の部は277億5百万円となり前連結会計年度末に比べ4億4千万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加9千2百万円およびその他の包括利益累計額の増加3億4千2百万円等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載しました「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載に重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億9千1百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。