【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)におけるわが国の経済は、11月以降、新型コロナウイルス感染症の感染者が増加傾向にありますが、社会経済活動に影響する規制強化等が実施されなかったこともあり、引き続き、緩やかな回復基調が継続されました。
一方、ウクライナ情勢長期化等の影響により原油価格が高止まりしていることに円安が重なり、原油由来の原材料やさまざまな輸入品の価格が上昇したことで、家計や企業は大きな影響を受けております。
このような状況の中、当社グループは、競争力強化と顧客満足の向上および事業領域の拡大を進めたことにより、売上高は前年同四半期に比べ増加いたしました。一方、利益は、製品の販売価格改定やさまざまなコスト削減活動を実施したことにより、当第3四半期会計期間は改善が見られてきておりますが、同累計期間では原材料価格とエネルギーコストの上昇分を吸収しきれず、減少いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が324億3千4百万円で前年同四半期比14億1千7百万円の増収(4.6%増)、営業利益は7千6百万円で前年同四半期比6億3千1百万円の減益(89.2%減)、経常利益は米国連結子会社の出資分配益の計上等により48億1千3百万円で前年同四半期比39億4千5百万円の増益(454.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は35億8千2百万円で前年同四半期比29億2百万円の増益(426.9%増)となりました。
第4四半期以降も日本経済の緩やかな回復は続くと見込まれておりますが、原油価格や為替の動向および新型コロナウイルス感染症の動向についても未だ不透明な状況にあり、引き続き市況を注視しながら対応してまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第3四半期
23年3月期
第3四半期
増減額
増減率
売上高
31,017
32,434
1,417
4.6%
営業利益
708
76
△631
△89.2%
経常利益
867
4,813
3,945
454.6%
親会社株主に帰属する
四半期純利益
679
3,582
2,902
426.9%
「売上高・営業利益の第3四半期業績推移」 (単位:百万円)
次に、セグメント別に概況をご報告いたします。
当社グループの報告セグメントはインキ事業、化成品事業、加工品事業、不動産賃貸事業から構成されており、当第3四半期連結累計期間の売上高とセグメント利益又は損失(△)の構成は以下のとおりであります。
また、第1四半期連結会計期間より全社費用の区分を見直しております。それに伴い、前第3四半期連結累計期間における各事業のセグメント利益を区分見直し後の数値に置き換えております。
詳細につきましては、「第4「経理の状況」1「四半期連結財務諸表」「注記事項」(セグメ
ント情報等)」をご参照ください。
第3四半期業績推移
セグメント売上高 (単位:百万円) セグメント利益又は損失(△)(単位:百万円)
(インキ事業)
オフセットインキおよび印刷用材料は、社会経済活動の正常化に伴うさまざまな印刷物需要の一定程度の回復が継続したことに加え、重点顧客への販売強化に努めた結果、前年同四半期に比べ数量、売上高ともに増加いたしました。しかし、利益は、さまざまなコスト削減活動や製品販売価格改定による採算是正を試みましたが、原油高と円安による原材料価格上昇影響がさらに悪化したため、前年同四半期に比べ大幅に減少いたしました。
グラビアインキは、人流の回復に伴う全体的な需要回復が継続したことやコート剤等の機能性製品の拡販が進んだことに加え、一定程度の製品価格改定が進んだことにより前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。一方、利益は開発費用の増加等の影響により前年同四半期並となりました。
インクジェットインクは、建材用途、メディカル用途等の自社製品が好調に推移いたしましたが、主に欧米向けの受託製品の需要が低迷した結果、前年同四半期に比べ売上高および利益ともに減少いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、インキ事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収減益となりました。
今後のインキ事業を取り巻く市場環境につきましては、短期的には社会経済活動の正常化に伴う緩やかな需要回復が続くと見込んでおりますが、原油高と円安による原材料価格上昇により悪化した採算性を是正するために、製品販売価格改定を一層進めていくことが喫緊の課題と認識しております。
中長期的にはオフセットインキの構造的な市場縮小の継続、グラビアインキの軟包装分野での堅調な需要、インクジェットインクの産業用途の市場拡大を見込んでおりますので、製品ポートフォリオの再構築を進めることにより収益力向上を目指してまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第3四半期
23年3月期
第3四半期
増減額
増減率
売上高
9,883
10,550
667
6.7%
セグメント損失(△)
△91
△431
△339
-
(化成品事業)
自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドは、徐々に国内自動車生産の回復が見られるものの、累計期間では国内自動車生産の減産影響が大きく、前年同四半期に比べ売上高は大きく減少いたしました。
包装材・容器用マスターバッチは、社会経済活動の正常化に伴い、一定の需要回復が見られたことに加え、一部の産業資材用途製品や環境に配慮した製品が堅調に推移したことにより、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、化成品事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収となりました。一方、利益は海外の連結子会社が好調でありましたが、国内の原材料価格上昇に対応した製品価格改定が一定程度進捗したものの、累計期間では十分ではなく、減益となりました。
今後の化成品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、国内自動車生産は足下では回復傾向にありますが、半導体供給の先行きが不透明であるため、自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドの販売に影響が生じる可能性があります。包装用・容器用マスターバッチは、緩やかな需要増が続くと見込んでおりますが、中長期的には脱プラスチック化に代表される環境対応の加速化による市場縮小の継続が考えられます。そのため、昨今の環境問題への関心の高まりを機会と捉え、バイオプラスチックベースの着色剤等の環境に配慮した製品の開発・拡販、リサイクル材活用等、サーキュラーエコノミーに貢献できる取り組みを推し進めてまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第3四半期
23年3月期
第3四半期
増減額
増減率
売上高
15,104
15,792
687
4.6%
セグメント利益
625
305
△319
△51.1%
(加工品事業)
ネトロン®(注)は、引き続き、工業材料である水処理用資材の輸出需要が堅調に推移し、農水産物用途が底堅い需要に支えられた包装資材も順調であったため、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。一方、利益は原材料価格の上昇に対応した製品価格改定に一定程度の進捗が見られたことにより、前年同四半期並みとなりました。
一軸延伸フィルムは、引き続き、社会経済活動の正常化に伴う包装資材の需要が回復し、工業用途製品の輸出が堅調に推移したことに加え、新規案件が順調に進捗した結果、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。また、利益は生産性向上のための取り組みと原材料価格の上昇に対応した製品価格改定に一定程度の進捗が見られたことにより、採算性が向上したため、前年同四半期に比べ増加いたしました。
土木資材は、徐々にジオセル等の主力製品の需要が回復してまいりましたが、累計期間では災害復旧案件の減速等の影響を受けたことから、売上高、利益ともに前年同四半期に比べ減少いたしました。
農業資材は、高機能製品が好調に推移したことにより、売上高、利益ともに前年同四半期に比べ増加いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、加工品事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収増益になりました。
今後の加工品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、ネトロン®の水処理用資材需要は引き続き伸長し、一軸延伸フィルムは社会経済活動の正常化に伴う需要回復の継続を見込んでおります。土木資材は主力製品であるジオセルを中心に需要の回復が継続し、農業資材は高機能製品が堅調を維持すると見込んでおります。
中長期的にはネトロン®の水処理資材需要の伸長が継続し、土木資材は国が定める「国土強靭化計画」に沿った防災・減災用途の需要増加を見込んでおります。ネトロン®や一軸延伸フィルム等の包装資材は脱プラスチック化に代表される環境対応の加速化による市場縮小が継続するも、環境に配慮した製品の需要増加を見込んでおります。農業資材は国内耕作面積の減少による需要減少が継続するも、生産コスト削減に貢献できる高機能製品の需要増加を見込んでおります。
(注)ネトロン®は三井化学株式会社の登録商標です。
(単位:百万円)
22年3月期
第3四半期
23年3月期
第3四半期
増減額
増減率
売上高
5,961
6,031
69
1.2%
セグメント利益
323
367
43
13.4%
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業は、賃貸戸建て住宅「パレットパークタウン」および本社ビル賃貸オフィスの稼働が順調に推移いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、不動産賃貸事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期並みとなりました。
(単位:百万円)
22年3月期
第3四半期
23年3月期
第3四半期
増減額
増減率
売上高
66
60
△6
△10.2%
セグメント利益
40
34
△6
△15.8%
当社グループでは、新たに策定した3カ年の中期経営計画「TOKYOink 2024」の取り組みを2022年4月より開始しましたが、原材料の高騰や円安による輸入物価の高騰等が大きく影響し、予想以上に厳しい進捗となっております。
「TOKYOink 2024」で掲げました経営方針「市場が求める価値の追求 とりわけ環境・社会に貢献する製品・サービスの提供」「低成長時代にも耐えうる高効率な運営体制の実現」をもとに、市場に求められる製品開発や企業に求められるESG課題への取り組みを確実に推し進めるとともに、外部環境の変化に左右されない強い企業体質を構築することで、中長期的な企業価値向上に向けて、より一層努めてまいります。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
区分
2022年3月期
2023年3月期
第3四半期
増減額
増減率
資産
47,309
52,953
5,643
11.9%
負債
21,619
23,420
1,800
8.3%
純資産
25,690
29,532
3,842
15.0%
当第3四半期連結会計期間末の総資産は529億5千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ56億4千3百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加11億4千4百万円、受取手形の増加1千2百万円、売掛金の増加9億8千4百万円、電子記録債権の増加13億3千万円、棚卸資産の増加9億4千3百万円、有形固定資産の増加1千3百万円、投資有価証券の時価下落等による減少1億3千9百万円及び米国連結子会社での持分法適用による出資分配益等による増加12億3千7百万円等によるものです。
負債合計は234億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ18億円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加28億1千7百万円、短期借入金の減少8億4千万円、一年内返済長期借入金の減少2億6千8百万円、未払法人税等の増加8億8千5百万円、賞与引当金の減少3億3千万円及び長期借入金の減少8億9千3百万円等によるものです。
純資産の部は、295億3千2百万円となり前連結会計年度末に比べ38億4千2百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加32億6千7百万円及びその他の包括利益累計額の増加5億6千3百万円等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載しました「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載に重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、7億2千4百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。