【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)におけるわが国の経済は、8月中旬以降新型コロナウイルスの感染状況が改善したことから、個人消費を中心に緩やかな回復基調が見られました。
その一方で、ウクライナ危機に伴う原材料価格の高止まりが続く中、歴史的な円安による輸入物価の急騰が重なり、家計や企業はさまざまな影響を受けております。
このような状況の中、当社グループは、競争力強化と顧客満足の向上および事業領域の拡大を進め、売上高は前年同四半期比で増加いたしました。しかしながら、原材料価格とエネルギーコストの高騰が続いた為、全社で採算性が大きく悪化し、大変厳しい状況で推移いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高が207億4千5百万円で前年同四半期比5億3千1百万円の増収(2.6%増)、営業損失は1億9百万円で前年同四半期比5億5千8百万円の減益(前年同四半期は4億4千9百万円の営業利益)、経常利益は米国連結子会社の出資先からの出資分配益等の計上により1億4千7百万円で前年同四半期比3億6千8百万円の減益(71.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億1千3百万円で前年同四半期比2億9千7百万円の減益(72.3%減)となりました。
第3四半期以降もウィズコロナを基本とした社会経済活動の正常化に向けた取り組みが進み、個人消費を中心に景気は回復基調を維持する見込みで、水際対策の大幅緩和と全国旅行支援が始まったことも景気の下支えとなることが期待されます。しかしながら、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行、あるいは原油等資源価格の高止まり、円安による輸入物価の上昇がさらに続くようであれば、国内景気が下振れするリスクも懸念されるため、引き続き市況を注視しながら対応してまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第2四半期
23年3月期
第2四半期
増減額
増減率
売上高
20,213
20,745
531
2.6%
営業利益又は営業損失(△)
449
△109
△558
-
経常利益
515
147
△368
△71.5%
親会社株主に帰属する四半期純利益
411
113
△297
△72.3%
「売上高・営業利益の第2四半期業績推移」 (単位:百万円)
次にセグメント別に概況をご報告いたします。
当社グループの報告セグメントはインキ事業、化成品事業、加工品事業、不動産賃貸事業から構成されており、当第2四半期の売上高とセグメント利益又は損失(△)の構成は以下のとおりであります。
また、第1四半期連結会計期間より全社費用の区分を見直しております。それに伴い、前第2四半期連結累計期間における各事業のセグメント利益を区分見直し後の数値に置き換えております。
詳細につきましては、「第4「経理の状況」1「四半期連結財務諸表」「注記事項」(セグメ
ント情報等)」をご参照ください。
第2四半期業績推移
セグメント売上高 (単位:百万円) セグメント利益又は損失(△)(単位:百万円)
(インキ事業)
オフセットインキおよび印刷用材料は、社会経済活動の正常化に伴い、新聞折込チラシ、旅行関連、イベント企画等の印刷物需要が一定程度回復したことに加え、重点顧客への販売強化にも努めた結果、前年同四半期に比べ数量および売上高は増加いたしました。しかし、利益につきましては、さまざまな合理化や経費削減でその拡大に努めましたが、原材料価格の上昇に対応した価格改定が十分に浸透せず、円安による顔料の輸入コスト上昇も重なって採算性が低下したため、前年同四半期に比べ減少いたしました。
グラビアインキは、人流の回復に伴って全体的に需要が回復したことに加え、コート剤をはじめとする機能性インキの新規拡販が進み数字を底上げしたことから、前年同四半期に比べ数量および売上高は増加いたしましたが、原材料価格の上昇に対応した価格改定が十分でなく、前年同四半期に比べ利益は減少いたしました。
インクジェットインクは、自社品の建材用途、メディカル用途の機能性インクが好調に推移した一方、主に欧米向けとなる受託インクにつきましては、最終製品の需要が弱含みで推移していることから顧客からの発注量が回復せず、前年同四半期に比べ数量、売上高および利益は共に低調に推移いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、インキ事業の当第2四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収減益となりました。
今後のインキ事業を取り巻く市場環境につきましては、短期的には社会経済活動の正常化に伴った緩やかな需要回復を見込んでおりますが、円安によって物価上昇圧力がさらに強まれば、社会経済活動の再停滞が懸念されるため、引き続き市況を注視しながら対応してまいります。また、原材料高騰による価格転嫁の進捗状況が当社グループの業績に大きな影響を及ぼしていると認識しているため、引き続き製品価格の改定を進めてまいります。
なお、中長期ではオフセットインキの構造的な市場縮小の継続、グラビアインキの軟包装需要の堅調な推移、インクジェットインクの産業用途の市場拡大を見込んでおり、製品ポートフォリオの再構築を進めることで収益力の向上を目指してまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第2四半期
23年3月期
第2四半期
増減額
増減率
売上高
6,247
6,654
406
6.5%
セグメント損失(△)
△83
△300
△217
-
(化成品事業)
自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドは、国内自動車生産の減産影響が大きく、前年同四半期に比べ数量および売上高は大きく減少いたしました。
包装材・容器用マスターバッチは、脱プラスチックに代表される環境対応の加速化により市場の縮小に直面しておりますが、足下では社会経済活動の正常化に伴い、需要が一定の回復を見せたことに加え、産業資材用途の新たなアイテムを軸に販売活動に努めたこと、また環境に配慮した製品の拡販を進めた結果、前年同四半期に比べ数量および売上高は増加いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、化成品事業の当第2四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ増収減益となりました。
今後の化成品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、半導体不足による自動車の減産調整が当面続く見通しのため、自動車用マスターバッチおよび樹脂コンパウンドは厳しい状況が継続するものと思われます。包装材・容器用等につきましては、社会経済活動の正常化で緩やかな需要増を見込んでおりますが、中長期的には脱プラスチック化の流れによる需要減を見込んでおります。しかしながら、昨今の環境問題への関心の高まりを機会と捉え、バイオプラスチックベースの着色剤など環境に配慮した製品の開発・拡販、リサイクル材の活用促進などサーキュラーエコノミーに貢献する事業を推進しながら、環境問題で当社グループが担う役割を積極的に果たしてまいります。
(単位:百万円)
22年3月期
第2四半期
23年3月期
第2四半期
増減額
増減率
売上高
10,008
10,157
148
1.5%
セグメント利益
438
127
△311
△71.0%
(加工品事業)
ネトロン®(注)は、工材の水処理用資材の輸出需要が堅調に推移し、農水産物向け包材も既存領域での底堅い需要に支えられたこと、また価格改定が一定程度進捗したことから、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしましたが、原材料高の影響により、利益は減少いたしました。
一軸延伸フィルムは、社会経済活動の正常化に伴い包材需要が回復したことに加え、工業用途の輸出案件や開発アイテムの新規受注が奏功し、前年同四半期に比べ売上高は増加いたしました。また、生産性向上の取り組みと原料高に対応した価格転嫁の進捗により採算性が向上したため、利益も前年同四半期に比べ増加いたしました。
土木資材は、昨年来の災害需要が一服したなかで受注確保に努めましたが、前年同四半期に比べ売上高および利益は共に減少いたしました。
農業資材は、一般農材の販売が低調に推移いたしましたが、高機能農材の顧客開発が一定程度進んだため、売上高および利益は共に前年同四半期並みとなりました。
この結果、下記の表に記載のとおり、加工品事業の当第2四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期に比べ減収減益となりました。
今後の加工品事業を取り巻く各製品の市場環境につきましては、ネトロン®は水処理用資材として需要が伸長、土木災害復興関連の土木資材は年度内の需要回復、一軸延伸フィルムは新規用途開発により需要増、農業資材では国内耕作面積の減少に沿った需要減をそれぞれ見込んでおります。
中長期的にはネトロン®の水処理資材用途の伸長、土木資材は国が進める「国土強靭化計画」に沿った防災・減災用途の需要拡大が期待できることから、生産能力の増強や新製品開発・拡販を推し進めてまいります。また、包装資材につきましてはプラスチック製品に係る環境問題への関心、農業資材につきましては燃料価格の高騰に伴う生産コスト削減ニーズの高まりを機会と捉え、環境に配慮した製品や高機能遮熱農材の開発・拡販を進めてまいります。
(注)ネトロン®は三井化学株式会社の登録商標です。
(単位:百万円)
22年3月期
第2四半期
23年3月期
第2四半期
増減額
増減率
売上高
3,913
3,894
△18
△0.5%
セグメント利益
183
176
△6
△3.5%
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業は、賃貸戸建て住宅「パレットパークタウン」および本社ビル賃貸オフィスの稼働がほぼ順調に推移いたしました。
この結果、下記の表に記載のとおり、不動産賃貸事業の当第2四半期連結累計期間の業績は、前年同四半期並みとなりました。
(単位:百万円)
22年3月期
第2四半期
23年3月期
第2四半期
増減額
増減率
売上高
44
39
△4
△11.2%
セグメント利益
28
21
△6
△24.3%
当社グループでは、新たに策定した3カ年の中期経営計画「TOKYOink 2024」の取り組みを本年4月より開始しましたが、原材料の高騰や円安による輸入物価の高騰等が大きく影響し、予想以上に厳しい進捗となっております。
このような外部環境の変化に左右されない強い企業へと体質転換できるよう、「TOKYOink 2024」で掲げました経営方針「市場が求める価値の追求 とりわけ環境・社会に貢献する製品・サービスの提供」「低成長時代にも耐えうる高効率な運営体制の実現」に向けた取り組みを確実に推し進め、中長期的な企業価値向上のため、より一層努めてまいります。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
区分
2022年3月期
2023年3月期
第2四半期
増減額
増減率
資産
47,309
48,199
890
1.9%
負債
21,619
22,374
755
3.5%
純資産
25,690
25,825
135
0.5%
当第2四半期連結会計期間末の総資産は481億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億9千万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加6億5百万円、受取手形の減少1億5千6百万円、電子記録債権の増加1億2千5百万円、売掛金の減少1億3千1百万円、棚卸資産の増加6億4千8百万円、有形固定資産の増加3千万円及び投資有価証券の時価下落等に伴う減少3億9千3百万円等によるものです。
負債合計は223億7千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億5千5百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加2億3千3百万円、短期借入金の増加16億7千万円、1年内返済予定の長期借入金の減少1億8千万円、未払法人税等の減少5千8百万円、未払消費税等の減少4千9百万円および長期借入金の減少5億9千4百万円等によるものです。
純資産の部は258億2千5百万円となり前連結会計年度末に比べ1億3千5百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加9百万円及びその他の包括利益累計額の増加1億1千7百万円等によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
区分
2022年3月期
第2四半期
2023年3月期
第2四半期
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
1,239
117
△1,121
投資活動によるキャッシュ・フロー
△411
△489
△77
フリー・キャッシュ・フロー
827
△372
△1,199
財務活動によるキャッシュ・フロー
△833
743
1,576
現金及び現金同等物の期首残高
3,161
3,622
460
現金及び現金同等物の四半期末残高
3,175
4,227
1,051
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は42億2千7百万円で、前連結会計年度末に比べ6億4百万円の増加(16.7%増)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1億1千7百万円の収入となりました(前年同四半期は、12億3千9百万円の収入)。主な要因は、税金等調整前四半期純利益1億6千1百万円、減価償却費7億4千6百万円が計上され、売上債権の減少1億9千2百万円、仕入債務の増加2億2千万円、棚卸資産の増加6億2千3百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、4億8千9百万円の支出となりました(前年同四半期は、4億1千1百万円の支出)。主な要因は、有形固定資産の取得による支出6億9千万円、無形固定資産の取得による支出2千6百万円、投資有価証券の売却による収入8千9百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億4千3百万円の収入となりました(前年同四半期は、8億3千3百万円の支出)。主な要因は、短期借入金の純増額16億7千万円、長期借入金の返済による支出7億7千4百万円、配当金の支払額1億5百万円等によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載しました「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載に重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4億8千5百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(10)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。