【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 業績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、経済社会活動の正常化が進み、個人消費や企業収益などについて持ち直しの動きが見られたものの、急激な円安進行や原材料価格の高騰等により、先行きは不透明な状況で推移しました。一方、世界経済については、ロシアによるウクライナへの軍事進攻の長期化や中国での新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、一部の国では持ち直しに鈍化がみられたものの、総じて経済正常化が進み回復基調となりました。原油価格は、EUによるロシア産原油の禁輸措置の導入を発端に、供給不足が強まるとの見方などから、一時1バレル120米ドル台前半へ上昇したものの、その後中国経済の下振れや、主要先進国の金融引き締めによる景気後退への懸念から、エネルギー需要が減少するとの見方が強まった結果、1バレル70米ドル台まで下落しました。こうしたことから、脱炭素の流れと併存しながらも、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続すると考えられます。また、当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業についても、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトにおいて、今後も安定した成長が期待されます。こうした状況のもと、当連結会計年度の連結業績は、FPSO建造プロジェクトの設計変更等により、受注高は、1,462,207千米ドル(前年比49.6%減)となりました。売上収益は、FPSO建造工事の進捗により2,739,762千米ドル(前年比29.7%減)となりました。利益面では、前期から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大による建造工事の収益率の低下による影響が当期にも及んでいることや、ブラジルで操業するFPSO等に対する追加的な修繕費用等の発生による利益の押し下げ要因があったものの、比較的収益率の高い建造工事の進捗及びチャーター事業の収益の積み上げなどにより、営業利益は、75,330千米ドル(前連結会計年度は営業損失317,552千米ドル)となりました。対して、米ドル高による為替差損及びFPSOを保有する関連会社への追加融資に対する損失評価引当金を金融費用に計上したことなどにより、税引前利益は、54,835千米ドル(前連結会計年度は税引前損失344,300千米ドル)となりました。これらにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は、37,377千米ドル(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失363,975千米ドル)となりました。なお、当期末において、2023年12月期の配当予想は、未定であります。当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の業績等の記載は省略しております。
(2) 財政状態について当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物及び契約資産の減少により、前連結会計年度末から289,328千米ドル減少し、3,136,213千米ドルとなりました。負債合計は、主に営業債務及びその他の債務の減少により、前連結会計年度末から575,690千米ドル減少し、2,295,092千米ドルとなりました。資本合計は、主にその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末から286,362千米ドル増加し、841,121千米ドルとなりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フロー支出が大きく増加したことにより、前連結会計年度末から317,505千米ドル減少し、492,625千米ドルとなりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて361,135千米ドル減少し、208,895千米ドルの支出となりました。これは主に、FPSO等の建造工事に係る売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、主に持分法で会計処理されている投資の取得による支出96,383千米ドルや長期貸付けによる支出24,103千米ドルにより、56,846千米ドルの支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出31,620千米ドルやリース負債の返済による支出21,463千米ドルにより、49,013千米ドルの支出となりました。
(生産、受注及び販売の状況)当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。
(1) 生産実績
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
金額(千米ドル)
前年比(%)
当社グループ
1,775,068
△43.0
(注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事に係る完成工事高であります。2 金額は、販売価格によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
受注高(千米ドル)
前年比(%)
受注残高(千米ドル)
前年比(%)
当社グループ
1,462,207
△49.6
10,934,356
△6.3
(注) 上記の他、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、6,013,891千米ドルであります。
(3) 販売実績
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
金額(千米ドル)
前年比(%)
当社グループ
2,739,762
△29.7
主な顧客の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
顧客
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千米ドル)
割合(%)
金額(千米ドル)
割合(%)
Equinor Brasil Energia Ltda.
1,105,552
28.4
660,690
24.1
Woodside Energy (Senegal) B.V.
517,646
13.3
490,056
17.9
BUZIOS5 MV32 B.V.
538,220
13.8
-(注)
-
MARLIM1 MV33 B.V.
496,444
12.7
-(注)
-
(注) 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)
経営成績に重要な影響を与える要因① 関係会社への出資比率FPSO等のリース、チャーター事業推進にあたっては多額の資金を必要とします。当社グループは、各々のプロジェクトごとに総合商社などと合弁で事業会社を設立することにより、資金負担の軽減を図っております。これらの事業会社に対する当社の出資比率は、プロジェクトの規模やリスク許容度等を総合的に勘案した上で決定しており、プロジェクトによって異なります。 連結財務諸表の作成にあたっては、議決権などから支配権を有していると判断される関係会社を連結子会社とし、支配権を有しないと判断される関係会社を持分法適用会社としております。連結子会社を事業会社としたプロジェクトでは、FPSO等の建造工事をグループ内取引と認識するため、建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供が開始されてから連結損益計算書において損益を認識します。また、連結財政状態計算書にはFPSO等の有形固定資産を計上します。一方、持分法適用会社を事業会社としたプロジェクトでは、建造工事期間における損益を収益認識基準に基づくインプット法(発生した原価の見積総原価に占める割合で収益認識)によって連結損益計算書に反映させます。ただし、期間損益のうち、当社グループの出資比率に相当する金額はグループ内取引と判断されるため、連結調整によって未実現利益として消去します。建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供を開始すると、当該関連会社の損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を、連結損益計算書において持分法による投資損益として計上します。 以上のとおり、事業会社に対する当社グループの出資比率等により、連結財務諸表への影響は大きく異なっております。② 未実現損益の消去プロジェクトの規模が大型化するに従い、リース及びチャータープロジェクトのために設立する事業会社に対する当社グループの出資比率は概ね50%以下に止まるケースが多く、事業会社は持分法適用会社となっております。前述のとおり、こうしたプロジェクトの建造工事期間中は収益認識基準に基づくインプット法によって連結損益計算書に売上収益を計上する一方、期間損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を未実現損益として消去しております。 消去した未実現損益は、FPSO等を所有する持分法適用会社において、リース及びチャーター事業の会計処理にファイナンス・リースを適用する場合は、リース及びチャーターの開始時期に一括して実現させております。一方、オペレーティング・リースを適用する場合は、減価償却期間に応じ未実現利益を実現させております。 なお、連結損益計算書における営業損益に影響を与える未実現損益の消去額及び未実現損益の実現額、並びに未実現損益残高の推移は、以下のとおりであります。(単位:千米ドル)
2021年12月期
2022年12月期
未実現損益の消去額
8,905
△5,029
未実現損益の実現額
21,271
5,268
差引影響額
△12,366
△10,297
未実現損益の残高
59,614
49,316
(2)
経営成績に関する分析① 受注の状況当連結会計年度は、ウッドサイド社セネガル沖合サンゴマール鉱区向けFPSOの建造及びオペレーションの新規受注及び既存プロジェクトの仕様変更並びにオペレーションサービス等により1,462,207千米ドルの受注高となりました。受注残高は、前連結会計年度末から1,078,274千米ドル減少し、10,934,356千米ドルとなりました。また、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、6,013,891千米ドルとなりました。 ② 売上収益の状況売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により2,739,762千米ドルとなりました。 ③ 営業損益の状況営業損益は、主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、建造中のプロジェクトにおいて建造工事の中断や、機器の調達の遅れ、また建造工事現場への移動制限などからスケジュール全体の進捗に影響が発生し、多額の追加コストの増加を見込んだことにより75,330千米ドルの営業利益となりました。 ④ 当期損益の状況当期損益は、金融収益の増加により54,835千米ドルの税引前利益となりました。 ⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、37,377千米ドルの利益となりました。
(3)
キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況
3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4)
資本の財源及び資金の流動性についての分析① 資本の財源当社グループの資金の源泉は、主に営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入としておりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを図ることで資金効率の向上に努めております。また、当社グループは、「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」によりグループ内で資金融通を行うことで資金効率を高めております。② 建造工事期間における資金負担FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。一方、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには事業会社に対する出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。当社グループは、建造工事期間における必要資金を、主に短期借り入れによって当社が調達して関係会社へ貸し付ける方法、ないしは当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。
③ 総リスク額の管理当社グループでは、大型プロジェクトにおける多額の資金負担と、それに伴うリスクを軽減するため、リース及びチャータープロジェクトのFPSO等への投資資金についてプロジェクトファイナンスによる調達を行っております。それによって当社の債務保証なしに関係会社が長期資金を調達することが可能となり、プロジェクト個々のリスクを当社から遮断する効果をもたらします。当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りを行なっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要な会計方針」に記載しております。
