【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末より20,671百万円増加し、1,219,593百万円となった。
(資産)
流動資産については、前連結会計年度末より4,709百万円増加し、614,105百万円となった。主な要因は、現金及び預金が49,867百万円減少したが、棚卸資産が合計で44,985百万円、営業債権が合計で448百万円増加したためである。
また、固定資産については、15,962百万円増加し、605,488百万円となった。
(負債)
未払法人税等が14,229百万円、賞与引当金が9,180百万円、支払手形、電子記録債務、買掛金、未払費用の仕入債務等が合計で4,089百万円減少したが、前受金が16,869百万円、有利子負債が合計で9,593百万円増加したこと等により、負債合計は11,559百万円増加し、507,727百万円となった。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、9,112百万円増加し、711,866百万円となった。主な要因は、配当金の支払23,831百万円、自己株式の取得25,198百万円があった一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上52,802百万円、為替換算調整勘定が8,517百万円増加したためである。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間は、市況については、自動車生産は半導体不足による減産の影響があったものの前年同期を上回る水準で推移した。スマートフォン出荷台数は、第2四半期以降の中国を中心とした在庫調整の影響が継続し、前年同期を大幅に下回って推移した。国内の住宅着工数は、前年同期をやや下回って推移した。そのような環境のもと、高付加価値品の販売拡大に加えて売値改善が進捗し、為替の効果もあり増収となった。
原燃料・部材価格の高騰が継続したが、売値の改善、高付加価値品の販売拡大、コストダウンなどにより挽回、為替の効果もあり、各段階利益は大幅な増益となった。
当第3四半期連結累計期間の連結経営成績は、売上高912,231百万円(前年同四半期比8.8%増)、営業利益62,466百万円(前年同四半期比8.7%増)、経常利益73,427百万円(前年同四半期比16.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益52,802百万円(前年同四半期比314.7%増)となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
なお、当第3四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更している。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしている。
イ)住宅事業
当第3四半期連結累計期間は、新築住宅、リフォーム、不動産、まちづくりの各事業で増収となったが、部材の価格高騰の影響を受け、営業利益は前年同期並みとなった。
受注については、新築住宅事業では、COVID-19の影響などにより、受注棟数は前年同期を下回った。リフォーム事業では、蓄電池などの拡販により前年同期を上回った。
施策面については、自然災害の激甚化などを背景にエネルギー不安が高まる中、新築住宅、リフォーム、まちづくりの各事業でスマート&レジリエンス訴求を図った。新築住宅事業では新分譲地ブランド「ユナイテッドハイムパーク」を10月に立ち上げた。また、自社サイトを活用したウェブマーケティングの強化に加え、引き続き需要が堅調な分譲・建売住宅の拡販に注力した。リフォーム事業では、定期診断の拡充や提案力強化に努めた。
これらの結果、売上高389,168百万円(前年同四半期比4.3%増)、営業利益21,427百万円(前年同四半期比0.2%増)となった。
ロ)環境・ライフライン事業
当第3四半期連結累計期間は、原燃料価格高騰や第3四半期以降の住宅需要の減少、職人不足による施工遅延などの影響があったものの、売値改善の進捗、重点拡大製品の販売拡大、海外の需要が堅調であったことなどにより増収・増益となった。
パイプ・システムズ分野では、国内の非住宅向け、住宅向けとも需要が想定を下回るも、国内外で設備投資需要が増加しているプラント用管材、インドを中心とした海外での塩素化塩ビ(CPVC)樹脂の販売が堅調だったことを受け、売上高は前年同期を上回った。
住・インフラ複合材分野では、住宅需要が想定を下回るも、大型高排水システム、耐火・不燃材料など重点拡大製品、また欧米を中心とした海外でのまくらぎ向け合成木材の販売拡大により、売上高は前年同期を上回った。
インフラ・リニューアル分野では、管路更生の国内での引続き堅調な需要、海外での需要の回復、パネルタンクのリニューアル需要の緩やかな回復に支えられ、売上高は前年同期を上回った。
これらの結果、売上高169,609百万円(前年同四半期比11.0%増)、営業利益13,288百万円(前年同四半期比85.8%増)となった。
ハ)高機能プラスチックス事業
当第3四半期連結累計期間は、COVID-19に伴う中国でのロックダウンやウクライナ情勢などに起因する自動車減産の影響や、第2四半期にスマートフォンの在庫調整があったものの、堅調な半導体需要および為替効果により増収となった。また原燃料価格の高騰は継続しているが、売値の改善、高機能品の拡販、コストダウンにより挽回し、営業利益は前年同期並みとなった。
エレクトロニクス分野では、第2四半期以降、中国におけるスマートフォンの在庫調整などによる、想定を超えた著しい市況低迷の影響を受け、売上高は前年同期を下回った。
モビリティ分野では、COVID-19影響や部材供給不足などにより中国を中心に自動車市況は停滞したものの、ヘッドアップディスプレイ用中間膜を中心に高機能品の販売が伸長し、売値の改善、為替の効果もあり、売上高は前年同期を上回った。
インダストリアル分野では、フォーム材や長尺クラフトテープなどの施工省力化製品や環境対応製品の拡販を推進、売値改善も順調に進捗し、為替の効果もあり売上高は前年同期を上回った。
これらの結果、売上高299,438百万円(前年同四半期比15.3%増)、営業利益30,910百万円(前年同四半期比0.9%増)となった。
ニ)メディカル事業
当第3四半期連結累計期間は、国内外での検査需要の回復により、増収・増益となった。
国内の検査事業では、外来検査やCOVID-19検査キットの需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
海外の検査事業では、欧米での外来検査や米国でのインフルエンザ検査の需要が堅調に推移したものの、中国におけるロックダウンや、米国でのCOVID-19検査キット承認遅延の影響を受け、売上高は前年同期を下回った。
医療事業では、新規原薬の販売が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
これらの結果、売上高65,322百万円(前年同四半期比2.4%増)、営業利益8,841百万円(前年同四半期比3.8%増)となった。
ホ)その他事業
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高5,636百万円(前年同四半期比88.5%増)、営業損失8,255百万円(前年同四半期は営業損失7,605百万円)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より53,305百万円減少し、当第3四半期連結会計期間末で80,433百万円となった。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果増加した資金は34,076百万円(前年同四半期は65,731百万円の増加)となった。これは、税金等調整前四半期純利益73,128百万円、減価償却費36,527百万円に加えて、前受金の増14,793百万円等の増加要因が、棚卸資産の増39,894百万円、法人税等の支払額37,403百万円、賞与引当金の減9,468百万円等の減少要因を上回ったためである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果減少した資金は41,194百万円(前年同四半期は17,609百万円の増加)となった。これは、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得による支出34,265百万円、無形固定資産の取得による支出7,402百万円等があったためである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果減少した資金は47,505百万円(前年同四半期は53,138百万円の減少)となった。これは、有利子負債の純増4,456百万円等の増加要因があった一方で、自己株式の取得25,198百万円、配当金の支払25,032百万円(非支配株主への配当金の支払を含む)等があったためである。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はない。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、30,312百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。