【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間を振り返りますと、世界経済動向に次第に陰りが見られるようになってきたことに加え、原料、電力・エネルギー価格及び物流費を含む全世界的な物価の高騰、また依然として緊張状態にある米中関係の影響やロシアのウクライナ侵攻による影響等、当社グループを取り巻く環境としては先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループはこのような環境のもとで、「ZΣ運動」による徹底したコスト削減や、生産革新活動に注力するとともに、エラストマー素材事業におきましては採算性の重視と生産・販売のグローバル展開、高機能材料事業におきましては付加価値の高い新製品の開発と事業拡大に取り組んでまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,942億5百万円となり、前年同期間に比べて254億48百万円の増収となりました。また、営業利益は278億35百万円と前年同期間に比べて85億70百万円の減益、経常利益は310億87百万円と前年同期間に比べて80億39百万円の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は182億83百万円と前年同期間に比べて90億82百万円の減益となりました。
セグメントの業績は、次の通りであります。
(エラストマー素材事業部門)
合成ゴム関連では、半導体不足等により自動車生産台数が伸び悩む中、国内販売は底堅い需要に支えられ堅調に推移しましたが、合成ゴムの主力生産工場の定期修理に伴い出荷量を調整した結果、輸出販売数量は前年同期間を下回りました。一方、原料高騰分等の価格転嫁が進んだことから、全体の売上高、営業利益はともに前年同期間を上回りました。
合成ラテックス関連では、医療・衛生用手袋の流通在庫が引き続き過剰で需給が緩んだことに加え、原料高騰の影響も重なり、売上高、営業利益ともに前年同期間を大幅に下回りました。
化成品関連では、原料及び物流費上昇分の価格転嫁を進めたことから売上高は前年同期間を上回りましたが、価格改定の反動と粘着テープ・ラベル向けの需要減や燃料高騰の影響等を受け、営業利益は前年同期間を下回りました。
以上の結果、エラストマー素材事業部門全体の売上高は前年同期間に比べて194億8百万円増加し1,673億33百万円、営業利益は前年同期間に比べて37億21百万円減少し122億9百万円となりました。
(高機能材料事業部門)
高機能樹脂関連では、医療用途向けの需要は堅調でしたが、大型テレビ向け等で顧客の在庫調整が発生し、光学フィルムの販売が振るいませんでした。この結果、高機能樹脂関連全体の売上高、営業利益ともに前年同期間を下回りました。
電池材料関連では、コロナウイルスによる中国ロックダウンや、LIB原料の調達難及び価格高騰による顧客の稼働率低下等の影響を受けましたが、販売数量、売上高ともに前年同期間を上回りました。一方、原料及び燃料高騰の影響や新製品開発費用の増加等により、営業利益は前年同期間を下回りました。
化学品関連では、合成香料、特殊溶剤用途ともに需要が堅調に推移したことに加え、為替円安の影響並びに原料及び物流費高騰分の価格転嫁を進めたことにより、売上高、営業利益ともに前年同期間を上回りました。
電子材料関連では、年度後半に入り、半導体メーカーの稼働率低下が顕著となってきた影響を受け、売上高、営業利益ともに前年同期間を下回りました。
トナー関連では、テレワーク特需の一巡や流通在庫調整の影響を受けましたが、為替円安の影響により売上高は前年同期並みとなりました。一方、原料の高騰や棚卸資産の評価損等により、営業利益は前年同期間を下回りました。
以上の結果、高機能材料事業部門全体の売上高は前年同期間に比べて11億88百万円増加し815億3百万円、営業利益は前年同期間に比べて38億55百万円減少し165億41百万円となりました。
(その他の事業部門)
その他の事業においては、子会社の商事部門等の売上高が前年同期間を上回りました。
以上の結果、その他の事業部門全体の売上高は前年同期間に比べて56億7百万円増加し484億64百万円、営業利益は前年同期間に比べて5億26百万円減少し14億5百万円となりました。
(資産)
当四半期連結会計期間末の資産合計は前連結会計年度末に比べ、535億64百万円増加し、5,382億24百万円となりました。前連結会計年度末との差の主な要因は、商品及び製品、受取手形及び売掛金の増加等によるものであります。
(負債)
当四半期連結会計期間末の負債合計は前連結会計年度末に比べ、315億83百万円増加し、1,944億7百万円となりました。前連結会計年度末との差の主な要因は、支払手形及び買掛金の増加等によるものであります。
(純資産)
当四半期連結会計期間末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ、219億82百万円増加し、3,438億17百万円となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は123億58百万円であります。 なお当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。