【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析当社グループでは、「筋肉質な企業体質への変革」と「事業ポートフォリオの転換」を基本戦略にした3ヶ年の中期経営計画(2021年~2023年)を策定し、従来のサイン(広告・看板)市場向けの低溶剤プリンターに依存するビジネスモデルからの変革に取り組んでおります。当第2四半期累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)は、事業ポートフォリオの転換の完遂を目指すべく、積極的な新製品投入とグローバルなプロモーション活動を展開してまいりました。需要面ではウィズコロナへの移行にともない経済活動の正常化が進み、設備投資需要や出力需要が堅調に推移しました。供給面では、部材調達が困難な状況が継続したことから、フレキシブルに生産計画を見直したほか、代替部品の採用などの対策を講じて生産・供給への影響の低減に努めましたが、前期末時点から受注残は増加しました。これらの結果、当第2四半期の経営成績は、売上高は前年同期比6.6%増の256億79百万円となりました。売上原価率は、海上輸送費が前年同期に比べて減少したこと、また、前期に実施した販売価格の見直しにより、前年同期に比べて1.1ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は、人件費や広告宣伝費、旅費交通費、運搬保管料などの増加により前年同期を上回りました。これにより、営業利益は前年同期比3.6%減の25億93百万円、経常利益は前年同期比0.6%増の28億91百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比7.6%増の20億82百万円となりました。
当第2四半期連結会計年度における主要通貨の為替レート(2023年1月~2023年6月の平均レート)は、134.85円/米ドル(前年同期122.89円)、145.82円/ユーロ(前年同期134.30円)でした。
当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区別すべき事業セグメントが存在しないため、単一セグメントとなっております。
市場別売上高
市場
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
Visual Communication
11,125
46.2
12,697
49.5
1,572
3.3
114.1
Digital Fabrication
5,349
22.2
5,038
19.6
△ 311
△ 2.6
94.2
Dental
3,409
14.2
3,731
14.5
322
0.3
109.4
Service, Software & Others
4,200
17.4
4,212
16.4
11
△ 1.0
100.3
合計
24,085
100.0
25,679
100.0
1,594
–
106.6
品目別売上高
品目
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
ハードウエア
12,316
51.1
12,579
49.0
263
△ 2.1
102.1
サプライ
7,722
32.1
9,024
35.1
1,302
3.0
116.9
サービスパーツ・その他
4,046
16.8
4,075
15.9
29
△ 0.9
100.7
合計
24,085
100.0
25,679
100.0
1,594
–
106.6
[Visual Communication(VC)]VCは、低溶剤プリンター(VC-Solvent:ブイシーソルベント)及びUVやテキスタイルプリンターなどの非溶剤系プリンター(VC-Other:ブイシーアザー)で構成され、インクの多様化とソリューション拡充により新市場の開拓と顧客基盤の強化を図ることで収益確保を目指しています。当第2四半期は、サイン(広告・看板)製作における消費者ニーズの変化と活用の場の多様化を背景に、大判インクジェットプリンターの主力機種「TrueVIS(トゥルービズ)シリーズ」のブランドコンセプトを見直し、インクタイプを拡充しました。1月には環境に配慮した当社初となるレジンインク搭載の「AP-640」、UVインクの高生産モデル「LG-640/540/300」、同タイプの普及モデル「MG-640/300」の計6モデルを世界同時発売し、2022年3月発売の低溶剤インクの4モデルと合わせて、全10モデルをラインナップしました。また2023年3月、サイン需要が旺盛な新興国向けの地域限定ブランド「DGXPRESS(ディージーエクスプレス)」を立ち上げ、その第一弾としてUVプリンターの「UG-642/641」を発売しました。VC-Solvent は、TrueVISシリーズの低溶剤プリンターが堅調に推移するとともにサプライのインクが前年同期を大きく上回りました。VC-Otherは、DGXPRESSの新製品効果もあり、UVプリンターとUVインクの売上が増加しました。これらの結果、VCの売上高は126億97百万円(前年同期比114.1%)と前年同期を上回りました。
[Digital Fabrication(DF)]DFは、近年急拡大する1人ひとりの顧客ニーズに合わせたパーソナライズ需要や、ニッチなニーズに応えるためのカスタマイズ需要などに対応する製品群を、小規模事業者やインターネット通販事業者、小売事業者などに向けて提案することで、新たな市場・用途の創出を目指しております。当第2四半期は、卓上型製品群「VersaSTUDIO(バーサスタジオ)」のラインナップ強化として、1月には当社初となるDTF(Direct To Film)転写方式のアパレル向け小型プリンター「BN-20D」を発売し、販売が順調に進みました。また、地域限定モデルのCo-CreationモデルUVプリンター「LEC2 Sシリーズ」の提案を通じて、立体物への直接印刷に一定の需要が見えてきたことから、グローバル展開モデルとして3月に新ブランド「VersaOBJECT(バーサオブジェクト)」を立ち上げました。このような新市場創出のための積極的な施策の一方で、既存モデルの卓上型低溶剤プリンター及び小型カッティングマシンの販売が前年同期から減少したことから、DFの売上高は50億38百万円(前年同期比94.2%)となりました。
[Dental]Dentalは、デンタル(歯科医療)市場向けに歯科補綴物製作フローのデジタル化を促進するデンタル加工機を提案しています。当第2四半期は、高品質、高生産のニーズが高い先進国において、既存モデル「DWX-52D」、「DWX-4」、「DWX-42W」の販売が減少したものの、2022年9月発売の高生産モデル「DWX-53DC」の販売が進みました。デジタル化の機運が高まる新興国においては、価格競争力を高めた専用モデル「DWX-52Di」が中東、中米、アジア、東欧において大きく販売を伸ばしました。これらの結果、Dentalの売上高は37億31百万円(前年同期比109.4%)と前年同期を上回りました。
[Service, Software & Others(SSO)]SSOは、業務用インクジェットプリンターのコネクテッドサービス「Roland DG Connect(ローランドディージー・コネクト)」のサブスクリプションサービスを開始しました。お客様のビジネスの効率向上と収益力強化に貢献することで、新たな価値やビジネスの共創を目指します。当第2四半期は、売上に含む配送料及びサービスパーツの販売が増加しましたが、SSOの売上高は42億12百万円(前年同期比100.3%)と前年同期並みとなりました。
地域別売上高は、以下の通りであります。
地域別売上高
地域
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
日本
2,411
10.0
2,166
8.4
△ 245
△ 1.6
89.8
北米
8,611
35.8
8,973
34.9
361
△ 0.9
104.2
欧州
8,295
34.4
9,116
35.5
821
1.1
109.9
アジア
1,472
6.1
1,559
6.1
87
0.0
105.9
その他
3,294
13.7
3,863
15.1
569
1.4
117.3
合計
24,085
100.0
25,679
100.0
1,594
–
106.6
[日 本]VCは、サイン市場向け低溶剤プリンターの販売が前年同期を下回ったものの、UVプリンターとUVインクの販売が増加しました。Dentalは、高生産モデル「DWX-53DC」の販売が増加しましたが、「DWX-52D」や前年同期に保険適用範囲の拡大を受けて販売が進んだ「DWX-4」など既存機種の販売が減少しました。これらの結果、日本の売上高は21億66百万円(前年同期比89.8%)となり、前年同期を下回りました。
[北 米]VCは、サイン市場向け低溶剤プリンターの販売が前年同期並みにとどまったものの、低溶剤インクと新製品のUVプリンター及びUVインクの販売が大きく増加しました。DFは、新製品のアパレル向けDTF方式の小型プリンター「BN-20D」が好調に推移しましたが、同シリーズの既存製品が大きく減少しました。また、Co-Creationモデルのフラットベッド型UVプリンター「LEC2 Sシリーズ」の販売が増加しました。Dentalは、高生産モデル「DWX-53DC」の販売が進んだものの、既存製品が伸び悩んだことで、販売は前年同期並みとなりました。これらの結果、為替の円安効果もあり、北米の売上高は89億73百万円(前年同期比104.2%)となり、前年同期を上回りました。
[欧 州]VCは、サイン市場向けの低溶剤プリンターとサプライのインクの販売が堅調に推移したほか、UVプリンターの新製品「MGシリーズ」と「LGシリーズ」が増収に寄与しました。DFは、卓上型UVプリンターと3次元切削加工機が売上に寄与しました。Dentalは、「DWX-53DC」の新製品効果に加え、東欧において「DWX-52Di」の販売が増加したことで、前年同期を上回りました。これらの結果、為替の円安効果もあり、欧州の売上高は91億16百万円(前年同期比109.9%)となりました。
[アジア]韓国、インドの販売が前年同期を下回りましたが、中国、ASEAN地域ではVC及びDentalの新興国モデル「DWX-52Di」の販売が増加しました。これらの結果、アジアの売上高は15億59百万円(前年同期比105.9%)となり、前年同期を上回りました。
[その他]オーストラリアでは、UVプリンターの販売が増加したことから、VCの売上は前年同期を上回りました。ブラジルでは、「DWX-53DC」が好調だったことから、Dentalの販売が前年同期を上回りました。中東、中部アメリカ地域では新興国モデル「DWX-52Di」がDentalの売上を牽引し、前年同期を上回りました。これらの結果、その他の売上高は38億63百万円(前年同期比117.3%)となりました。
②財政状態の分析[資産の部]当第2四半期末の総資産は、前連結会計年度末と比べ32億4百万円増加し、492億32百万円(前連結会計年度末比107.0%)となりました。流動資産では、現金及び預金が5億83百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が9億17百万円、棚卸資産が12億8百万円それぞれ増加いたしました。固定資産では、本社新社屋の建設等により建設仮勘定が8億70百万円、タイ子会社の工場の増築が完了したこと等により建物及び構築物が4億円それぞれ増加いたしました。
[負債の部]当第2四半期末の負債は、前連結会計年度末と比べ14億38百万円増加し、151億75百万円(前連結会計年度末比110.5%)となりました。流動負債では、支払手形及び買掛金が7億85百万円減少した一方で、運転資金の確保を目的として、コミットメントライン契約に基づく借入を実行したこと等により短期借入金が9億94百万円増加したことに加え、未払法人税等が3億6百万円、短期デリバティブ債務等のその他が7億34百万円それぞれ増加いたしました。固定負債では、特に大きな変動はありませんでした。
[純資産の部]当第2四半期末の純資産は、前連結会計年度末と比べ17億66百万円増加し、340億56百万円(前連結会計年度末比105.5%)となりました。自己株式の取得及び自己株式の消却により資本剰余金が9億99百万円減少し、自己株式が4億55百万円減少したものの、利益剰余金が10億81百万円増加したことに加え、円安の影響等により為替換算調整勘定が12億9百万円増加いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析四半期連結キャッシュ・フロー計算書の要約
科目
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
増減(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
59
2,346
2,287
投資活動によるキャッシュ・フロー
△948
△2,078
△1,129
財務活動によるキャッシュ・フロー
△937
△749
187
現金及び現金同等物に係る換算差額
△532
△201
330
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△2,358
△682
1,676
現金及び現金同等物の四半期末残高
11,607
10,659
△947
[営業活動によるキャッシュ・フロー] 営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期が59百万円の収入であったのに対し、当第2四半期連結累計期間は23億46百万円の収入となり、前年同期と比べ22億87百万円の増加となりました。主な増加要因としましては、売上債権の増加幅や未払金の減少幅が縮少し、その他の流動負債が増加したことや、法人税等の支払額が減少したこと等によります。主な減少要因としましては、仕入債務が減少したこと等によります。なお、早期希望退職の実施に伴い、前年同期においては特別退職金の支払いが減少要因に含まれております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー] 投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期が9億48百万円の支出であったのに対し、当第2四半期連結累計期間は20億78百万円の支出となり、前年同期と比べ11億29百万円の支出額の増加となりました。本社新社屋の建設や、タイ子会社の工場の増築が完了したこと等により有形固定資産の取得による支出が増加したことが主な要因となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー] 財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期が9億37百万円の支出であったのに対し、当第2四半期連結累計期間は7億49百万円の支出となり、前年同期と比べ1億87百万円の支出額の減少となりました。自己株式の取得や配当金の支払額が前年同期に比べ増加した一方で、運転資金の確保を目的として、コミットメントライン契約に基づく借入を実行したこと等により短期借入金が増加したことが主な要因となりました。
(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動当社グループにおける研究開発活動は、主に当社及び連結子会社のDGSHAPE株式会社で行っており、当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,573百万円であります。
(5)従業員数当第2四半期連結累計期間において、連結会社及び当社の従業員数に著しい増減はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績当社はセル生産方式によるフレキシブルな生産体制をとっており、生産状況は変動いたします。当第2四半期連結累計期間における生産実績は以下の通りであります。なお、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
生産実績
品目
当第2四半期連結累計期間(千円)
前年同期比(%)
Visual Communication
8,587,400
143.3
Digital Fabrication
2,522,183
92.4
Dental
844,919
65.8
Service, Software & Others
9,329
113.3
合計
11,963,832
119.5
(注)生産金額は当社の標準販売価格を基準に算出しております。
(7)主要な設備前連結会計年度末において計画中であったタイ子会社の生産設備の増強は、2023年4月に完了いたしました。また、当第2四半期連結累計期間における重要な設備の新設等の計画は、以下の通りであります。
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了年月
完成後の増加能力
総額(千円)
既支払額(千円)
本社(浜松市北区)
本社社屋の建設
3,000,000
1,746,792
自己資金
2022年9月
2023年9月
-