【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析当社グループでは、「筋肉質な企業体質への変革」と「事業ポートフォリオの転換」を基本戦略にした3ヶ年の中期経営計画(2021年~2023年)を策定し、従来のサイン(広告・看板)市場向けの低溶剤プリンターに依存するビジネスモデルからの変革に取り組んでおります。当第1四半期累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)は、新型コロナウイルス感染症の影響により遅れていた新製品投入を進めることができました。成長分野へ経営資源を積極的に配分することで、事業ポートフォリオの転換の完遂を目指してまいります。当第1四半期は、需要面では新型コロナウイルス感染症の影響の緩和と経済活動の正常化が進むなか、設備投資需要や出力需要が堅調に推移しました。供給面では、部材調達が困難な状況が継続しましたが、調達の状況に応じてフレキシブルに生産計画を見直したほか、代替部品の採用などの対策を講じて生産・供給への影響の低減に努めました。これらの結果、当第1四半期の経営成績は、売上高は前年同期比12.1%増の126億87百万円となりました。売上原価率は、部材価格の増加があった一方、海上輸送費の減少に加えて前期に実施した販売価格の見直しにより、前年同期に比べて0.5ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は、人件費や広告宣伝費、旅費交通費などの増加により前年同期を上回りました。これにより、営業利益は前年同期比0.7%減の12億84百万円、経常利益は前年同期比7.0%減の13億65百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比1.4%増の9億37百万円となりました。
当第1四半期連結会計年度における主要通貨の為替レート(2023年1月~2023年3月の平均レート)は、132.32円/米ドル(前年同期116.20円)、142.13円/ユーロ(前年同期130.43円)でした。
当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区別すべき事業セグメントが存在しないため、単一セグメントとなっております。
市場別売上高
市場
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
Visual Communication
5,186
45.8
6,240
49.2
1,054
3.4
120.3
Digital Fabrication
2,509
22.2
2,464
19.4
△ 45
△ 2.8
98.2
Dental
1,529
13.5
1,915
15.1
385
1.6
125.2
Service, Software & Others
2,090
18.5
2,066
16.3
△ 24
△ 2.2
98.8
合計
11,316
100.0
12,687
100.0
1,370
–
112.1
品目別売上高
品目
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
ハードウエア
5,843
51.6
6,383
50.3
539
△ 1.3
109.2
サプライ
3,485
30.8
4,298
33.9
812
3.1
123.3
サービスパーツ・その他
1,987
17.6
2,005
15.8
18
△ 1.8
100.9
合計
11,316
100.0
12,687
100.0
1,370
–
112.1
[Visual Communication(VC)]VCは、低溶剤プリンター(VC-Solvent:ブイシーソルベント)及びUVやテキスタイルプリンターなどの非溶剤系プリンター(VC-Other:ブイシーアザー)で構成され、インクの多様化とソリューション拡充により新市場の開拓と顧客基盤の強化による収益確保を目指しております。当第1四半期は、サイン(広告・看板)製作における消費者ニーズの変化と活用の場の多様化を背景に、大判インクジェットプリンターの主力機種「TrueVIS(トゥルービズ)シリーズ」のブランドコンセプトを見直し、インクタイプを拡充いたしました。1月には環境対応へのニーズに応える当社初となるレジンインクの「AP-640」、UVインクの高生産モデル「LG-640/540/300」、同タイプの普及モデル「MG-640/300」の計6モデルを世界同時発表しました。2022年3月発売の低溶剤インクの4モデルと合わせて、全10モデルをラインナップしました。また2023年3月にはサイン需要が旺盛な新興国向けの地域限定ブランド「DGXPRESS(ディージーエクスプレス)」を立ち上げ、その第一弾としてUVプリンターの「UG-642/641」を発売しました。当第1四半期は、VC-Solvent では、低溶剤プリンター及びインクの販売が前年同期を上回りました。VC-Otherでは、新製品のUVプリンター及びUVインクが売上に貢献しました。これらの結果、VCの売上高は62億40百万円(前年同期比120.3%)と前年同期を上回りました。
[Digital Fabrication(DF)]DFは、近年急拡大する1人ひとりの顧客ニーズに合わせたパーソナライズ需要や、ニッチなニーズに応えるためのカスタマイズ需要などに対応する製品群を、小規模事業者やインターネット通販事業者、小売事業者などに向けて提案することで、新たな市場・用途の創出を目指しております。当第1四半期は、卓上型製品群「VersaSTUDIO(バーサスタジオ)」のラインナップ強化として、当社初となるDTF(Direct To Film)転写方式のアパレル向け小型プリンター「BN-20D」を発売し、販売が順調に進みました。また、カスタマイズ用途として欧州を中心に展開してきたCo-Creation製品のUVプリンター「LEC2 Sシリーズ」が販売地域の拡大により、販売が増加しました。しかしながら、卓上型カッティングマシンと3次元切削加工機の販売が減少したことから、DFの売上高は24億64百万円(前年同期比98.2%)と前年同期を下回りました。
[Dental]Dentalは、デンタル(歯科医療)市場向けに歯科補綴物製作フローのデジタル化を促進するデンタル加工機を提案しています。当第1四半期は、高品質、高生産のニーズが高い先進国において、既存機種である「DWX-52D」、「DWX-42W」の販売が減少したものの、2022年9月発売の高生産モデル「DWX-53DC」の販売が進みました。デジタル化の機運が高まる新興国においては、2021年に発売した価格競争力を高めた専用モデル「DWX-52Di」が中東、中南米、アジア、東欧において販売が進みました。これらの結果、Dentalの売上高は19億15百万円(前年同期比125.2%)と前年同期を上回りました。
[Service, Software & Others(SSO)]売上に含む配送料が増加したものの、その他のサービスパーツの販売が前年同期を下回り、SSOの売上高は20億66百万円(前年同期比98.8%)と前年同期を下回りました。
地域別売上高は、以下の通りであります。
地域別売上高
地域
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額(百万円)
構成比増減(ポイント)
前年同期比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
金額(百万円)
構成比(%)
日本
1,347
11.9
1,132
8.9
△ 215
△ 3.0
84.0
北米
3,859
34.1
4,391
34.6
532
0.5
113.8
欧州
3,880
34.3
4,483
35.4
602
1.1
115.5
アジア
772
6.8
735
5.8
△ 36
△ 1.0
95.3
その他
1,455
12.9
1,943
15.3
488
2.4
133.5
合計
11,316
100.0
12,687
100.0
1,370
–
112.1
[日 本]VCは、サイン市場向け低溶剤プリンター及びUVプリンターのインクの販売が増加しました。Dentalは、新製品の「DWX-53DC」の販売が好調に進み、前年同期を上回りました。しかしながら、DFの3次元切削加工機及び卓上型UVプリンターの販売並びにその他サービス収入が減少しました。これらの結果、日本の売上高は11億32百万円(前年同期比84.0%)となり、前年同期を下回りました。
[北 米]VCは、サイン市場向けプリンター向けの低溶剤インク及び1月発売のUVプリンターの新製品が売上に貢献しました。DFは新製品のアパレル向けDTF方式のプリンター「BN-20D」の販売が順調に進むとともに、Co-Creationモデルのフラットベッド型UVプリンター「LEC2 Sシリーズ」の販売が拡大しました。Dentalは、既存製品が伸び悩んだ一方、高生産モデル「DWX-53DC」の販売が進み、販売は前年同期を上回りました。これらの結果、為替の円安効果もあり、北米の売上高は43億91百万円(前年同期比113.8%)となり、前年同期を上回りました。
[欧 州]VCは、サイン市場向け低溶剤プリンター及びUVプリンターの新製品「MG-640/300」の販売が好調に推移しました。DFは、卓上型UVプリンターの販売が増加しましたが、外部パートナーとの協業によるCo-Creationモデルのフラットベッド型UVプリンター「LEC2 Sシリーズ」の販売が前年同期と比べて減少しました。Dentalは、「DWX-53DC」の新製品効果により、販売が前年同期を上回りました。これらの結果、為替の円安効果もあり、欧州の売上高は44億83百万円(前年同期比115.5%)となりました。
[アジア]中国、ASEAN地域ではサイン市場向け低溶剤プリンターで構成するVC-Solvent及びDentalの新興国モデル「DWX-52Di」の販売が増加しました。しかしながら、韓国、インドの販売が伸び悩んだことから、アジアの売上高は7億35百万円(前年同期比95.3%)となり、前年同期を下回りました。
[その他]オーストラリア、ブラジルでは、サイン市場向け低溶剤プリンターで構成するVC-Solvent、UVプリンターなど非溶剤系プリンターで構成するVC-Otherの販売がともに増加しました。中東、中部アメリカ地域では新興国モデル「DWX-52Di」がDentalの売上を牽引し、前年同期を上回りました。これらの結果、その他の売上高は19億43百万円(前年同期比133.5%)となりました。
②財政状態の分析[資産の部]当第1四半期末の総資産は、前連結会計年度末と比べ6億96百万円増加し、467億23百万円(前連結会計年度末比101.5%)となりました。流動資産では、現金及び預金が11億29百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が3億30百万円、棚卸資産が3億4百万円それぞれ増加いたしました。固定資産では、本社新社屋の建設等により建設仮勘定が7億81百万円、タイ子会社の工場の増築が完了したこと等により建物及び構築物が2億98百万円それぞれ増加いたしました。
[負債の部]当第1四半期末の負債は、前連結会計年度末と比べ10億33百万円増加し、147億70百万円(前連結会計年度末比107.5%)となりました。流動負債では、支払手形及び買掛金が6億87百万円、未払金が1億89百万円それぞれ減少した一方で、運転資金の確保を目的として、コミットメントライン契約に基づく借入を実行したこと等により短期借入金が9億99百万円増加したことに加え、賞与引当金が2億41百万円、預り金等のその他が5億70百万円それぞれ増加いたしました。固定負債では、特に大きな変動はありませんでした。
[純資産の部]当第1四半期末の純資産は、前連結会計年度末と比べ3億36百万円減少し、319億53百万円(前連結会計年度末比99.0%)となりました。自己株式の取得及び自己株式の消却により資本剰余金が9億99百万円減少し、自己株式が4億55百万円減少したことに加え、円安の影響等により為替換算調整勘定が2億60百万円増加いたしました。
(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等について、重要な変更はありません。
(3)研究開発活動当社グループにおける研究開発活動は、主に当社及び連結子会社のDGSHAPE株式会社で行っており、当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は748百万円であります。
(4)従業員数当第1四半期連結累計期間において、連結会社及び当社の従業員数に著しい増減はありません。
(5)生産、受注及び販売の実績当社は、セル生産方式によるフレキシブルな生産体制をとっており、生産状況は変動いたします。当第1四半期連結累計期間における生産実績は以下の通りであります。なお、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
生産実績
品目
当第1四半期連結累計期間(千円)
前年同期比(%)
Visual Communication
3,999,168
130.5
Digital Fabrication
1,288,760
90.8
Dental
452,299
93.5
Service, Software & Others
5,248
-
合計
5,745,476
115.6
(注)生産金額は当社の標準販売価格を基準に算出しております。
(6)主要な設備当第1四半期連結累計期間における重要な設備の新設等の計画は、以下の通りであります。
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(千円)
既支払額(千円)
本社(浜松市北区)
本社社屋の建設
3,000,000
1,746,792
自己資金
2022年9月
2023年9月
-
タイ子会社の工場の生産設備の増強は、以下の通りであります。
事業所名(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達方法
着手年月
完了予定年月
完成後の増加能力
総額(千バーツ)
既支払額(千バーツ)
Roland Digital Group (Thailand) Ltd.(タイ サムットサコン県)
生産設備の増築
106,000
93,805
自己資金
2022年9月
2023年4月
生産能力の約50%増