【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことにより、社会経済活動への制限が一層緩和され、持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢や円安傾向の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、世界的な金融引締めによる影響が懸念されるなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。
当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、エネルギー価格や原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。社会経済活動の正常化が進み、顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。
このような状況において、当社グループではコア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めてまいりました。中核事業である印刷事業においては、顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない様々なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を図っております。この取り組みを強力に推進し、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。同時に、半導体関連マスク事業の充実を図り、国内印刷市場の縮小に耐え得る収益構造の構築を進めております。
この改革スピードをより一層高めることでグループ全体最適とシナジーの最大化を図り、さらなる成長加速と事業拡大による強固な収益基盤の構築を目指して、当社は2023年4月1日に「竹田iPホールディングス株式会社」に商号を変更し、持株会社体制に移行いたしました。
なお、当第1四半期連結会計期間より、表示方法を変更しております。このため、以下の前年同期比較につきましては、前第1四半期連結累計期間の数値を組み替えて記載しております。
表示方法の変更についての詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。
以上の結果、当社グループの当第1四半期連結累計期間における売上高は73億12百万円(前年同期比0.4%増)となりました。利益面では、営業利益53百万円(前年同期比56.1%減)、経常利益1億2百万円(前年同期比39.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は33百万円(前年同期比68.3%減)となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントを変更しております。前連結会計年度まで、印刷セグメントに含めておりました「半導体関連マスク」を独立させるとともに、「不動産賃貸」を新設しております。このため、以下の前年同期比較につきましては、前第1四半期連結累計期間の数値をセグメント変更後の数値に組み替えて記載しております。
報告セグメントの変更についての詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(印刷)
印刷事業では品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。
前述のビジネスモデルの転換を図るため、地域横断の事業強化プロジェクトを推進し、ロジスティクス、各種BPOやイベントプロモーションの受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化いたしました。
また、当社グループでは、お客様におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉えております。物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」、見せる社内報をコンセプトとするWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」の販売を強化するほか、高齢者福祉施設向け介護レクリエーションアプリ「ロボシルバーパーク」の販売を開始いたしました。これは神奈川県「さがみロボット産業特区」の「公募型『ロボット実証実験支援事業』」に採択されたもので、施設職員によるレクリエーションの実施をサポートいたします。今後もデジタル関連サービスの開発を強化し、顧客の課題解決を通じて広く社会に貢献してまいります。
しかしながら、当第1四半期連結累計期間におきましては、厳しい市場環境であることに加えまして、売上高および利益が下半期(特に第4四半期)に集中するビジネスモデルであることも影響し苦戦を強いられました。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は34億82百万円(前年同期比0.8%減)、営業損失は33百万円(前年同期は23百万円の営業損失)となりました。
(物販)
物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。
社会経済活動の正常化に伴い、回復が続く設備投資需要の取り込みや新規顧客の開拓を強化いたしました結果、売上高では資材販売は前年同期並みとなりましたが、機械販売が好調に推移いたしました。利益面では、増収効果や利益率の高い自社ブランド製品の販売が好調であったことに加えて、仕入価格の高騰には顧客への丁寧な交渉により販売価格への転嫁を行うとともに経費削減を徹底した結果、増益となりました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は26億27百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は63百万円(前年同期比290.4%増)となりました。
(半導体関連マスク)
半導体関連マスク事業では、竹田東京プロセスサービス㈱と㈱プロセス・ラボ・ミクロンの国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組み、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。
昨年末から顕在化しました世界半導体市場の冷え込みは、当第1四半期連結累計期間においても継続しました。半導体不足や顧客の在庫調整の影響により、車載向け製品等の一部製品では回復基調に入りつつありますが、コロナ禍における巣ごもり需要の一服感に加えまして、米中貿易摩擦による中国経済の減速や世界的な金利上昇の影響等もあり、パソコンやスマートフォン向け製品の需要が低迷しました。現在の半導体不況は当面続くものと予想しており、回復の見通しは不透明な状況となっております。
当社グループとしましては、強みである技術開発力、製品の安定供給力、グローバル展開力の総合力に磨きをかけるとともに、本年9月竣工予定である㈱プロセス・ラボ・ミクロンの本社工場新棟建設と設備投資を計画通り進め、市場が再び成長サイクルに入る機会に備えて生産体制を強化しております。
上記の結果、半導体関連マスクセグメントの売上高は12億59百万円(前年同期比14.3%減)、営業損失は2百万円(前年同期は82百万円の営業利益)となりました。
(不動産賃貸)
当社グループが保有する土地・建物などの有効活用を目的として、連結子会社や外部顧客に対する不動産賃貸事業を行っております。当第1四半期累計期間の売上高は2億6百万円(前年同期比129.0%増)、営業利益は1億23百万円(前年同期比167.2%増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産の部は、現金及び預金や投資有価証券などが増加いたしましたが、受取手形及び売掛金などの減少により、前連結会計年度末に比べ4億54百万円減少し、294億37百万円となりました。
負債の部は、賞与引当金などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、電子記録債務、未払法人税等などの減少により、前連結会計年度末に比べ5億27百万円減少し、135億43百万円となりました。
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、158億93百万円となり、自己資本比率は53.6%となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についての重要な変更、または、新たに生じた優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、44百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)従業員数
①連結会社の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。
②提出会社の状況
当第1四半期連結累計期間において、当社の従業員数は前連結会計年度末から437名減少し、43名となっております(2023年6月30日現在)。主な要因は、2023年4月1日付で、当社が営む印刷事業を竹田印刷株式会社(2023年4月1日付けで竹田印刷分割準備株式会社より商号変更)に、同じく半導体関連マスク事業を竹田東京プロセスサービス株式会社(2023年4月1日付で東京プロセスサービス株式会社より商号変更)に、会社分割によって承継させたことにより減少したものであります。
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