【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への制限が緩和され、持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、2022年7月以降における感染再拡大に加えて、ウクライナ情勢の長期化等によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、為替市場での急激な円安の進行、世界的な半導体不足や中国のコロナ感染者急増により部品調達が困難となるなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。
断続的に感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症に対しては、当社グループでは社員および家族の健康と安全に配慮しつつ、顧客への製品やサービスの提供に影響を及ぼすことがないよう、感染予防と事業継続に取り組んでおります。
当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、エネルギー価格や原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。社会経済活動の正常化が進み、顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復傾向にありますが、度重なる印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少し、以前の水準に回復することは困難な状況です。
なお、エネルギー価格や原材料価格の高騰には、代替品の購入、生産性向上、経費削減等を行うと共に、顧客へは販売価格への転嫁だけではなく、品質を維持しつつコスト削減を実現するVA提案を積極的に行っております。
このような状況において、当社はコア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めております。
その実現に向けて、顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない多種多様なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を図っております。この取り組みを強力に推進し、当社グループは顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。同時に、半導体関連マスク事業の充実を図り、印刷市場の縮小に耐え得る収益構造の構築を進めております。
以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は239億74百万円(前年同期比8.3%増)となりました。利益面では、営業利益7億24百万円(前年同期比51.4%増)、経常利益8億58百万円(前年同期比50.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億68百万円(前年同期比65.9%増)となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりです。
(印刷)
印刷事業では大変厳しい市場環境の下、品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。
前述のビジネスモデルの転換を図るため、全社横断の事業強化プロジェクトを推進し、ワンストップソリューション提案を積極的に行いました。具体的には、各種BPOやイベント等の受託、通販サイトの運営、ロジスティクスサービス、システム構築などのデジタル関連を強化いたしました。顧客における物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」では、サービス内容の充実を図り、販売を強化いたしました。また、紙媒体の社内報のデザイン性をそのままに「見せる社内報」をコンセプトとするWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」の販売を開始し、顧客におけるDXの支援に取り組みました。
半導体関連マスク事業では、当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社によるグループ全体最適とシナジーの最大化を図ると共に、海外事業を強化しております。
世界的な半導体不足や上海市のロックダウンの影響による顧客の在庫調整により、スマートフォン向け等の一部製品において出荷減少がございました。一方、足下では車載向け製品が回復基調に入るとともに、第5世代移動通信システム(5G)やサーバー向け等の需要が堅調に推移したため、事業全体としては増収となりました。海外事業では、当社グループが拠点を構えるベトナムやタイにおいて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により営業活動の制限や顧客工場の稼働停止の影響がありましたが、現在では解消いたしております。
今後も世界情勢や半導体市場の動向と共に、新型コロナウイルス感染症の感染状況、そして再び懸念されつつある米中貿易摩擦にも注意を払い、事業拡大をめざしてまいります。
上記の結果、印刷セグメントの売上高は163億82百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益は4億94百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
(物販)
物販事業では、社会経済活動の正常化が進み業況は回復傾向が続きました。こちらも印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。また、ものづくり補助金制度を活用した設備投資需要の取り込み、新規顧客の開拓や全国各地でのイベント出展による広告宣伝活動を積極的に行いました結果、資材販売と機械販売の両面にて増収となりました。
利益面では、増収効果や利益率の高い自社ブランド製品の販売が好調であったことに加えまして、仕入価格の高騰には顧客への丁寧な交渉により販売価格への転嫁を行うと共に、経費削減の徹底により利益確保に努めました。
上記の結果、物販セグメントの売上高は78億80百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益は2億19百万円(前年同期は12百万円の営業利益)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、受取手形及び売掛金などが減少いたしましたが、現金及び預金、仕掛品、建設仮勘定などの増加により、前連結会計年度末に比べ7億19百万円増加し、296億89百万円となりました。
負債の部は、支払手形及び買掛金、1年内返済予定の長期借入金、賞与引当金などが減少いたしましたが、電子記録債務、長期借入金などの増加により、前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、140億49百万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金、為替換算調整勘定などの増加により、前連結会計年度末に比べ7億7百万円増加し、156億40百万円となり、自己資本比率は52.3%となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についての重要な変更、または、新たに生じた優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1億65百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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