【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、各国の新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)への対応方針の変更を受けた消費者心理の改善などを背景に、経済活動の正常化がより一層進展した一方で、欧米を中心に金融引き締め政策が継続しており、不動産・金融市場を中心に停滞感をもたらしました。米国や欧州では活動制限の緩和に伴い個人のサービス消費を中心に回復基調は継続しましたが、昨年から行われている急速な金利引き上げに伴う金融不安などを背景に、製造業を中心にやや陰りが生じる形となりました。中国ではゼロコロナ政策の解除を契機とするサービス業の力強い回復も見られましたが、欧米経済の減速や巣ごもり需要の終息を背景に製造業を中心に回復ペースが鈍化しました。その他の新興諸国では東南アジア地域を中心に経済活動の正常化が進みました。国内経済については、世界的な需要の低迷から輸出については伸び悩みましたが、政府の感染症対策方針の転換を背景に、インバウンド需要の回復など、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られました。このような環境において、当第2四半期連結累計期間では、先行きの不透明感から鋼材需要やスクラップ需要などが減少したことに加え、鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前年同期比では低い水準で推移したことにより、売上高は前年同期比10.3%減の1兆2,012億76百万円となりました。利益面では、食品事業を除く全ての事業セグメントで減益となり、営業利益は前年同期比36.3%減の263億39百万円となりました。また、プライマリーメタル事業を中心に持分法による投資利益が減少したこと、戦略的投資先などからの配当収入が減少したことや前期に差益であった為替差損益が差損に転じたことなどから、経常利益は前年同期比48.2%減の274億44百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比48.7%減の190億76百万円となりました。
セグメント別の業績(売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)は、次のとおりであります。鉄鋼事業 景気後退懸念などを背景とする鉄鋼需要の低迷の影響もあり、全体として取扱量が減少したものの、国内建設分野などでのソリューション機能の強化に伴い取扱い案件が増加したことに加え、前第3四半期連結会計期間に連結子会社化した田中鉄鋼販売㈱の業績寄与もあり、増収となりました。一方、利益面では、鉄鋼製品市況下落の影響を受け、海外子会社を中心に利幅が縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比2.9%増の6,285億71百万円、セグメント利益は前年同期比25.7%減の133億54百万円となりました。プライマリーメタル事業 需要低迷を背景にステンレス鋼板などのステンレス製品の取扱量が減少したことに加え、各種商材価格が調整局面を迎えたこともあり、減収となりました。また、戦略的投資先などからの配当収入の減少や、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資利益の減少が利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比11.5%減の1,107億64百万円、セグメント利益は前年同期比43.8%減の70億70百万円となりました。
リサイクルメタル事業各国の景気後退懸念などからベースメタルの国際価格が前年同期に比べ安値で推移したことに加え、ステンレススクラップを中心に需要減退の影響を受け取扱量も減少しました。また、ヘッジ目的の商品先渡取引の評価益の計上額が前年同期比で縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比25.3%減の581億85百万円、セグメント利益は前年同期比84.8%減の8億24百万円となりました。食品事業鮭や海老、鶏肉を中心に仕入コスト上昇分の価格転嫁が進んだ一方、カニ相場下落の影響などを受けました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比0.2%減の613億36百万円、セグメント損益は1億22百万円の損失(前年同期は、2億25百万円の損失)となりました。エネルギー・生活資材事業PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットを中心に取扱量は拡大したものの、石油製品価格が前年同期に比べ安値で推移した影響が大きく、収益・利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比17.2%減の1,503億13百万円、セグメント利益は前年同期比78.1%減の14億58百万円となりました。海外販売子会社海外における鉄鋼需要の低迷に伴い、インドネシアや米国の販売子会社を中心に取扱量が減少しました。また、鉄鋼製品や非鉄金属製品の市況下落が海外販売子会社全体の利幅を押し下げました。これらの結果、売上高は前年同期比33.2%減の1,703億14百万円、セグメント利益は前年同期比17.4%減の44億85百万円となりました。その他の事業木材事業では、ウッドショックの影響が一段落したことから、商品価格が低調に推移した結果、減収・減益となりました。一方、機械事業では、ライフ・アミューズメント分野で複数の大型完工物件があったことなどから、増収・増益となりました。これらの結果、売上高は前年同期比22.8%減の617億4百万円、セグメント利益は前年同期比18.3%減の18億63百万円となりました。
② 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間末の総資産は、売上債権や投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末比2.2%増の1兆1,832億円となりました。負債は、1年内償還予定の社債が満期を迎えたことや、前年度業績を反映した法人税等の納付に伴う未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末比0.2%減の8,471億85百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比4.6%増の3,983億65百万円となり、当第2四半期連結会計期間末のネット負債倍率は、1.0倍(0.8倍※)となりました。 純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比8.8%増の3,360億14百万円となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の26.2%(28.3%※)から28.0%(30.1%※)に上昇しました。
※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッドロ ーン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて66億97百万円(8.0%)減少し、774億23百万円となりました。これは主に売上債権及び契約資産が増加したことや未払金が減少したことによるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による支出は、151億22百万円となりました(前第2四半期連結累計期間は1,101億14百万円の収入)。これは主に売上債権及び契約資産が増加したことや未払金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による支出は、前第2四半期連結累計期間比77.3%減の19億57百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、170億79百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による収入は、102億31百万円となりました(前第2四半期連結累計期間は1,225億93百万円の支出)。これは主に社債やコマーシャル・ペーパーの発行によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更又は新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動特記すべき事項はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について新たな発生又は消滅はありません。また、経営戦略の現状についても重要な変更又は著しい変化はありません。
(6) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行っております。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,500億円のコミットメントライン契約を締結しており、当第2四半期連結会計期間末現在において全額未使用となっております。社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当第2四半期連結会計期間末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、600億円であります。長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。有利子負債においては、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しても現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。