【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間における世界経済は、各国の新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)への対応方針の変更を受けた消費者心理の改善などを背景に、経済活動の正常化がより一層進展した一方で、欧米を中心に金融引き締め政策が継続しており、不動産・金融市場を中心に停滞感をもたらしました。米国や欧州では活動制限の緩和に伴い個人のサービス消費を中心に回復基調は継続しましたが、昨年から行われている急速な金利引き上げに伴う金融不安などを背景に、製造業を中心にやや陰りが生じる形となりました。中国ではゼロコロナ政策の解除を契機とするサービス業の力強い回復が継続しておりますが、欧米経済の減速や巣ごもり需要の終息を背景に製造業を中心に回復ペースが鈍化しました。その他の新興諸国では東南アジア地域を中心に経済活動の正常化が進みました。 国内経済については、政府の感染症対策方針の転換を背景に、インバウンド需要の回復など、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られましたが、製造業においては海外経済の減速などから景況感が下押しされる結果となりました。このような環境において、当第1四半期連結累計期間では、先行きの不透明感から鋼材需要やスクラップ需要などが減少したことに加え、鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前年同期比では低い水準で推移したことにより、売上高は前年同期比8.5%減少の6,087億42百万円となりました。利益面では、食品事業を除く全ての事業セグメントで減益となり、営業利益は前年同期比32.6%減の162億77百万円となりました。また、戦略的投資先等からの配当収入が減少したことや前期に差益であった為替差損益が差損に転じたこと、プライマリーメタル事業を中心に持分法による投資利益が減少したことなどから、経常利益は前年同期比52.0%減の160億12百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比51.9%減の114億92百万円となりました。
セグメント別の業績(売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)は、次のとおりであります。鉄鋼事業景気後退懸念等を背景とする鉄鋼需要の低迷の影響もあり、全体として取扱量が減少したものの、国内建設分野などでのソリューション機能の強化に伴い取扱い案件が増加したことに加え、前第3四半期連結会計期間に連結子会社化した田中鉄鋼販売㈱の業績寄与もあり、増収となりました。一方、利益面では、鉄鋼製品市況下落の影響を受け、海外子会社を中心に利幅が縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比3.2%増の3,188億11百万円、セグメント利益は前年同期比17.6%減の84億1百万円となりました。プライマリーメタル事業各種商材価格は調整局面を迎えているものの、ニッケルやフェロクロムを中心に取扱量が増加したことが収益を押し上げました。一方、利益面では、市況下落の影響から利幅が縮小したことに加え、戦略的投資先等からの配当収入の減少や、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資利益の減少も利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比4.9%増の615億41百万円、セグメント利益は前年同期比36.3%減の43億2百万円となりました。
リサイクルメタル事業各国の景気後退懸念などからベースメタルの国際価格が前年同期に比べ安値で推移したことに加え、ステンレススクラップや銅スクラップの需要減退の影響を受け取扱量も減少しました。また、ヘッジ目的の商品先渡取引の評価益の計上額が前年同期比で縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比31.7%減の294億70百万円、セグメント利益は前年同期比82.4%減の8億68百万円となりました。食品事業取扱量は横ばいであったものの、昨年度から継続するカニ相場の下落の影響から、連結子会社も含めて収益を押し下げました。一方で、海老や鶏肉を中心に仕入コスト上昇分の価格転嫁が進み、利幅が改善しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比1.1%減の287億68百万円、セグメント利益は前年同期比43.8%増の4億97百万円となりました。エネルギー・生活資材事業PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットを中心に取扱量は拡大したものの、石油製品価格が下落に転じた影響が大きく、収益・利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比22.1%減の690億12百万円、セグメント利益は前年同期比52.8%減の13億29百万円となりました。海外販売子会社海外における鉄鋼需要の低迷に伴い、インドネシアや米国の販売子会社を中心に取扱量が減少しました。また、鉄鋼製品や非鉄金属製品の市況下落が海外販売子会社全体の利幅を押し下げました。これらの結果、売上高は前年同期比31.2%減の867億89百万円、セグメント利益は前年同期比24.7%減の20億26百万円となりました。その他の事業木材事業では、ウッドショックの影響が一段落したことから、商品価格が低調に推移した結果、減収・減益となりました。一方、機械事業では、ライフ・アミューズメント分野で複数の大型完工物件があったことなどから、増収・増益となりました。これらの結果、売上高は前年同期比16.2%減の330億25百万円、セグメント利益は15.3%減の15億2百万円となりました。 ② 財政状態の状況当第1四半期連結会計期間末の総資産は、売上債権や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末比0.3%増の1兆1,610億53百万円となりました。負債は、1年内償還予定の社債が満期を迎えたことや、前年度業績を反映した法人税等の納付に伴う未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末比0.8%減の8,418億87百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比8.0%増の4,113億64百万円となり、当第1四半期連結会計期間末のネット負債倍率は、1.0倍(0.9倍※)となりました。 純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比3.4%増の3,191億65百万円となりました。この結果、当第1四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の26.2%(28.3%※)から27.0%(29.1%※)に上昇しました。
※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッド ローン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更又は新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動特記すべき事項はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について新たな発生又は消滅はありません。また、経営戦略の現状についても重要な変更又は著しい変化はありません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行っております。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,500億円のコミットメントライン契約を締結しており、当第1四半期連結会計期間末現在において全額未使用となっております。社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当第1四半期連結会計期間末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、600億円であります。長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。有利子負債においては、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しても現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。