【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策に伴う経済活動の抑制を背景にインフレが高進したことに加え、先進国を中心とした金融引き締めなどが逆風となり、新型コロナウイルス感染症の影響からの持ち直しに停滞感をもたらしました。米国では活動制限の緩和に伴う個人のサービス消費の回復を中心に景気に底堅さが見られましたが、欧州では資源価格の高止まりや長引くインフレ、金利上昇などの影響により、景気の減速が生じる形となりました。中国では持ち直しの動きは継続しましたが、2022年12月まで継続されたゼロコロナ政策の下、一部の地域で経済活動が抑制されたことによるサプライチェーンの混乱や不動産市場の不況など、足踏みが見られました。その他の新興諸国ではインフレの波及や各国の金利引き上げも見られましたが、活動制限の緩和が進む東南アジア地域を中心に経済活動の正常化に向けた動きが見られました。国内経済については、個人消費や企業の設備投資を中心に持ち直しの動きが見られましたが、製造業においては資源価格高騰や円安の進行による原材料コスト増、中国の都市封鎖の影響からくるサプライチェーンの混乱などから景況感が下押しされる結果となりました。このような環境において、当連結会計年度では、経済活動が引き続き回復傾向にあるなかで資源高を背景に鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前連結会計年度に比べて高い水準で推移したことに加え、海外販売子会社の業績拡大が寄与し、売上高は前連結会計年度比23.3%増の2兆6,682億28百万円となりました。利益面では、営業利益はプライマリーメタル事業やエネルギー・生活資材事業の増益などにより、前連結会計年度比2.8%増の641億5百万円となりました。また、戦略的投資先等からの配当収入が増加したことやプライマリーメタル事業などの持分法による投資利益が増加したこと、為替差損が縮小したことなどから、経常利益は前連結会計年度比2.5%増の642億72百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として固定資産売却益などを計上したことも加わり、前連結会計年度比18.1%増の515億5百万円となりました。セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。鉄鋼事業国内建設分野を中心に取扱数量が堅調に推移するなか、鋼材価格は製造コストの価格転嫁が浸透し、前連結会計年度に比べて高い水準で推移しました。利益面では、仕入れ価格の上昇や一部の海外子会社を中心に前連結会計年度に比べて利幅が縮小したことに加え、在外投資先からの持分法による投資利益が減少したことなどが利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比25.2%増の1兆2,621億30百万円、セグメント利益は前連結会計年度比20.8%減の284億77百万円となりました。プライマリーメタル事業クロム系合金鉄を中心に取扱数量を減らしたものの、ニッケルなどの一部商材価格が比較的高水準で推移しました。また、戦略的投資先からの配当収入やSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資利益が利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比35.7%増の2,740億37百万円、セグメント利益は前連結会計年度比92.3%増の139億34百万円となりました。リサイクルメタル事業各種商材の取扱いが堅調に推移するなかで、円安環境下で増加した仕入コストの価格転嫁が進んだことに加え、非鉄金属相場の急落を背景とするヘッジ目的の商品先渡取引の評価益により収益を拡大しました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比11.9%増の1,471億91百万円、セグメント利益は前連結会計年度比112.8%増の61億35百万円となりました。
食品事業世界的に水産物需要が高まるなか、各種商品価格が比較的高い水準にあった一方で、円安の影響などによる仕入コストの上昇分の価格転嫁が十分に進まず、利益を下押ししました。また、米国を中心にロシア産のカニの輸入禁止措置がとられたことや欧米を中心とする巣ごもり需要の縮小に伴いカニ相場が下落したことで、連結子会社も含めて商品評価損を計上したことも利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比10.2%増の1,285億78百万円、セグメント損益は9億60百万円の損失(前連結会計年度は、30億24百万円の利益)となりました。エネルギー・生活資材事業ウクライナ危機により原油・石油製品価格が高値圏で推移した結果、バンカーオイルを中心に収益を拡大したほか、PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットについても、国際的な需要の高まりから取扱数量、単価ともに上昇し、利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前連結会計年度比24.1%増の3,609億76百万円、セグメント利益は前連結会計年度比70.6%増の115億74百万円となりました。海外販売子会社東南アジア各国を中心に経済活動の回復が進むなか、インドネシア、シンガポールにおいて徳信鋼鉄有限公司の鋼材を中心に鉄鋼製品の取扱いを伸ばし、収益を拡大しました。この結果、売上高は前連結会計年度比34.5%増の4,492億10百万円、セグメント利益は前連結会計年度比8.3%増の72億78百万円となりました。その他の事業木材事業では、ウッドショックの影響から木材価格が高い水準にあったことで売上を伸ばしたものの、円安などの影響による仕入コストの上昇分の価格転嫁が進まず、増収・減益となりました。一方、機械事業では、レジャー施設分野において、前連結会計年度に比べて大型完工物件が増加したことで増収・増益となりました。これらの結果、売上高は前連結会計年度比12.1%増の1,460億40百万円、セグメント利益は前連結会計年度比17.3%減の30億83百万円となりました。
② 財政状態の状況当社グループにおきましては、商品を対象物とするヘッジ取引のうち、契約に基づき取引先等に評価損益が帰属するヘッジ取引を行っておりますが、先渡取引の契約残高の減少や取引先からの資金の回収並びにロンドン金属取引所における商品先物価格の下落などに伴い、長期差入保証金や未収入金が減少したほか、金融機関からの短期借入金を一部返済しております。その結果、当連結会計年度末の総資産は、長期差入保証金や未収入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末比32.5%減の1兆1,577億47百万円となりました。負債は、上述の事象に関連し、短期借入金や商品先渡負債が減少したことなどにより、前連結会計年度末比42.4%減の8,489億40百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比47.3%減の3,809億82百万円となり、当連結会計年度末のネット負債倍率は、1.0倍(0.8倍※)となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比28.4%増の3,088億7百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の13.8%(15.3%※)から26.2%(28.3%※)に上昇しました。※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ809億62百万円(49.0%)減少し、841億21百万円となりました。これは主に「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載した通り、長期差入保証金の回収に伴い借入金の返済を行ったことによるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による収入は、2,842億26百万円となりました(前連結会計年度は2,807億52百万円の支出)。これは主に「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載した事象に伴い長期差入保証金や未収入金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による支出は、前連結会計年度比56.4%減の65億39百万円となりました。これは主に有形固定資産や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得を行ったことによるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、2,776億87百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による支出は、3,518億35百万円となりました(前連結会計年度は4,068億20百万円の収入)。これは主に上述の長期差入保証金の回収に伴う借入金の返済によるものです。
④ 受注及び販売の実績
a. 受注実績
受注実績と販売実績との差異は僅少なため、受注実績の記載は省略しております。
b. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
外部顧客への売上高(百万円)
前連結会計年度比増減率(%)
鉄
鋼
事
業
1,232,686
25.3
プ ラ イ マ リ ー メ タ ル
事
業
267,389
36.7
リ
サ
イ
ク
ル メ タ ル
事
業
144,406
13.2
食
品
事
業
127,392
9.7
エ ネ ル ギ ー・生 活 資 材 事 業
349,216
24.5
海外販売子会社
404,976
21.4
そ の 他
142,160
11.8
計
2,668,228
23.3
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、前連結会計年度及び当連結会計年度における当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」をご参照ください。なお、有価証券や固定資産の評価、貸倒引当金や賞与引当金等における見積り及び判断・評価については、過去の実績や足元の状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況売上高は、資源高を背景に鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が高水準で推移したことに加え、海外販売子会社の業績拡大が寄与し、前連結会計年度比23.3%増の2兆6,682億28百万円となりました。このうち、国内売上高は前連結会計年度比17.5%増の1兆7,439億28百万円、海外売上高は前連結会計年度比36.1%増の9,242億99百万円となりました。
売上原価は、商品市況の上昇のほか、資源高や円安に伴う仕入コストの増加もあり、前連結会計年度比24.2%増の2兆5,396億86百万円となりました。販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人件費の増加に加え、自粛していた営業活動の再開に伴う旅費交通費や交際費等の増加などにより、前連結会計年度比13.8%増の644億35百万円となりました。営業外収益は、受取利息や受取配当金、持分法による投資利益が増加したことなどにより、前連結会計年度比106.3%増の173億72百万円となりました。一方、営業外費用は、為替差損が減少したものの、支払利息や支払手数料が増加したことなどにより、前連結会計年度比113.2%増の172億5百万円となりました。特別利益は、賃貸用資産であった新阪和ビルの売却に伴う固定資産売却益の計上などにより、前連結会計年度比907.3%増の160億63百万円となりました。また、特別損失は、タイ王国所在の連結子会社HANWA THAILAND CO., LTD.が、過年度の付加価値税に係る更正処分を受けたことに伴い、追徴税額等を費用処理したことにより、前連結会計年度比272.5%増の43億75百万円となりました。法人税等は、課税所得の増加に伴い、前連結会計年度比23.9%増の232億18百万円となりました。これらの結果、当期純利益は前連結会計年度比18.8%増の527億42百万円となり、その内、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比18.1%増の515億5百万円となりました。また、1株当たり当期純利益の金額は前連結会計年度の1,073.34円に対し、1,267.44円となりました。
③ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績等に影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。当社の主たる事業である商社事業において影響が大きいものは、商品価格の動向であります。価格のトレンドや国内外の需給動向を確認しながら、売りと仕入のタイミングを図っていきます。特に在庫取引を行う商品については、買う時期と数量を慎重に判断して行います。鉄鋼事業では流通業向け店売り市場が縮小しており、以前ほど大量の在庫を保有することはなくなったため、市況下落による評価損も昨今は限定的ではあるものの、商品価格の変動幅が過去に比べて大きく変動速度も速くなっており、実需以外の要因も影響を及ぼすため、市況動向の見極めが一層重要になっております。次に、当社グループの取引は掛け売りやユーザンスを与えるものも多く、それらは各取引先に対する厳格な審査・与信管理の下に信用枠を設定しています。取引先の信用状態については、常に各営業担当が確認をしており、会社としても社員の与信管理能力の強化や信用保険・ファクタリング等による債権保全に努めておりますが、不測の倒産等が発生した場合には、売上債権の全額を回収できずに貸倒れとなることもあり、全体の損益が影響を受けることがあります。海外との取引においては、決済通貨と表示通貨が異なる場合に、表示通貨への換算の際に為替変動の影響を受けます。個別の取引においては、原則として為替予約などにより為替変動による影響を最小限にするように対処しておりますが、決算期末での債権債務の期末レートへの換算替えにおいては、評価損益が発生することがあり、変動幅や速度によっては、全体の損益が影響を受けることがあります。資本政策に関しては、当社グループは運転資金や投融資資金を金融機関からの借入や社債発行などにより調達しており、金利変動や金融市場の動向、格付などにより、事業の採算や借入コストが影響を受けます。取引仲介における口銭や手数料収入の利率を金利変動に応じて変動させたり、金利スワップ等でコストの増加を抑制するなどの対応をしてはおりますが、金融市場の大きな変動の中では全体の損益が影響を受けることがあります。そのような事業環境のなか、当社グループは、事業領域の拡大や将来収益の源泉を確保するために、既存の商社事業を土台としながら、バリューチェーンのより広い範囲に積極的な事業投資を展開しております。投資に際しては、専門家によるデューディリジェンスの実施や、投資等審査委員会などによる収益性の検証及びリスクの洗い出し等を行っておりますが、当初予定していた事業計画が大きく下振れした場合や予測が困難であった重要な偶発的事象が発生した場合などには、全体の損益が影響を受けることがあります。特に大規模な開発型案件や資源分野などへの投資については、収益性のボラティリティが高い傾向にあるため、経営会議や取締役会などにおいて定期的なモニタリングを実施しております。
また、当社グループは様々な商品やサービスを取り扱っており、その品質については、仕入先や委託加工先と提携して万全を期していますが、時に品質基準を満たさないもの、不良なものが発生することがありえます。従来、品質に問題があった場合には仕入先や加工先に一義的な保証責任がありましたが、品質欠陥に対する社会的な影響が大きくなっている昨今、商社も品質管理に一層の注意を払うことが必要になっており、その対応によっては保証費用や信用低下などにより全体の損益が影響を受けることがあります。当社では、品質安全環境管理部による定期的なモニタリングを基に、協力業者も含めた品質管理体制の強化を進めています。当社グループとしては、上記以外の業績に影響を与えるリスク要因に対しても、あらかじめ可能な限り対処策を講じることで、影響の軽減に努めてまいります。
④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性(キャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、2,842億26百万円の収入となりました(前連結会計年度は2,807億52百万円の支出)。これは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」などに記載した事象に伴い、長期差入保証金や未収入金が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて84億54百万円少ない65億39百万円の支出となりました。これは、本社及び子会社における加工設備等の取得や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得などによるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、3,518億35百万円の支出となりました(前連結会計年度は4,068億20百万円の収入)。これは、上述の長期差入保証金の回収に伴う借入金の返済によるものです。
(財務政策)当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行ってまいりました。そうしたなか、今般のウクライナへのロシアによる軍事侵攻に端を発した、ロンドン金属取引所における先物商品価格の急騰を受けて、当該取引等に係る長期差入保証金が発生し、その対応策として前連結会計年度にコミットメントライン契約の実行及び短期借入金による資金調達を行ったことにより、有利子負債金額及びそれに占める短期調達の比率が増加しましたが、先渡契約の契約残高の減少や取引先からの資金の回収などに伴い、当連結会計年度末時点で有利子負債額及び短期調達の比率は減少しております。 今後も引き続き当社グループとしましては、資産の見直しや、資金効率の向上及び、調達期間の長期化を進め、財務的な安定性の維持を図っていく所存です。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,500億円のコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末現在において全額未使用となっております。社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、300億円であります。長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。有利子負債においては、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。 また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しても現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。
⑤ セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容鉄鋼事業の売上高は前連結会計年度比25.2%増の1兆2,621億30百万円、セグメント利益は前連結会計年度比20.8%減の284億77百万円となりました。鋼材需要は製造業分野、建築土木分野ともに堅調に推移しました。一方、供給面においては、世界経済の成長鈍化に伴い、粗鋼生産量及び鋼材流通量は前年に比べ減少しました。このようななか、当社の取扱数量は、海外で進めている地産地消型ビジネスモデルが貢献し、前連結会計年度同水準を確保したほか、鋼材価格への製造コスト上昇分の転嫁が浸透したこともあり、増収となりました。利益面については、鋼材価格の上昇基調が一段落したことや一部の海外子会社を中心に利幅を縮小したことから減益となりました。プライマリーメタル事業の売上高は前連結会計年度比35.7%増の2,740億37百万円、セグメント利益は前連結会計年度比92.3%増の139億34百万円となりました。ステンレス需要の低迷を背景にステンレス母材やクロム系合金鉄などの取扱いが減少した一方、電池需要の高まりなどからニッケルなどの商品価格が昨年度に比べて高水準で推移しました。また利益面では、戦略的投資先からの配当収入が増加したことに加え、持分法適用関連会社であるSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.に係る持分法による投資利益の増加が寄与し、大幅な増益となりました。リサイクルメタル事業の売上高は前連結会計年度比11.9%増の1,471億91百万円、セグメント利益は前連結会計年度比112.8%増の61億35百万円となりました。アルミ屑や銅屑の発生量が減少するなかで、取扱数量は底堅さを維持し、また、仕入コストの価格転嫁も進みました。利益面については、商品在庫等の価格変動リスクをヘッジするデリバティブ取引残高において評価益を計上したことも奏功し、増益となりました。食品事業の売上高は前連結会計年度比10.2%増の1,285億78百万円、セグメント損益は9億60百万円の損失(前連結会計年度は30億24百万円の利益)となりました。取扱数量は微減となったものの、世界的な水産物需要の高まりなどから各種商品価格は高水準にありました。利益面については、商品価格の上昇局面が続くなかで利幅を拡げたほか、国内子会社の採算改善が寄与した一方で、仕入コスト増加影響分の価格転嫁が十分に進まなかったことに加え、米国における販売子会社であるSEATTLE SHRIMP & SEAFOOD COMPANY, INC.でもカニ相場が下落したことに伴う商品評価損を計上したことで減益となりました。エネルギー・生活資材事業の売上高は前連結会計年度比24.1%増の3,609億76百万円、セグメント利益は前連結会計年度比70.6%増の115億74百万円となりました。原油・石油製品価格は、ウクライナ危機の影響から一段と高値圏で推移しました。また、代替燃料需要の高まりを受けて市場価格の上昇したPKS(パーム椰子殻)やウッドペレットなどのバイオマス燃料の取扱いを伸ばしました。これらの結果、当事業セグメントは増収・増益となりました。海外販売子会社の売上高は前連結会計年度比34.5%増の4,492億10百万円、セグメント利益は前連結会計年度比8.3%増の72億78百万円となりました。東南アジアで経済活動の回復が進む中、インドネシア及びシンガポールにおいて、徳信鋼鉄有限公司をはじめとする戦略的投資先の製品及び半製品の取扱いを一段と増やしたほか、バリューチェーンの各段階で取引を拡げ、収益を伸ばしました。また、米国や上海においても鋼材などの取扱いを増やしました。これらの結果、当事業セグメントは増収・増益となりました。その他の事業の売上高は前連結会計年度比12.1%増の1,460億40百万円、セグメント利益は前連結会計年度比17.3%減の30億83百万円となりました。木材事業では、住宅メーカー向けの直接取引において、取扱品目を拡大したほか、ウッドショックの影響から木材価格が高値で推移した一方で、仕入コストの上昇分の価格転嫁が進まず、増収・減益となりました。また、機械事業においては、前年同期に比べて完工物件が増加したことから増収・増益となりました。これらの結果、その他の事業においては増収・減益となりました。