【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、資源高及びドル高の同時進行は物価上昇を招き、経済活動への影響は懸念されるものの、企業収益・個人消費等は堅調に推移しており、景気は緩やかに回復傾向となりました。海外経済については、世界的な金融引き締め、ウクライナ情勢の長期化及びインフレ加速等の影響が懸念され一部の地域において弱さは見られるものの、概ね雇用・所得環境等は堅調に推移しており、持ち直しの見られる推移となりました。このような状況のもと、当社グループの売上高並びに損益の大半を占めるニッケル事業の主需要先であるステンレス鋼業界は、中国では景気刺激策実施の期待感から稼働率は回復傾向にあるものの、期待値先行で実需の動きは弱く、また、ウクライナ情勢の長期化は市況全体の不透明感を増しており、総じて生産設備の稼働率にばらつきが見られ盛り上がりの欠く推移となりました。このため、フェロニッケル需要は、鈍化傾向で推移しました。調達面においては、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格は、インドネシア未加工鉱石禁輸政策による影響及び底堅いニッケル鉱石需要等を背景に価格高であり、また、諸原燃料価格は、世界的な資源高により電力の価格も含めて高水準にあり、生産コストが上昇する状況となりました。ロンドン金属取引所(LME)におけるニッケル価格は、一定のレンジで推移しておりますが、中国の景気回復の遅れ、外国為替相場や金融資本市場の変動及びウクライナ情勢等といった複合的な要因等が意識され、やや弱含みの推移となりました。その中で、当社のフェロニッケル販売数量は、前述した環境に加え、海外ステンレス生産者は価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境となっていること等から、一定の収益性を損なわない戦略的な数量抑制方針は継続したため、前年同四半期と比べ国内外向けともに減少し、全体では前年同四半期比57.0%の減少となりました。フェロニッケル生産数量は、前述のとおり販売数量抑制方針であるため、前年同四半期と比べ減少しました。フェロニッケル製品の販売価格は、当社適用LMEニッケル価格は前年同四半期比0.4%上昇及び当社適用平均為替レートは前年同四半期比7.5%の円安となり、前年同四半期比で適用相場は上昇しました。一方で、前述のとおり、当社適用LMEニッケル価格と当社適用平均為替レートに加えて、ニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準としていることから従来と比べ販売価格安となり、収入が伸び悩む厳しい販売環境が継続しました。このように、事業環境が急変しており、ウクライナ情勢等の影響は今後も継続するものと考えられますが、採算性重視の受注を徹底し、臨機応変な生産販売体制の構築等に努めております。さらには、海外事業展開・新規鉱山開発等の早期実現及びコストミニマムを追求するための業務効率改善策の強化等、業績の底上げ及び収益安定化に向けた取り組みを継続しております。その結果、当第1四半期連結累計期間の連結経営成績は、連結売上高が4,217百万円、前年同四半期比では61.2%の減収となりました。損益面では、減収要因に加え、棚卸資産の収益性低下による簿価切下げ額の計上に伴う売上原価の増加等もあり営業損失は3,292百万円(前年同四半期営業利益1,509百万円)、営業外収益において持分法による投資利益1,245百万円の計上等を含めた経常損失は1,417百万円(前年同四半期経常利益3,676百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,566百万円(前年同四半期親会社株主に帰属する四半期純利益3,283百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。①ニッケル事業ニッケル事業についての経営成績は、「(1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。その結果、当部門の売上高は4,042百万円、前年同四半期比62.2%の減収、営業損失は3,292百万円(前年同四半期営業利益1,624百万円)となりました。②ガス事業ガス事業についての経営成績は、設備修繕に伴う費用計上等もありましたが安定した操業で、利益計上となりました。その結果、当部門の売上高は196百万円、前年同四半期比19.1%の増収、営業利益は2百万円(前年同四半期営業損失31百万円)となりました。③その他その他の事業部門では、不動産事業での販売成約等はなかったため、損失計上となりました。その結果、当部門の売上高は零(前年同四半期売上高16百万円)、営業損失は5百万円(前年同四半期営業損失86百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における当社グループの資産、負債及び純資産については、次のとおりであります。資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,128百万円減少し、76,697百万円となりました。流動資産では、計画的な在庫数量の調整により商品及び製品は増加しましたが、電力会社の冬の節電チャレンジキャンペーン参加による電力使用量削減の特典である受取報奨金が入金及び未収消費税等の還付に伴いその他に含まれる未収入金の減少等もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ3,298百万円の減少となりました。固定資産では、維持更新投資より減価償却費が多かったため有形固定資産は減少しましたが、持分法による投資利益の増加に伴う投資有価証券の増加等により、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ1,169百万円の増加となりました。なお、当社の投資有価証券26,694百万円の主な内訳は、持分法適用による連結額17,767百万円、関連会社株式2,378百万円、フィリピンの株式市場へ上場している当社持分法適用関連会社のホールディングカンパニーNickel Asia Corporation株式5,988百万円であります。負債合計は、前連結会計年度末に比べ620百万円減少し、6,171百万円となりました。流動負債では、支払手形及び買掛金の決済等による減少もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ643百万円の減少となりました。固定負債では、工事費用の検収による復旧費用引当金の減少等はありましたが、持分法による投資利益の増加に伴う繰延税金負債の増加等もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ23百万円の増加となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,508百万円減少し、70,525百万円となりました。株主資本は、損失計上等により1,567百万円の減少、その他の包括利益累計額は為替換算調整勘定の増加等により58百万円の増加及び非支配株主持分0百万円の減少となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題連結業績予想につきましては、ウクライナ情勢の長期化は国内外の景気へ引き続き影響を及ぼしており、また、欧米の急激な利上げ及び中国の景気回復遅れ等を背景とした景気の減速感は、経済の先行きをより不確実性の高いものとしております。当社において、数量面については、環境は大きく変わらず、前回公表計画と同程度を見込んでおります。損益では、販売価格面では、当社適用LMEニッケル価格と当社適用平均為替レートに加えフェロニッケル製品と比べ価格優位性の見られるニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準としており、また、調達価格面では、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格及び原燃料や電力の価格は引き続き高水準に推移しており、価格面で大きな影響を与えることが見込まれます。その他では、棚卸資産簿価切下げ額の影響について、上期は追加計上の一方、下期では簿価切下げ額の縮小で戻入れ額が発生することにより、上期と下期の損益傾向は異なることが見込まれます。このように、厳しい状況は継続しておりますが、こうした事業環境等への対応は、当社グループの中期経営計画において掲げる基本方針等で取り組む活動に合致しており、引き続き強く推し進めて参ります。
(3) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は111百万円であります。
(4) 生産、受注及び販売の実績当第1四半期連結累計期間において、販売及び生産の実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。