【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済の停滞等、先行きが不透明な状況となっております。当社グループの主要顧客分野である流通・サービス業界は、新型コロナウイルス感染症により、消費者のライフスタイルが大きく変化しており、店舗への影響も、業種業態によって明暗が大きく分かれるような状態となっております。一方、「ニューリテール」と呼ばれる小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が模索され、店舗システムや基幹システムの見直しが進むなど、新しい技術による変革が活発化しております。このような環境の中、当社グループは、「アジアにおける流通ITのリーディングカンパニーを目指す」を経営ビジョンとして、4つの基本戦略を主軸に、既存事業の高度化とニューリテール事業の具現化をさせることにより、更なる事業成長と安定的収益の確立に注力し、企業価値の一層の向上に努めてまいりました。当連結会計年度において実施した主な施策といたしましては、次のとおりとなります。
a. ニューリテール戦略・ 関西小売業グループより、基幹システム「MDware」の開発案件を受注いたしました。・ 関東地方を中心として展開するドラッグストアより、次期POSシステムの開発案件を受注いたしました。・ 関東地方を中心として展開する食品スーパーより、CRMシステムの開発案件を受注いたしました。・ 北関東を中心として展開する食品スーパーより、「MDware自動発注」の導入案件を受注いたしました。・ 全国に展開する靴専門店より、CRMシステムの開発案件を受注いたしました。・ 西日本を中心として展開するディスカウントストアより、次期POSシステムの開発案件を受注いたしました。・ 首都圏を中心として展開するスーパーより、AIによる販売数予測システムの開発案件を受注いたしました。・ アパレル・外食・食品サービス等4社より、RPA(注1)の導入案件を受注いたしました。
b. 特定顧客(注2)化戦略・ 総合小売業グループより、物流関連の基幹システムの構築案件を受注いたしました。・ 関東地方を中心として展開するスーパーより、基幹システムのリプレイス案件を受注いたしました。・ 小売業のグループ向け情報システム会社より、情報セキュリティ等の運用支援業務を受注いたしました。・ 関東地方を中心として展開するスーパーグループより、共同物流センター関連の構築案件を受注いたしました。
c. グローバル市場戦略・ 全国に展開する複合エンターテイメント企業の中国現地法人より、開店支援案件を受注いたしました。・ 全国に展開するドラッグストアより、東南アジアの店舗ITの運用業務を受注いたしました。・ コンビニエンスストアの海外現地法人より、総合会計システムの導入案件を受注いたしました。・ 全国に展開するドラッグストアの中国現地法人より、ポイント管理システムの導入案件を受注いたしました。
d. 事業構造改革・ クラウド型サービスの提供拡大や利用料型サービスなどストック型ビジネス(サービス事業)の拡大を推進しました。・ 当社グループにおけるシステム開発の生産性向上を図るべく、中国及びベトナムでのオフショア開発や経営管理体制とプロジェクト管理体制を確立するために必要な各種施策を実施してまいりました。また、プロジェクトマネージャーの育成にも注力し、各プロジェクトにおける運用・品質管理を強化するためにPMO(注3)を中心として、品質を保持しながら計画的且つ効率的にプロジェクトを遂行することに取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度に関する業績は次のとおりとなりました。売上高につきましては、国内小売業におけるDXのニーズの高まりと、既存顧客への更なる深耕が奏功したこと等により、317億34百万円(前年同期比6.3%増)と増収となりました。利益面につきましては、増収に伴い、営業利益30億98百万円(前年同期比22.7%増)、経常利益30億58百万円(前年同期比20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20億51百万円(前年同期比26.9%増)と増益となりました。
(注1)RPA(Robotic Process Automationこれまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットにより自動化することをいいます。(注2)特定顧客各業種業態の有力企業であり、当社が主要ITパートナーとしてプロダクトの提供やソリューション開発に加え、保守・運用業務まで含めて総合的にサービスを提供している顧客のことをいいます。(注3)PMO(Project Management Office)組織におけるプロジェクトマネジメントを統括・管理することを専門として設置された部門のことをいいます。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
(資産の部)当連結会計年度末の総資産は207億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億42百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が前連結会計年度末比12億80百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産が前連結会計年度末比7億61百万円の減少、工具、器具及び備品が前連結会計年度末比1億90百万円の減少、ソフトウエアが前連結会計年度末比2億11百万円の減少となったことによるものであります。
(負債の部)当連結会計年度末の負債総額は77億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億22百万円の減少となりました。これは主に、買掛金が前連結会計年度末比7億44百万円の減少、短期借入金が前連結会計年度末比5億96百万円の減少、長期借入金が前連結会計年度末比4億82百万円の減少となったことによるものであります。
(純資産の部)当連結会計年度末の純資産は130億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億65百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が前連結会計年度末比15億39百万円の増加、為替換算調整勘定が前連結会計年度末比1億35百万円の増加、非支配株主持分が前連結会計年度末比1億48百万円の増加となったことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は81億72百万円となり前連結会計年度末に比べ8億48百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、営業活動の結果増加した資金は30億70百万円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上29億48百万円、減価償却費の計上7億23百万円、売上債権の減少額10億17百万円によるものであります。主な減少要因は、仕入債権の減少額8億14百万円、法人税等の支払額9億5百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、投資活動の結果減少した資金は5億67百万円となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入8億47百万円によるものであります。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出2億68百万円、定期預金の預入による支出12億63百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において、財務活動の結果減少した資金は17億57百万円となりました。主な増加要因は、短期借入れによる収入11億19百万円によるものであります。主な減少要因は、短期借入金の返済による支出17億17百万円、長期借入金の返済による支出6億65百万円、配当金の支払額5億12百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
情報関連サービス事業
21,737,567
105.6
(注)1.当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への生産実績に関する情報の記載を省略しております。2.金額は製造原価によっております。
b. 受注状況当連結会計年度の受注状況は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
情報関連サービス事業
24,394,123
114.7
7,595,773
116.7
(注)当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への受注状況に関する情報の記載を省略しております。
c. 販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
情報関連サービス事業
31,734,588
106.3
(注)1.当社は情報関連サービス事業を単一のセグメントとして事業を行っております。そのため、製品及びサービスごとの外部顧客への売上高に関する情報の記載を省略しております。2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
イオンアイビス 株式会社
4,175,198
14.0
3,595,404
11.3
株式会社 マルエツ
3,984,845
13.3
3,417,146
10.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。 当社の事業運営上必要な運転資金、設備投資資金については、自己資金または、状況に応じた金融機関からの借入等により資金調達を行い、対応することとしております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8億65百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は81億72百万円となっております。(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率(%)
46.4
50.1
57.9
時価ベースの自己資本比率(%)
111.4
76.6
126.6
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
1.2
0.8
0.3
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
116.8
189.7
401.4
自己資本比率:自己資本/総資産×100 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産×100 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息・割引料 (注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。 3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。 4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象 としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a. 履行義務の充足に係る進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益受注制作のソフトウェア開発に関して、当連結会計年度末までの進捗部分について履行義務の充足が認められる案件(工期がごく短期間のものを除く)には、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法を適用しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、各報告期間の期末日までに発生した実績総製造原価が、予想される総製造原価に占める割合に基づいて行っております。当社グループでは、履行義務の充足に係る進捗度に基づき一定の期間にわたり認識する収益の適用にあたって、プロジェクト管理体制を整備し、適時・適切に総製造原価の見積りの見直しを行っており、売上高計上額には、相応の精度を確保していると判断しておりますが、将来の損益は見積金額と異なる場合があります。
b. 工事損失引当金受注制作ソフトウエア開発に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末において損失の発生が見込まれ、かつ、金額を合理的に見積ることができる案件について、損失見込額を計上しております。ただし、想定以上の費用が発生することによりプロジェクトの採算性が悪化する場合は、損失額が増加する可能性があります。
c. 市場販売目的のソフトウエアの減価償却の方法市場販売目的のソフトウエアの減価償却は、製品ごとに見込販売期間(3年以内)における見込販売収益に基づく償却額と販売可能な残存有効期間に基づく均等配分額を比較し、いずれか大きい額を計上する方法を採用しております。見込販売収益が減少した場合、ソフトウエアの減価償却費が増加する可能性があります。
d. 固定資産の減損固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能性まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。また、子会社の株式取得により発生したのれんについては、10年間で均等償却しておりますが、当該子会社の将来における収益によっては、減損処理が必要となる可能性があります。
e. 投資有価証券及び関係会社株式の評価市場価格のない投資有価証券及び関係会社株式については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産と取得価額とを比較して、1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損の要否を検討することとしております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券及び関係会社株式の減損処理が必要となる可能性があります。
f. 退職給付に係る負債従業員の退職給付費用については、各連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき引当計上しており、退職率、割引率、昇給率、死亡率等の見積りを加味して計上しております。見積数値と実績数値との差異や見積数値の変更は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
g. 繰延税金資産繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 経営方針、経営成績、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上高、売上高の前期増減率、営業利益及び営業利益率を重要な経営指標としており、その達成状況は以下の通りであります。
<連 結>
(単位:百万円)
2022年度実績
2022年度計画
2021年度実績
売上高
31,734
31,000
29,867
前期増減率
6.3%
3.8%
7.7%
営業利益
3,098
2,620
2,526
営業利益率
9.8%
8.5%
8.5%
売上高につきましては、国内小売業におけるDXのニーズの高まりと、既存顧客への更なる深耕が奏功したこと等により、計画及び前期実績を上回りました。営業利益と営業利益率につきましても、増収に伴い、計画及び前期実績を上回りました。今後も事業の持続的な成長を目指して経営数値目標の達成に取り組んでまいります。
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