【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。当社グループでは、2021年12月に行った、株式会社関西スーパーマーケットとの経営統合に伴い、株式会社関西フードマーケット、株式会社関西スーパーマーケット、株式会社KSPを「食品事業」に含めております。なお、前年実績には、上記3社は含まれておりません。
(1)経営成績の状況連結経営成績
(百万円)
20/9累計
21/9累計
22/9累計
金額
金額
金額
前年比
増減
百貨店事業
138,187
154,306
220,475
142.9%
+66,168
食品事業
147,600
149,228
205,832
137.9%
+56,604
商業施設事業
34,075
24,560
17,497
71.2%
△7,063
その他事業
15,750
15,976
17,740
111.0%
+1,763
総額売上高
335,614
344,072
461,546
134.1%
+117,473
売上高
335,614
237,020
304,425
128.4%
+67,405
百貨店事業
△3,456
△4,075
1,626
―
+5,701
食品事業
2,852
2,396
1,643
68.6%
△753
商業施設事業
△669
△6
867
―
+873
その他事業
△721
△2,348
△1,563
―
+784
調整額
△2,409
△1,114
△1,458
―
△344
営業利益(△は損失)
△4,405
△5,148
1,114
―
+6,262
経常利益(△は損失)
△4,400
△4,189
2,835
―
+7,024
特別利益
2,394
19,886
5,029
25.3%
△14,856
特別損失
11,468
4,809
3,144
65.4%
△1,664
親会社株主に帰属する四半期純利益(△は損失)
△10,102
8,085
2,790
34.5%
△5,295
※2022年3月期第1四半期連結会計期間の期首より収益認識に関する会計基準等を適用し、消化仕入契約に基づく売上高等の計上方法を変更しております。
なお、収益認識に関する会計基準等による影響を除外した従前の基準での売上高に相当する数値を「総額売上高」として記載しております。
>売上高当社グループの売上高は、304,425百万円(前期比128.4%)、収益認識に関する会計基準等による影響を除外した従前の基準での売上高に相当する総額売上高は461,546百万円(前期比134.1%)となりました。百貨店事業では新型コロナウイルス感染症による影響は残るものの、阪急本店が好調に推移した結果、国内既存店売上高はコロナ前の水準を上回り、前年のコロナ拡大に伴う営業制限の反動で売上高は大きく伸長しました。食品事業は、2021年12月に経営統合した株式会社関西スーパーマーケットの新規連結などにより、連結合計で大幅増収となりました。
>営業利益及び経常利益売上高増加に伴う粗利益の増加と百貨店事業で販売費及び一般管理費を計画より抑制した結果、営業利益は1,114百万円(前期は営業損失5,148百万円)となりました。経常利益は2,835百万円(前期は経常損失4,189百万円)となりました。
(百貨店事業)新型コロナウイルス感染症第7波の影響を受けたものの、消費意欲の回復傾向を受けて、売上高は回復しました。阪急本店では、通勤や外出機会の増加に伴い、婦人ファッションを中心に好調に推移しました。また、時計やラグジュアリーなどの高額商材も大幅に伸長しました。阪神梅田本店は、4月にグランドオープンを迎え、4フロアで展開する食を中心とした体験価値の強化に取り組み、幅広い顧客層の来店につながりました。販売費及び一般管理費については、新型コロナウイルス感染症に関する特別損失への振替額の減少や阪神梅田本店の開業に伴う減価償却費の増加、光熱費の高騰などにより、前年より増加しました。売上増加に伴う販売手数料の増加などの影響があったものの、宣伝費の抑制などのコスト削減に努めた結果、計画を下回りました。以上の結果、総額売上高は220,475百万円(前期比142.9%)、営業利益は1,626百万円(前期は営業損失4,075百万円)となりました。
(食品事業)食品事業は、総額売上高が205,832百万円(前期比137.9%)、営業利益は1,643百万円(前期比68.6%)となりました。 食品スーパーを経営するイズミヤ株式会社、株式会社阪急オアシス、株式会社関西スーパーマーケットは、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、前年のコロナ禍における内食需要増大の反動や物価上昇が消費者心理に影響を与えたことで、各社の既存店売上高は前年を下回りました。また、当第2四半期連結累計期間に新規出店を1店舗、改装を5店舗で実施しました。イズミヤ株式会社、株式会社阪急オアシスでは、徹底した業務標準化・省力化による生産性向上を目指し、屋号を超えたチラシ紙面や販促施策の統一や店舗フォーマットに応じた商品MDの策定と展開などの施策に取り組みました。既存店売上高前年同期比はイズミヤ株式会社が94.9%(客数94.7%、客単価100.2%)、株式会社阪急オアシスが91.0%(客数94.0%、客単価96.8%)となりました。販売費及び一般管理費については、2社ともに光熱費は増加した一方で、業務標準化・省力化への取り組みの中で人件費等コスト削減に取り組み、前年実績、計画ともに下回りました。株式会社関西スーパーマーケットでは、「健康経営」(保健師巡回による健康相談など)、「生産性の向上」(アウトパック仕入拡大、スライド棚設置、スチームコンベクション増設など)、「教育」(コンプライアンス、マニュアル・ルールのeラーニングなど)を3つの柱とし、施策を推進しました。既存店売上高前年同期比は96.5%(客数96.9%、客単価99.6%)となりました。販売費及び一般管理費については、光熱費が増加した一方で、消耗品費等の見直しにより、前年実績、計画ともに下回りました。惣菜やベーカリーを製造する食品製造子会社は、食品スーパー各社への卸売上が増加しました。また、専門店の前年の休業反動により売上が伸長し、増収増益となりました。
(商業施設事業)商業施設事業は、総額売上高17,497百万円(前期比71.2%)、営業利益867百万円(前期は営業損失6百万円)となりました。イズミヤ店舗における衣料品・住居関連品販売及びテナント管理を行う株式会社エイチ・ツー・オー 商業開発において、直営売り場の縮小により減収となったものの、運営効率化によるコスト削減を進めたことから増益となりました。ビジネスホテルを運営する株式会社大井開発では、客室稼働率の回復が進み、増収増益となりました。
(その他事業)その他事業は、総額売上高17,740百万円(前期比111.0%)、営業損失1,563百万円(前期は営業損失2,348百万円)となりました。専門店子会社において、前年よりも休業店舗数・期間が縮小したことなどから増収となるなど、持株会社である当社を除いたその他事業の子会社で、555百万円の増益となり、その他事業としては増益となりました。
>親会社株主に帰属する四半期純利益固定資産売却益4,973百万円など特別利益を5,029百万円計上した一方で、店舗等閉鎖損失1,400百万円や固定資産除却損707百万円など特別損失を合計3,144百万円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,790百万円(前期比34.5%)となりました。
特別損益の状況 (百万円)
科目
金額
主な内容
特別利益
5,029
(対前年△14,856百万円)
固定資産売却益
4,973
旧本社事務所売却等
助成金収入
55
休業協力金等
特別損失
3,144
(対前年△1,664百万円)
店舗等閉鎖損失
1,400
エイチ・ツー・オー 商業開発等
固定資産除却損
707
阪急阪神百貨店等
新型コロナウイルス感染症 による損失
380
阪急阪神百貨店等
開発中止損失
279
エイチ・ツー・オー リテイリング
事務所移転費用
273
エイチ・ツー・オー リテイリング・阪急阪神百貨店 事務所移転
新店舗開業費用
102
阪神梅田本店
(2)財政状態
(百万円)
21/9末
22/3末
22/9末
21/9末
22/3末
22/9末
現金及び預金
52,597
34,724
31,012
支払手形及び買掛金
39,777
56,839
54,547
受取手形及び売掛金
47,793
59,906
60,495
借入金及び社債
188,307
175,382
181,729
棚卸資産
22,359
22,639
22,004
負債合計
378,579
393,620
398,619
流動資産合計
132,477
129,725
124,057
株主資本
199,903
202,030
203,100
固定資産合計
487,634
524,832
549,175
純資産合計
241,532
260,938
274,613
資産合計
620,111
654,558
673,233
負債純資産合計
620,111
654,558
673,233
(3)設備投資の状況(百万円)
金額
主な内容
百貨店事業
6,518
神戸阪急改装
食品事業
2,373
阪急オアシス新規出店、イズミヤ店舗改装
商業施設事業
598
その他事業
9,574
エイチ・ツー・オー リテイリング 土地・建物購入
調整額
△81
合 計
18,982
(4)キャッシュ・フローの状況(百万円)
主な項目
20/9
21/9
22/9
営業活動によるキャッシュ・フロー
△2,796
△3,005
4,742
税金等調整前四半期純利益(△は損失)
△13,474
10,887
4,719
減価償却費
8,695
8,486
9,289
減損損失
5,810
―
―
投資有価証券売却損益(△は益)
△0
△6,485
―
固定資産売却損益(△は益)
0
△11,108
△4,973
売上債権の増減額(△は増加)
△2,148
6,605
△567
棚卸資産の増減額(△は増加)
3,689
994
484
仕入債務の増減額(△は減少)
△2,099
△9,253
△2,356
法人税等の支払額
△1,157
△1,521
△2,467
投資活動によるキャッシュ・フロー
△10,936
9,159
△12,031
有形固定資産の取得による支出
△7,140
△11,456
△17,686
無形固定資産の取得による支出
△2,282
△1,145
△2,885
投資有価証券の売却及び償還による収入
―
9,386
―
長期貸付けによる支出
△1,376
△2,533
―
長期貸付金の回収による収入
94
111
2,960
有形固定資産の売却による収入
77
14,863
5,474
財務活動によるキャッシュ・フロー
15,325
△3,989
3,194
短期借入金の純増減額(△は減少)
18,500
―
2,000
長期借入れによる収入
―
―
5,000
長期借入金の返済による支出
△237
△244
△715
配当金の支払額
△2,472
△1,546
△1,540
営業CF+投資CF+財務CF
1,592
2,164
△4,094
現金及び現金同等物の期末残高
27,410
52,597
29,862
(5)経営方針・経営戦略等当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした急激な社会環境・消費環境の変化に対応していくため、2021年7月28日に2021~23年度を対象期間とする新たな中期経営計画を策定・公表いたしました。コロナ禍で加速・顕在化した「急速なデジタル化・オンライン化」、「生活者やビジネスパートナーとダイレクトにつながるネットワーク型社会への移行」、「都心立地の優位性の揺らぎ」といった環境変化に対し、グループが目指すビジネスモデルとして「コミュニケーションリテイラー」を掲げ、リアル店舗とデジタル技術を融合したビジネススタイル(OMOスタイル)の構築や、顧客とのコミュニケーションを起点とした新たなビジネスへの変革、収益源の多角化とグループ収益構造の再構築が喫緊の課題と認識し、2021~23年度の重点取り組みとして以下の点に注力して参ります。・百貨店事業の再建: OMOスタイルの確立、コスト構造改革・食品事業の「第2の柱」化: SM事業の再構築、製造事業との一体運営、アライアンスによる事業力強化・新市場への展開: 寧波阪急事業確立、寧波・浙江省事業展開・新事業モデルへの挑戦: 関西エリアにおけるオンラインを軸としたサービス事業化、顧客データのプラットフォーム化と活用・基盤となるIT・デジタル化の推進・サステナビリティ経営の推進: 地域の絆・子ども・自然環境を重点とした方針策定と取り組み、気候関連課題に対する目標設定と開示充実
(6)事業上及び財務上の対処すべき課題大型プロジェクト投資と新型コロナウイルス感染症に起因する収益環境の悪化により有利子負債が近年増加傾向にありましたが、非店舗物件を中心とした利用率の低い不動産や政策保有株式の売却等を進め、追加借入を行うことなく今後の投資資金を確保して参ります。こうしたバランスシートのスリム化と利益水準の回復を通じて、2023年度に営業利益170億円、ROE2.6%、ROIC3.0%の水準を目指します。
(7)研究開発活動特記事項はありません。