【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績に関する説明当第2四半期連結累計期間(以下、当期)におけるわが国経済は、コロナ禍からの脱却が進み社会経済活動が正常化する中で景気は緩やかな改善傾向にあります。余暇市場では人流が戻り、夏休みの国内旅行や訪日観光客によるインバウンド消費がコロナ前水準にまで回復するなどサービス業を中心に景気を下支えしています。当社グループは2026年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画をスタートしました。グループの企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現に向けて、「グローバルコンテンツビジネス企業への挑戦」に向けた取り組みを着実に推し進めております。成長領域であるコンテンツ&デジタル事業では、映像作品の展開、テーマパーク展開、マーチャンダイジング展開を3軸とした好循環による「中国・ASEAN地域での円谷ブランド確立」と、保有IPの価値向上を目指しております。また、収益基盤としてのPS事業では、より中長期的な視点に立ち「全国展開している業界唯一のディストリビューターの使命である、レジャーとしてのPSセクターの健全な発展に貢献」するため、メーカーに対しては全国のファン・ホールから収集した膨大な定性的・定量的情報に加え、ファンが望むヒットに繋がるIPの提供、またホールに対してはファンに支持される商品の安定供給に加え、全国から収集したファンのニーズに関する情報を地域毎にカスタマイズして提供しております。この施策を通じて、最終的にはクオリティの高いパチンコ・パチスロ機を毎月1タイトルずつ提供できる体制の構築を目指しております。当期は中期経営計画に沿った事業活動の結果、前年同期比で大幅な増収増益となりました。引き続き本中期経営計画に則り様々な施策に取り組むことで盤石な経営基盤を確立し、持続的な成長を目指して参ります。
当期の連結業績は売上高67,015百万円(前年同期比58.7%増)、営業利益5,370百万円(同52.0%増)、経常利益5,907百万円(同57.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,123百万円(同62.6%増)となりました。なお、当第2四半期よりダイコク電機(株)が持分法適用関連会社となったことから持分法による投資利益として395百万円が計上されております。
各セグメントの概況は、以下の通りです。
コンテンツ&デジタル事業セグメント [表1:(株)円谷プロダクション事業収入の推移]
(単位:百万円)
2022年4月-9月(前第2四半期累計期間)
2023年4月-9月(当第2四半期累計期間)
増減率(%)
海外MDライセンス収入
1,294
2,348
+81.4%
うち中国
1,026
2,103
+104.9%
国内MDライセンス収入
1,009
1,085
+7.5%
MDライセンス収入合計
2,304
3,434
+49.0%
映像事業収入
1,299
1,279
△1.5%
中国MDライセンス収入:21.0億円(対前年同期 104.9%増)トレーディングカードが引き続き業績をけん引する中で、ブロック玩具も好調で当期の中国MDライセンス収入は対前年同期比で2倍程度の増収となりました。中でも昨年から玩具以外のカテゴリーを拡充するため新規ライセンシーの獲得に取り組んだ結果、アパレルや文具など玩具以外のカテゴリーは前年同期から大きく拡大しております。
国内MDライセンス収入:10.8億円(対前年同期 7.5%増)来場者が7万人を超え大盛況だった『ウルトラヒーローズEXPO 2023 サマーフェスティバル』を筆頭に、行動制限解除を受けて夏休みの各種イベントやライブショーの集客は前年を大きく上回り、物販も好調でした。7月にオープンした西武園ゆうえんちのアトラクションでもオリジナル商品が人気となりました。ウルトラマン以外でも3月に公開し52万人を動員した映画『グリッドマン ユニバース』関連商品が好調でした。
以上の結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントの当期業績は、売上高7,409百万円(前年同期比22.5%増)、営業利益1,980百万円(同22.1%増)となりました。
PS事業セグメントフィールズ(株)では当期の販売タイトルが好調で、パチンコ8.5万台、パチスロ4.0万台、合計12.6万台(前年同期比+4.1万台)の販売実績となりました。主な販売タイトルは下表3の通りです。[表2:PS事業セグメントの遊技機販売台数]
2022年4月-9月(前第2四半期累計期間)
2023年4月-9月(当第2四半期累計期間)
増減(台数)
パチンコ
56,814台
85,748台
+28,934台
パチスロ
27,544台
40,277台
+12,733台
合計
84,358台
126,025台
+41,667台
[表3:2024年3月期第2四半期までの主な販売タイトル]
区分
主な販売タイトル
納品月
計上台数
パチンコ
P コードギアス 反逆のルルーシュ Rebellion to Re;surrection
5月
2.0万台
8.5万台
P 百花繚乱
9月
1.0万台
その他、シリーズ機や再販など
–
5.5万台
パチスロ
L ベルセルク無双
6月
1.4万台
4.0万台
S 織田信奈の野望 全国版
7月
0.6万台
L エヴァンゲリオン ~未来への創造~
10月
1.6万台
その他
–
0.3万台
合計
12.6万台
上記に加え、ホールの基幹機種としてファンから高い支持を得ているパチンコ『新世紀エヴァンゲリオン ~未来への咆哮~』の再販(2.4万台)や同機種をより遊びやすくしたライトスペック(1.0万台)も販売致しました。その他、新規IPの取得、遊技機の開発・製造体制の整備・強化をはじめ中期経営計画の達成に向けた各種取り組みが順調に進捗しております。
以上の結果、PS事業セグメントの当期の業績は売上高59,022百万円(前年同期比67.0%増)、営業利益4,506百万円(同133.1%増)となりました。
その他事業その他事業の当期業績は、売上高805百万円、営業利益20百万円となりました。
(2) 今後の見通しについてコンテンツ&デジタル事業セグメント中期経営計画の達成に向け、今期は後述のように3年後を見据えた足場固めを計画通りに進めております。
Netflixと(株)円谷プロダクションの共同製作による2024年公開のCGアニメーション長編映画のタイトルは『ULTRAMAN: RISING』となりました。CGアニメーション制作は、スターウォーズ等で実績のあるIndustrial Light & Magic社(ジョージ・ルーカスが設立。エミー賞3回、アカデミー視覚効果賞15回受賞)が手掛けております。この映像作品により、まだウルトラマンの認知度が低い北米での新たなファンの獲得が期待できます。本映像作品にあわせた北米での商品展開に向け5月にロサンゼルスに子会社を設立し、パートナー企業と準備を進めております。
中国では、新設された鄭州市「鄭州オーシャンパーク」内にウルトラマンエリアが10月にオープンしました。中国で初めてとなるウルトラマンと怪獣をテーマにした複数のアトラクションが設置され、来年初には同テーマパーク併設施設としてホテル、レストランやショップなどの施設が揃う「ウルトラマンタウン」がオープンする予定です。また、国内でも12月に東京ドームシティで体験型VRアトラクション「ウルトラセブン THE ATTRACTION 史上最速の作戦」がオープン予定です。
本年10月には、グローバルで拡大を続けるカードゲーム市場に本格参入すべく、世界展開を見据えた新たな『ウルトラマン カードゲーム』の事業について発表しました。11月24、25日にシンガポールで開催されるAFA(Anime Festival Asia)を皮切りに、順次世界各国でお披露目して参ります。なお、現在中国で人気を博しているカードゲームは商品設計や対象ユーザー等が異なるため、引き続き積極的な展開を続けて参ります。
デジタルサービス領域では、現在ウルトラマンシリーズや怪獣のコンテンツを活用した各種ゲームの企画開発を推進しており、来年度中には全世界を対象に複数のゲームアプリをリリースする予定です。
また、多様な消費者ニーズに応えるための販売チャネル拡充策として、新たに海外でのEC展開の検討を始めております。
デジタル・フロンティア最先端の映像制作技術を誇る(株)デジタル・フロンティアは、Netflix、大型アニメ映画やゲーム案件の順調な受注に加え、デジタルアセットを活用したWEBサービス等も積極的に展開しております。
PS事業セグメント遊技機業界では昨年より導入された6.5号機及びスマートパチスロにおいてヒット機が登場しパチスロが市場全体をリードしております。こうしたなか、パチンコでも下半期にかけて話題性のある機種が順次導入予定であり、ホールおよびファンからは市場活性化に向け期待が寄せられております。フィールズ(株)は第3四半期に向けて現在パチンコ2機種、パチスロ2機種を販売しております。シリーズ最新作『ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン』は6万台の販売計画を大きく上回るご注文をいただき既に完売致しました。またプライベートブランド初のスマートパチスロ『L リングにかけろ 1 V』も計画を超えて1.8万台完売致しました。その他販売中の機種ならびに第4四半期の販売準備も計画通り進捗しております。
現時点では2024年3月期の連結業績予想達成に向け順調であり、5月15日公表の内容から変更はありません。
(注1)本報告書に記載の数値は各社・各団体の公表値または当社推計によるものです。(注2)本報告書に記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
(3) 財政状態の状況
(資産)流動資産は、71,236百万円と前連結会計年度末比12,367百万円の増加となりました。これは主に売上債権の増加によるものです。 有形固定資産は、5,560百万円と前連結会計年度末比265百万円の増加となりました。これは主に建物及び構築物の増加によるものです。 無形固定資産は、2,717百万円と前連結会計年度末比170百万円の減少となりました。これは主にのれんの減少によるものです。 投資その他の資産は、16,326百万円と前連結会計年度末比2,485百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加によるものです。 以上の結果、資産の部は95,841百万円と前連結会計年度末比14,948百万円の増加となりました。
(負債)流動負債は、42,609百万円と前連結会計年度末比12,120百万円の増加となりました。これは主に仕入債務の増加によるものです。 固定負債は、9,650百万円と前連結会計年度末比1,064百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。 以上の結果、負債の部は52,260百万円と前連結会計年度末比13,184百万円の増加となりました。
(純資産)純資産の部は、43,581百万円と前連結会計年度末比1,764百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の減少および非支配株主持分の増加によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,567百万円減少し、27,929百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、2,448百万円(前年同期は2,083百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益5,886百万円、売上債権の増加15,522百万円、仕入債務の増加14,985百万円、棚卸資産の増加4,078百万円、未収入金の増加2,098百万円、法人税等の支払額1,587百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、4,675百万円(前年同期は1,462百万円の支出)となりました。これは主に持分法適用関連会社株式取得による支出3,167百万円、固定資産の取得による支出744百万円、投資有価証券の取得による支出411百万円、貸付けによる支出320百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、1,443百万円(前年同期は4,291百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額1,959百万円、長期借入金の返済による支出1,877百万円、長期借入れによる収入2,950百万円、短期借入金の純減額549百万円によるものです。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
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