【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1~12月)の我が国経済は、新型コロナウイルスの感染動向に左右されつつも行動制限は緩和されるなど、社会経済活動の正常化が徐々に進み、国内景気は緩やかな回復傾向を示しました。しかし一方では、ロシア・ウクライナ問題に起因したエネルギー価格の上昇や供給面での様々な制約等による物価の上昇、またそれに伴う金融資本市場の急激な変動により、全体としては先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の中、マスク関連事業においては、産業用マスクの需要が年間を通して堅調に推移したことに加え、医療機関向け感染対策用マスクの受注総数が、期初計画及び前年度実績を上回る結果となりました。
また環境関連事業においても、オープンクリーンシステム「KOACH」の大型機種「フロアーコーチ」の納入が順調に進み、売上高を大きく押し上げました。
これらの結果、売上高は106億4百万円(前連結会計年度は102億3百万円)となり、3期連続で過去最高額を更新しました。
利益については、稼働率の向上とともに生産技術の改善による原価率の低減に注力し、全社を挙げた経費圧縮に努めた結果、営業利益11億84百万円(前連結会計年度は9億45百万円)、経常利益11億60百万円(前連結会計年度は9億22百万円)となり、期初計画、前連結会計年度実績を上回りました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は8億33百万円(前連結会計年度は8億62百万円)となり、期初計画を上回りましたが、マスク新製造設備補助金2億60百万円を特別利益として計上した前連結会計年度実績には至りませんでした。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において増減額及び前連結会計年度比(%)を記載せずに説明しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」をご参照ください。
セグメントの業績は次の通りであります。
当社グループは、これまで報告セグメントを「マスク関連事業」と「その他事業(環境関連事業等を含む)」として開示してまいりましたが、このたびオープンクリーンシステム「KOACH」を主要製品とする「環境関連事業」の売上高が全事業の10%を超え、今後も事業の柱として着実な成長が見込まれることから、当連結会計年度より「環境関連事業」として、独立して開示することといたしました。
(マスク関連事業)
産業用の防じんマスク・防毒マスクの需要については、当連結会計年度中においても回復基調が続き、特に溶接用では、金属アーク溶接等作業について健康障害防止措置が義務付けられたことにより、安全性(防護性)の高い電動ファン付き呼吸用保護具が選ばれ、販売は堅調に推移しました。
また感染対策用マスクについては、感染拡大が繰り返されたことにより増加した受注残を解消すべく、高稼働率の生産体制を維持し、最大限の供給を継続しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は90億46百万円(前連結会計年度は89億80百万円)となりました。
(環境関連事業)
オープンクリーンシステム「KOACH」の大型機種「フロアーコーチ」は、その清浄度の高さ、低コスト、低消費電力という圧倒的な優位性に加え、短納期での設置が可能であること等、既存のクリーンルームにはない特長が市場で評価されています。内容を充実させたユニークなリモートライブ営業を展開したことが奏功し、全国の様々な機関への周知が進み、新規設備投資案件に幅広く組み込まれました。これにより、販売台数、売上高ともに大幅増を実現し、当事業全体の売上高は12億52百万円(前連結会計年度は9億15百万円)となりました。
(その他事業)
コロナ禍における医療機関の現場実態を考慮し、自動ブラッシング機能付き内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍ⅡG」の販売活動に取り組みました。これにより当事業全体の売上高は3億5百万円(前連結会計年度は3億7百万円)に留まりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、205億68百万円(前連結会計年度末196億円)となり9億67百万円増加いたしました。これは主に、流動資産が原材料及び貯蔵品の増加と、商品及び製品の増加等により12億61百万円増加したことと、有形固定資産が建物及び構築物の減少と、リース資産の減少等により3億66百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、87億49百万円(前連結会計年度末84億87百万円)となり2億62百万円増加いたしました。これは主に、流動負債が1年内返済予定の長期借入金及び未払法人税等の増加等により3億2百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、118億18百万円(前連結会計年度末111億13百万円)となり、自己資本比率は57.5%(前連結会計年度末56.7%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、23億86百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億98百万円増加いたしました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6億18百万円(前連結会計年度は6億55百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が11億60百万円となったことと、減価償却費5億94百万円、売上債権の増加額4億5百万円、棚卸資産の増加額5億94百万円、法人税等の支払額2億72百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億84百万円(前連結会計年度は1億47百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1億67百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2億91百万円(前連結会計年度は1億76百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入14億円、長期借入金の返済による支出12億33百万円、配当金の支払額1億76百万円等によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度より、「その他事業」に含まれていた「環境関連事業」について量的な重要性が増したため、報告セグメントとして記載する方法に変更しています。
このため、以下の前年同期比は前年同期の数値を変更後の区分に組み替えた金額で比較しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比
(%)
マスク関連事業(千円)
9,181,527
103.2
環境関連事業(千円)
1,314,500
150.9
その他事業(千円)
285,538
90.2
合計(千円)
10,781,565
106.9
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比
(%)
マスク関連事業(千円)
9,046,055
100.7
環境関連事業(千円)
1,252,130
136.7
その他事業(千円)
305,958
99.6
合計(千円)
10,604,143
103.9
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ミドリ安全用品㈱
1,121,163
11.0
1,135,549
10.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において増減額及び前連結会計年度比(%)を記載せずに説明しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当連結会計年度は、売上高106億4百万円(前連結会計年度は102億3百万円)、営業利益11億84百万円(前連結会計年度は9億45百万円)、経常利益11億60百万円(前連結会計年度は9億22百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益8億33百万円(前連結会計年度は8億62百万円)となりました。
a.売上高
売上高は、106億4百万円(前連結会計年度は102億3百万円)となりました。売上高の詳細については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りです。
b.売上原価
売上原価は、56億11百万円(前連結会計年度は55億56百万円)となりました。稼働率の向上とともに生産技術の改善による原価率の低減に注力した結果、売上原価率は52.9%(前連結会計年度は54.5%)となりました。
c.販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、連結営業利益の増加に伴う賞与引当金繰入額の引き上げ等を主因として、38億8百万円(前連結会計年度は37億1百万円)、売上高販管費率は35.9%(前連結会計年度は36.3%)となりました。
d.営業利益
営業利益は、11億84百万円(前連結会計年度は9億45百万円)となり、売上高営業利益率は11.2%(前連結会計年度は9.3%)となりました。
e.営業外損益
営業外収益は、50百万円となり、前連結会計年度に比べ1百万円増加いたしました。
営業外費用は、74百万円となり、前連結会計年度に比べ2百万円増加いたしました。
f.経常利益
経常利益は、11億60百万円(前連結会計年度は9億22百万円)となりました。
g.特別損益
特別利益は、当連結会計年度、発生しませんでした。前連結会計年度は、マスク新製造設備補助金2億60百万円を計上しております。
特別損失は、前連結会計年度に比べ7百万円減少し、0百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億33百万円(前連結会計年度は8億62百万円)となりました。
(財政状態の分析)
a.総資産
総資産は、前連結会計年度に比べ9億67百万円増加し、205億68百万円となりました。
b.流動資産
流動資産は、前連結会計年度に比べ12億61百万円増加し、92億49百万円となりました。これは主に、商品及び製品が3億4百万円増加したことと、原材料及び貯蔵品が2億93百万円増加したこと等によるものです。
c.固定資産
固定資産は、前連結会計年度に比べ2億93百万円減少し、113億18百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が1億46百万円減少したことと、リース資産が1億36百万円減少したこと等によるものです。
d.負債
流動負債は、前連結会計年度に比べ3億2百万円増加し、44億10百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1億16百万円増加したことと、未払法人税等が93百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度に比べ40百万円減少し、43億38百万円となりました。これは主に、リース債務が1億8百万円減少したことと、長期借入金が50百万円増加したこと等によるものです。
e.純資産
純資産合計は、前連結会計年度に比べ7億5百万円増加し、118億18百万円となりました。これは主に、利益剰余金合計が6億48百万円増加したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の56.7%から57.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ36百万円減少し、6億18百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は主に、売上債権が2億95百万円減少したこと、棚卸資産が7億93百万円増加したこと、仕入債務が1億20百万円増加したこと、設備投資に対する補助金収入の減少額2億60百万円等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ3億31百万円減少し、1億84百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は主に、有形固定資産の売却による収入が1億36百万円減少したこと、設備投資に対する補助金の受取額の減少額2億60百万円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ1億15百万円減少し、2億91百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は主に、自己株式の取得による支出が1億48百万円増加したこと等によるものです。
b.資金需要
運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の購入のほか、製造費、営業費用及び法人税等の支払等であります。投資の目的とした資金需要の主なものは、機械設備及び工具器具備品等の購入などの設備投資です。
c.財務政策
当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施する為の資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
運転資金及び設備投資資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は61億31百万円、現金及び現金同等物の残高は23億86百万円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。
(4)経営戦略の現状及び見通し
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。
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