【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第1四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第1四半期連結累計期間における世界経済は、サプライチェーンの回復が進み、自動車生産台数が回復に向かう等、緩やかに持ち直しの動きが見られますが、エネルギー価格の高騰や物価の上昇によるインフレが継続しています。世界的に金融引締め政策が実施されており、景気下振れリスクや、金融市場の変動等、先行き不透明な状況が続いています。このような経済状況の中、当社グループでは、主としてハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売数量が増加していることや、販売価格是正の取組を進めていることにより、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,205億40百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて91億11百万円増加(8.2%)しました。これに伴い、営業利益は48億36百万円(のれん等償却前営業利益は49億47百万円)と前第1四半期連結累計期間に比べて12億65百万円増加(35.5%)しました。経常利益は持分法による投資損益や為替差損益の改善等により、49億35百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて26億89百万円増加(119.7%)しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は16億49百万円と、前第1四半期連結累計期間に比べて10億37百万円増加(169.3%)しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当第1四半期連結会計期間より、一部の連結子会社のセグメントを変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項」(セグメント情報等)に記載のとおりです。
(自動車電池)国内における売上高は、新車販売台数の回復に伴い、新車用電池の販売数量が前年同期を上回ったことに加え、販売価格是正の取組を進め、196億1百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ19億7百万円増加(10.8%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、10億28百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて69百万円増加(7.3%)しました。海外における売上高は、主にアセアンにおける販売数量減少の影響を受け、583億55百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて16億12百万円減少(△2.7%)しました。セグメント損益は、インフレによるコスト増に対する価格転嫁の取組を進めましたが、27億62百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて2億59百万円減少(△8.6%)しました。これにより、国内・海外合算における売上高は、779億56百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて2億95百万円増加(0.4%)しました。セグメント損益(のれん等償却前)は、37億90百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて1億89百万円減少(△4.8%)しました。
(産業電池電源)売上高は、前期より進めている販売価格是正の取組により、179億13百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて8億78百万円増加(5.2%)しました。セグメント損益は、1億52百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて6億88百万円改善しました。
(車載用リチウムイオン電池)売上高は、ハイブリッド車用リチウムイオン電池の販売数量が増加したことにより、194億62百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて71億4百万円増加(57.5%)しました。セグメント損益は、4億37百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて54百万円増加(14.2%)しました。
(その他)売上高は、航空機用電池の販売が好調に推移し、52億8百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて8億32百万円増加(19.0%)しました。全社費用等調整後のセグメント損益は5億66百万円と前第1四半期連結累計期間に比べて5億59百万円増加しました。
(2) 財政状態の分析総資産は、売上債権の回収による減少がありましたが、棚卸資産の増加や保有株式の時価評価による増加等により、5,506億32百万円と前連結会計年度末に比べて97億25百万円増加しました。負債は、借入金が減少したものの、仕入債務および設備関係電子記録債務の増加等により、2,734億10百万円と前連結会計年度末に比べて33億93百万円増加しました。純資産は、配当金の支払がありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加や為替レートの変動による為替換算調整勘定の増加等により、2,772億22百万円と前連結会計年度末に比べて63億31百万円増加しました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は30億43百万円であります。また、自動車電池、産業電池電源、車載用リチウムイオン電池、その他の事業について、当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について当社は、企業理念及び経営ビジョンを次のとおり定めております。[企業理念]『革新と成長』-GS YUASAは、社員と企業の「革新と成長」を通じ、人と社会と地球環境に貢献します。[経営ビジョン]GS YUASAは、電池で培った先進のエネルギー技術で世界のお客様へ快適さと安心をお届けします。
当社グループは、新たな価値を創造し続けるエネルギー・デバイス・カンパニーを目指し、「モノ・コトづくり」をキーワードに新しい価値創造を通じて、鉛電池事業とリチウムイオン電池事業それぞれの持続的成長に繋がる戦略的な企業活動を行ってまいります。GSユアサでは企業理念である「革新と成長を通じ、人と社会と地球環境に貢献する」を実践することが事業の持続的な成長に結びつくものとしています。CSR課題を事業戦略に取り込んだビジネスプロセスを確立し、財務・非財務の両面で経営の質を向上させ、事業と社会のサステナブルグロース(持続可能な成長)を目指してまいります。当社グループは、2023年4月に長期ビジョン「Vision2035」並びに「第六次中期経営計画」を策定いたしました。第六次中期経営計画をVision2035で描くありたい姿の実現に向けた変革のための土台作りの期間と位置づけ、事業構造変革に向けた以下の諸施策を実行して参ります。①BEV用電池開発・本田技研工業㈱との合弁会社を活用した高容量・高出力なリチウムイオン電池開発・モビリティ・社会インフラビジネス拡大のためのBEV用電池生産/供給体制整備②既存事業の収益力強化・徹底した付加価値創出と収益性改善・国内産業電池電源事業における圧倒的な優位性による利益の最大化・中国事業見直しを含む地域戦略の転換、主要拠点へのリソース集中と利益の最大化③DX/新規事業・事業構造転換を可能にするDX推進・社会課題解決に貢献する新規事業創出