【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財務状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間のわが国経済は、個人消費や設備投資が上向くなど景気は緩やかに回復しました。世界経済は、中国で個人消費や輸出が低迷し景気の減速感が強まったほか、欧米でも物価高や金融引き締めを背景に景気の先行きに対する不透明感が高まりました。このような状況下、当社グループは、本年度より新経営計画「Mission 2030」をスタートいたしました。新たに制定したビジョンを拠り所に「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つを成長戦略として、2030年度をゴールに財務・非財務の双方に重点をおいた取り組みを実行して企業価値向上につなげていくものです。成長戦略の中核をなす「事業価値創造」では、当社の持つ卓越した技術に裏付けられた「スペシャリティ」に、社会の要請である「メガトレンド」、そして事業運営の必須要件である「サステナビリティ」を加えた3要素を併せ持つ事業を「3つ星事業」と定義し、当社グループのポートフォリオを集中いたします。また、社員一人ひとりが共感力を発揮し、自己実現と成長を実感できる企業を目指すとともに、ESG経営の観点からコーポレートガバナンスの高度化などを通じた経営基盤の更なる強化に取り組むことで、人財価値と経営価値を高めてまいります。当第2四半期連結累計期間の業績は、前年度に実施した価格改定の効果や円安による手取り増がありましたが、電子・先端製品やクロロプレンゴムなど主力製品の販売数量が減少し、売上高は1,913億69百万円と前年同期に比べ115億58百万円(5.7%)の減収となりました。利益面では、営業利益は105億35百万円(前年同期比77億72百万円減、42.5%減益)となり、経常利益は80億87百万円(前年同期比89億33百万円減、52.5%減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は65億59百万円(前年同期比77億67百万円減、54.2%減益)となりました。
<電子・先端プロダクツ部門>高純度導電性カーボンブラックは、xEV向けは底堅く推移しましたが、高圧ケーブル向けは工事の遅れによる一時的な減少があり減収となりました。球状アルミナは、xEV向けは需要が回復傾向にあるものの、民生向けの需要は低調が続き減収となりました。このほか、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーは、パソコン、スマートフォンなど民生向けの需要減により減収となり、自動車産業用向けの金属アルミ基板“ヒットプレート”やLED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の販売も前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は416億99百万円(前年同期比57億90百万円(12.2%)減収)となり、営業利益は48億86百万円と前年同期に比べ47億40百万円(49.2%)の減益となりました。
<ライフイノベーション部門>POCT検査試薬は、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットは前年を下回りましたが、インフルエンザの流行により新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時診断キットが増加し、増収となりました。また、その他の検査試薬も前年を上回り、インフルエンザワクチンの出荷は前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は222億11百万円(前年同期比3億18百万円(1.5%)増収)となり、営業利益は66億14百万円と前年同期に比べ94百万円(1.5%)の増益となりました。
<エラストマー・インフラソリューション部門>クロロプレンゴムは、価格面では昨年度に実施した段階的な価格改定が寄与したほか円安による手取り増がありましたが、販売数量は全般的な需要の減少があり、減収となりました。このほか、特殊混和材などの販売は前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は572億18百万円(前年同期比56億81百万円(9.0%)減収)となり、16億44百万円の営業損失(前年同期は営業利益12億93百万円)となりました。
<ポリマーソリューション部門>デンカシンガポール社のMS樹脂は、販売数量が前年を上回り増収となりました。一方、スチレンモノマーは原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しを行ったことから減収となり、透明樹脂は中国経済減速の影響を受け販売数量が減少しました。このほか、食品包材用シートおよびその加工品や、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売は低調に推移しました。この結果、当部門の売上高は614億64百万円(前年同期比21億54百万円(3.4%)減収)となり、2億80百万円の営業損失(前年同期は営業損失1億53百万円)となりました。
<その他部門>YKアクロス株式会社等の商社は、取扱高が前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は87億75百万円(前年同期比17億49百万円(24.9%)増収)となり、営業利益は7億74百万円と前年同期に比べ5億60百万円(42.0%)の減益となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ349億59百万円増加の6,271億18百万円となりました。流動資産は、売上債権の増加などにより前連結会計年度末に比べ224億62百万円増加の2,742億55百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ124億97百万円増加の3,528億63百万円となりました。負債は、有利子負債の増加などにより前連結会計年度末に比べ187億63百万円増加の3,105億70百万円となりました。非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ161億96百万円増加の3,165億47百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の50.1%から49.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、204億10百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億11百万円の増加となりました。なお、当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加などにより、19億95百万円の支出となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資の支払いの減少などにより、前年同期比27億29百万円支出減の161億94百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、173億68百万円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等2023年6月22日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した内容から重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、78億3百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。