【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財務状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間のわが国経済は、個人消費や設備投資が上向くなど景気は持ち直しの動きがみられましたが、資源価格が一段と高騰したほか円安が急激に進行し、先行きに対する不透明感が高まりました。世界経済は、各国で物価の上昇が進み、ウクライナ危機の長期化や中国の経済活動抑制などもあり減速感が強まっています。このような経済環境のもと、当社グループは、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」を掲げ、2018年度より5か年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。また、2021年度からの2年間では、次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置づけ、「社会にとってかけがえのない存在」になるための第一歩として、「事業」「環境」「人財」に関する3つの「Value-Up」に取り組んでおります。この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、中国経済減速や自動車減産などの影響による需要減がありましたが、原材料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行ったほか円安による手取り増があり、売上高は2,029億28百万円と前年同期に比べ117億84百万円(6.2%)の増収となりました。利益面では、交易条件の悪化やスペシャリティー化進展のためのコスト増があり、営業利益は183億8百万円(前年同期比69億16百万円減、27.4%減益)となり、経常利益は170億20百万円(前年同期比66億30百万円減、28.0%減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は143億27百万円(前年同期比37億17百万円減、20.6%減益)となりました。
<電子・先端プロダクツ部門>球状アルミナの販売は、xEV向けは一時的な減少がありましたが、5G関連やデータセンター向けが堅調に推移し概ね前年並みとなりました。高純度導電性カーボンブラックは販売価格の改定により増収となり、電子部品・半導体関連分野向け高機能フィルムや球状溶融シリカフィラーの販売も概ね堅調となりました。一方、自動車産業用向けの金属アルミ基板“ヒットプレート”やLED用サイアロン蛍光体“アロンブライト”の出荷は前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は474億89百万円(前年同期比36億76百万円(8.4%)増収)となり、営業利益は96億26百万円と前年同期に比べ4億35百万円(4.7%)の増益となりました。
<ライフイノベーション部門>インフルエンザワクチンの出荷は生産能力を増強したことから前年を上回りました。一方で、新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット“クイックナビ™ -COVID19 Ag”は、地方自治体を通じた高齢者施設への配布や家庭や職場でのスクリーニング検査など、需要の裾野が拡大し供給量が増加しましたが、保険点数引き下げにより価格が大幅に下落し減収となりました。この結果、当部門の売上高は218億92百万円(前年同期比33億59百万円(13.3%)減収)となり、営業利益は65億19百万円と前年同期に比べ41億94百万円(39.1%)の減益となりました。
<エラストマー・インフラソリューション部門>クロロプレンゴムは需要が堅調に推移したほか販売価格の見直しを行い増収となり、肥料の販売も前年を上回りました。このほか、特殊混和材の販売は概ね前年並みとなりましたが、セメントは原燃料価格の上昇に対して価格転嫁が一部にとどまりました。この結果、当部門の売上高は629億円(前年同期比115億5百万円(22.4%)増収)となり、営業利益は12億93百万円と前年同期に比べ12憶55百万円の増益となりました。
<ポリマーソリューション部門>スチレン系製品は原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を進めました。数量面では、ABS樹脂や透明樹脂は自動車減産や中国経済減速の影響を受け減少し、デンカシンガポール社のMS樹脂はテレビやモニター向けの需要が減少しました。また、スチレンモノマーは定期修繕を実施したことから出荷が減少したほかコストが増加しました。このほか、食品包材用シートおよびその加工品は概ね前年並みとなり、合繊かつら用原糸“トヨカロン”の販売は前年を下回りました。この結果、当部門の売上高は636億18百万円(前年同期比3億88百万円(0.6%)増収)となり、1億53百万円の営業損失(前年同期は営業利益43億37百万円)となりました。
<その他部門>YKアクロス株式会社等の商社は取扱高が概ね前年並みとなりました。この結果、当部門の売上高は70億26百万円(前年同期比4億26百万円(5.7%)減収)となり、営業利益は13億34百万円と前年同期に比べ3億14百万円(30.8%)の増益となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ524億98百万円増加の6,101億45百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ437億2百万円増加の2,618億66百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ87億96百万円増加の3,482億78百万円となりました。負債は、有利子負債の増加などにより前連結会計年度末に比べ343億31百万円増加の2,998億83百万円となりました。非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ181億67百万円増加の3,102億61百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.7%から50.2%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、224億46百万円となり、前連結会計年度末と比べ22億36百万円の増加となりました。なお、当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加などにより、54億7百万円の支出となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却収入の増加などにより、前年同期比32億94百万円支出減の189億24百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、248億30百万円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等2022年6月22日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した内容から重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、74億61百万円であります。当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。当社は、次世代に向けた新事業創出活動の強化および既存事業の持続的な発展を目的として、2022年4月1日付で「新事業開発部門」を新設するとともに、全社の研究・新事業開発体制を再編しております。2023年度からスタートする次期経営計画を見据えて、研究開発のゴールはあくまでも新事業開発であることを再認識し、「新事業開発部門」の傘下に、主に基礎研究を担当する「デンカイノベーションセンター」をはじめ、事業構想からコンセプト検証、インキュベーション、事業化までの一連のプロセスを一貫して遂行する組織を配置し、新事業開発における責任・運営体制の明確化を進めてまいります。また、従来、既存事業のスペシャリティー化を担当してきた各研究部は、各事業部門の傘下とし、責任体制の明確化と開発のスピードアップを進めてまいります。