【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
(単位:億円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
増減率
売上高
16,759
20,501
3,742
22.3%
営業利益
1,979
2,494
514
26.0%
経常利益
6,983
10,059
3,076
44.1%
親会社株主に帰属する四半期純利益
6,922
9,203
2,281
33.0%
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日までの9ヶ月間)の業績は、連結売上高2兆501億円(前年同四半期比3,742億円増)、営業利益2,494億円(前年同四半期比514億円増)、経常利益1兆59億円(前年同四半期比3,076億円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益9,203億円(前年同四半期比2,281億円増)となりました。
なお、当社持分法適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(“ONE社”)の好調な業績等により、営業外収益で持分法による投資利益として7,451億円を計上しました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は7,113億円となります。
当第3四半期連結累計期間の為替レートと消費燃料油価格の変動は以下のとおりです。
前第3四半期
(9ヶ月)
当第3四半期
(9ヶ月)
差額
平均為替レート
110.97円/US$
135.70円/US$
24.73円 円安
平均消費燃料油価格
US$504.05/MT
US$801.46/MT
US$297.41 高
(注) 為替レート・消費燃料油価格とも、当社社内値です。
(セグメント別概況)
当第3四半期連結累計期間のセグメント別概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
売上高
経常利益
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
増減率
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減額
ロラ
ジイ
スナ
テ|
ィ&
ク
ス
事
業
定期船事業
1,410
1,535
124
8.8%
5,044
7,288
2,243
航空運送事業
1,416
1,783
367
25.9%
564
564
0
物流事業
6,133
6,899
765
12.5%
456
502
45
不定期専用船事業
7,246
9,566
2,320
32.0%
939
1,744
805
そ
の
他
事
業
不動産業
33
25
△7
△23.7%
16
12
△4
その他の事業
1,182
1,843
660
55.9%
△11
6
17
<定期船事業>
コンテナ船部門では、需要面では、前四半期に続き欧米を中心とした消費地での消費財の在庫積み上がりやインフレ等の複合要因により輸送需要の減退が見られ、供給面では世界的な港湾混雑が一部を除き解消したことで船腹供給量が増加し、その結果、スポット運賃は下落しました。ONE社においては、直近四半期では運賃下落や荷量減少の影響を受けていますが、上期が好調だったことにより、業績は前年同四半期を上回りました。主要航路である北米航路・欧州航路において、積高及び消席率は前年同四半期を下回ったものの、上期を含めた平均運賃は両航路ともに前年同四半期を上回りました。ONE社は荷動きの減少に対応する為、減便による需要に応じた配船及びコスト削減に努めています。
国内ターミナルでは、前四半期に続きコンテナ船のスケジュール遅延の影響を部分的に受け、取扱量は前年同四半期比で微減しました。海外ターミナルでは、北米のターミナルを一部売却した影響で取扱量は前年同四半期比で減少しましたが、一部ターミナルでのコンテナ滞留に伴う付帯収入が増加し、収支に貢献しました。
以上の結果、定期船事業全体では前年同四半期比で増収増益となりました。
<航空運送事業>
航空運送事業では、前四半期に続き世界的な景気の減速、海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きが弱まったこと等を受け、例年見られる秋口からの旺盛な貨物需要も見られず、取扱量は前年同四半期を下回りました。運賃水準は前年同四半期よりも高い水準を維持した一方、費用面では燃料費等が増加しました。
以上の結果、航空運送事業全体では前年同四半期比で増収となり、利益は前年同四半期並みとなりました。
<物流事業>
航空貨物取扱事業では、荷動きが低迷する中、第3四半期において例年見られる繁忙期が無く、取扱量及び利益水準共に前年同四半期を下回りました。
海上貨物取扱事業では、取扱量は前年同四半期比で減少しましたが、足元の需給緩和の状況下においても機動的なマーケティングや通関手続き等の付帯サービス拡販に努めたことで、一定の利益水準を確保しました。
ロジスティクス事業では、欧米において人件費・光熱費の高騰に伴い価格改定を進め、また引き続き需要の底堅い一般消費財の取扱いが事業を牽引し、好調に推移しました。
内航輸送事業では、取扱量の増加もあり一定の利益水準を確保しました。
以上の結果、物流事業全体では前年同四半期比で増収増益となりました。
<不定期専用船事業>
自動車輸送部門では、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症による完成車生産への影響は徐々に解消に向かい、輸送台数は前年同四半期比で増加しました。港湾の混雑や航海中の荒天影響により運航スケジュールの乱れが一部見られたものの、最適な配船計画と本船運航により船舶の稼働率を向上させ、顧客の輸送要請に柔軟に対応しました。自動車物流は、完成車荷動きの回復傾向に伴い、特に欧州や東南アジア地域で取扱量が前年同四半期比で増加しました。各国の事業会社において、新規ビジネス獲得への投資を進めて収益性向上に取り組みました。
ドライバルク事業部門では、ケープサイズは、市況は4月下旬以降に季節外れの高騰が見られたものの、その後は上期を通じて低迷しました。10月に反転するも力強さに欠け、年末に向かって鉄鉱石輸送の駆け込み需要を受けて再び反発したものの、市況は前年同四半期を大きく下回りました。パナマックスサイズは、市況は5月までは前年同四半期を上回る水準を保ったものの、その後はケープサイズの不調に合わせて下落しました。米国出し穀物の出荷が始まった9月から回復を始めるも、ケープサイズの不調が重石となり、またハンディマックス及びハンディもパナマックスサイズに同調する形で市況は前年同四半期を下回りました。全船型において市況は前年度を下回りましたが、時機を捉え好市況下で獲得した輸送契約が業績を支えました。また、このような環境下、引き続き長期契約獲得による収入の安定化と効率的な運航によるコスト削減に努めました。
エネルギー事業部門では、VLCC(大型原油タンカー)は、第1四半期に低迷していた市況が7月頃から反発基調を強め、8月半ば以降は特に米国・中東出し、欧州・アジア向けの荷動きが活発化し、市況は急回復しました。11月下旬に市況は更に急上昇した後、世界経済の減速が懸念される中で産油国が減産を継続したこと等により荷動きが鈍化しました。その影響で市況は下落に転じたものの前年同四半期を大きく上回りました。石油製品タンカーは、ロシア・ウクライナ情勢の影響で、欧州向け輸送において仕出地がロシアから米国や中東、インド等へ変更となり、輸送距離が延びたことによる船腹供給減が需給を引き締め、市況は前年同四半期の水準を大きく上回りました。VLGC(大型LPGタンカー)は、米国から中国、インド、アジアへの長距離輸送が増加し、中東出し輸出も堅調の中、年末に向かって揚地やパナマ運河での滞船も影響して市況は前年同四半期の水準を大きく上回りました。LNG船は、安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。また海洋事業は、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップ、シャトルタンカーが概ね想定どおりに順調に稼働しました。
以上の結果、不定期専用船事業全体では前年同四半期比で増収増益となりました。
なお、エネルギー事業部門において、ロシア・ウクライナ情勢への対応により、サハリンⅡプロジェクト等のLNG輸送に関連して特別損失を計上しました。
<不動産業、その他の事業>
不動産業は、前年度における子会社株式の一部譲渡に伴い、前年同四半期比では減収減益となりました。
その他の事業は、燃料油販売事業が好調であったことに加え、船用品・舶用資材販売事業も堅調に推移しました。客船事業は、6月中旬にクルーズを再開し、乗組員の新型コロナウイルス感染によるクルーズ中止もありましたが、9月中旬より運航を再開しました。第3四半期には電気関係機器の修繕の為、約2週間ドックに入りました。
以上の結果、その他の事業全体では前年同四半期比で増収となり、利益を計上しました。
② 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、船舶を中心とする有形固定資産の増加や、ONE社をはじめとする持分法適用会社の利益計上に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ6,746億円増加し、3兆7,546億円となりました。有利子負債は短期借入金等の減少により795億円減少して7,287億円となり、負債合計額も前連結会計年度末に比べて80億円減少し、1兆3,128億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が5,308億円増加し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が2兆3,969億円となり、これに非支配株主持分448億円を加えた純資産の合計は2兆4,417億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.30に、また自己資本比率は63.8%となりました。
(2) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は1,344百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。