【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(単位:千円)
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
対前期増減
資産(※1)
2,569,038
2,969,798
400,760
負債(※2)
1,083,493
779,327
△304,165
(有利子負債)
183,338
66,674
△116,664
純資産(※3)
1,485,544
2,190,470
704,925
主な対前期増減の内容
(※1)営業投資有価証券(308,723千円)、売掛金(59,160千円)、現金及び預金(27,509千円)
営業投資有価証券の増加はベンチャーキャピタル事業による株式の取得であります。
(※2)未払金(△187,948千円)、未払法人税等(△78,923千円)、長期借入金(△66,674千円)
(※3)利益剰余金(442,398千円)、非支配株主持分(239,941千円)
② 経営成績の状況
(全般的概況)
当連結会計年度におけるスタートアップ業界を取り巻く環境は、金融資本市場の変動に端を発する世界的な株価低迷により、グローバル市場におけるIPO件数及び資金調達金額が前年比で大きく減少したなかで、国内における2022年の資金調達額は、大企業から子会社への出資を除くと前年比で微増(参照:STARTUP DB)となりました。しかしながら、米国をはじめとする主要国において金融市場が引き締めに転じ、米国では大手企業による人員削減や銀行の経営破綻等の景気後退懸念が強まる動きがみられました。国内においても、急激な物価上昇による消費者マインドの悪化が懸念されており、スタートアップ企業においてはIPOの延期やランウェイ(企業がキャッシュ不足に陥るまでの残存期間)を引き延ばすためのコスト抑制等の景気後退を見据えた動きがみられました。
一方で、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱されております。政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と定め、2022年11月に公表された令和4年度補正予算案において、スタートアップ関連事業に約1兆円の補正予算が閣議決定され、2022年11月末には『スタートアップ育成5か年計画』が公表されました。この『スタートアップ育成5か年計画』においては、5年後の2027年度に、スタートアップへの投資額を10倍超(10兆円規模)とすることを目標に掲げ、日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指す方針が打ち出されました。また、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進、の大きな3本柱の取り組みを一体として推進することも併せて公表され、官民を挙げた取り組みが実行されつつあります。
項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
タレントエージェンシーサービス及びオープンイノベーションサービスが好調に推移し、当連結会計年度の売上高は2,998,644千円(前期比27.7%増)となりました。タレントエージェンシーサービスは、前連結会計年度から一転し、採用ニーズの減少が確認されましたが、採用ニーズの強い企業や需要の高いポジションの支援強化、コンサルティングサービスの営業強化が功を奏しました。また、オープンイノベーションサービスは、前連結会計年度からスタートした「STARTUP DB」の有料会員獲得が堅調に推移したほか、「Public Affairs」やスタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」等の営業を強化しました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は541,125千円(前期比14.1%増)となりました。これは主にタレントエージェンシーサービスにおける求人媒体への支払手数料及びオープンイノベーションサービスにおける外注費です。結果として、売上総利益は2,457,518千円(前期比31.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,872,223千円(前期比35.1%増)となりました。これは主に人件費、支払手数料及び地代家賃です。結果として、営業利益は585,295千円(前期比19.8%増)、経常利益は586,919千円(前期比19.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、442,398千円(前期比15.6%増)となりました。
各セグメント及びサービス別の経営成績は下記のとおりであります。
(タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業)
・タレントエージェンシー
当連結会計年度においては、マクロ環境の不透明さを背景としたコスト抑制の動きから、一部のスタートアップ企業において採用ニーズの減少が確認されました。人材紹介サービスは、前期の好業績を支えたSaaS企業のインサイドセールス、カスタマーサクセスといったセールス部門の大量採用ニーズがなくなるなど、厳しい事業環境となった中、経営幹部層・エンジニアなどの需要・難易度の高いポジションのピンポイント支援に注力した戦略へ転換いたしました。その結果、紹介件数は減少したものの、単価が大きく上昇し、人材紹介サービスの売上高は計画通りに推移いたしました。また、難易度の高いポジションのニーズをより強力に支援するコンサルティングサービスの営業強化により、コンサルティングサービス売上高が計画を大きく上回る水準で推移いたしました。この結果、タレントエージェンシーサービスの売上高は2,664,246千円(前期比23.5%増)となりました。
タレントエージェンシー全体の主要な業績評価指標は以下のとおりです。
期間
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
人材紹介取引数(人)
685
651
人材紹介平均単価(千円)
2,816
3,440
(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く成功報酬型のコンサルティングフィー)のみを上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した報酬の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
3.成功報酬型以外のコンサルティングサービスは上表には含めておりません。
・オープンイノベーション
オープンイノベーションサービスは、当社グループが運営するデータベース「STARTUP DB」の大手企業向け有料会員サービス、官公庁・自治体におけるスタートアップ関連事業を受託して産学官の連携を支援する「Public Affairs」、大手企業とスタートアップ企業の提携を推進する「資金調達支援」といった、スタートアップエコシステムの構築を推進する各種サービスを提供しております。当連結会計年度においては、前期から開始した「STARTUP DB」の有料ユーザー数の増加や、Public Affairsが主に地方自治体からのスタートアップ関連事業を受託することで順調に規模を拡大した結果、オープンイノベーションサービスの売上高は334,397千円(前期比74.2%増)となりました。
また、当連結会計年度においては、社員数を前期末比50名増の増員目標を掲げ、成長産業支援を推進する体制を構築するために人材採用を強化してまいりました。結果として、新卒・中途含めて51名の増員を行い、当連結会計年度末日(2023年3月31日)時点の社員数は166名となりました。
以上の結果、セグメント売上高は2,998,644千円(前期比27.7%増)、セグメント利益は592,807千円(前期比20.3%増)となりました。
(ベンチャーキャピタル事業)
当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き管理費用のみが発生していることから、セグメント損失は7,511千円(前期は4,318千円の損失)となりました。また、当連結会計年度において、READYFOR株式会社、ポケトーク株式会社、株式会社カケハシの3社へ投資を行い、投資先企業は5社となりました。
なお、当セグメントには、子会社であるフォースタートアップスキャピタル合同会社、及び同社を通じて組成したフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が含まれております。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
対前期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
605,502
△35,076
△640,578
投資活動によるキャッシュ・フロー
△168,161
△90,708
77,452
財務活動によるキャッシュ・フロー
237,470
153,294
△84,176
現金及び現金同等物の期末残高
1,717,761
1,745,270
27,509
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は1,745,270千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は35,076千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益586,919千円を計上した一方で、売上債権の増加額59,160千円に加え、営業投資有価証券の増加額308,723千円、未払金の減少額105,180千円、法人税等の支払額257,774千円によるものであります。未払金の減少額105,180千円には、過年度の連結会計年度におけるデータベース運営会社への手数料の支払漏れ及びこれに伴い発生した違約金を当期に支払ったことによる未払金の減少額が含まれております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は90,708千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出84,135千円、投資有価証券の取得による支出10,110千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は153,294千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出116,664千円、非支配株主からの払込みによる収入266,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称
前連結会計年度
(自2021年4月1日
至2022年3月31日)
当連結会計年度
(自2022年4月1日
至2023年3月31日)
前年
同期比
(%)
タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業
タレントエージェンシーサービス(千円)
2,156,780
2,664,246
23.5
オープンイノベーションサービス(千円)
191,907
334,397
74.2
小計(千円)
2,348,687
2,998,644
27.7
ベンチャーキャピタル事業(千円)
-
-
-
合計(千円)
2,348,687
2,998,644
27.7
(注)主な相手別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
当社グループの資金需要は、人員規模拡大に伴う、人件費や採用費をはじめとする人材関連投資等が中心であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。なお、当社グループでは売上高及び営業利益を重要な指標としております。
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