【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
また、コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における当社グループをとりまく経営環境は、日本を含め各国・各地域で新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の脅威から脱し、緩やかに市場回復が進みました。しかし昨年来の資源価格の高止まりや為替変動などの影響によるインフレーションの長期化、国・地域間での景気回復ペースの違いにより、今後の展開が予測できない状況が続いております。
海外においては、インド、インドネシア、中東などの主要参入国で、COVID-19の拡大による景気の悪化からは持ち直しの動きがみられるなか、現地のニーズに合わせた新たな付加価値商品の提案による価値転嫁を遂行することで、コスト上昇への対応を進めてまいりました。
昨年から第1四半期連結累計期間まで、流通における在庫圧縮の影響を受けた中国では、市場は緩やかに回復しましたが、その足取りに力強さが見られない状況が続いております。そのようななか、当社は商品の安定供給に取り組むとともに、高付加価値商品の需要喚起と新規チャネルの開拓を進めるなど、中国事業全体の構造改革を進めてまいりました。
国内においては、景気の持ち直しの動きが続くなか、フェミニンケア関連商品、大人用排泄ケア用品、ペットケア関連商品などを中心に高付加価値商品の需要を喚起するための新価値提案を継続しながら価値転嫁を進め、高い市場シェアを維持いたしました。
このような経営環境の中、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”の基本方針に基づき、世界中の人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組んでまいりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高453,937百万円(前年同四半期比7.7%増)、コア営業利益58,747百万円(前年同四半期比6.0%増)、税引前四半期利益60,989百万円(前年同四半期比8.2%増)、四半期利益40,609百万円(前年同四半期比10.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益34,667百万円(前年同四半期比9.1%増)となりました。
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
①パーソナルケア
●ウェルネスケア関連商品
海外においては、日本以上のスピードで高齢化が進み、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い中国では、積極的なマーケティング投資を継続し、大人用排泄ケア用品の認知拡大と普及促進に取り組み高い成長となりました。
また、インド、ベトナム、インドネシアといった地域においても、大人用排泄ケア用品の需要が高まっていることから商品ラインアップの拡充と、日本で確立したケアモデルの普及促進を図り、引き続き高い売上高成長を実現いたしました。
国内の大人用排泄ケア用品においては、ADL※1に合わせた豊富な商品ラインアップの展開を継続し、新たな付加価値商品の展開による価値転嫁が順調に進んだ結果、高い売上高成長を実現し、市場回復を牽引いたしました。
また、昨年まで市場が大きく成長したマスクカテゴリーにおいては、『超快適』、『超立体』両ブランドの消費者ニーズを捉えた充実したラインアップで、市場の活性化に努めてまいりました。しかし、COVID-19の感染症法※2上の位置付けの変更や気温の上昇など、マスクカテゴリーを取り巻く環境が大きく変化したことによって、消費者意識と、急速な売り場の変化で、市場が縮小いたしました。引き続き、本格的な需要期を迎える秋から冬に向けて、消費者ニーズを捉えた新商品を継続的に展開することで市場の活性化と市場シェアの拡大を図ってまいります。
※1 日常生活動作(Activities of Daily Living)の略語で、排泄・食事・入浴など日常生活で必要な基本動作を表し、介護される方の介護レベルを計る指標
※2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
●フェミニンケア関連商品
中国においては、昨年から第1四半期連結累計期間まで続いた流通の在庫圧縮の影響を受けましたが、流通環境も平準化し回復の兆しが見えるなか、引き続き沿岸部の都市を中心に、販売エリアと取扱店舗数の拡大を図りました。また、eコマースにおける新プラットフォームの活用による販売強化に取り組みながら、若年層をターゲットに継続的な新価値提案を実施した結果、高付加価値商品であるショーツ型ナプキンなどが引き続き伸長しました。タイ、インドネシア、ベトナムといったアジア地域においても、新コンセプトである、清涼感のあるつけ心地を実現したクールナプキンなどの高付加価値商品の展開を継続し、好調に推移しています。中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売に加え、近隣諸国への輸出も進めた結果、安定的な成長を実現いたしました。
国内においては、対象人口は減少傾向にありますが、健康意識や安心志向の高まり、更にはライフスタイルに合わせた高付加価値商品による価値転嫁の拡大やSNSなどを活用した消費者とのコミュニケーションなどに努めた結果、高い市場シェアを維持しました。
●ベビーケア関連商品
新興国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、パンツ型紙おむつの普及促進を図りながら販売エリアの拡大と市場シェアの回復に努めた結果、高い売上高成長を実現いたしました。出生率の低下に加え、COVID-19の拡大の影響により市場が二極化していたタイにおいては、消費者の幅広いニーズに対応するために、2018年に買収したDSG (Cayman) Ltd.とのシナジーを活かした2ブランド戦略を展開し、高い市場シェアを維持しました。
ローカル企業の台頭に加え、少子化が進んでいる中国においては、戦略的に日本製プレミアム商品の在庫調整を進めながら、現地のニーズを捉えた独自開発の中国製プレミアム商品『ムーニー』ブランドへのシフトを加速させてまいりました。ベトナムでは、手頃な価格で、信頼性の高い品質をコンセプトとした新商品を発売し、多様化する消費者ニーズに応えてまいりました。
少子化が進み、市場が縮小傾向の国内においては、『ムーニー』や『マミーポコ』の2ブランドで、新たな付加価値を搭載した商品ラインアップにて価値転嫁を進め、笑顔あふれる育児生活の実現に取り組んでまいりました。
●Kireiケア関連商品
国内においては、ウェットティッシュの市場成長が伸び悩むなか、『シルコット』ブランドにおいて、デザイン性を高めた商品などの展開によって市場シェアの拡大に努めてまいりました。
今後は日本だけではなく世界的にも同様に衛生意識の高まりと使用の定着が見込まれることから、日本で培った独自の不織布加工・成型技術を活用し、それぞれの国や地域の使用習慣や消費者ニーズに合わせた高付加価値商品を開発することで、世界中の全ての人々が安心・安全でKireiな生活を送ることができる環境を目指してまいります。
この結果、パーソナルケアの売上高は384,684百万円(前年同四半期比6.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は48,195百万円(前年同四半期比0.1%減)となりました。
②ペットケア
国内のペットフードにおいては、猫用では健康志向の高まりに応えた商品、犬用では犬種ごとの身体の特徴や年齢に合わせた商品、また、新コンセプト商品である筋肉の健康を維持するカラダづくりフードなどの販売を強化し、消費者の満足度向上に努めてまいりました。ペットトイレタリーにおいては、猫用システムトイレの取替サンドの消臭力を強化したリニューアル商品を発売し、高い成長を実現いたしました。
昨年来、新たな高付加価値商品の展開による価値転嫁が順調に進んでいる北米においては、一部インフレの加速による景気悪化の影響を受けましたが、日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫ウェットタイプ副食や、高品質な犬用トイレタリーシートなどの販売が好調に推移し、安定した売上高成長を実現いたしました。引き続き、現地のニーズに合わせた新たな価値提案による高付加価値商品の展開を進めてまいります。
北米に次ぐ世界第2位の市場規模を誇り、今後も成長が期待される中国においては、2022年11月に江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)と資本業務提携を締結しました。日本の消費者に支持された当社グループの製品技術及び生産管理ノウハウとJIA PETS社が保有する生産体制や研究開発、eコマースチャネルにおける販売力などを活用しペットケア事業の飛躍的な成長を目指してまいります。
この結果、ペットケアの売上高は65,130百万円(前年同四半期比14.3%増)、セグメント利益(コア営業利益)は10,475百万円(前年同四半期比49.4%増)となりました。
③その他
不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めてまいりました。
この結果、その他の売上高は4,123百万円(前年同四半期比12.4%増)、セグメント利益(コア営業利益)は77百万円(前年同四半期比56.9%減)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は1,102,237百万円(前連結会計年度比5.1%増)となりました。主な増加は、現金及び現金同等物26,566百万円、持分法で会計処理されている投資17,389百万円、有形固定資産17,287百万円、無形資産5,700百万円、主な減少は、売上債権及びその他の債権17,170百万円によるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は352,516百万円(前連結会計年度比3.5%増)となりました。主な増加は、借入金7,767百万円、繰延税金負債2,951百万円、未払費用等のその他の流動負債1,242百万円、リース負債等のその他の金融負債951百万円、退職給付に係る負債890百万円、主な減少は、未払法人所得税2,661百万円によるものです。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末における資本合計は749,721百万円(前連結会計年度比5.8%増)となりました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する四半期利益34,667百万円、在外営業活動体の為替換算差額等のその他の資本の構成要素34,494百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い11,272百万円、自己株式の増加9,821百万円によるものです。
(親会社所有者帰属持分比率)
当第2四半期連結会計期間末における親会社所有者帰属持分比率は60.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は243,719百万円となり、前連結会計年度末に比べ26,566百万円増加しております。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、80,847百万円の収入(前年同四半期は、49,446百万円の収入)となりました。主な収入は、税引前四半期利益、売上債権及びその他の債権の減少、減価償却費及び償却費、棚卸資産の減少、主な支出は、法人所得税の支払額、仕入債務及びその他の債務の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用したキャッシュ・フローは、26,881百万円の支出(前年同四半期は、4,541百万円の支出)となりました。主な収入は、償却原価で測定する金融資産の売却及び償還による収入、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却及び償還による収入、主な支出は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得による支出、有形固定資産及び無形資産の取得による支出、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産の取得による支出、関係会社株式の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用したキャッシュ・フローは、37,068百万円の支出(前年同四半期は、3,154百万円の支出)となりました。主な収入は、短期借入金の増加、主な支出は、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出、親会社の所有者への配当金支払額、自己株式の取得による支出、非支配持分への配当金支払額によるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、4,382百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。