【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
また、コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における当社グループをとりまく経営環境は、前期に引き続きロシア・ウクライナ情勢等による資源価格の高止まりや為替変動などの影響によるインフレーションの長期化、また国・地域間での新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)からの景気回復ペースの違いにより予断を許さない状況が続いております。
海外においては、タイ、インド、インドネシアなどの主要参入国で、COVID-19の拡大による景気の悪化からは持ち直しの動きがみられる中、現地のニーズに合わせた商品提案を進めるとともに、柔軟かつ確実に戦略を遂行することでコスト上昇への対応を進めてまいりました。
2022年12月に厳しい移動制限が緩和されたものの、COVID-19の再拡大によって一時的に減速した中国では、市場の回復は緩やかな状況が続いております。そのような中、当社は商品の安定供給に取り組むとともに、高付加価値商品の需要を喚起し中国事業全体の構造改革を進めてまいりました。
国内においては、景気の持ち直しの動きが続く中、フェミニンケア関連商品や、ウェルネスケア関連商品などを中心に高付加価値商品の需要を喚起するための新価値提案を継続しながら価値転嫁を進め、市場シェアの拡大を実現いたしました。
このような経営環境の中、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”の基本方針に基づき、世界中の人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組んでまいりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高220,839百万円(前年同四半期比8.1%増)、コア営業利益28,427百万円(前年同四半期比5.1%減)、税引前四半期利益28,206百万円(前年同四半期比8.4%減)、四半期利益19,329百万円(前年同四半期比0.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益16,516百万円(前年同四半期比1.8%減)となりました。
セグメントの業績を示すと次のとおりであります。
①パーソナルケア
●ウェルネスケア関連商品
海外においては、日本以上のスピードで高齢化が進み、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い中国では、現地のニーズである通気性に拘った新商品の発売と積極的なマーケティング投資を継続し、大人用排泄ケア用品の認知拡大と普及促進に取り組んでまいりました。
また、タイやインドネシア、ベトナム、マレーシア、ブラジルなどといった地域においても、大人用排泄ケア用品の需要が高まっていることから商品ラインアップの拡充と、日本で確立したケアモデルの普及促進を図り、引き続き高い売上高成長を実現いたしました。
国内の大人用排泄ケア用品においては、ワクチン接種が進み行動制限が緩和されたことなどもあり、市場は回復へ転じました。そのような中、継続したADL※に合わせた豊富な商品ラインアップの展開で、順調に価値転嫁が進んだ結果、高い売上高成長を実現いたしました。
また、マスクの使用が日常的に定着したことで大きく成長したマスク市場においては、『超快適』、『超立体』両ブランドの安定供給と消費者ニーズを捉えた新商品でラインアップを充実させ、市場の活性化に努めてまいりました。マスク市場はマスクの使用習慣の変化により、市場成長の鈍化が予測されるものの、今後も消費者ニーズを捉えた新商品を継続的に展開することで市場の活性化と市場シェアの拡大を図ります。
※ 日常生活動作(Activities of Daily Living)の略で、排泄・食事・入浴など日常生活で必要な基本動作を表し、介護される方の介護レベルを計る指標
●フェミニンケア関連商品
中国においては、沿岸部の都市を中心に、販売エリアと取扱店舗数の拡大を図りました。また、eコマースにおける新プラットフォームの活用による販売強化に取り組みながら、若年層をターゲットに継続的な新価値提案を実施した結果、高付加価値商品であるショーツ型ナプキンなどが引き続き伸長しました。インド、インドネシア、ベトナムといったアジア地域においても、新コンセプトである、清涼感のあるつけ心地を実現したクールナプキンなどの高付加価値商品が好調に推移いたしました。また、中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売に加え、近隣諸国への輸出も進めた結果、安定的な成長を実現いたしました。
国内においては、対象人口が減少傾向ではあるものの、健康意識や安心志向の高まり、また、ライフスタイルに合わせた高付加価値商品の展開やSNSなどを活用した消費者とのコミュニケーションなどでブランド価値の向上に努めた結果、シェアを拡大しました。
●ベビーケア関連商品
出生率の低下に加え、COVID-19の拡大の影響で市場の二極化が進んでいたタイにおいては、現地に合った2ブランド戦略で、2018年に買収したDSG (Cayman) Ltd.とのシナジーを活かし、幅広いお客様のニーズに応えてまいりました。新興国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、パンツ型紙おむつの普及促進を図りながら販売エリアの拡大と市場シェアの回復に努めた結果、高い売上高成長を実現いたしました。ローカル企業の台頭に加え、少子化が進んでいる中国においては、戦略的に日本製プレミアム商品の在庫調整を進めながら、収益性の高い中国製プレミアム商品『ムーニー』ブランドへのシフトを加速させてまいりました。
少子化が進み、市場が縮小傾向の国内においては、『ムーニー』や『マミーポコ』の2ブランドで、新たな付加価値を搭載した商品ラインアップで価値転嫁を進め、引き続き笑顔あふれる育児生活の実現に取り組んでまいりました。
●Kireiケア関連商品
国内においては、ウェットティッシュの市場成長が伸び悩む中、『シルコット』ブランドの安定供給と、市場シェアの拡大に努めてまいりました。
今後は日本だけではなく世界的にも同様に衛生意識の高まりと使用の定着が見込まれることから、日本で培った独自の不織布加工・成型技術を活用し、それぞれの国や地域の使用習慣や消費者ニーズに合わせた高付加価値商品を開発することで、世界中の全ての人々が安心・安全でKireiな生活を送ることができる環境を目指してまいります。
この結果、パーソナルケアの売上高は187,733百万円(前年同四半期比6.5%増)、セグメント利益(コア営業利益)は22,899百万円(前年同四半期比12.9%減)となりました。
②ペットケア
国内においては、新商品とリニューアル商品でラインアップの充実と価値転嫁を進めてまいりました。ペットフードにおいては、猫用では健康志向の高まりに応えた商品、犬用では犬種ごとの身体の特徴や年齢に合わせた商品、また、新コンセプト商品である筋肉の健康を維持するカラダづくりフードなどの販売を強化し、消費者の満足度向上に努めてまいりました。ペットトイレタリーにおいては、犬用ペットシートや猫用システムトイレなどが堅調に推移した結果、安定的な成長を実現いたしました。2022年から価値転嫁が順調に進んでいる北米においては、日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫ウェットタイプ副食や、高品質な犬用トイレタリーシートなどの販売が好調に推移し、高い売上高成長を実現いたしました。
北米に次ぐ世界第2位の市場規模を誇り、今後も成長が期待される中国においては、2022年11月に江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)と資本業務提携を締結しました。日本の消費者に支持された当社グループの製品技術及び生産管理ノウハウとJIA PETS社が保有する生産体制や研究開発、eコマースチャネルにおける販売力などを活用しペットケア事業の飛躍的な成長を目指してまいります。
この結果、ペットケアの売上高は30,950百万円(前年同四半期比17.8%増)、セグメント利益(コア営業利益)は5,508百万円(前年同四半期比55.6%増)となりました。
③その他
不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めてまいりました。
この結果、その他の売上高は2,156百万円(前年同四半期比22.1%増)、セグメント利益(コア営業利益)は21百万円(前年同四半期比84.4%減)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は1,052,932百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。主な増加は、持分法で会計処理されている投資16,596百万円、預入期間が3ヶ月を超える定期預金等のその他の金融資産5,904百万円、現金及び現金同等物3,483百万円、長期前払費用等のその他の非流動資産3,420百万円、有形固定資産2,418百万円、主な減少は、売上債権及びその他の債権27,028百万円によるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は327,785百万円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。主な増加は、借入金2,061百万円、主な減少は、仕入債務及びその他の債務7,421百万円、未払法人所得税3,608百万円、リース負債等のその他の金融負債2,696百万円、賞与引当金等のその他の流動負債2,378百万円によるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末における資本合計は725,147百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する四半期利益16,516百万円、在外営業活動体の為替換算差額等のその他の資本の構成要素8,644百万円、非支配持分2,350百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い11,272百万円によるものです。
(親会社所有者帰属持分比率)
当第1四半期連結会計期間末における親会社所有者帰属持分比率は60.1%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は220,636百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,483百万円増加しております。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、42,994百万円の収入(前年同四半期は、24,544百万円の収入)となりました。主な収入は、売上債権及びその他の債権の減少、税引前四半期利益、減価償却及び償却費、主な支出は、法人所得税の支払額、仕入債務及びその他の債務の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用したキャッシュ・フローは、28,599百万円の支出(前年同四半期は、11,547百万円の収入)となりました。主な収入は、定期預金の払戻による収入、償却原価で測定する金融資産の売却及び償還による収入、主な支出は、関係会社株式の取得による支出、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得による支出、有形固定資産及び無形資産の取得による支出、定期預金の預入による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用したキャッシュ・フローは、13,530百万円の支出(前年同四半期は、7,345百万円の支出)となりました。主な収入は、短期借入金の純増額、主な支出は、親会社の所有者への配当金支払額、非支配持分への配当金支払額、リース負債の返済による支出によるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、2,012百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。