【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
また、当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成に当たっては、当社経営陣により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当事業年度においては、商談型展示会とM&A仲介サービスに加え、新たにハイブリッド展示会事業を注力事業として、これらの育成に努めております。商談型展示会事業につきましては、「CareTEX(*1)」、「からだケアEXPO」及び商品ジャンル特化型展示商談会「CareTEX One」を、東京都、大阪府、福岡県、宮城県、愛知県、神奈川県、北海道の全国合計7エリアでの開催に向け、万全の感染予防対策を講じた上で、来場者及び出展社への販促活動を行ってまいりました。また、2021年3月期より、商談型オンライン展示会「CareTEX365オンライン」及び「からだケアEXPO365オンライン」を開催しております。
また、ハイブリッド展示会事業として、オンライン展とリアル展をシームレスに融合させ、双方の強みを活かした、新発想のハイブリッド展示会「DXPO(読み:ディーエクスポ)」を東京都、大阪府及びオンライン上で初開催いたしました。
一方、M&A仲介事業につきましては、M&Aコンサルタントの教育体制の整備が完了したことから、案件の成約に注力するとともに、新分野である建設分野への横展開を本格化するための営業活動を行っております。また、前事業年度に引き続きM&Aコンサルタントの採用を継続いたしました。
また、当社は「中期経営計画」に続く、その先の成長を更に加速するため、当事業年度内における第1号の事業買収を目標とし、専門組織として「事業開発部」を新設し、活動してまいりました。この結果、株式会社リアライブの株式取得による子会社化を決定いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高は3,047,241千円(前事業年度比45.7%増)となり、営業利益は945,589千円(前事業年度比61.2%増)、調整後営業利益(*2)は1,003,921千円(前事業年度比55.3%増)、経常利益は943,486千円(前事業年度比59.4%増)、当期純利益は621,589千円(前事業年度比77.9%増)となりました。
以上により、前事業年度に引き続き、売上高、営業利益、経常利益及び当期純利益は、いずれも過去最高を計上しました。
(*1)「CareTEX」のうち東京展については、「CareTEX東京」「次世代介護テクノロジー展」「超高齢社会のまちづくり展」「介護予防 総合展」の4つの専門展により構成される「東京ケアウィーク」の総称にて開催。
(*2)2021年2月1日を割当日とする新株予約権の行使条件となる利益であり、連結損益計算書(連結損益計算書を作成していない場合、損益計算書とする。)に記載の営業利益から、のれん償却費及び新株予約権に係る株式報酬費用の影響を排除した金額です。
調整後営業利益=営業利益+のれん償却費+株式報酬費用
当事業年度における各セグメントの概況は、以下のとおりです。
(イ)商談型展示会事業
商談型展示会事業は、商談型展示会である「CareTEX」、商品ジャンル特化型展示商談会「CareTEX One」並びに商談型オンライン展示会「CareTEX365オンライン」及び「からだケアEXPO365オンライン」の運営を行っております。当事業年度においては、5月に横浜展、7月に札幌展、9月に仙台展、11月に福岡展、12月に大阪展、2月に名古屋展、3月に東京展をそれぞれ開催いたしました。
今後開催予定の展示会につきましても、当社は政府や自治体の要請及び各会場のガイドラインに従い、万全の感染予防対策を講じた上で開催するよう準備を進めております。
〔展示会開催スケジュール〕
また、「CareTEX365オンライン」及び「からだケアEXPO365オンライン」は、介護・健康施術事業者と介護・健康施術関連サプライヤーに、効率的かつ安全に配慮した新たな商談・マッチング機会を提供する商談型オンライン展示会で、「ウェブース」「コネクト」「ウェビナー」の3つのサービスから構成されており、いずれも高い評価をいただいております。
なお、自社開発したオンライン展示会プラットフォーム『ExpON(エキスポン)』につきまして、機能を拡充させるためのシステム開発を実施しております。
以上の結果、当事業年度における商談型展示会事業の売上高は865,229千円(前事業年度比11.5%増)、セグメント利益は228,426千円(前事業年度比3.8%増)、出展小間数は1,565小間(前事業年度比13.1%増)となりました。
(ロ)ハイブリッド展示会事業
ハイブリッド展示会事業は、オンライン展とリアル展をシームレスに融合させ、双方の強みを活かした、新発想のハイブリッド展示会である「DXPO」の開催・運営を行っております。
ハイブリッド展示会「DXPO」とは、オンライン展の開設期間中(365日24時間)に並行してリアル展を年複数回開催し、リアル展の会期前1ヵ月及び会期後2ヵ月は、オンライン展でも集中的にマッチングすることで、「見込客獲得の量」と「商談の質」を高めつつ、かつ、年間を通じて継続的なマッチングの機会を提供する新サービスです。
「DXPO」の第1弾として、「バックオフィスDXPO」及び「フロントオフィスDXPO(*)」の東京都、大阪府及びオンライン上での開催を決定し、当事業年度においては、8月に東京展及び3月に大阪展を初開催し、来場者であるバックオフィス部門、フロントオフィス部門の決裁権限者及び出展社である各種システムベンダー・サプライヤーから、高い評価をいただいております。
以上の結果、当事業年度におけるハイブリッド展示会事業の売上高は406,060千円、セグメント利益は133,694千円(前事業年度は64,344千円の損失)、出展小間数は1,197小間となりました。
(*)「フロントオフィスDXPO」のうち大阪展については、「フロントオフィスDXPO」と「店舗・EC DXPO」の2展を同時開催。
(ハ)M&A仲介事業
M&A仲介事業は、介護、医療及び障害福祉事業者向けをはじめとするM&A仲介サービスの提供を行っております。当該事業におきましては、ウェブサイトのコンテンツ充実、セミナーの開催、ダイレクトメール及び地域金融機関等との業務提携によって案件獲得を強化するとともに、案件の成約に注力いたしました。さらに、前事業年度に引き続き、新分野への横展開を本格化するための営業活動を継続いたしました。なお、第1四半期会計期間より新たに建設分野へ参入し、案件の成約に注力しております。
また、成約組数は、当事業年度においては144組(前事業年度比11.6%増)となりました。
なお、当事業年度においても、M&Aコンサルタントを大幅に増員するための採用活動を実施しておりますが、概ね計画どおり順調に進捗しております。
以上の結果、当事業年度におけるM&A仲介事業の売上高は1,771,919千円(前事業年度比35.4%増)、セグメント利益は1,015,375千円(前事業年度比30.9%増)となりました。
(ニ)その他
「CareTEX365 フード」(配食マッチングサービス)は、時期とエリアが限られる展示会の特徴を補完する形で、介護事業者と配食・介護食のサプライヤーをマッチングする事業です。
当事業年度におけるその他の売上高は4,032千円(前事業年度比35.9%減)、セグメント利益は4,032千円(前事業年度比35.2%減)となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は4,326,385千円となり、前事業年度末に比べて1,997,732千円の増加となりました。流動資産は3,931,570千円となり、前事業年度末に比べて1,895,529千円増加しました。主な要因は、当期純利益の計上及び資金の借入に伴い現金及び預金が増加したことに加え、2023年4月に実施した株式会社リアライブの株式取得に向け前渡金が増加したこと等によるものです。固定資産は394,814千円となり、前事業年度末に比べて102,203千円増加しました。主な要因は、自社システムリリースに伴うソフトウエアの計上及び追加機能開発に伴うソフトウエア仮勘定の計上等によるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は2,472,305千円となり、前事業年度末に比べて1,499,996千円の増加となりました。流動負債は1,279,491千円となり、前事業年度末に比べて402,072千円の増加となりました。主な要因は、資金の借入に伴う1年以内に返済予定の長期借入金の増加及び3月に展示会を複数展開催したことによる未払金の増加等によるものです。固定負債は1,192,814千円となり、前事業年度末に比べて1,097,924千円の増加となりました。主な要因は、株式会社リアライブの株式取得及び事業運転資金の確保のため、資金を借入したことに伴い長期借入金が増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,854,079千円となり、前事業年度末に比べて497,736千円の増加となりました。主な増加要因は、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて1,889,431千円増加し、3,837,197千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、835,793千円(前事業年度は878,719千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益を計上したものの、法人税等の支出が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、142,235千円(前事業年度は105,185千円の使用)となりました。これは主に、ソフトウエア開発に伴う支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、1,195,873千円(前事業年度は274,644千円の使用)となりました。これは主に、株式会社リアライブの株式取得及び事業運転資金の確保のため、長期借入金を借入したことによるものであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」をご参照下さい。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の不確実性の内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
④ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(ロ)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当事業年度の事業領域ごとの販売実績は、次のとおりであります。
事業領域の名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
商談型展示会事業
865,229
+11.5%
ハイブリッド展示会事業
406,060
-
M&A仲介事業
1,771,919
+35.4%
その他
4,032
△35.9%
合計
3,047,241
+45.7%
(注) 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況について
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、展示会会場の会場使用費用、ソフトウエア開発、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要の主なものは、事業拡大に向けた株式取得(子会社化)によるものです。
(財政政策)
当社は、運転資金及び投資を目的とした資金については、内部資金及び金融機関からの借入により調達しております。なお、2023年3月末時点の長期借入金残高(1年以内返済予定を含む)は1,481,558千円、現金及び預金は3,836,697千円となっており、現状、金融機関からの借入はありますが、現金及び現金同等物の残高が借入金を超過しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
① 経営計画の達成状況
当事業年度において、商談型展示会事業においては営業活動が概ね正常化したものの、営業員の採用の遅れに伴い出展小間契約の獲得に遅れが生じました。また、ハイブリッド展示会事業においては出展小間契約の獲得が順調に推移し、期首目標を達成いたしました。M&A仲介事業においては教育体制・仕組化が浸透し中途採用のM&Aコンサルタントが着実に戦力化したことで、期首目標には届かないものの、成約組数が前事業年度より増加いたしました。このため、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高益を計上するとともに、経営上の計画を達成いたしました。以上の結果、売上高は3,047,241千円(前期比45.7%増、計画比9.2%増)、営業利益は945,589千円(前期比61.2%増、計画比35.1%増)、営業利益率は31.0%(前期比2.9ポイント増、計画比5.9ポイント増)となりました。
指標
2023年3月期
(実績)
2023年3月期
(計画)
2023年3月期
(計画比)
売上高
3,047百万円
2,790百万円
257百万円増(9.2%増)
営業利益
945百万円
700百万円
245百万円増(35.1%増)
② 主要な経営指標
当社の経営成績に影響を与える主要な経営指標として、商談型展示会事業及びハイブリッド展示会事業については、主な収入である出展料が出展小間数×小間単価となり、小間単価に大きな変動がないため、出展小間数(出展社に貸し出すために仕切られたスペースの単位)を重要な指標としております。また、M&A仲介事業については、主な収入である仲介手数料が成約組数×手数料単価となり、手数料単価においては、成約組数における中大型案件の割合の増加に伴い逓増傾向にあるものの、中小型案件を効率よく成約する『回転寿司モデル』を採用していることから、成約組数を重要な経営指標としております。それぞれの経営指標の推移及びその変動要因は以下のとおりです。
(ⅰ)商談型展示会事業
当社は、展示会の早期全国展開を進めることで、知名度を高めるとともに全国の決裁権限者のリスト化を図り、M&A仲介サービス等の付加サービスを創出・提供しております。当事業年度においては、5月に横浜展、7月に札幌展、9月に仙台展、11月に福岡展、12月に大阪展、2月に名古屋展、3月に東京展をそれぞれ万全の感染予防対策を講じた上で開催し、いずれの展示会においても、無事開催できたことを、来場者及び出展社双方から高く評価いただきました。
今後開催予定の展示会につきましても、当社は政府や自治体の要請及び各会場のガイドラインに従い、万全の感染予防対策を講じた上で開催するよう準備を進めております。
この結果、当事業年度に開催した全ての展示会の出展小間数は1,565小間(前事業年度比13.1%増)となりました。
出展小間数の推移
(単位:小間数)
第14期
第15期
第16期
第17期
決算年月
2020年3月
2021年3月
2022年3月
2023年3月期
東京展
902
544
665
744
地方展
870
641
719
821
合計
1,772
1,185
1,384
1,565
(注) 小間数は、各事業年度に開催した展示会の出展小間数を記載しております。
(ⅱ)ハイブリッド展示会事業
当社は、オンライン展とリアル展をシームレスに融合させ、双方の強みを活かした、新発想のハイブリッド展示会である「DXPO」の開催・運営を行います。
ハイブリッド展示会「DXPO」とは、オンライン展の開設期間中(365日24時間)に並行してリアル展を年複数回開催し、リアル展の会期前1ヵ月及び会期後2ヵ月は、オンライン展でも集中的にマッチングすることで、「見込客獲得の量」と「商談の質」を高めつつ、かつ、年間を通じて継続的なマッチングの機会を提供する新サービスです。
「DXPO」の第1弾として、「バックオフィスDXPO」及び「フロントオフィスDXPO(注)」を、8月に東京展、3月に大阪展を初開催し、来場者であるバックオフィス部門、フロントオフィス部門の決裁権限者及び出展社である各種システムベンダー・サプライヤーから、高い評価をいただきました。
この結果、当事業年度に開催したリアル展の出展小間数は1,197小間となりました。
(注)「フロントオフィスDXPO」のうち大阪展については、「フロントオフィスDXPO」と「店舗・EC DXPO」の2展を同時開催。
出展小間数の推移
(単位:小間数)
第17期
決算年月
2023年3月
合計
1,197
(注) 小間数は、リアル展の出展小間数を記載しております。
(ⅲ)M&A仲介事業
当社は、介護、医療及び障害福祉事業者向けのM&A仲介サービスの提供を行っており、当事業年度においては新たに建設分野にも参入しました。当該事業におきましては、ウェブサイトのコンテンツ充実、オンラインセミナーの開催、ダイレクトメール及び地域金融機関等との業務提携によって案件獲得を強化するとともに、案件の成約に注力いたしました。
また、教育体制・仕組化が浸透し、中途採用のM&Aコンサルタントが着実に戦力化したことで、成約組数は増加し、当事業年度において144組(前事業年度比11.6%増)となりました。
M&A成約組数の推移
(単位:組数)
第14期
第15期
第16期
第17期
決算年月
2020年3月
2021年3月
2022年3月
2023年3月
成約組数
49
85
129
144
(注) 成約組数は、各事業年度に成約したM&A組数を記載しております。
(4) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております各種課題に対応していくことが重要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、市場動向をはじめとした外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を推進していく方針であります。
新型コロナウイルス感染症に関連する問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。