【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
また、当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成に当たっては、当社経営陣により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当事業年度においては、商談型展示会とM&A仲介サービスを主力事業として、これらの育成に努めております。商談型展示会事業につきましては、「CareTEX(※)」と商品ジャンル特化型展示商談会「CareTEX One」の開催エリア拡大を図っており、東京都、大阪府、福岡県、宮城県、愛知県、神奈川県の全国合計6エリアでの開催に向け、来場者及び出展社への販促活動を行ってまいりました。展示会の開催につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、4月から8月に予定していた展示会を第4四半期に延期し、9月より開催を再開しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受け営業活動が著しく制限されている介護事業者と介護関連サプライヤーに新たな商談・マッチング機会を提供するため、7月より商談型オンライン展示会「CareTEX365 オンライン」、3月より「からだケアEXPO オンライン」を開始いたしました。
また、M&A仲介事業においては、急増する介護事業者のM&Aニーズに対応すべく、M&Aコンサルタントの教育体制の整備を概ね完了させるとともに、M&Aコンサルタントの採用を継続し、案件の成約に注力してまいりました。
さらに、新型コロナウイルス感染症を契機に社会・ビジネス環境が大きく変容することを踏まえ、中長期的に業績を拡大するための追加投資を実施いたしました。商談型展示会事業においては、オンライン展示会プラットフォームの自社開発を完了させるとともに人員の追加採用を行い、M&A仲介事業においてはM&Aコンサルタントを大幅に増員するための採用活動を実施いたしました。なお、追加採用の人員については、20名中18名の採用を決定し、概ね計画どおり進捗いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高は1,277,809千円(前事業年度比6.0%減)となり、営業利益は281,401千円(前事業年度比50.3%増)、経常利益は292,045千円(前事業年度比54.8%増)、当期純利益は198,599千円(前事業年度比51.9%増)となりました。
(※)「CareTEX」のうち東京展については、「CareTEX東京」「次世代介護テクノロジー展」「超高齢社会のまちづくり展」「在宅医療 総合展」「介護予防 総合展」「健康施術産業展」の6つの専門展により構成される「東京ケアウィーク」の総称にて開催。
当事業年度における各セグメントの概況は、以下のとおりであります。なお、当事業年度より、報告セグメントにつきまして、「BtoB事業」を「商談型展示会事業」及び「M&A仲介事業」の2区分に変更しております。また、報告セグメントに含まれていた「BtoC事業」及び「新規事業」につきましては、「その他」の区分に変更しております。なお、前事業年度のセグメント情報は、当事業年度の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(イ)商談型展示会事業
商談型展示会事業は、商談型展示会である「CareTEX」、商品ジャンル特化型展示商談会「CareTEX One」並びに商談型オンライン展示会「CareTEX365 オンライン」の運営を行っております。
当事業年度においては、4月に発出された緊急事態宣言中は営業活動を自粛していたものの、6月以降は徐々に営業活動を再開し、出展社である介護関連サプライヤーへの営業活動を進めてまいりました。
また、当初、4月から8月に予定していた商談型展示会の開催を、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、第4四半期会計期間に延期しておりましたが、9月に宮城県で当事業年度初となる展示会「CareTEX仙台」を開催したのを皮切りに、展示会の開催を再開し、10月に横浜展、11月に大阪展、1月に名古屋展、2月に福岡展、3月に東京展を万全の感染予防対策を講じた上で開催いたしました。いずれの展示会においても、無事開催できたことを、来場者及び出展社双方から高く評価いただきました。
今後開催予定の展示会につきましても、当社は政府や自治体の要請及び各会場のガイドラインに従い、万全の感染予防対策を講じた上で開催するよう準備を進めております。また、商談型展示会の開催エリア拡大施策として、2021年5月に北海道で、「CareTEX札幌」を開催いたしました。
〔展示会開催スケジュール〕
一方、新型コロナウイルス感染症の影響で介護事業者と介護関連サプライヤーとの商談機会が著しく不足している状況を解消し、効率的且つ安全に配慮した新たな商談・マッチング機会を提供するため、介護業界初の商談型オンライン展示会「CareTEX365 オンライン」を7月より開始いたしました。
「CareTEX365 オンライン」は、介護関連サプライヤーの新製品情報が一堂に集うオンライン出展ブースである「CareTEX365 ウェブース」、オンライン商談設定サービスである「CareTEX365 コネクト」、介護業界の最新情報を発信するオンラインセミナー「CareTEX365 ウェビナー」の3つのサービスから構成されており、マッチングの機会を必要とする介護事業者と介護関連サプライヤーから高い評価をいただいております。また、当社の展示会ノウハウを商談型オンライン展示会にも反映させるべく、当事業年度に30,000千円の追加投資によりオンライン展示会プラットフォーム『ExpON(エキスポン)』を自社開発し、2月より「CareTEX365 オンライン」にて運用を開始いたしました。さらに、健康施術業界においても効率的且つ安全に配慮した新たな商談・マッチングの機会を提供するため、3月に商談型オンライン展示会「からだケアEXPO オンライン」を開始いたしました。また、オンライン展示会事業を拡大するための人材の追加採用につきましても、計画どおり順調に進捗しております。
なお、「CareTEX365 オンライン」の各サービスにつきましては、商談型展示会のオンライン版と位置付けていることから、当該事業の業績は、商談型展示会事業のセグメントに含めて報告しております。
以上の結果、当事業年度における商談型展示会事業の売上高は656,628千円(前事業年度比15.3%減)、セグメント利益は151,040千円(前事業年度比46.2%減)、出展小間数1,185小間(前事業年度比33.1%減)となりました。
(ロ)M&A仲介事業
M&A仲介事業は、介護事業者及び医療事業者向けのM&A仲介サービスの提供を行っております。当該事業におきましては、ウェブサイトのコンテンツ充実やウェブ簡易査定機能の利用促進を図り、案件獲得を強化するとともに、案件の成約に注力いたしました。
4月に発出された緊急事態宣言中は、一部、案件の進捗に遅れが生じておりましたが、解除後は、案件の進捗が正常化するとともに、介護報酬改定や人材採用難に対する危機感の高まり等により、売り手・買い手双方からの問い合わせが活発化しております。また、前事業年度からの課題であったM&Aコンサルタントの教育体制の整備や仕組化が概ね完了したことにより、成約組数は大幅に増加し、当事業年度において85組(前事業年度比73.5%増)となりました。さらに当事業年度において、M&Aコンサルタントを大幅に増員するための追加採用を実施し、目標人員全員の採用を完了いたしました。
以上の結果、当事業年度におけるM&A仲介事業の売上高は604,675千円(前事業年度比67.7%増)、セグメント利益は390,650千円(前事業年度比97.3%増)と大幅な増収増益となりました。
(ハ)その他
その他のうち、「CareTEX365 フード」(配食マッチングサービス)は、時期とエリアが限られる展示会の特徴を補完する形で、展示会以外の場所でも、ウェブや電話接客等を通じて、介護事業者と配食・介護食のサプライヤーをマッチングする事業です。また、「きざみ食」や「やわらか食」等の介護食を販売する、高齢者施設向けのBtoB通販サイトを通して、調理スタッフの高齢化や確保難等で人手不足に悩む介護事業者の課題解決を図っております。
また、海外事業に関して、高齢化が急激に進む中国市場へ早期に参入するため、当社は2018年11月に、中国に現地企業等との合弁会社を設立しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今後の先行きが極めて不透明な状況となったため、2020年8月31日に合弁契約を解消いたしました。
以上の結果、当事業年度におけるその他の売上高は16,506千円(前事業年度比92.6%減)、セグメント損失は3,438千円(前事業年度は23,881千円の損失)となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は1,674,156千円となり、前事業年度末に比べて415,588千円の増加となりました。流動資産は1,488,540千円となり、前事業年度末に比べて384,768千円増加しました。主な要因は、短期借入金及び長期借入金の増加に伴う現金及び預金の増加等によるものであります。固定資産は185,615千円となり、前事業年度末に比べて30,819千円増加しました。主な要因は、自社システム開発に伴う無形固定資産の計上によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は728,382千円となり、前事業年度末に比べて278,914千円の増加となりました。流動負債は624,382千円となり、前事業年度末に比べて184,914千円の増加となりました。主な要因は、当事業年度において東京展の開催が3月であったことから、出展社から翌事業年度の展示会に係る出展料金を期末日時点では受領していないため前受金が減少した一方で、短期借入金が増加したこと等によるものであります。固定負債は104,000千円となり、前事業年度末に比べて94,000千円の増加となりました。主な要因は、長期借入金の借入れによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は945,773千円となり、前事業年度末に比べて136,674千円の増加となりました。主な増加要因は、自己株式の取得をしたものの、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて397,460千円増加し、1,448,876千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、130,237千円(前事業年度は201,194千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益を計上したものの、前受金が減少したこと及び法人税等の支出が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、45,170千円(前事業年度は34,858千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、312,393千円(前事業年度は21,560千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金及び長期借入金の借入れによるものであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」をご参照下さい。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の不確実性の内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご参照下さい。
④ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
(ロ)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当事業年度の事業領域ごとの販売実績は、次のとおりであります。
事業領域の名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
商談型展示会事業
656,628
△15.3%
M&A仲介事業
604,675
+67.7%
その他
16,506
△92.6%
合計
1,277,809
△6.0%
(注)1.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況について
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、展示会会場の会場使用費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。なお、設備資金需要として多額に発生するものはありません。
2021年3月末時点の現金及び預金は1,448,876千円であり、事業の継続に十分な資金を有していると考えておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に関し、金融機関より長期借入金として100,000千円、短期借入金として300,000千円の調達を行いました。
(財政政策)
当社は、運転資金及び設備資金については、内部資金により調達しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
① 経営計画の達成状況
当事業年度において、商談型展示会事業においてはオンライン展示会を新たに開設し、M&A仲介事業においては教育体制の仕組化が概ね完了したことにより成約組数が大幅に増加した結果、売上高は経営上の計画は未達だったものの、営業利益は過去最高益を計上し、経営上の計画を達成いたしました。以上の結果、売上高は1,277,809千円(前期比6.0%減、計画比7.9%減)、営業利益は281,401千円(前期比50.3%増、計画比27.1%増)、営業利益率は22.0%(前期比8.2ポイント増、計画比6.0ポイント増)となりました。
指標
2021年3月期
(実績)
2021年3月期
(計画)
2021年3月期
(計画比)
売上高
1,277百万円
1,388百万円
110百万円減( 7.9%減)
営業利益
281百万円
221百万円
59百万円増(27.1%増)
(注) 2021年3月期(計画)は、期首に策定した計画を記載しています。
② 主要な経営指標
当社の経営成績に影響を与える主要な経営指標として、商談型展示会事業については、主な収入である出展料が出展小間数×小間単価となり、小間単価に大きな変動がないため、出展小間数(出展社に貸し出すために仕切られたスペースの単位)を重要な指標としており、M&A仲介事業については主な収入である仲介手数料が成約組数×手数料単価となり、手数料単価に大きな変動がないため、成約組数を重要な経営指標としております。それぞれの経営指標の推移及びその変動要因は以下のとおりです。
(ⅰ)商談型展示会事業
当社は、展示会の早期全国展開を進めることで、知名度を高めるとともに全国の決裁権限者のリスト化を図り、M&A仲介サービスや配食・介護食のマッチングサービス等の付加サービスを創出・提供しております。当事業年度においては、4月に発出された緊急事態宣言中は営業活動を自粛していたものの、6月以降は徐々に営業活動を再開し、出展社である介護関連サプライヤーへの営業活動を進めてまいりました。
また、当初、4月から8月に予定していた商談型展示会の開催を、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、第4四半期会計期間に延期しておりましたが、9月に宮城県で当事業年度初となる展示会「CareTEX仙台」を開催したのを皮切りに、展示会の開催を再開し、10月に横浜展、11月に大阪展、1月に名古屋展、2月に福岡展、3月に東京展を万全の感染予防対策を講じた上で開催いたしました。いずれの展示会においても、無事開催できたことを、来場者及び出展社双方から高く評価いただきました。
今後開催予定の展示会につきましても、当社は政府や自治体の要請及び各会場のガイドラインに従い、万全の感染予防対策を講じた上で開催するよう準備を進めております。
この結果、当事業年度に開催した全ての展示会の出展小間数は1,185小間(前事業年度比33.1%減)となりました。
出展小間数の推移
(単位:小間数)
第12期
第13期
第14期
第15期
決算年月
2018年3月
2019年3月
2020年3月
2021年3月
東京展
818
802
902
544
地方展
300
567
870
641
合計
1,118
1,369
1,772
1,185
(注) 小間数は、各事業年度に開催した展示会の出展小間数を記載しております。
(ⅱ)M&A仲介事業
当社は、介護事業者及び医療事業者向けのM&A仲介サービスの提供を行っております。当該事業におきましては、ウェブサイトのコンテンツ充実やウェブ簡易査定機能の利用促進を図り、案件獲得を強化するとともに、案件の成約に注力いたしました。
4月に発出された緊急事態宣言中は、一部、案件の進捗に遅れが生じておりましたが、解除後は、案件の進捗が正常化するとともに、介護報酬改定や人材採用難に対する危機感の高まり等により、売り手・買い手双方からの問い合わせが活発化しております。また、前事業年度からの課題であったM&Aコンサルタントの教育体制の整備や仕組化が概ね完了したことにより、成約組数は大幅に増加し、当事業年度において85組(前事業年度比73.5%増)となりました。
M&A成約組数の推移
(単位:組数)
第12期
第13期
第14期
第15期
決算年月
2018年3月
2019年3月
2020年3月
2021年3月
成約組数
42
51
49
85
(注) 成約組数は、各事業年度に成約したM&A組数を記載しております。
(4) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております各種課題に対応していくことが重要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、市場動向をはじめとした外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を推進していく方針であります。
新型コロナウイルス感染症に関連する問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。