【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、ネットショップ作成サービス「BASE」を提供するBASE事業、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供するPAY事業を展開しており、これらのサービスを通して、個人及びスモールチームをエンパワーメントすること、スタートアップ企業を支援することに注力しております。当連結会計年度では、新型コロナウイルス感染症への社会的な対応が進展し、リオープニングに伴うオフライン消費の回復によりオンライン消費が減速するなど、依然先行きの不透明な状況が続いております。このような事業環境においてBASE事業では、幅広い個人及びスモールチームから圧倒的に選ばれるポジションを維持しながら、中長期にわたる持続的な成長を実現するために、引き続きプロダクトの強化に努めております。PAY事業では、スタートアップ企業やベンチャー企業をターゲットに、よりシンプルで導入や運用が簡単なオンライン決済機能を目指してプロダクトを強化し、加盟店数の拡大に努めております。以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は9,739百万円(前年同期比1.9%減)、営業損失は1,508百万円(前年同期は営業損失977百万円)、経常損失は1,495百万円(前年同期は経常損失960百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,732百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,194百万円)となりました。セグメントの業績は、次のとおりであります。
A) BASE事業BASE事業では、当連結会計年度においては、リオープニングに伴うオフライン消費の回復により、オンライン消費が減速した影響を受け、流通総額の成長率は前連結会計年度と比較して減少しました。以上の結果、当連結会計年度の流通総額は、注文ベースで118,932百万円、決済ベースで、112,446百万円(前年同期比4.5%増(注文ベース)、5.5%増(決済ベース))となりました。しかし、当第4四半期連結会計期間においては、リオープニングに伴い悪化していた事業環境が回復基調に転じ、流通総額は過去最高額を更新しました。また、流通総額及び売上総利益を中期的に最大化することを目的に、決済手数料を従来の料金プランよりも引き下げるとともに、サービス利用料を固定費でいただく月額有料プランの提供を2022年4月18日から開始し、テイクレート(注)を戦略的に引き下げました。当プランの提供開始以降、既存ショップを中心に利用ショップ数が順調に増加したことに加え、スカウトチームのアウトバウンド営業により売上規模の大きなショップの新規開設も増加し、流通総額に占める当プランの構成比が増加しました。以上の結果、売上高は7,494百万円(前年同期比11.0%減)、セグメント損失は1,150百万円(前年同期は703百万円のセグメント損失)となりました。
(注)テイクレートとは、流通総額(決済ベース)に対する売上高の比率
B) PAY事業PAY事業では、オンライン決済サービス「PAY.JP」を提供しております。当連結会計年度における流通総額は、既存加盟店の継続的な成長に加え、新規加盟店の増加により大きく増加しました。以上の結果、当連結会計年度の流通総額は80,762百万円(前年同期比46.1%増)となりました。売上高は2,103百万円(前年同期比45.2%増)、セグメント損失は46百万円(前年同期は38百万円のセグメント損失)となりました。
C) その他事業その他事業では、「BASE」を利用するネットショップ運営者等に対して事業資金を提供するサービス「YELLBANK」等を行っております。利用者数及び利用金額は大きく増加しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は141百万円(前年同期比127.4%増)、セグメント損失は31百万円(前年同期は52百万円のセグメント損失)となりました。
② 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末における総資産は31,278百万円となり、前連結会計年度末に比べ712百万円減少いたしました。これは主に、これは主に、未収入金が1,346百万円増加したものの現金及び預金が1,708百万円減少したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債は17,777百万円となり、前連結会計年度末に比べ891百万円増加いたしました。これは主に、営業未払金が973百万円減少した一方で、営業預り金が1,760百万円増加したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産は13,501百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,604百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が1,732百万円減少したものであります。また、2022年3月23日開催の株主総会決議に基づき、今後の機動的な資本政策に備えるとともに、財務戦略上の柔軟性を確保することを目的として、資本準備金7,362百万円を減少し、同額をその他資本剰余金に振り替えております。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、22,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,708百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は1,706百万円(前年同期は1,782百万円の獲得)となりました。主な増加要因は、営業預り金の増加1,760百万円等であり、主な減少要因は、未収入金の増加1,357百万円、税金等調整前当期純損失の計上1,735百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は28百万円(前年同期は21百万円の使用)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出28百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は26百万円(前年同期は21百万円の獲得)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入26百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当社グループで行う事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。
b.受注実績当社グループでは、概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
BASE事業
7,494
△11.0
PAY事業
2,103
45.2
その他事業
141
127.4
合計
9,739
△1.9
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債または損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当連結会計年度における売上高は9,739百万円(前年同期比1.9%減)となりました。主に、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の要因により、BASE事業において、月額有料プランの提供によりテイクレートを戦略的に引き下げたこと、PAY事業において、登録加盟店数が堅調に推移し、稼働加盟店数が増加したことにより流通総額が増加したことによるものであります。(売上原価)当連結会計年度における売上原価は5,002百万円(前年同期比16.1%増)となりました。主な要因は、流通総額の増加により、決済代行業者等への支払手数料が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は4,737百万円(前年同期比15.8%減)となりました。(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は6,245百万円(前年同期比5.4%減)となりました。主な要因は、事業拡大のためのTVCMやオンライン広告等のプロモーションの抑制により、広告宣伝費が減少したことによるものであります。この結果、営業損失は1,508百万円(前年同期は営業損失977百万円)となりました。(経常利益)当連結会計年度における営業外収益は20百万円となりました。主な内容は、受取手数料12百万円であります。営業外費用は7百万円となりました。この結果、経常損失は1,495百万円(前年同期は経常損失960百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における特別損失は、減損損失157百万円、投資有価証券評価損83百万円の計上によるものであります。また、法人税等合計は△3百万円となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は1,732百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,194百万円)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員の人件費及び認知度拡大や顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金及び銀行借入により調達することを基本方針としております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向、競合他社、人材確保・育成等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保するとともに、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループが今後の事業内容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
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