【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日(2022年11月8日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日から2022年9月30日)における世界経済は、アメリカではなお拡大の動きは見られたものの、全般的にはロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格や資源価格の上昇、インフレを抑制するための中央銀行の金融引き締め、さらには中国におけるゼロコロナ政策の継続などにより全般的に成長は鈍化しております。
我が国においては、欧米における政策金利引き上げによる円安や資源価格上昇などのマイナス影響はありましたが、新型コロナウイルス感染対策の緩和を背景に、個人消費を中心に緩やかな回復の動きが見られました。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の売上高は、主力の合金鉄事業において販売価格が高いレベルで推移したことに加え、為替も前年同期と比べ円安傾向で推移したため、58,959百万円(前年同期比23.0%増)となりました。利益面では、営業利益は7,392百万円(同16.2%増)、経常利益は9,262百万円(同102.5%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,450百万円(同115.7%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
(合金鉄事業)
当第3四半期連結累計期間における世界の粗鋼生産量は、世界的な金融引き締め政策等を背景とした世界経済の下振れリスクや、欧州でのエネルギー価格高騰による悪影響などにより下押し圧力が強くなっていた一方で、中国では政府の景気支援策効果により個人消費に底打ちの動きが見られたものの14億520万トンと前年同期と比べ4.3%減少しました。また、国内粗鋼生産量は、大企業の設備投資に回復の動きがあったものの、自動車業界の供給制約が解消していないことなどから6,782万トンとなり、前年同期と比べ6.0%減少しました。
こうした状況の中、主力製品である高炭素フェロマンガン製品市況は、世界的な需給緩和から欧州を中心に足元では下落基調にありますが、販売価格は市況後追いで決定されるため、下落前の市況が反映されていることに加え、為替も前年同期と比べて大幅な円安傾向で推移したことにより上昇しました。一方、製造原価につきましても、原料であるマンガン鉱石やコークス等の価格高騰により上昇しました。
また、海外持分法適用会社においても、製品市況の上昇により業績は堅調に推移しました。
以上の結果、合金鉄事業の業績は、売上高・経常利益ともに前年同期を上回りました。
(機能材料事業)
酸化ほう素のディスプレイ用ガラス基板向け販売は前年同期を大きく上回りましたが、顧客サイドにおける半導体等の部品調達などの影響を受け、ニッケル水素電池用水素吸蔵合金・リチウムイオン電池用正極材受託事業など、電池材料関連の販売数量が大幅に減少しました。
以上の結果、機能材料事業の業績は、売上高は前年同期を上回ったものの、経常利益は電池材料関係の販売数量が減少したことや電力代上昇によるコストアップにより、前年同期を下回りました。
(環境事業)
環境システム事業につきましては、イオン交換樹脂塔の再生需要が堅調に推移したことと、設備のメンテナンスが増加したため、売上高は前年同期を上回りました。
中央電気工業㈱の焼却灰溶融固化処理事業につきましては、焼却灰溶融炉の修繕工事を実施したことから処理量が減少し、売上高は前年同期を下回りました。また、電力代などの原材料コストが増加したことから、経常利益も前年同期を下回りました。
以上の結果、環境事業の業績は、売上高・経常利益ともに前年同期を下回りました。
(電力事業)
FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を利用した売電事業として、2か所の水力発電所が順調に稼働しました。また、気象条件に恵まれたため、当期の売電量は前年同期を上回りました。
以上の結果、電力事業の業績は、売上高・経常利益ともに前年同期を上回りました。
(2) 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ8,072百万円増加し103,960百万円となりました。流動資産は、商品及び製品の増加等により、前連結会計年度末と比べ3,683百万円増加し57,137百万円、固定資産は投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末と比べ4,388百万円増加し46,823百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ1,989百万円増加し33,552百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加によるものであります。なお、有利子負債(短期借入金、一年内返済予定の長期借入金、リース債務(流動負債)、長期借入金、リース債務(固定負債))は、2,008百万円増加し19,767百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,082百万円増加し70,408百万円となりました。これは主に、利益剰余金等の増加によるものであります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、当社の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、今日まで蓄積を重ねてまいりました製品・技術・サービスをもって合金鉄事業・機能材料事業・環境事業・電力事業における各種製品を改良・開発し、鉄鋼・電池材料・電子部品材料などの業界をはじめ、各方面の需要家の皆様の要請にお応えしてまいりました。
当社グループは2021年~2023年を実行期間とする「第8次中期経営計画」を策定し、その達成に向け取組んでおります。
「既存ビジネスの強化」では、合金鉄事業の抜本的な生産構造改革及び一部需要家との価格スキーム見直しによる収益の安定化を行いました。電池材料では自動車の電動化や自動運転化、電子部品材料では5G需要の本格化に向け供給力の増強を行いました。今後、拡大する需要を着実に取込んでまいります。環境事業では、パーフェクトリサイクルによる循環型社会への貢献を目指し、焼却灰4号溶融炉の新設による増強を行いました。電力事業ではクリーンな再生エネルギーの更なる創出・利用促進に取組んでまいります。また足下では高騰している電力・原材料コスト上昇分を販売価格への転嫁に取組みつつ、各事業の競争力向上と収益力最大化を追求してまいります。
「新規ビジネスへの挑戦」では、脱炭素化、環境負荷低減の領域を中心とした新市場開拓、新事業展開に挑戦し、素材開発や環境・リサイクル等の技術を生かした研究開発の推進、他社との協業、海外展開など幅広く事業拡張の検討を進めてまいります。
「事業環境変化に適応する強い企業体質の構築」では、サステナビリティ委員会を設置し、持続的な成長に向け、機能材料や環境などの成長分野への積極的な投資を進めつつ、脱炭素化への取組みやDXの推進を図ってまいります。
目標とする経営指標としましては、第8次中期経営計画の最終年度(2023年)の業績目標を、連結売上高600億円、連結経常利益60億円、ROE8%とし、株主価値の最大限化を図ってまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は409百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 生産、受注及び販売の状況
当第3四半期連結累計期間において、前年同期比で、合金鉄セグメントにおける販売の実績に著しい増加がありました。その内容については、「(1)経営成績の状況」に記載しております。