【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、一部で持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況が継続しております。また半導体不足等による影響、ウクライナ紛争の長期化や為替相場における急激な円安進行等による原材料コストの上昇等も企業収益を悪化させ、経済活動の停滞が懸念され先行きの不透明感が継続しております。
このような環境の下で、当社グループは当期より新たに開始した2024年を目標年次とする中期経営戦略「5G&Beyond-NE(NewEra)」を進めております。近年のコロナ禍に代表される大きな事業環境の変化に対応し、新しい成長ユースケースを再定義する形で2022年度からの3年間を新たな中期経営計画戦略「5G&Beyond-NE」として策定し、従来の5G&Beyondの戦略5ゴールをさらに発展させ、それらを通じて営業利益の3倍増を目指して参ります。
当連結会計年度の売上高は、LSI事業では国内および米国市場向けを中心に前期からの成長が継続し、前期比23%の増加となりました。一方、AIOT事業では中国上海地区のロックダウンの影響等により一部顧客向けの開発案件の後倒しや計画の見直し等が発生しましたが、秋口以降は顧客需要も回復傾向となり、前期比23%の増加となりました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は、54億56百万円(前期比22.9%増)となり、売上総利益は29億87百万円(前期比17.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費については、新しい市場のニーズに対応するための積極的な研究開発投資(10億9百万円、前期比26.0%増)を行った結果、販売費及び一般管理費全体として、23億86百万円(前期比15.7%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益は6億1百万円(前期比23.8%増)となりました。
また当連結会計年度は為替相場の変動が大きく、前期末比で大幅に円安に推移したため、主に現預金等の外貨建て資産の換算差益として為替差益2億70百万円を計上したこと等により、経常利益は9億6百万円(前期比29.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億20百万円(前期比12.7%増)となりました。
セグメント別の状況
当社グループは、LSI事業とAIOT事業を事業セグメント区分としております。
なお、セグメント間の取引を相殺消去後の金額で記載しております。
(単位:百万円)
2022年12月期
2021年12月期
増減率(%)
LSI事業
売上高
4,199
3,419
+22.8
営業利益
657
566
+16.1
AIOT事業
売上高
1,257
1,021
+23.0
営業損失(△)
△56
△80
-
のれん償却前
営業利益
74
49
+49.5
合計
売上高
5,456
4,441
+22.9
営業利益
601
485
+23.8
(LSI事業)
当連結会計年度のLSI事業の売上高は、厳しい環境下ながらも営業と生産を一体とした事業運営の下、引き続き順調に推移し前期比23%増の成長を実現しました。
産業機器市場向けビジネスは、前期より引き続き主に国内市場のOA機器向けおよびアミューズメント機器向けのビジネスが順調に推移し前期比で38%の大幅増加となりました。同市場向けの売上高は、LSI事業の売上全体の73%を占めております。
車載機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の21%を占めております。国内市場および海外市場とも当社の高速情報伝送用LSI製品の出荷が前期比で増加しており、特に米国市場向けで前期比185%と大幅に増加した結果、車載機器市場向けビジネス全体としても前期比11%の増加となりました。
民生機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の6%を占めております。主にアジア市場向けの製品出荷が堅調に推移いたしましたが、前期比35%の減少となりました。
これらの結果、LSI事業全体の売上高は41億99百万円(前期比22.8%増)、売上総利益は25億70百万円(前期比19.7%増)となりました。
当連結会計年度においては、前期より継続して新しい市場ニーズに対応した研究開発を積極的に実施しました。車載カメラ、医療用カメラ、認証用カメラ等のニーズに対応するための高速インターフェースV-by-One®HS新製品ラインアップや同技術を活用した画像処理ソリューションの開発、高速通信トランシーバ製品の開発、次世代USB規格(USB4)に対応したリドライバ技術の開発、5Gを遥かに超える次世代高速無線通信技術の開発等を行い、研究開発費9億54百万円を計上しました。
これらの結果、LSI事業の当連結会計年度における営業利益は6億57百万円(前期比16.1%増)となりました。
(AIOT事業)
当連結会計年度のAIOT事業の売上高は、中国上海地区のロックダウンの影響等により一部顧客向けの製品出荷の遅延や、顧客側の生産計画の見直しが発生し一時低調に推移しましたが、秋口以降は顧客需要も回復傾向であり、また大口顧客向けの出荷も開始されたこと等により前期比23%の増加となりました。これらの結果、AIOT事業の売上高は12億57百万円(前期比23.0%増)、売上総利益は4億17百万円(前期比4.0%増)となりました。
当連結会計年度においては、AI・IoTを活用する新ニーズの拡大や第5世代移動通信(5G)による新しいアプリケーション市場の拡大を見据えたAI・IoTソリューションの開発に取り組み、エッジAI処理用モジュール製品の開発、通信型ドライブレコーダの開発、音声通話機能付きゲートウェイ新製品の開発等を行い、全体として研究開発費55百万円を計上いたしました。また、同事業のM&A取得に伴うのれんの償却額として1億30百万円等を計上しました。
これらの結果、AIOT事業の当連結会計年度における営業損失は56百万円(前期は営業損失80百万円)となりました。なお、前述ののれん償却前の営業利益は74百万円(前期はのれん償却前営業利益49百万円)となります。
※「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。
b.財政状態
当連結会計年度における資産合計は、売掛金、棚卸資産および投資有価証券が増加した一方、現金及び預金の減少およびのれんの償却等により、前連結会計年度末と比較して8億2百万円の増加となりました。また、負債合計は、その他流動負債の増加等により1億25百万円の増加となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および配当金の支払い等により6億77百万円の増加となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、89.5%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益を9億93百万円計上した一方、売上債権が4億30百万円増加したことおよび棚卸資産が4億86百万円増加したこと等に加え、法人税等を1億68百万円支払ったこと等により、1億91百万円のマイナスとなりました(前期は3億57百万円のプラス)。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、投資有価証券の取得および固定資産の取得による支出等により4億23百万円のマイナスとなりました(前期は5億13百万円のプラス)。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払い等により1億円のマイナスとなりました(前期は89百万円のマイナス)。
これらの結果により、現金及び現金同等物は現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した全体として4億41百万円減少して、当連結会計年度末残高は73億2百万円となりました。当社グループとしては、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くする方針であり、資金運用に関しても流動性を重視した運用を行うこととしております。
③生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
LSI事業(千円)
1,455,897
151.0
AIOT事業(千円)
-
-
合計
1,455,897
151.0
(注)金額は、製造原価によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
LSI事業(千円)
485,184
157.5
AIOT事業(千円)
790,407
114.6
合計
1,275,591
127.9
(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、一部、受注生産を行っておりますが、基本的には販売先から入手するフォーキャストに基づく見込生産を行っておりますので、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
LSI事業(千円)
4,199,790
122.8
AIOT事業(千円)
1,257,074
123.0
合計
5,456,864
122.9
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社マクニカ
1,361,011
30.6
1,665,891
30.5
加賀電子株式会社
544,091
12.2
890,305
16.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および会計上の見積りと当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを実施しております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針および会計上の見積りと当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
イ.経営成績
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりであります。
ロ.財政状態
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは半導体業界の常に新しい技術が創出され技術の陳腐化の早い環境下にあり、この環境の変化に対応するため、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くし、資金の流動性を高く維持する方針としております。
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