【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続し、一部で持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況が継続しております。また半導体不足等による影響、ウクライナ紛争の長期化や為替相場における急激な円安進行等による原材料コストの上昇等も企業収益を悪化させ、経済活動の停滞が懸念され先行きの不透明感が継続しております。
このような環境の下で、当社グループは当期より新たに開始した2024年を目標年次とする中期経営戦略「5G&Beyond-NE」を進めております。近年のコロナ禍に代表される大きな事業環境の変化に対応し、新しい成長ユースケースを再定義する形で、2022年度からの3年間を新たな中期経営計画戦略「5G&Beyond-NE(NewEra)」として策定し、従来の5G&Beyondの戦略5ゴールをさらに発展させ、それらを通じて営業利益の3倍増を目指して参ります。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、LSI事業では前期からの回復傾向が継続し、主に国内および米国・中国市場を中心とした海外市場向けにおいてさらなる成長を実現し、前期比26%の増加となりました。一方、AIOT事業 では中国上海地区のロックダウンの影響等により当初の見込みを下回って推移しましたが、当第3四半期会計期間 において通信モジュール製品の出荷増加傾向が見られ、ソリューション開発においても複数案件の開発が完了し、 今後の事業拡大に向けた成果を得られました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、36億63百万円(前期比15.5%増)となり、売上総利益は21億24百万円(前期比15.7%増)となりました。
販売費および一般管理費については、新しい市場のニーズに対応するための積極的な研究開発投資(6億98百万円、前期比16.8%増)を行った結果、販売費および一般管理費全体として、16億29百万円(前期比8.9%増)となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は4億94百万円(前期比46.1%増)となりました。
また為替相場において急速に円安が進行し、保有する主に現預金等の外貨建て資産の換算差益として為替差益4億5百万円を計上したこと等により、経常損益は経常利益9億13百万円(前期比81.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益7億58百万円(前期比84.7%増)となりました。
(セグメント別の状況)
当社グループは、LSI事業とAIOT事業を軸として事業活動を推進しており、これらを事業セグメント区分としております。
(単位:百万円)
2022年12月期
第3四半期
2021年12月期
第3四半期
増減率(%)
LSI事業
売上高
3,009
2,393
+25.7
営業利益
614
391
+57.2
AIOT事業
売上高
654
778
△15.9
営業利益
△120
△52
―
(参考)
のれん償却前営業利益
△22
45
―
合計
売上高
3,663
3,171
+15.5
営業利益
494
338
+46.1
※セグメント間の取引を相殺消去後の金額で記載しております。
(LSI事業)
当第3四半期連結累計期間のLSI事業の売上高は、前期より引き続き厳しい製造環境下ながらも営業と生産を一体とした事業運営の下、引き続き順調に推移しており前期比25.7%増の成長を実現しました。
産業機器市場向けビジネスは、前期より引き続き主に国内市場のOA機器向けおよびアミューズメント機器向けのビジネスが順調に推移し前期比で38.5%の大幅増加となりました。同市場向けの売上高は、LSI事業の売上全体の69%を占めております。
車載機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の23%を占めております。国内市場および海外市場とも当社の高速情報伝送用LSI製品の出荷が前期比で増加しており、特に米国市場向けで前期比126%の増加となった他、EV化が進む中国市場でも堅調に推移した結果、車載機器市場向けビジネス全体としても前期比14.2%の増加となりました。
民生機器市場向けビジネスは、LSI事業の売上全体の8%を占めております。主にアジア市場向けの製品出荷が堅調に推移いたしましたが、前期比15.2%の減少となりました。
これらの結果、LSI事業全体の売上高は30億9百万円(前期比25.7%増)、売上総利益は19億3百万円(前期比24.4%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、前期より継続して新しい市場ニーズに対応した研究開発を積極的に実施しました。車載カメラ、医療用カメラ、認証用カメラ等のニーズに対応するための高速インターフェースV-by-One®HS新製品ラインアップや同技術を活用した画像処理ソリューションの開発、高速通信トランシーバ製品の開発、次世代USB規格(USB4)に対応したリドライバ製品の開発、5Gを遥かに超える次世代高速無線通信技術の開発等を行い、研究開発費6億53百万円を計上しました。
これらの結果、LSI事業の当第3四半期連結累計期間における営業利益は6億14百万円(前期比57.2%増)となりました。
※「V-by-One」はザインエレクトロニクス株式会社の登録商標です。
(AIOT事業)
当第3四半期連結累計期間のAIOT事業の売上高は、中国上海地区のロックダウンの影響等により当初の見込みを下回って推移しましたが、当第3四半期会計期間 において通信モジュール製品の出荷増加傾向が見られ、ソリューション開発においても複数案件の開発が完了し、 今後の事業拡大に向けた成果を得られました。これらの結果、AIOT事業の売上高は6億54百万円(前期比15.9%減)、売上総利益は2億21百万円(前期比27.6%減)となりました。
当第3四半期連結累計期間においては、AI・IoTを活用する新ニーズの拡大や第5世代移動通信(5G)による新しいアプリケーション市場の拡大を見据えたAI・IoTソリューションの開発に取り組み、エッジAI処理用モジュール製品の開発、通信型ドライブレコーダ向けソリューションの開発、音声通話機能付きゲートウェイ新製品の開発等を行い、全体として研究開発費45百万円を計上いたしました。また、同事業のM&A取得に伴うのれんの償却額として97百万円を計上しました。
これらの結果、AIOT事業の当第3四半期連結累計期間における営業損失は1億20百万円(前年同期は営業損失52百万円)となりました。なお、前述ののれん償却前の営業損失は22百万円(前年同期はのれん償却前営業利益45百万円)となります。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、売掛金、棚卸資産および投資有価証券が増加した一方、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末と比較して7億93百万円の増加となりました。また、負債合計は、買掛金の増加等により2億7百万円の増加となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や配当金の支払等により5億85百万円の増加となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における、営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前四半期純利益を9億99百万円計上し、仕入債務が1億86百万円増加した一方、棚卸資産が5億円増加し、為替差益4億76百万円を計上したことに加え、法人税等を1億64百万円支払ったこと等により16百万円のマイナスとなりました。(前年同期は2億97百万円のプラス)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、投資有価証券の取得による支出および固定資産の取得により4億9百万円のマイナスとなりました。(前年同期は5億15百万円のプラス)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払等により1億9百万円のマイナスとなりました。(前年同期は96百万円のマイナス)
これらの結果により、現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した全体として88百万円減少して当第3四半期連結累計期間末残高は76億54百万円となりました。当社グループとしては、機動的な研究開発リソースの確保やM&Aの機会に迅速に対応できるよう内部留保を厚くする方針であり、資金運用に関しても流動性を重視した運用を行うこととしております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の金額は6億98百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
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