【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の分析 [事業活動の取り組み状況]グローバルでのDX等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図り、市場の変化に対応したデジタルオファリングの拡充を進めました。 NTT Ltd.との海外事業統合により、グローバルでのConnectivity領域のケイパビリティも獲得し、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの提供に取り組みました。具体的な取り組みは次のとおりです。
<人流予測と気象予報を活用するHUCAST AI空調最適化サービスを提供開始>当社グループの株式会社NTTデータ及び株式会社ハレックスは、「HUCAST AI空調最適化サービス」の提供を2023年9月から開始しました。 一般的なビル施設では、エネルギー消費の約半分を空調が占めており、エネルギー削減の具体策が求められていました。本サービスは、室温に最も影響を与える人流と外気温の変化をAIが解析し、最適な空調制御シナリオを自動生成してビル管理システムに提供することにより室温の変動を未然に防ぐ、フィードフォワード型の空調制御を行うことで、空調エネルギーを最大50%削減しつつ快適性を向上させることを可能にします。また、NTT研究所のAIモデル、コンパクトな人流センサ及びクラウド型のサービス設計により、コストを抑制し、既設ビルにおいても短期間での導入が可能となります。 今後、当社グループは、ビルのエネルギーコストの急騰に伴いますます必要性が高まる省エネ対策の切り札として、本サービスを2025年までに50施設に提供していく予定です。本サービスにより、建物のエネルギーコストを削減することで、省エネを推進し脱炭素社会の実現に貢献します。
<デジタルアセット市場における金融機関のオープンな共創をサポート>・デジタル社債向け「標準化インフラ」構築に向けた提携当社グループと三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、三菱UFJ信託銀行)は、当社グループが持つ国内で圧倒的なシェアを誇る社債管理基盤と、三菱UFJ信託銀行が持つデジタルアセットの発行・管理基盤である「Progmat(プログマ)サービス」(注1)とを連携させ、デジタル社債向け標準化インフラ(以下、本基盤)の構築を進めることについて2023年8月に合意しました。さらに、株式会社三菱UFJ銀行は、本基盤を用いたデジタル社債の発行支援を開始します。日本ではデジタル社債の発行はいまだ試験的な段階にあり、ブロックチェーン技術を活用したデジタル社債の拡大には、固有の付加価値の提供や利便性の向上に加え、市場参加者である金融機関や事業会社が導入・移行に要する負荷の軽減が求められています。本基盤の構築により、市場参加者のデジタル社債市場参入を容易にし、デジタル社債市場の活性化を図ります。・デジタルアセット市場の「標準化インフラ」構築に向けた法人設立への参画当社グループを含む8社(注2)は、本基盤の一部を担うProgmatサービス、及び「デジタルアセット共創コンソーシアム(注3)」の運営を担う株式会社Progmat(以下、Progmat社)を設立することを2023年9月に合意しました。同8社は、デジタルアセット市場の「標準化インフラ」となる本基盤を構築するためには、金融市場に関する深いドメイン知識と圧倒的なインフラ構築力が必要であり、金融機関と経験豊富なソフトウェア企業である当社グループが手を携えて「共同企業体」を創ることで、より早く、より広く、インパクトを出せる開発集団をめざしました。当社グループは金融インフラや先端技術に関するノウハウを活かし、関係者の皆様と共に同社の発展に寄与します。同8社はProgmat社設立を通じ、業界を挙げて「共創領域」を「標準規格」で円滑に実装し、市場参加者の圧倒的な利便性向上を実現することで、日本のデジタルアセット市場の発展と競争力を高めていきます。
<日本初の一般路面スーパーマーケット併設ウォークスルー店舗のオープンを支援>当社グループと株式会社ダイエー(以下、ダイエー)は、一般路面のスーパーマーケットに併設される日本初(注4)のウォークスルー店舗「CATCH&GO」を神奈川県横浜市に開設することを2023年9月に発表し、同年10月オープンしました。本店舗では、専用アプリを使ってスマートフォンを入店ゲートにかざし、商品を手に取って退店するだけで自動的にキャッシュレス決済が完了し、来店客はレジ操作等することなく最短10秒で約400種類の商品から必要なものが購入できます。少子高齢化が進む中で日本国内では労働力不足が社会問題となっていますが、特に、日常生活に不可欠な小売業界においては、従業員の業務負荷軽減、労働生産性の向上、持続的な店舗形態への移行が課題となってきました。また、新型コロナウイルス等の感染症の影響により非接触・短時間の買い物ニーズが高まるなど、消費者の価値観や行動は多様化しています。当社グループとダイエーは両社で蓄積してきたウォークスルー店舗運営のノウハウを生かし、本店舗の開設を契機として、これらの課題解決をめざします。また、本店舗はこれまでにないスピーディーな購買が可能な小売店舗として新たな購買体験を提供することにより、新規需要を見込んでいます。当社グループは、ダイエーのウォークスルー店舗のビジネスの企画・設計からデジタル技術提供まで一貫して支援するパートナーになるとともに、小売業界全体の課題解決に取り組んでいきます。
<お客様のDXを支援するプラットフォーム案件及び大規模ITアウトソーシング案件獲得> NTT DATA ServicesとNTT Ltd.は、グローバルに事業展開するフォークリフト製造企業から、自動フォークリフトの移動サポートを実現するトラフィックマネジメントプラットフォーム(以下、本プラットフォーム)構築案件及び大規模ITアウトソーシング案件を受注しました。・
NTT DATA Servicesのサブブランドである「Launch by NTT DATA(注5)」が中心となり、MVP開発手法(注6)によるお客様提案を通じた専門性が評価されたこと、及びNTT Ltd.のインフラ領域のケイパビリティを高く評価されたことにより本プラットフォーム構築案件の受注につながりました。NTT DATA Servicesは、本プラットフォームをお客様及びその顧客へSaaSライセンス製品として提供し、NTT Ltd.は、本プラットフォームに関するネットワークのマネージドサービスを提供することで、One NTT DATAとしてEnd to Endのデリバリーを実現します。・
お客様のITアウトソーシングに関わるDX推進について、NTT DATA Servicesは、Azureクラウドへの移行、サービスデスク業務へのAI導入、デバイス更改支援機能の導入を通じて、NTT Ltd.は、ネットワークの改善・更改によりインフラモダナイゼーションをそれぞれ支援します。 今後もOne NTT DATAとして総合的なソリューションを訴求し、お客様のDXを支援してまいります。
(注1)Progmat(プログマ)サービス現時点では、株式会社Progmatに帰属しています。
(注2)当社グループを含む8社株式会社NTTデータ、三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ信託銀行株式会社、三井住友信託銀行株式会社、株式会社三井住友銀行、SBIホールディングス株式会社、株式会社日本取引所グループ、株式会社Datachainの8社を指します。
(注3)デジタルアセット共創コンソーシアムデジタルアセット全般を対象とした、業界横断での新たなエコシステムの共創をめざす枠組みです。同コンソーシアムにおいては、会員企業(2023年9月時点で214社)の協力の下、「Progmatサービス」を軸に、複数の関係者間を跨ったワーキンググループや個別プロジェクトについての検討を行っています。
(注4)日本初株式会社NTTデータ調べ
(注5)Launch by NTT DATAコンサルティングやデジタルを通じたケイパビリティの拡充を目的としたM&Aにより加わった5社、及びNTT DATA Servicesの既存組織であるModern Applications 及びUser/Customer Experienceチームが一体となって、2023年4月に立ち上げた北米リージョンのサブブランドです。デジタル(Digital)、IoT、体験型(Experience)、没入型(Immersive)といったオファリングを提供することにより、お客様組織が「デジタル体験」を作り出すことを支援し、カスタマーエンゲージメントの実現とお客様の成長を牽引します。
(注6)MVP(Minimum Viable Product)開発手法必要最小限のプロダクト開発、リリース、ユーザーからの有効なフィードバックを繰り返し、改善していく開発手法のことです。
[連結業績及び各セグメントの取り組み方針・業績] 当第2四半期連結累計期間における業績につきましては、売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響に加え、日本セグメント・欧州における規模拡大及び為替影響等により増収となりました。営業利益は、海外セグメントにおける統合費用・構造改革費用の増加はあるものの、NTT Ltd.連結拡大影響や増収等に伴い増益になりました。
・売上高
2,078,513百万円
(前年同四半期比
51.6%増
)
・営業利益
121,872百万円
(同
12.9%増
)
・税引前四半期利益
95,543百万円
(同
13.6%減
)
・当社株主に帰属する四半期利益
53,022百万円
(同
27.1%減
)
・(参考)受注高
2,166,581百万円
(同
81.4%増
)
セグメント別の取り組み方針及び業績は次のとおりです。
(日本)主に日本国内において、各分野で実行される取り組み方針を軸に、世界最先端のベストプラクティスやテクノロジーを活用し、日本の競争力強化に資するサービスを提供していきます。
当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。・売上高は、中央府省向け案件及び小売・消費財向け案件の規模拡大により、822,847百万円(前年同四半期比7.5%増)となりました。・営業利益は、増収等による増益及び前年発生の不採算費用の剥落はあるものの3社体制化に伴うコーポレート部門の機能移管により、79,985百万円(同4.3%増)となりました。
日本セグメントにおける各分野の取り組み方針は次のとおりです。
・公共・社会基盤「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における行政や準公共分野(医療・教育・防災・モビリティ等)のデジタルサービス拡充などにより、デジタル社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社グループは、その実現に向け、Foresight起点で社会の未来を描き、先進技術適用・付加価値提案による『顧客ビジネス深化』、利用者目線での『社会システム創出』に取り組むことにより、事業拡大をめざします。
・金融社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムには、信頼性と先進性の両立が一層求められています。当社はサステナブルな社会の実現に向けて、安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大をめざします。
・法人2023年4月に法人分野の組織再編を行いました。コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担う組織と、インダストリー軸でそれらを束ね、Foresight起点でエンドツーエンドでお客さまに価値提供するインダストリー組織のマトリクス運営を進めます。さまざまなインダストリーのお客さまの、ビジネス変革を加速するビジネスパートナーとして、業界・お客さまのあるべきビジネスの姿をお客さまと描き、それを実現するための企画策定から、先進技術活用力とシステム開発技術力を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供していきます。
(海外)グローバル全体でのシナジーを生み出すために事業構造の転換をめざし、コンサルティング及びデジタル領域を中心としたオファリングの拡充、既存ビジネス領域での自動化促進等を含めた収益性向上、デジタル人財の拡充及び育成をグローバル一体となって行っていきます。さらに、DXが加速する中で求められるサービスにNTT Ltd.が持つデータセンターやネットワークサービス等のインフラ・Connectivityの強みを加えトータルに提供し、複雑化・多様化するニーズにグローバルレベルで対応していきます。
当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。・売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響、欧州での規模拡大及び為替影響等により、1,272,899百万円(前年同四半期比103.5%増)となりました。・営業利益は、NTT Ltd.連結拡大影響及び増収等による増益はあるものの、統合費用・構造改革費用の増加により、34,189百万円(同30.6%増)となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の資産は、主に有形固定資産及び無形資産が為替影響含め増加した結果、6,712,371百万円と前期末に比べ554,177百万円の増加となりました。負債も、有利子負債の増加等により、4,088,417百万円と前期末に比べ326,587百万円の増加となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期利益51,313百万円や減価償却費及び償却費165,940百万円等により、186,411百万円の収入(対前年同四半期比67,707百万円収入増加)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、252,886百万円の支出(同90,997百万円の支出増加)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは66,475百万円の赤字(同23,289百万円減少)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支出があるものの、有利子負債の調達等により、103,578百万円の収入(同28,594百万円の収入増加)となりました。
(4) 重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り 当社グループにおける重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」及び「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動
当社グループは、グローバルでの厳しい競争に勝ち残っていくため、5-10年先を想定した先進技術を見極め、新しい技術によるビジネス価値を創出する「先進技術活用力」の強化に取り組んでいます。また、市場成長率が高い技術領域を当社の注力領域として定め、デジタル時代にふさわしいアジリティを持つシステム開発を実現する「システム開発技術力」の強化にも取り組んでいます。最先端技術に関する知見やノウハウをグローバルで集約・活用し、イノベーションを推進していきます。更に、日本電信電話株式会社との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は10,239百万円です。
(7) 従業員数①連結会社の状況当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。②提出会社の状況当第2四半期累計期間において、当社の従業員数は前事業年度末から11,010名減少し、1,704名となりました。主な要因は、2023年7月1日付で、当社が営む国内事業を株式会社NTTデータ(2023年7月1日付で株式会社NTTデータ国内事業準備会社より商号変更)に承継させたことにより減少したものです。なお、従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む従業員数です。
この四半期報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社グループ各社あるいは他社等の登録商標又は商標です。なお、将来に関する記述は、当社グループが当四半期連結会計期間の末日時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。
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