【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、昨年末以降、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が大きく緩和され、個人消費や企業の設備投資を中心に経済活動の持ち直しの動きが見られました。一方、原材料費の高騰や円安による輸入コスト増などから商品やサービス価格が上昇しており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループ関連のエネルギー業界に関しましても、発生から1年以上が経過したロシア・ウクライナ情勢の長期化等により各種エネルギーの仕入価格高騰が継続しており、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、「(2022年~2024年)中期経営計画」に基づき2050年のカーボンニュートラルを見据えつつ、2030年に向けて着実に実践可能な対応、脱炭素の前段と言える低炭素への取組みを進めるとともに、持続可能な成長を実現し続けるため、地域密着型生活関連総合商社として地域との密接なつながりを活かし、安心・安全なエネルギーの安定供給と、より質の高いサービスの提供により増客増販に努めてまいりました。
営業活動におきましては、電気料金の高騰などから社会やお客様からの注目度が高まる省エネ機器や蓄電池・断熱リフォーム等の販売に力を入れ、補助金制度の活用も含めて快適で安心な生活環境と低炭素化への貢献ができる商品を積極的に提案し、昨年を大きく上回る成果を上げることができました。また、お客様との接点強化及びペーパーレス化によるSDGsの推進を目的として昨年9月より開設したWeb会員サービス「サンリンMyページ」の会員数は、導入以降順調に加入件数を伸ばしており、今後もお客様にとってより利便性の高いツールとなるようサービスの充実を図ってまいります。
主力でありますLPガス事業におきましては、記録的な暖冬の影響等により、暖房需要が伸び悩み販売量は前年比で減少したものの、開発部門による新築物件等の開拓に加え、M&Aによる事業譲受、燃転等により顧客件数を増加させることができました。また、快適にご利用いただけるガスファンヒーターのレンタルサービスも積極的に提案し、契約件数を増加させることができました。
石油事業におきましても、最需要期であります冬場の暖冬の影響により灯油及び軽油の暖房・融雪需要が減少し、販売数量は前年比で減少しました。一方、ガソリンの販売数量は行動制限の緩和や政府による負担軽減策等により、セルフ給油所を中心に前年比で増加となりました。なお、座光寺給油所(飯田市)につきましては、敷地の一部がリニア中央新幹線事業における収用対象となり、本年2月末をもって閉鎖いたしました。
電気事業におきましては、顧客件数の増加により販売数量は前年比で増加しましたが、燃料費調整単価の想定外の高騰等により契約件数の伸びは鈍化しました。一方、太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車の家庭用充電設備の販売におきましては、お客様の環境問題や防災対策への意識に加え、高騰した光熱費への関心を反映し、昨年を上回る実績を上げることができました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、LPガス及び石油類の仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、機器・リフォーム事業の売上伸長等により32,844百万円(前年同期比8.9%増)となりました。
一方、利益面におきましては、記録的な暖冬の影響等によるLPガス及び石油類の販売数量減少と電気事業の電力調達価格上昇の影響、及び高圧電力をはじめとしたグループ全社の光熱費や配送コストの高騰等により、営業利益511百万円(前年同期比19.6%減)、経常利益816百万円(前年同期比10.3%減)となりました。税金等調整前当期純利益は減損損失が減少したことから815百万円(前年同期比2.5%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益537百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
a.エネルギー関連事業
LPガス及び石油類の仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、機器・リフォーム事業の売上伸長等により、売上高は29,069百万円(前年同期比8.0%増)となりました。一方、セグメント利益は、暖冬の影響等によるLPガス及び石油類の販売数量減少と電気事業の電力調達価格上昇の影響等により392百万円(前年同期比36.0%減)となりました。
なお、LPガス販売事業者のうち現在全国で約1%に付与されている「ゴールド保安認定事業者」として、LPガス保安確保機器の設置を進めてきた結果、当連結会計年度末における認定対象先は96%を超えました。
b.製氷事業
夏場の暑さによる売上増の影響により、売上高は327百万円(前年同期比9.0%増)となりました。セグメント損失は新工場の償却費負担は減少したものの原材料費及び光熱費の上昇等により55百万円(前年同期は52百万円のセグメント損失)となりました。
c.青果事業
株式会社一実屋でのりんご売上の増加や株式会社えのきボーヤでのえのき茸の販売単価上昇等により、売上高は2,473百万円(前年同期比5.3%増)となりました。セグメント損失は主に株式会社一実屋での仕入価格上昇等により12百万円(前年同期は10百万円のセグメント利益)となりました。
d.不動産事業
大型の土地分譲の販売が順調に進んだことから、売上高は571百万円(前年同期比96.6%増)、セグメント利益は98百万円(前年同期比659.1%増)となりました。
e.その他事業
運送事業・建設事業等のその他事業におきましては、主に建設事業において完工物件が増加したことから、売上高は401百万円(前年同期比36.1%増)、セグメント利益は9百万円(前年同期は15百万円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比184百万円減少し、当連結会計年度末は3,534百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,107百万円(前年同期は53百万円の使用)となりました。主な内訳は税金等調整前当期純利益815百万円、減価償却費756百万円等の増加要素、法人税等の支払額353百万円等の減少要素によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は854百万円(前年同期は720百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出778百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は437百万円(前年同期は371百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払いによる支出268百万円等によるものであります。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
自己資本比率(%)
67.9
70.3
69.7
70.1
70.6
時価ベースの自己資本比率(%)
36.5
34.8
34.2
30.9
31.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
1.7
2.3
2.1
-
2.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
165.3
134.0
198.4
-
143.5
自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
※2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
エネルギー関連事業(百万円)
506
20.6
製氷事業(百万円)
302
6.3
青果事業(百万円)
731
12.3
合計(百万円)
1,541
13.6
(注)金額は製造原価にて記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
エネルギー関連事業(百万円)
23,289
10.8
製氷事業(百万円)
296
8.6
青果事業(百万円)
2,030
9.0
不動産事業(百万円)
420
86.7
報告セグメント計(百万円)
26,037
11.4
その他(百万円)
1,220
6.9
合計(百万円)
27,258
11.2
(注)金額は売上原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.受注実績
当社グループの製品は、すべて見込生産であり、受注生産を行っておりません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
エネルギー関連事業(百万円)
29,069
8.0
製氷事業(百万円)
327
9.0
青果事業(百万円)
2,473
5.3
不動産事業(百万円)
571
96.6
報告セグメント計(百万円)
32,442
8.6
その他(百万円)
401
36.1
合計(百万円)
32,844
8.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ2,679百万円増加し、32,844百万円(前年同期比8.9%増)となりました。これは主に、LPガス及び石油類の仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇に加え、機器・リフォーム事業の売上伸長等によるものであります。
なお、セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ41百万円減少し、6,717百万円(前年同期比0.6%減)となりました。これは主に、記録的な暖冬の影響等によるLPガス及び石油類の販売数量減少と電気事業の電力調達価格上昇の影響、及び高圧電力をはじめとしたグループ全社の光熱費や配送コストの高騰等によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、退職給付費用、ガス供給設備費、販売促進費、及び水道光熱費の増加等により前連結会計年度に比べ83百万円増加し、6,206百万円(同1.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ124百万円減少し、511百万円(同19.6%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ27百万円増加し、322百万円(同9.3%増)となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し、17百万円(同17.3%減)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ93百万円減少し、816百万円(同10.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失は、給油所の減損損失0百万円を計上しましたが、前連結会計年度に比べ72百万円減少しました。。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10百万円増加し、537百万円(同2.0%増)となりました。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産の残高は、12,914百万円となり、前連結会計年度比110百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度比で、現金及び預金が184百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が312百万円減少、棚卸資産が476百万円増加したこと等が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産の残高は、13,765百万円となり、前連結会計年度比507百万円の増加となりました。主な要因は、投資有価証券の評価額が増加したことにより投資その他の資産が458百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債の残高は、6,149百万円となり、前連結会計年度比27百万円の減少となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が87百万円増加、短期借入金が90百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債の残高は、1,695百万円となり、前連結会計年度比82百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金が78百万円減少、繰延税金負債が106百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度における純資産の部の残高は、18,834百万円となり、前連結会計年度比563百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金が267百万円増加、その他有価証券評価差額金が292百万円増加したこと等によるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。
2025年3月期を最終目標年度とする中期経営計画の達成に向けた重点施策への取組みを進めてまいります。
指標
2022年3月期(実績)
2023年3月期(実績)
2025年3月期(計画)
連結経常利益
909百万円
816百万円
1,300百万円
連結ROE
2.9%
2.9%
5.0%
連結配当性向
51.3%
50.2%
30%
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入代金等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。また、株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
運転資金及び投資資金並びに株主還元等につきましては、主として営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当し、不足が生じた場合等は金融機関からの借入金で調達する方針となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、必要な資金の調達は十分可能な状況であると考えております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は3,159百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,534百万円となっております。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、ウクライナ情勢の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループにつきまして、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれん)
のれんは、将来の販売予測、及び開発、営業、生産等のシナジー効果を見積った上で策定された事業計画を基礎とし、超過収益力として算定され、規則的に償却しております。なお、将来の事業計画は市場環境の変化等による不確実性を伴うものであり、仮に超過収益力に毀損が生じた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表においてのれんの金額に影響を及ぼす可能性があります。