【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
連結経営成績
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
(億円)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
(億円)
前年同期比
増減率
(%)
売上高
3,504
4,610
31.6
航空事業
3,142
4,185
33.2
航空関連事業
554
675
21.9
旅行事業
139
177
27.0
商社事業
224
275
22.7
その他
89
90
1.7
セグメント間取引
△645
△793
-
営業利益又は営業損失(△)
△13
437
-
航空事業
△19
423
-
航空関連事業
19
31
59.5
旅行事業
△5
1
-
商社事業
5
11
133.4
その他
2
0
△99.6
セグメント間取引
△15
△31
-
経常利益
43
432
887.5
親会社株主に帰属する四半期純利益
10
306
-
※ 下記(注)1、2参照。
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日(以下、「当第1四半期」という。))のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、個人消費の持ち直しが見られる等、景気は緩やかに回復しています。
航空業界を取り巻く環境は、ウクライナ情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、世界各国での入国制限や感染対策の緩和が一層進み、旅客需要は回復基調が続いています。
このような社会・経済情勢の下、航空事業をはじめ、全事業で増収を達成し、売上高は4,610億円、営業利益は437億円、経常利益は432億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は306億円となり、前年同期と比べ、大幅な増益となりました。
なお、当社は、各国の環境規制動向等を踏まえ、2050年度までのカーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略において、2030年度のCO2排出量を2019年度比で実質10%以上削減していくように中期環境目標を更新しました。また、特別塗装機「ANA Green Jet」を運航する等の環境に配慮した取り組みが評価され、「第31回地球環境大賞 国土交通大臣賞」を受賞しました。
以下、当第1四半期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。
(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
セグメント別の概況
◎航空事業
売上高4,185億円(前年同期比33.2%増) 営業利益423億円(前年同期 営業損失19億円)
新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更されたこと等を背景に、国内線・国際線・LCCともに旅客需要が好調に推移し、売上高は前年同期を大きく上回りました。費用面では、運航規模を拡大したこと等に伴い、変動費を中心に増加しましたが、コストマネジメントを徹底したこと等から、前年同期に比べて損益は大幅に改善し、営業黒字に転換しました。
なお、当社グループは、英国SKYTRAX社による「2023 World Airline Awards」にて、昨年に続き「空港サービス全般」をはじめ3部門で、最も優秀な航空会社に選ばれました。
<国際線旅客(ANAブランド)>
項 目
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比
増減率
(%)
旅客収入
(億円)
622
1,673
168.9
旅客数
(人)
684,746
1,623,985
137.2
座席キロ
(千席キロ)
6,204,389
12,556,187
102.4
旅客キロ
(千人キロ)
4,389,105
9,698,051
121.0
利用率
(%)
70.7
77.2
6.5
※ 下記(注)3、7、8、12参照。
国際線旅客では、訪日旅客数が好調に推移したことに加え、日本発のビジネス需要や北米=中国間の接続需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、回復が見込まれる業務渡航需要や訪日需要を取り込むために、北米や中国路線等の増便を実施しました。中国路線においては、4月より羽田=北京線、羽田=上海(浦東・虹橋)線、6月より関西=上海(浦東)線の運航を3年ぶりに再開しました。
営業・サービス面では、プロモーション運賃を販売し、日本発レジャー需要の喚起を図りました。また、6月からは国際線特別塗装機「ピカチュウジェットNH」の運航を開始し、オリジナルグッズ販売や機内エンターテイメントの特別企画を実施する等、旅の楽しさとワクワクの提供に努めました。
<国内線旅客(ANAブランド)>
項 目
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比
増減率
(%)
旅客収入
(億円)
1,020
1,425
39.7
旅客数
(人)
6,569,485
9,672,943
47.2
座席キロ
(千席キロ)
11,084,134
13,424,781
21.1
旅客キロ
(千人キロ)
5,976,159
8,982,956
50.3
利用率
(%)
53.9
66.9
13.0
※ 下記(注)3、4、7、8、12参照。
国内線旅客では、ビジネス需要は前年同期に比べて増加しているものの、コロナ前の水準には戻っていない中で、レジャー需要は新型コロナウイルスの5類感染症への移行等を背景に、コロナ前の水準まで回復しました。当社グループではANA創立70周年記念企画第2弾「国内線どこでも片道平日7,000円、土日10,000円」セールの実施等により需要を取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、大型機を高需要路線へ投入し、ゴールデンウィーク期間に臨時便を設定する等、レジャー需要を積極的に取り込みました。
営業・サービス面では、ボーイング767型機の就航40周年を記念し、成田空港発着の特別遊覧フライトを運航した他、TULLY’S COFFEEとのコラボレーション企画等を実施し、機内サービスの充実に努めました。
<貨物(ANAブランド)>
項 目
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比
増減率
(%)
国際線
貨物収入
(億円)
947
381
△59.7
有効貨物トンキロ
(千トンキロ)
1,644,020
1,580,245
△3.9
貨物輸送重量
(トン)
215,925
171,859
△20.4
貨物トンキロ
(千トンキロ)
1,125,861
864,088
△23.3
郵便収入
(億円)
13
12
△9.2
郵便輸送重量
(トン)
3,652
3,598
△1.5
郵便トンキロ
(千トンキロ)
18,328
18,117
△1.2
貨物重量利用率
(%)
69.6
55.8
△13.8
国内線
貨物収入
(億円)
59
52
△10.4
有効貨物トンキロ
(千トンキロ)
299,745
412,578
37.6
貨物輸送重量
(トン)
59,486
58,071
△2.4
貨物トンキロ
(千トンキロ)
67,830
65,868
△2.9
郵便収入
(億円)
7
6
△3.5
郵便輸送重量
(トン)
6,135
5,968
△2.7
郵便トンキロ
(千トンキロ)
6,140
6,020
△2.0
貨物重量利用率
(%)
24.7
17.4
△7.3
※ 下記(注)3、5、6、9、10、11、12参照。
国際線貨物では、北米=アジア・中国間の貨物需要の取り込みに努めたものの、半導体・電子機器、自動車関連をはじめとした主要産業のマーケット需要が減退したこと等から、輸送重量・収入ともに前年同期を下回りました。
路線ネットワークでは、路線や曜日別に需要動向を見極め、必要に応じて貨物専用機の供給量を調整することで収益性の確保に努めました。
なお、日本の航空会社として初めて、IATA(国際航空運送協会)が策定した生鮮食品輸送における国際品質認証である「CEIVフレッシュ」を取得し、輸送サービスの拡充と品質の向上を図りました。
<LCC>
項 目
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比
増減率
(%)
LCC収入
(億円)
155
277
78.2
旅客数
(人)
1,702,650
2,158,435
26.8
座席キロ
(千席キロ)
2,894,211
3,180,411
9.9
旅客キロ
(千人キロ)
1,938,871
2,671,146
37.8
利用率
(%)
67.0
84.0
17.0
※ 下記(注)7、8、12、13参照。
LCCでは、国内線においてはゴールデンウィークを中心にレジャー需要が好調に推移し、国際線においては訪日需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、5月より関西=上海(浦東)線、羽田=上海(浦東)線の運航を3年ぶりに再開し、訪日需要の取り込みに努めました。
営業・サービス面では、就航開始からの累計搭乗者数が 5,000 万人を突破し、記念イベントやセールを実施した他、アニメ「プリキュア」や音楽バンド「back number」とのコラボレーション企画を通じて、新規顧客の需要喚起を図りました。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は355億円(前年同期316億円、前年同期比12.2%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
売上高675億円(前年同期比21.9%増) 営業利益31億円(同59.5%増)
外国航空会社から旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増えたことに加え、旅客需要の回復に伴い機内食関連業務が増加したこと等により、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
◎旅行事業
売上高177億円(前年同期比27.0%増) 営業利益1億円(前年同期 営業損失5億円)
国内旅行については、ゴールデンウィークを中心に需要が回復し、昨年度より継続して展開された全国旅行支援の効果もあり、全方面のダイナミックパッケージ商品に加え、「ANAトラベラーズホテル」商品が好調に推移しました。海外旅行については、ハワイ方面を中心に前年同期を大きく上回り、アジア方面やアメリカ本土への個人旅行等の需要も回復し始めました。以上の結果、売上高は前年同期を大幅に上回り、営業黒字に転換しました。
また、5月には、モバイルペイメントサービス「ANA Pay」をリニューアルし、1マイルからチャージが可能となり、利用店舗を大幅に増加させる等、お客様の利便性向上に努めました。
◎商社事業
売上高275億円(前年同期比22.7%増) 営業利益11億円(同133.4%増)
旅客需要の回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」、免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や観光土産品卸売「FUJISEY」等で増収となった他、半導体の好調な需要を受けて電子事業の取扱高が増加したこと等により、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
◎その他
売上高90億円(前年同期比1.7%増) 営業利益0億円(同99.6%減)
不動産関連事業や空港設備保守管理事業において取扱高が増加したこと等から、売上高は前年同期を上回りましたが、羽田空港第2ターミナル国際線施設の再開に向けた費用を計上したこと等により、損益は前年同期を下回りました。
(注) 1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。
3.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。
4.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日から2022年10月29日のPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含み、2022年10月30日から天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。
5.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
6.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。
7.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
8.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれます。
10.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
11.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
12.利用率及び貨物重量利用率については、「前年同期比増減率(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。
13.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。
(2) 財政状態の状況
資産の部は、現金及び預金等が増加したことにより、前期末に比べて986億円増加し、3兆4,653億円となりました。 負債の部は、航空券の予約発券数の拡大に伴う契約負債の増加等により、前期末に比べて480億円増加し、2兆5,443億円となりました。なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は、前期末に比べて349億円減少し、1兆5,729億円となりました。 純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことに加え、繰延ヘッジ損益の増加等により前期末に比べて506億円増加し、9,210億円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等について
当第1四半期において、当社グループが定めている経営の基本方針について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空運送サービスを提供するための多様な改良・改善活動を推進しています。
また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進しています。
なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはありません。