【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
連結経営成績
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
(億円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
(億円)
前年同期比
増減率
(%)
売上高
4,311
7,907
83.4
航空事業
3,702
7,128
92.5
航空関連事業
976
1,135
16.3
旅行事業
196
319
63.2
商社事業
383
476
24.1
その他
174
177
1.5
セグメント間取引
△1,123
△1,330
-
営業利益又は営業損失(△)
△1,160
314
-
航空事業
△1,137
399
-
航空関連事業
16
△32
-
旅行事業
△1
△12
-
商社事業
0
15
-
その他
6
△3
-
セグメント間取引
△44
△52
-
経常利益又は経常損失(△)
△1,155
302
-
親会社株主に帰属する四半期純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△)
△988
195
-
※ 下記(注)1、2参照。
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日(以下、「当第2四半期」という。))のわが国経済は、企業収益について、一部に弱さがみられるものの総じて改善している他、個人消費が緩やかに持ち直している等、景気は緩やかに回復しています。
航空業界を取り巻く環境は、国内線では行動制限が緩和され、国際線でも各国の入国制限の緩和が進んだこと等により、旅客需要が急速に回復しています。
このような経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから売上高は7,907億円となり、営業利益は314億円、経常利益は302億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は195億円となりました。上半期としては3年ぶりに営業黒字に転換する等、業績は着実に回復しています。
なお、当社は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、8月にトランジション戦略を公表しました。今後も様々なステークホルダーと連携し、環境負荷の低減に取り組むことで持続的成長を目指してまいります。
以下、当第2四半期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。
(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
セグメント別の概況
◎航空事業
売上高7,128億円(前年同期比92.5%増) 営業利益399億円(前年同期 営業損失1,137億円)
国際線・国内線ともに旅客需要が大幅に増加した他、国際線貨物事業についても堅調に推移したこと等から、売上高は前年同期を上回り、営業利益を計上しました。
当社グループは、英国SKYTRAX社による「World Airline Awards 2022」において「機内客室の清潔さ」をはじめ3部門で最も優秀な航空会社に選ばれました。また、ANAウェブサイトのデザインを一新し、お客様一人ひとりの嗜好に合う情報を提供する機能を追加する等、利便性の向上に努めました。
<国際線旅客(ANAブランド)>
項 目
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
前年同期比
増減率
(%)
旅客収入
(億円)
304
1,614
430.9
旅客数
(人)
327,686
1,660,180
406.6
座席キロ
(千席キロ)
9,433,689
14,710,484
55.9
旅客キロ
(千人キロ)
2,247,551
10,713,492
376.7
利用率
(%)
23.8
72.8
49.0
※ 下記(注)3、7、8、12参照。
国際線旅客では、各国の入国制限の緩和により大きく増加した北米=アジア間の接続需要を取り込んだことに加え、日本においても9月から水際対策が更に緩和され、日本発のビジネス需要や駐在員の一時帰国需要の回復基調が一層強まったこと等から、旅客数・収入ともに前年同期を大幅に上回りました。
路線ネットワークでは、成田空港発着の北米、アジア路線を増便し、接続需要を取り込みました。また、回復する日本発の需要に対応し、羽田空港発着路線の運航規模を拡大したことに加え、7月にはハワイ路線を増便しました。一方で、ウクライナ問題の長期化や中国のゼロコロナ政策により、欧州、中国路線の復便は相対的に遅れています。
営業・サービス面では、7月よりホノルル空港のANAラウンジを再開した他、成田空港の第2サテライトにおいて新たにANAラウンジをオープンしました。また、フードロス削減への取り組みとして、機内食調理時に発生する食品残渣を堆肥にリサイクルし、その堆肥で育ったソフトケールを使用した機内食の提供を9月から開始しました。
<国内線旅客(ANAブランド)>
項 目
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
前年同期比
増減率
(%)
旅客収入
(億円)
1,118
2,428
117.0
旅客数
(人)
7,140,928
15,150,528
112.2
座席キロ
(千席キロ)
15,159,666
23,913,730
57.7
旅客キロ
(千人キロ)
6,635,963
14,092,865
112.4
利用率
(%)
43.8
58.9
15.2
※下記(注)3、4、7、8、12参照。
国内線旅客では、緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用がない環境のもと、ゴールデンウィークや夏休み期間を中心にレジャー需要が着実に増加したことに加え、ビジネス需要についても徐々に回復していること等から、旅客数・収入ともに前年同期を大幅に上回り、コロナ禍において半期ベースで最高となりました。
路線ネットワークでは、航空需要の変動に合わせて運航規模の調整を進め、週末や連休を中心に臨時便の設定を強化しました。また、6月からはエンジン改修を終えたボーイング777型機の運航を段階的に再開し、需要の取り込みを図りました。
営業・サービス面では、需要動向を注視しながらタイムセールを実施し、需要喚起と早期予約の取り込みに努めました。また、9月からはお客様の予約情報に応じてタイムリーに情報をお届けする国内線「ご搭乗のガイド」機能をANAアプリに追加しました。
<貨物(ANAブランド)>
項 目
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
前年同期比
増減率
(%)
国際線
貨物収入
(億円)
1,383
1,835
32.6
有効貨物トンキロ
(千トンキロ)
3,388,092
3,331,394
△1.7
貨物輸送重量
(トン)
476,118
424,725
△10.8
貨物トンキロ
(千トンキロ)
2,516,830
2,202,875
△12.5
郵便収入
(億円)
23
30
27.3
郵便輸送重量
(トン)
8,647
7,688
△11.1
郵便トンキロ
(千トンキロ)
39,367
37,587
△4.5
貨物重量利用率
(%)
75.4
67.3
△8.2
国内線
貨物収入
(億円)
121
118
△1.7
有効貨物トンキロ
(千トンキロ)
437,468
663,900
51.8
貨物輸送重量
(トン)
120,169
122,710
2.1
貨物トンキロ
(千トンキロ)
136,910
138,723
1.3
郵便収入
(億円)
12
13
9.5
郵便輸送重量
(トン)
11,751
11,915
1.4
郵便トンキロ
(千トンキロ)
11,444
11,918
4.1
貨物重量利用率
(%)
33.9
22.7
△11.2
※ 下記(注)3、5、6、9、10、11、12参照。
国際線貨物では、回復する旅客需要の取り込みを強化するために、旅客機による貨物専用便の運航を減少させたことに加え、自動車関連部品の需要が減退したこと等から、輸送重量は前年同期を下回りました。一方で、高水準の単価を維持することに努めた他、収益性の高い北米路線の運航規模拡大や大型特殊商材等の高単価貨物を取り込んだこと等により、収入は前年同期を大きく上回りました。
<LCC>
項 目
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
前年同期比
増減率
(%)
LCC収入
(億円)
130
408
211.7
旅客数
(人)
1,554,658
3,684,248
137.0
座席キロ
(千席キロ)
3,254,706
6,031,944
85.3
旅客キロ
(千人キロ)
1,777,912
4,208,843
136.7
利用率
(%)
54.6
69.8
15.2
※ 下記(注)7、8、12、13参照。
LCCでは、行動制限の緩和に伴い国内線のレジャー需要が大きく増加したことから、旅客数・収入ともに前年同期を大幅に上回りました。
路線ネットワークでは、国内線において増加する需要に対応し、成田=新千歳線、成田=福岡線で増便を実施する等、運航規模を拡大しました。また、国際線は2021年4月以降、全路線で運休していましたが、8月に関西=ソウル(仁川)線、9月に成田=台北(桃園)線、関西=台北(桃園)線を再開しました。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は679億円(前年同期607億円、前年同期比11.8%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
売上高1,135億円(前年同期比16.3%増) 営業損失32億円(前年同期 営業利益16億円)
旅客需要の回復に伴い機内食関連業務が増加した他、国際貨物の取扱高が拡大したこと等により、売上高は前年同期を上回りました。一方で、人件費が増加したこと等から、営業損失を計上しています。
◎旅行事業
売上高319億円(前年同期比63.2%増) 営業損失12億円(前年同期 営業損失1億円)
国内旅行は、需要が着実に回復し、ダイナミックパッケージ商品の取扱高が全方面で増加した他、支払いにマイルを利用できる「ANAトラベラーズホテル」商品も好調に推移しました。また、9月にはゴルフ場のWEB予約サービス「ANAトラベラーズゴルフ」を開始する等、新たなサービスの拡充に努めました。海外旅行は、4月にハワイ方面のツアー催行を約2年ぶりに再開し、順次方面を拡大しました。以上の結果、売上高は前年同期を上回りましたが、人件費が増加したこと等から営業損失は拡大しました。
◎商社事業
売上高476億円(前年同期比24.1%増) 営業利益15億円(前年同期 営業利益0億円)
航空需要の回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」等で増収となった他、半導体市場の好調な需要を受けて電子事業の取扱高が増加したこと等により、売上高は前年同期を上回りました。
◎その他
売上高177億円(前年同期比1.5%増) 営業損失3億円(前年同期 営業利益6億円)
ラウンジ業務や空港検疫関連業務の受託が増加したこと等から、売上高は前年同期を上回りましたが、人件費等の増加により、営業損失を計上しています。
注) 1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。
3.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。
4.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日からPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含みます。
5.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
6.国内線貨物及び郵便実績には、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。
7.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
8.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
10.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
11.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
12.利用率及び貨物重量利用率については、「前年同期比増減率(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。
13.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。
(2) 財政状態の状況
資産の部は、現金及び預金等が増加したことにより、前期末に比べて490億円増加し、3兆2,674億円となりました。
負債の部は、転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済があったことから、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)が前期末に比べて1,102億円減少し、1兆6,399億円となる一方、航空券販売が拡大し、契約負債が増加した結果、前期末に比べて50億円増加し、2兆4,200億円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことに加え、繰延ヘッジ損益の増加等により、前期末に比べて439億円増加し、8,474億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動においては、当第2四半期の税金等調整前四半期純利益302億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは1,909億円の収入となりました。
投資活動においては、設備投資や定期預金の預入等による支出があったことから、977億円の支出となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは931億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済があったことから、1,120億円の支出となりました。
以上の結果、当第2四半期末における現金及び現金同等物は、期首から109億円減少し6,100億円となりました。
(4) 経営方針・経営戦略等について
当第2四半期において、当社グループが定めている経営の基本方針について重要な変更はありません。当社グループは、コロナがもたらす人々の行動変容に対応し、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わるための事業構造改革プランを着実に遂行していきます。今後の成長回帰を見据えて最適な航空事業のポートフォリオを追求する他、顧客データを活用したプラットフォーム事業を確立することによる新たな収益機会の創出を目指します。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。引き続き固定費の大幅な削減をはじめとするコスト削減策に加えて、入国制限の緩和や全国旅行支援の開始等により更なる回復が見込まれる国内線・国際線旅客需要の取り込み、需要に応じた機動的な運航便の設定による国際線貨物の収益性の維持、事業規模の拡大による収入最大化の取り組み等により、通期での黒字化を目指します。
(6) 研究開発活動
航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空運送サービスを提供するための多様な改良・改善活動を推進しています。
また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進しています。
なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはありません。