【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間の売上高は、電子材料の販売減の影響等によりヘルスケア等セグメントが減収となったものの、販売単価の上昇や換算為替の影響等により調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントが増収となった結果、前年同期を179億円上回る3,395億円(前年同期比105.6%)となりました。事業利益は、ヘルスケア等セグメントの減収や原材料等のコスト増等の影響を受けたものの、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントの増収効果等により、前年同期を23億円上回る428億円(前年同期比105.7%)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べその他の営業収益の計上が少なかった影響等により、前年同期を5億円下回る272億円(前年同期比98.1%)となりました。
セグメント別の概況
セグメント別の業績は次のとおりです。
対前年実績
売上高(億円)
事業利益(億円)
第146期
第1四半期
前年同期増減
前年同期比
第146期
第1四半期
前年同期増減
前年同期比
調味料・食品
2,001
157
108.6
%
309
67
127.7
%
冷凍食品
638
29
104.9
%
39
28
354.3
%
ヘルスケア等
721
△14
98.0
%
69
△72
48.9
%
その他
34
6
122.2
%
10
△0
96.9
%
合計
3,395
179
105.6
%
428
23
105.7
%
① 調味料・食品セグメント
調味料・食品セグメントの売上高は、販売単価の上昇や換算為替の影響等により、前年同期を157億円上回る2,001億円(前年同期比108.6%)となりました。事業利益は、原材料等のコスト増の影響等があったものの、増収効果等により、前年同期を67億円上回る309億円(前年同期比127.7%)となりました。
<主要な変動要因>
・調味料は、全体で増収。日本は、主に単価上昇により増収。海外は、単価上昇、為替影響等により増収。
・栄養・加工食品は、全体で増収。日本は、主にコーヒー類やスープの単価上昇により増収。海外は、即席麺の販売増、為替影響等により増収。
・ソリューション&イングリディエンツは、外食向け製品の販売増等あるも、加工用うま味調味料の販売減等により、全体で前年並み。
<主要な変動要因>
・調味料は、全体で大幅増益。日本は増収も、原材料等のコスト増影響により減益。海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果等により大幅増益。
・栄養・加工食品は、全体で減益。日本は増収も、原材料等のコスト増影響により減益。
海外は増収も、コスト増影響により前年並み。
・ソリューション&イングリディエンツは、売上高は前年並みも、加工用うま味調味料を中心に増益となり全体で大幅増益。
② 冷凍食品セグメント
冷凍食品セグメントの売上高は、販売単価の上昇や換算為替の影響等により、前年同期を29億円上回る638億円(前年同期比104.9%)となりました。事業利益は、販売単価の上昇や構造改革効果等により、前年同期を28億円上回る39億円(前年同期比354.3%)となりました。
<主要な変動要因>
・全体で増収。日本は、単価上昇効果あるも、数量減により減収。海外は、為替影響、単価上昇等により増収。
<主要な変動要因>
・全体で大幅増益。日本は減収も、単価上昇やコスト改善効果等により増益。海外は、原材料等のコスト増影響あるも、増収効果や構造改革効果等により大幅増益。
③ ヘルスケア等セグメント
ヘルスケア等セグメントの売上高は、バイオファーマサービス&イングリディエンツが増収となったものの、電子材料の販売減の影響等により、前年同期を14億円下回る721億円(前年同期比98.0%)となりました。事業利益は、電子材料の減収影響等により、前年同期を72億円下回る69億円(前年同期比48.9%)となりました。
<主要な変動要因>
・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、為替影響に加え、バイオファーマサービス(CDMO)の販売増により増収。
・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、主に電子材料の販売減により大幅減収。
・その他は、全体で前年並み。
<主要な変動要因>
・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、医薬用・食品用アミノ酸の減収影響等により大幅減益。
・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、大幅減収に伴い大幅減益。
・その他は、戦略的費用の投入等により全体で減益。
④ その他
その他の事業の売上高は、前年同期を6億円上回る34億円(前年同期比122.2%)となり、事業利益は10億円(前年同期比96.9%)となりました。
(2) 重要性がある会計方針及び見積り
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが採用している重要性がある会計方針及び見積りについては、「要約四半期連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び同「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
(3) 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆5,117億円に対して1,387億円増加し、1兆6,505億円となりました。これは主として、換算為替の影響による各資産残高の増加に加え、現金及び現金同等物及び棚卸資産の増加によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末の6,887億円に対して1,122億円増加し、8,010億円となりました。これは主として、有利子負債の増加によるものです。有利子負債残高は、コマーシャル・ペーパーやサステナビリティ・リンク・ボンドの発行等により、前連結会計年度末に対して1,225億円増加し、4,590億円となりました。
資本合計は、自己株式の取得による減少の一方、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して265億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、7,910億円となり、親会社所有者帰属持分比率は47.9%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、166億円の収入(前年同期は221億円の収入)となりました。税引前四半期利益が395億円であり、減価償却費及び償却費184億円、棚卸資産の増加156億円や法人所得税の支払額126億円があったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、193億円の支出(前年同期は211億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出208億円があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、571億円の収入(前年同期は97億円の収入)となりました。コマーシャル・ペーパーの増加980億円や社債の発行による収入298億円があった一方で、自己株式の取得による支出401億円や配当金の支払額186億円があったこと等によるものです。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、1,920億円となりました。
(5) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、72億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金の流動性について
当第1四半期連結累計期間は短期流動性に関し、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段によって十分な手元流動性を確保しております。
また、十分な手元流動性比率の維持に加え、主要取引銀行と締結しているコミットメントラインにより資金の安全性を確保しており、当第1四半期連結会計期間末のコミットメントラインの未使用額は円貨で1,500億円、外貨で100百万米ドルです。さらに、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。
② 資金の調達
当第1四半期連結累計期間の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、コマーシャル・ペーパー発行等による資金調達活動を行いました。また、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定し、これに基づき2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しております。
③ 資金の使途
当第1四半期連結累計期間の資金の使途は、主として事業資金です。