【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和による社会経済活動の正常化もあって、景気は緩やかに持ち直す動きがみられたものの、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安に伴う資源価格の高騰による物価上昇、アジアや欧州向けの輸出の減少などにより、先行き不透明な状況が続いております。海外においても、各国の金融引締めに伴う景気の下振れが懸念されております。 このようななか当社グループにおいては、半導体不足等の影響により自動車関連の減産が続いていることや中国での需要低迷、および資源価格高騰等による製造コスト増もあり、当連結会計年度の売上高は274億6千3百万円(前年同期比0.4%減)、経常利益は6千4百万円(前年同期比95.6%減)となりました。一方、特別利益として海外子会社の清算手続きに伴う固定資産売却益等3億9千2百万円を計上し、特別損失として埼玉児玉工場の固定資産の減損損失13億2千4百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は5億1千9百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益8億8千5百万円)となりました。
当社グループのセグメント別の業績は次のとおりです。
(日本)国内部門別の概況として、樹脂コンパウンド部門は、自動車向けで半導体不足の影響が想定以上に長引いていることから、樹脂全般で在庫調整の影響を受け、経費面では電気料金高騰が収益を圧迫し部門営業利益は昨年を下回りました。樹脂用着色剤部門は、建材向けが堅調ではあったものの、自動車関連の販売が落ち込み、フィルム用途、化粧品・トイレタリー向けも伸び悩み、原料価格の高騰も相まって、部門営業利益は昨年を下回りました。加工カラー部門は、主要取引先の自動車用内装材関連が減産の影響を受け、液体分散体では中国のゼロコロナ政策の影響から、中国向けの大型液晶パネル用途が低調となるなどディスプレイ需要は近年にない厳しい状況が続き、部門営業利益は昨年を下回りました。この結果、当連結会計年度の売上高は134億9千6百万円(前年同期比6.7%減)、営業損失は3億3千6百万円(前年同期営業利益7億7千9百万円)となりました。
(東南アジア) 東南アジアは、一部の原料不足や半導体を起因とする部材不足の影響を受けた顧客の減産により、前年同期に比べ販売数量が減少しましたが、為替などの影響により、当連結会計年度の売上高は134億円(前期比7.3%増)となりました。一方で、取扱数量の減少や電気料金高騰、原料価格高騰の影響もあり、営業利益は3億8百万円(前期比35.8%減)となりました。
(その他)その他は、中国でのコロナ感染拡大でゼロコロナ政策による操業停止を余儀なくされましたが、当連結会計年度の売上高は5億6千6百万円(前期比7.2%減)となりました。また、取扱数量の減少や原料価格高騰の影響もあり、営業損失は3千万円(前年営業利益2千4百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期に比べ23億4千4百万円減少し23億4千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動による資金の収入は前期と比べ2億9千3百万円減少し、9億9千3百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動による資金の支出は前期と比べ3億3千1百万円増加し、6億9千8百万円となりました。これは有形固定資産の取得による支出が6億1千6百万円増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動による資金の減少は31億7千4百万円となりました。前期は17億6千8百万円の減少でした。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
日本
13,596,305
△6.8
東南アジア
13,500,045
7.2
その他
570,539
△7.3
計
27,666,890
△0.5
(注) 1
セグメント間取引については、相殺消去しております。
2
金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
日本
6,710,315
△10.7
568,000
△15.5
東南アジア
12,715,422
6.1
1,053,000
8.8
その他
191,209
5.0
16,000
△5.9
計
19,616,947
△0.4
1,637,000
△1.2
(注) 1
売上の中には受注生産によるものがあります。その売上高は総売上高に対して当連結会計年度では日本が25%、東南アジアが46%、その他が1%であります。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
日本
13,496,522
△6.7
東南アジア
13,400,969
7.3
その他
566,352
△7.2
計
27,463,844
△0.4
(注) 1
セグメント間取引については、相殺消去しております。
2
金額は、販売価格によっております。
3
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
東レ㈱
3,382,324
12.3
2,853,367
10.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績の分析(売上高)当連結会計年度における売上高は、半導体不足等の影響により自動車関連の減産が続いていることや中国での需要低迷もあり、274億6千3百万円で前期に比べて1億3百万円減収となりました。セグメントの状況では、日本の売上高は134億9千6百万円と前期に比べ9億7千4百万円の減収となり、東南アジアの売上高は134億円と前期に比べ9億1千4百万円の増収となりました。
(営業利益)当連結会計年度においては資源価格高騰等による製造コスト増加の影響などにより5千9百万円の営業損失となり、前期に比べ13億4千3百万円の減益となりました。
(経常利益)当連結会計年度における営業外収益は3億5千万円と前期に比べ2千8百万円増加し、営業外費用は2億2千7百万円と前期に比べ8千2百万円増加し、経常利益は6千4百万円と前期に比べ13億9千7百万円の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)このほか特別利益として固定資産売却益1億8千9百万円、関係会社整理損失引当金戻入額2億2百万円を計上し、特別損失として減損損失13億2千4百万円の計上により、税金等調整前当期純損失は8億6千9百万円となりました。税金等調整前当期純損失から法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、親会社株主に帰属する当期純損失は5億1千9百万円となり前期に比べ14億5百万円の減益となりました。
財政状態の分析(資産の部)当連結会計期間の総資産は290億8千1百万円と前期末の327億7千1百万円に比べ36億8千9百万円の減少となりました。資産のうち流動資産は150億4千8百万円と前期末の174億7千1百万円に比べ24億2千2百万円の減少となりました。この主な要因は製品が2億3百万円増加し、現金及び預金が23億4千4百万円、その他が2億7千4百万円それぞれ減少したことなどによるものです。固定資産は140億3千2百万円と前期末の153億円に比べ12億6千7百万円の減少となりました。この主な要因は、投資その他の資産が3億5千9百万円増加し、有形固定資産が15億7千4百万円減少したことなどによるものです。
(負債の部)負債合計は138億9千万円と前期末の177億9千万円に比べ39億円の減少となりました。負債のうち流動負債は98億9千5百万円と前期末の129億6千9百万円に比べ30億7千4百万円の減少となりました。この主な要因は支払手形及び買掛金が2億2千4百万円増加し、短期借入金が27億5千4百万円、その他が3億1千6百万円それぞれ減少したことなどによるものです。固定負債は39億9千5百万円と前期末の48億2千万円に比べ8億2千5百万円の減少となりました。この主な要因は長期借入金が1億6千万円、繰延税金負債が3億5千2百万円、関係会社整理損失引当金が3億5千3百万円、それぞれ減少したことなどによるものです。
(純資産の部)純資産合計は151億9千万円と前期末の149億8千万円に比べ2億1千万円の増加となりました。この主な要因は利益剰余金が6億7千6百万円減少したものの、為替換算調整勘定が7億4千8百万円増加したことなどによるものです。
キャッシュ・フローの分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす要因として、当社グループを取り巻く事業環境が、主要ユーザーの生産拠点の海外シフトに伴う国内需要の伸び悩みや、原油価格の高騰による原材料価格の上昇等を背景に価格競争の激化等により、厳しい状況が続くものと予想される事などがあります。このほか、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は55億4千7百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23億4千4百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。中期経営計画の基本方針及び目標とする経営指標は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。