【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中でも経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復いたしました。一方で、原材料・エネルギー価格高騰によるサプライチェーンの混乱、ロシア、ウクライナ紛争の長期化及び中国におけるゼロコロナ政策の転換による感染者数の増加懸念等、先行きは不透明な状況が続きました。
わが国の経済におきましては、緩やかな持直しの動きが継続したものの、物価の上昇や、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れリスクの高まり、為替相場の大幅な変動など、景気の先行きに不透明感が強まりました。
こうした状況のなか、海外市場におきましては、金融市場では、半導体等の部品調達難に伴う生産影響により主要製品の販売は低調でありました。一方、流通市場では、コンタクトレス・セルフ化ニーズが継続しており、生産影響があったものの、セルフ型レジつり銭機の販売及び保守サービスが好調でありました。加えて、セルフサービスキオスク関連事業を展開するAcrelec Group S.A.S.及びその子会社と、Revolution Retail Systems, LLCの売上も堅調であり、市場全体の売上は円安影響も加わり増加いたしました。
国内市場につきましては、製品・サービスの需要は底堅く推移いたしましたが、金融市場及び流通・交通市場ともに、生産影響による主要製品の販売延伸や、新500円硬貨発行に伴う改造作業の一巡により売上は減少いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、178,503百万円(前年同期比 12.5%増)となりました。このうち、製品及び商品売上高は、103,503百万円(前年同期比 4.7%増)、保守売上高は、74,999百万円(前年同期比 25.3%増)でありました。利益につきましては、入手困難部品を代替部品に置き換える設計変更やサプライチェーンの見直しに加え、価格改定に向けた取組みを実施しておりますが、販売延伸や部材価格高騰によるコスト上昇分を吸収できず、営業損益は、1,621百万円の損失(前年同期は 8,633百万円の利益)、経常損益は、1,490百万円の損失(前年同期は 8,858百万円の利益)であり、親会社株主に帰属する四半期純損益は、Acrelec Group S.A.S.に係るのれんの減損に伴う特別損失の計上により、4,689百万円の損失(前年同期は 6,681百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(金融市場)
主要製品である「オープン出納システム」の売上は、生産影響により販売が延伸したため低調でありました。また、新500円硬貨発行に伴う改造作業の一巡により保守売上も減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、23,736百万円(前年同期比 8.1%減)、営業損益は、売上の減少及び部材価格高騰等の影響により、798百万円の損失(前年同期は 4,626百万円の利益)となりました。
(流通・交通市場)
主要製品である「レジつり銭機」、警備輸送会社向け「売上金入金機」及び「診療費支払機」の売上は、生産影響に伴う販売延伸により低調でありました。また、新500円硬貨発行に伴う改造作業が一巡したことにより保守売上も減少いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、31,767百万円(前年同期比 11.7%減)、営業損益は、売上の減少及び部材価格高騰等の影響により、595百万円の損失(前年同期は 2,723百万円の利益)となりました。
(遊技市場)
主要製品である「カードシステム」の売上は、生産影響があったものの、新たに導入されたスマート遊技機向けのユニット販売が始まり、好調でありました。
この結果、当セグメントの売上高は、10,731百万円(前年同期比 13.8%増)、営業損益は、1,206百万円の利益(前年同期は 114百万円の損失)となりました。
(海外市場)
米州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBGシリーズ>」の販売は、生産影響により低調でありましたが、流通市場向け「紙幣硬貨入出金機<CIシリーズ>」の販売は、生産影響があったものの好調でありました。加えて、保守売上の増加や円安及びRevolution Retail Systems, LLCの買収効果により、売上高は、47,998百万円(前年同期比78.3%増)となりました。
欧州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBGシリーズ>」及び流通市場向け「紙幣硬貨入出金機<CIシリーズ>」の販売は、生産影響により低調でありましたが、保守売上の増加や円安に加え、Acrelec Group S.A.S.及びその子会社の売上が増加したことにより、売上高は、50,948百万円(前年同期比4.9%増)となりました。
アジアでは、「紙幣入金整理機<UWシリーズ>」の販売は低調でありましたが、円安により、売上高は、11,293百万円(前年同期比9.7%増)となりました。
なお、Acrelec Group S.A.S.及びその子会社の売上高は、15,460百万円(前年同期比13.8%増)であり、2022年3月期の第3四半期連結会計期間より連結の範囲に加えた米国のRevolution Retail Systems, LLCの売上高は、13,656百万円でありました。
この結果、当セグメントの売上高は、110,239百万円(前年同期比 28.5%増)、営業損益は、部材価格の高騰や物流コストの上昇により、511百万円の損失(前年同期は 2,584百万円の利益)となりました。
その他の事業セグメントにつきましては、売上高は、2,028百万円(前年同期比 18.8%増)、営業損益は、923百万円の損失(前年同期は 1,186百万円の損失)となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末における財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ6,566百万円増加し、369,836百万円となりました。主な要因は、現金及び預金19,743百万円の減少、及び、棚卸資産26,941百万円の増加であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ18,851百万円増加し、173,513百万円となりました。主な要因は、賞与引当金3,644百万円の減少、及び、短期借入金24,975百万円の増加であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ12,284百万円減少し、196,323百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定7,249百万円の増加、及び、利益剰余金8,835百万円、自己株式10,316百万円の取得による減少であります。
この結果、自己資本比率は52.4%(前連結会計年度末は56.5%)となりました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、10,631百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「1.事業等のリスク」に記載のとおりであります。