【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)においてわが国では、新型コロナウイルス感染症の影響により、第1四半期(1月-3月)において、感染力が極めて強いオミクロン株が過去の感染ペースを上回るスピードで拡大し、第2四半期(4月-6月)においても、東京都を中心とした保育所において前年を上回る水準の「預け控え」が全般的に生じました。第3四半期(7月-9月)においては、7月以降の感染者数が再拡大し過去最高を記録しましたが、社会経済へのマイナス影響は限定的なものとなり、第4四半期(10月-12月)には、オミクロン株に対応した新たなワクチンの接種が始まるなど、コロナ禍からの正常化を見据えた、感染拡大の抑制と社会経済活動を両立させるための政策や社会的な動きが広がりました。一方で、急激な円安の進行や、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響で、原油価格や物価の高騰等がわが国の経済に多大な影響を及ぼしました。
当社は、このような状況のもと、ウィズコロナ時代というニューノーマルの状況を受け入れながら、「働く女性を支援するどのような時代においても必要とされる会社・組織・人材になる」という信念のもと、徹底した感染対策を講じたうえでのサービスの提供やオンラインサービスを取り入れ、事業を推進いたしました。
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
前期比
実績
構成比(%)
実績
構成比(%)
増減
増減率(%)
売上高
24,749
100.0
26,258
100.0
1,508
+6.1
売上総利益
5,344
21.6
5,601
21.3
256
+4.8
販売費及び一般管理費
3,825
15.5
4,295
16.4
470
+12.3
営業利益
1,519
6.1
1,305
5.0
△213
△14.1
経常利益
1,611
6.5
1,357
5.2
△254
△15.8
親会社株主に帰属する当期純利益
966
3.9
824
3.1
△142
△14.7
当連結会計年度においては、前期比で増収減益となりました。
売上高につきましては、26,258百万円(前期比6.1%増)となりました。その主な要因は、ファミリーケア事業において、ベビーシッターサービスの業績拡大がけん引したこと、及びエデュケア事業において、当連結会計年度の新たな保育施設12箇所の開設により、順調に業績が拡大したこと等によるものであります。
売上総利益につきましては、ベビーシッターサービスの業績拡大及びナニー・ベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したことが増加要因となったものの(注)、以下の減少要因により、売上高の増加率に対して売上総利益の増加率が低くなっており、当連結会計年度の売上総利益は5,601百万円(前期比4.8%増)となりました。
エデュケア事業:
・当連結会計年度に8園が閉園となったこと
・認可保育所等直営施設の新規開設が前期比で4園増加したことにより初期開設コストが増加したこと
・保育職員の新型コロナウイルス感染者増加に伴い非常勤職員の加配置を行ったこと
プロフェッショナル事業:
・2020年に予定された研修の一部が後ろ倒しで翌年実施されたために前連結会計年度の売上高が増加した一方で、当連結会計年度においては通常通りの進捗であること等
販売費及び一般管理費につきましては、4,295百万円(前期比12.3%増)となりました。その主な要因は以下のとおりです。
・ナニー及びベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したこと、並びにエデュケア事業において新規直営保育施設の設備投資額が増加したこと等に伴い、租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと(注)
・各事業で事業拡大を図るために営業及び運営人員を増強したことにより人件費並びに採用費が増加したこと
・ベビーシッターサービスの会員数拡大を図るため広告出稿を増やすと同時に、高まる需要に対応するベビーシッターの採用活動を活発に行ったため採用費が拡大したこと
以上の結果、営業利益は、1,305百万円(前期比14.1%減)となりました。
経常利益につきましては、前連結会計年度において認可外保育所における賃貸人都合の合意退去に伴う補償金受領額69百万円を営業外収益に計上しておりますが、当連結会計年度においては、金額の大きい臨時的な営業外収益が生じなかったことから、1,357百万円(前期比15.8%減)となりました。
また、間接共通費を配賦した後に営業収支が赤字となる一部保育所の設備について減損損失159百万円を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は824百万円(前期比14.7%減)となりました。
(注)ナニー及びベビーシッターサービスで消費税非課税事業者認定を取得したことにより、売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費(租税公課)が増加しておりますが、営業利益への影響は軽微です。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額です。
当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しました。以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で行っております。
(単位:百万円)
セグメントの名称
前連結会計年度
当連結会計年度
前期比
実績
構成比(%)
実績
構成比(%)
増減
増減率(%)
売上高
ファミリーケア事業
3,396
13.6
4,434
16.8
1,037
+30.5
エデュケア事業
20,379
81.7
20,911
79.2
532
+2.6
プロフェッショナル事業
623
2.5
564
2.1
△59
△9.5
その他
558
2.2
505
1.9
△52
△9.5
調整額(注)
△209
-
△158
-
50
-
合計
24,749
-
26,258
-
1,508
+6.1
セグメント利益
ファミリーケア事業
905
29.7
1,027
37.1
121
+13.4
エデュケア事業
1,853
60.8
1,591
57.5
△262
△14.2
プロフェッショナル事業
255
8.4
169
6.1
△85
△33.6
その他
35
1.2
△19
△0.7
△55
-
調整額(注)
△1,530
-
△1,462
-
68
-
合計
1,519
-
1,305
-
△213
△14.1
(注)調整額は、各報告セグメント間の内部売上高又は振替高、報告セグメントに配分していない全社費用で、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費です。
(ファミリーケア事業 : ナニーサービス、ベビーシッターサービス、シルバーケアサービス)
ナニーサービスにつきましては、第1四半期において、感染力が極めて強いオミクロン株が過去の感染ペースを上回るスピードで拡大したため予約のキャンセルや利用控えが生じたことにより、第1四半期売上高は前年同期比微増で推移しました。一方で第3四半期においては、7月以降の感染者数が再拡大し過去最高を記録した中でも、売上が順調に増加いたしました。自治体向けサービスにつきましては在宅勤務の継続や待機児童数の減少による影響が見られますが、個人向けサービス売上の伸長により、当連結会計年度の売上高は2,175百万円(前期比8.7%増)となりました。
ベビーシッターサービスにつきましては引き続き需要が拡大しており、その需要を取り込むべくインターネット広告出稿やSEO対策等を行うとともに、ベビーシッターの採用を強化することで市場シェアの拡大を図っております。その結果、新型コロナウイルス感染症の拡大時においても継続的に成長し、当連結会計年度の売上高は1,436百万円(前期比108.8%増)と2倍以上に増加しております。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケアサービス)につきましては、オミクロン株の感染拡大による影響は限定的で、当連結会計年度の売上高は822百万円(前期比16.3%増)となっております。
なお、ファミリーケア事業全体の売上高の増加率に対して営業利益の増加率が低い理由は、主に拡大期であるため利益創出より市場シェアの拡大を目指しているベビーシッターサービスの売上拡大によるセールスミックスの変動によるものです。
以上の結果、売上高は4,434百万円(前期比30.5%増)、セグメント利益は1,027百万円(同13.4%増)となりました。
(エデュケア事業 : 保育施設、学童児童館等の運営)
当連結会計年度には保育施設12箇所(認可保育所5施設、事業所内保育所2施設、学童クラブ・児童館4施設、その他施設1施設)を新規開設する一方で、保育施設8箇所(認証保育所1施設(認可化による閉園)、自治体委託2施設、事業所内保育所4施設、その他施設1施設)が閉園となりました。その結果、当連結会計年度末時点で運営する施設は、認可保育所74施設、認定こども園1施設、認証保育所35施設、事業所内保育所84施設、学童クラブ・児童館95施設、その他施設42施設の計331施設となっております。
第2四半期開始月の4月時点において、東京都を中心とした保育所においては前年を上回る水準の預け控えが全般的に生じました。このような中、当社グループの認可保育所においては、預け控えの中心となっている低年齢児の4月時点の入所率が前期比で微増となるとともに、5月以降は前年同月を上回るペースで新規入園者が増加いたしました。当社グループの認可保育所における預け控えは、10月1日時点においてほぼ解消しております。しかしながら東京都を中心に認可保育所における預け控えが長引いたことで認証保育所の園児数が2022年12月時点で前年同月比2.7%の減少となりました。また、事業所内保育所でも同様に園児数が微減となっております。
前連結会計年度に開設した保育所が当連結会計年度において順調に利益を確保している一方、8園が閉園となったこと、新規直営施設の開設コストや設備投資に対する租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと、保育職員の新型コロナウイルス感染者増加に伴い職員の加配置を行ったこと、一部の認証保育所や事業所内保育所等で園児数が前期比で減少したこと等により、セグメント利益が前期比で減少することとなりました。
以上の結果、売上高は20,911百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は1,591百万円(同14.2%減)となりました。
(プロフェッショナル事業 : 国内・海外研修)
前連結会計年度の売上高においては、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年に予定されていた研修の一部が後ろ倒しで実施されたことによる売上高が含まれており、当連結会計年度の前期比較において、その影響が発生しております。
前述のような前連結会計年度におけるイレギュラーな売上高の発生・計上により、売上高・セグメント利益ともに前期比較で大きく減少しておりますが、これらの特殊要因を除いた概算では、売上高は前期比で微増、営業利益はeラーニングサービス拡大のため人件費及び採用費が増加したことにより1割程度の減少となりました。
以上の結果、売上高は564百万円(前期比9.5%減)、セグメント利益は169百万円(同33.6%減)となりました。
(その他 : 人材派遣・紹介、交流館、新規事業等)
売上高につきましては、505百万円(前期比9.5%減)となりました。その主な要因は、保育士紹介事業を縮小させたことによるものです。
セグメント損失につきましては、保育士紹介事業の売上高の減少、新規事業の立ち上げ等の影響により、19百万円(前年は35百万円のセグメント利益)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は12,549百万円(前期比584百万円の減少)となりました。
流動資産につきましては7,914百万円(前期比1,458百万円の減少)となりました。その主な要因は、借入金の返済及び配当金の支払いにより現金及び預金が減少したことであります。
固定資産につきましては4,634百万円(前期比874百万円の増加)となりました。その主な要因は、新規施設の増加に伴い建物及び構築物、建設仮勘定、敷金及び保証金が増加したこと、及び減損損失の計上に伴い繰延税金資産が増加したことであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は4,726百万円(前期比1,021百万円の減少)となりました。
流動負債につきましては、2,999百万円(前期比584百万円の減少)となりました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の返済による減少であります。
固定負債につきましては、1,726百万円(前期比437百万円の減少)となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による減少であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、7,823百万円(前期比436百万円の増加)となりました。その主な要因は、配当の支払いが発生したものの、親会社株主に帰属する当期純利益824百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したためであります。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、62.3%(前期比6.1ポイントの増加)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,240百万円(前期比2,109百万円の減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、304百万円(前期比971百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,197百万円、減価償却費240百万円、減損損失159百万円等の増加要因があったものの、法人税等の支払額709百万円、売上債権の増加額368百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,208百万円(前期比517百万円の増加)となりました。これは主に、助成金の受取額688百万円等があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出1,641百万円、基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出125百万円、並びに敷金及び保証金の差し入れによる支出74百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,204百万円(前期比1,153百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出809百万円、配当金の支払額387百万円等の減少要因があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年1月1日
至
2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
ファミリーケア事業
4,291
134.0
エデュケア事業
20,911
102.6
プロフェッショナル事業
557
89.8
報告セグメント計
25,761
106.4
その他
496
90.9
合計
26,258
106.1
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性について
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(財政政策)
当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金(新株発行による増資を含む。)又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、新株発行による増資及び長期借入金によって調達しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
2019年10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、また、政府は希望しても認可保育所などに入れない待機児童の解消へ向けた「新子育て安心プラン」を閣議決定して、2021~24年度の4年間で新たに約14万人の保育の受け皿を整備するとしていることから、都市部における保育ニーズは当面継続するものと見込まれます。
しかしながら、2023年12月期につきましては、新型コロナウイルス感染症はいまだ完全には収束せず、先行き不透明な状況が続いております。また、コロナ禍により少子化が加速しており、2022年の出生数は初めて80万人を割り込みました。
政府は強い危機感を背景に、2022年6月に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」、2022年11月に「出産・子育て応援交付金」の実施を閣議決定し、岸田総理大臣の2023年年頭記者会見において「異次元の少子化対策に挑戦する」と強調しました。さらに小倉少子化対策担当大臣は、過去に課題とされていた「M字カーブ」は解消に向かいつつある半面、女性の正規雇用率が出産を機に低下する「L字カーブ」の是正が不可欠としており、産後ケアや学童保育など子育て家庭向けサービスの拡充が重要テーマのひとつとなっております。
女性の社会進出に対する意識の変化や政府による女性の活躍推進などにより、共働き世帯数や女性の就業率は引き続き高い水準で推移しており、子育て支援事業者の社会的役割は一段と重要性を増しております。
エデュケア事業においては、保育所における待機児童の解消が進みつつあるものの、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万人超と増加傾向にあり、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっています。
加えて、ファミリーケア事業のチャイルドケア領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのベビーシッターの存在感が高まっております。2021年4月より内閣府ベビーシッター割引券の1日当たりの利用限度額が倍増したことなどの政策強化も背景として、ナニーサービス及びベビーシッターサービスを中心として引き続き力強い需要の拡大が続くことが見込まれます。
さらに、シルバーケア領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が70代半ばとなりターゲット層が膨らむこと、わが国の社会保障制度改革において示されている「医療から介護へ、施設から在宅へ」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が加速するものと想定しております。
当社グループは、これらの環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。
「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。
また、保育士、ナニー、ベビーシッター、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人財育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。内閣府ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格保有、または指定研修の修了が必須ですが、2021年8月には、上記の当社グループの自社研修制度の充実が認められ、民間事業者として初めて自社のベビーシッター育成研修が当該指定研修と認定されました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められることとなりました。これにより、当社グループのナニーやベビーシッターは、自社研修を受講することで、認定ナニー/ベビーシッターとして働くことができ、より需要が拡大すると見込まれる認定ナニー/ベビーシッターの安定的な供給が可能となっております。今後も研修制度の一層の充実を図り、最高水準のサービスを継続的に提供してまいります。
また、これまでの子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材派遣・紹介・研修・調査研究・コンサルティング事業に加え、2021年6月には不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを新規事業として立ち上げました。さらに、2022年9月には、新規事業としてペットケアサービスを開始しております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。これによりライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態の一層の充実を図り、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルを追及してまいります。今後も「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捉えてまいります。
e.経営戦略の現状と見通し
当社グループは、創業以来、利益成長と同時に社会課題の解決を意識した経営を行っております。
高付加価値・高収益であるファミリーケア事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていく事、及び現状において、エデュケア事業において中長期的な保育・学童ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開している事等の戦略を進めております。また、新型コロナウイルス感染症の影響下、オンライン化が急速に進展した、プロフェッショナル事業における国内研修(厚生労働省や各自治体から受託する研修)、eラーニング等の事業成長をさらに加速してまいります。
これらの基本方針に基づき、当社は、2023年12月期~2027年12月期に係る中期経営計画を策定しております。利益率の高いファミリーケア事業が成長ドライバーとなって、全社の売上高及び利益成長をけん引し、オーガニック成長で2027年12月期の業績目標を売上高350億円・営業利益率10%としております。また、厳選したM&Aを含め売上高500億円以上を目指してまいります。今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。
また、当社グループの事業領域は、解決が進みつつある「待機児童の解消」、ならびにその先に顕在化しつつある「待機学童の解消」といった短期的な社会課題及び「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。
当社グループは、日本初のSDGs-IPO企業として、利益成長の実現と同時に社会課題の解決に資することで、当社グループのさらなる発展と企業価値の向上を目指してまいります。
さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aや戦略的提携を推進するとともに、新規事業開発に取り組むことで日本のSDGsをリードする企業として一層の発展を遂げる方針であります。
新型コロナウイルス感染の不安がいまだ続く環境下ではありますが、当社グループの基本スタンスとして、保育施設・学童施設及び、ナニーサービス・ベビーシッターサービス・シルバーケアサービスなどファミリーケアサービスにおいて、「安全に、強く、優しく支える」という方針をモットーに、引き続きサービスの安定的な継続と利益成長を図ってまいります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載しております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(資産除去債務)
当社グループは、本支社及び保育施設等の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に関し、有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを見積り、使用見込期間に対応した割引率で割引いた金額を資産除去債務として計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動する可能性があります。
#C7358JP #ポピンズ #サービス業セクター