【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 事業全般の概況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上も5類感染症に移行されたことによって行動制限が緩和・撤廃され、各種イベントの再開が相次ぎ、個人消費は緩やかな持ち直しの動きがみられています。また、中国をはじめとした世界経済も緩やかな持ち直しが続いた一方で、世界的な金融引締め等による影響や、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響など、その先行きについては依然として不透明な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、2023年2月に「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を発表しました。グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、3つの基本戦略(ブランド戦略、基幹商品戦略、地域戦略)の実行による既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。そして、当社の存在意義である「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」の実現に向けて、各施策の実行に取り組んでまいります。
当第2四半期連結累計期間においては、売上高は日本事業、中国事業が牽引した事に加え、円安の影響等もあり480億2百万円(前年同期比6.0%増)となりました。利益面においても、増収による利益増に加え、売上総利益率が前期比で2.7ポイント改善したことなどで販管費の増加を吸収し、営業利益は65億11百万円(同27.2%増)となりました。経常利益は71億17百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は45億66百万円(同14.4%増)となりました。
なお、当第2四半期連結累計期間の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは次のとおりです。
・米ドル:134.95円(123.15円)
・中国元: 19.46円( 18.97円)
注:( )内は前年同期の為替換算レート
② セグメント別の概況
当社グループの報告セグメントは、「日本事業」、「中国事業」、「シンガポール事業」及び「ランシノ事業」の計4セグメントとなっております。各セグメントにおける概況は以下のとおりです。
<日本事業>
当事業は、「ベビーケア」、「子育て支援」、「ヘルスケア・介護」等で構成されております。当事業全体の売上高は184億8百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益は11億82百万円(同99.5%増)となりました。
ベビーケア(育児及び女性向け用品)の売上高は、2月より実施した一部商品の価格改定等の効果もあり、前年同期を上回りました。商品カテゴリ別では、基幹商品である哺乳器・乳首、ベビースキンケアに加え、おしりふきなどの消耗品の伸長も見られました。ベビーケアにおいては、4月より、従来生後36カ月までだった使用月齢範囲を48カ月まで拡大したベビーカー「Bingle(ビングル)BB3」や、株式会社赤ちゃん本舗と共同開発したベビーカー「Runfee Lino’n」シリーズから、折りたたんだ際の持ち運びがラクになる「スマートグリップ」を搭載した「Runfee Lino’n RB3L」を発売した他、Moon Creative Lab社(三井物産グループの新規事業開発を推進するベンチャースタジオ)と業務提携し、5月より同社が提供する乳幼児の夜泣き・寝かしつけをサポートするアプリ「Lullaby(ララバイ)」を活用した授乳・離乳食・その他の育児相談がオンラインでできる新サービスの提供を開始しました。
また、消費者コミュニケーションとして、当社商品の特長をお客様と直接やり取りしながら分かりやすく紹介するための「インスタライブ」を不定期で開催し、アーカイブ視聴を含め合計23,000人以上の方にご視聴いただいたほか、対象商品の売上の一部を日本母乳バンク協会に寄付する取組「母乳バンク寄付キャンペーン」の実施や2022年生まれの赤ちゃんを対象とした「第37回 ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン 植樹式」の開催など、お客様とのエンゲージメント強化に取り組んでいます。
ヘルスケア・介護用品については、6月より、介護用品ブランド「ハビナース」で発売している炭酸飲料にも使用可能なとろみ調整食品「液体とろみ かけるだけ」のパッケージをリニューアルするなど、ブランドの活性化を図りました。
子育て支援については、事業所内保育施設等61箇所にてサービスを展開しており、今後もサービス内容の質的向上を図りながら事業を展開していきます。
<中国事業>
当事業の売上高は180億61百万円(前年同期比11.2%増)、セグメント利益は54億97百万円(同19.3%増)となりました。
中国本土においては、基幹商品である哺乳器・乳首の売上高が堅調に推移し、現地通貨の売上高は前年同期を上回りました。中国本土では好調なキッズ向けスキンケア商品の販売拡大に加え、6月より、哺乳器からストロー飲みへのスムーズな移行をサポートするため、新開発の吸い口を搭載した高月齢の赤ちゃん向け哺乳器も新たに発売するなど、基幹商品の更なる強化に取り組んでいます。消費者コミュニケーションでは、SNSやライブ配信等のデジタルマーケティングを積極的に活用する事に加え、実店舗での店頭販売促進や病産院活動等の強化も引き続き実施し、安定的な事業拡大に向けた取り組みを進めています。
また、当事業が管轄する韓国においては、当期より国内の流通体制を見直し、現地販売子会社を起点とした新規顧客の獲得および既存顧客のさらなる深耕による販売力・マーケティング力強化に取り組んでいるほか、北米市場でのピジョンブランドの育児用品の販売においても、引き続き取り組みを強化しています。
<シンガポール事業>
当事業の売上高は66億7百万円(前年同期比4.6%減)、セグメント利益は8億40百万円(同30.6%減)となりました。
当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、主要市場において前年発生したコロナ禍からの急回復に伴う反動減や、一部の国では景気回復の減速や個人消費の低下が見られたことなどもあり、売上高は前年同期を下回りました。
当事業が注力しているベビースキンケアカテゴリにおいては、自然由来で赤ちゃんの肌にやさしく、地球環境にもやさしいスキンケアシリーズ「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」より、ベビーパウダーやボディーソープの詰め替えパックなどを新たに発売しました。引き続き、上位中間層以上のお客様をターゲットとした商品の開発・投入を推進するとともに、当社ブランドの市場浸透を目指して積極的な営業・マーケティング活動を展開していきます。
<ランシノ事業>
当事業の売上高は87億28百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は3億45百万円(同36.7%増)となりました。
主力市場である北米においては、主要取引先からの受注時期ズレの影響や、米国内での粉ミルク供給不足解消に伴う特需の一巡、一部新商品の発売遅延などもあり、現地通貨の売上高は前年同期を下回りましたが、ドイツ、イギリス、中国では主力商品である乳首クリームなどを中心に売上高が伸長しました。新規カテゴリである「産前・産後ケア商品」においては、産前の会陰マッサージに使用するオーガニックオイルや、帝王切開後の傷跡を保護するジェルパッドなどを新たに発売するなど、主力商品である母乳育児関連商品の拡充とともに、新規カテゴリ商品の拡充を進めながら、Eコマース強化やブランド強化等の取り組みを進めていきます。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産の残高は1,050億91百万円となり、前連結会計年度末と比べ33億57百万円の増加となりました。流動資産は9億39百万円の増加、固定資産は24億18百万円の増加となりました。
流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が18億2百万円減少したものの、商品及び製品が15億57百万円、受取手形及び売掛金が11億70百万円増加したことによるものです。
固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産のその他が22億89百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債の残高は220億35百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億54百万円の増加となりました。流動負債は22百万円の増加、固定負債は2億32百万円の増加となりました。
流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が4億19百万円減少したものの、電子記録債務が5億96百万円増加したことによるものです。
固定負債の増加の主な要因は、その他固定負債が2億75百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産の残高は830億56百万円となり、前連結会計年度末と比べ31億3百万円の増加となりました。
純資産の増加の主な要因は、為替換算調整勘定が29億89百万円増加したことによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ18億2百万円減少し、324億80百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は53億58百万円(前年同期は57億6百万円の獲得)となりました。これは主に法人税等の支払額22億64百万円、棚卸資産の増加6億30百万円等の減少要因に対し、税金等調整前四半期純利益71億13百万円、減価償却費24億22百万円等の増加要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は32億10百万円(前年同期は27億90百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出33億42百万円、無形固定資産の取得による支出73百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は52億2百万円(前年同期は46億14百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額45億58百万円、自己株式の取得による支出1億99百万円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
① 経営方針
当社グループでは、社員一人ひとりが大切にする企業理念として「Pigeon DNA・Pigeon Way」を設定しております。「Pigeon DNA」は経営理念と社是で構成され、ピジョンの核であり、この先も貫いていくものです。「Pigeon Way」は、存在意義、基本となる価値観、行動原則で構成されており、私たちの“心”と“行動”の拠り所であり、すべての活動の基本となる考え方です。
私たちピジョングループは、Pigeon Wayの軸である存在意義(赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします)の実現に向けて、5つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすること、さらに新しいビジネスにも挑戦することで、社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
② 事業環境
当社グループを取り巻く事業環境は、コロナ禍を経て大きく変化しております。人々の生活様式や価値観の変化はもちろん、人々の将来に対する不安が増大し、世界各地で一時的な出生数の急減が見られました。また、赤ちゃんやそのご家族を取り巻く子育て環境も大きく変化したことで、育児用品に対するニーズや購買行動も急速に変化しております。
一方、当社グループにおける主要市場の一角を担う中国は、経済力や出生数規模からも依然巨大市場であり、ブランド力向上や顧客ニーズへの柔軟な対応等による事業伸長余地が大きく、またアジア各国やその他新興国においても、中長期的には経済成長に伴う消費の拡大、またEコマースの浸透・発達が見込まれること等により、成長が十分期待できるものと考えております。
③ 経営戦略
このような環境の中、当社グループは2023年2月より「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を発表し、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、下記に示す3つの基本戦略を着実に実行してまいります。また既存事業領域での持続的な成長はもとより、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。
1.ブランド戦略:
存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。
2.商品戦略:
ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。
3.地域戦略:
各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。
既存事業領域においては、自社の優位性・競争力を活かせる基幹商品として、特に哺乳器・乳首、ベビースキンケアカテゴリをさらに強化するべく、ライフスタイル提案、新素材の検討、環境やローカルニーズへの対応など、ポストコロナの社会変化に沿った製品・サービスの充実を図ります。合わせて、各事業における各種商品・販売戦略の抜本的な見直しやサプライチェーン改善等の構造改革の実行によって、持続的な成長を目指してまいります。
一方、当社グループが未参入、かつ自社優位性の応用が期待できる領域として、顧客ターゲットの拡張につながるキッズ向け商品(エイジアップ)や、顧客親和性の高い女性ケア商品などをはじめとする新規商品カテゴリの創出・育成や、アフリカ地域をはじめとした新規市場への参入なども積極的に検討することで、次世代の成長を担う新規領域の探索・育成にも注力してまいります。
加えて、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能は引き続き強化するとともに、事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業およびランシノ事業)の役割と責任を明確にし、相互に連携することで、事業の永続的な成長およびコーポレートガバナンス等の経営基盤の強化を図ってまいります。
なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。また、当社では、Pigeon ESG/SDGs基本方針を設定し、環境(E)、社会(S)およびガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はなく、また、新たな発生もありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は17億54百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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