【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第1四半期連結累計期間の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在(2023年8月8日)においてヤマトグループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は弱まり、経済活動の正常化に向けた動きが進んでいるものの、国際情勢の不安定化に伴うエネルギー価格の高止まりや原材料価格の高騰など、世界的なインフレ傾向が続いています。一方、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きに加え、個人消費や設備投資などで持ち直しの傾向が続いているなど、景況感改善の兆しはあるものの、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
また、新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの定着、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、消費行動や生活様式が変化し、産業のEC化が進展しています。
このような状況下、ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対する総合的な提供価値の拡大に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の連結業績は、以下のとおりとなりました。
区分
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
伸率(%)
営業収益
(百万円)
424,159
420,212
△3,946
△0.9
営業利益
(百万円)
2,416
1,598
△818
△33.9
経常利益
(百万円)
2,493
1,837
△656
△26.3
親会社株主に帰属する四半期純利益
(百万円)
320
△133
△453
-
当第1四半期連結累計期間の営業収益は4,202億12百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ39億46百万円の減収となりました。これは、プライシングの適正化を進めたものの、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどによるものです。
営業費用は4,186億14百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ31億27百万円減少しました。これは、エネルギー価格や原材料価格、時給単価など外部環境の変化によるコスト上昇が継続したものの、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みが進展したことなどによるものです。
この結果、当第1四半期連結累計期間の営業利益は15億98百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ8億18百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>
ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、お客様や社会の多様化するニーズに対する総合的な提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。また、外部環境の変化などに伴うコスト上昇に対応するため、プライシングの適正化を進めるとともに、パートナー企業のコスト上昇に対して適時適切に対応するなど、輸配送ネットワークの維持・強化とお客様により良いサービスを提供し続ける環境の構築に取り組んでいます。
①ネットワーク・オペレーションの構造改革
EC需要への対応や企業間物流における小口・多頻度化の進展など、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築・拡大を進めるとともに、業務量の繁閑に応じて、より柔軟に対応するため、小規模・多店舗展開してきた宅急便営業所の集約・大型化やターミナル機能の再定義、輸配送、仕分け作業、事務処理の効率化など、既存ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。
また、当第1四半期連結累計期間においては、日本郵政グループと持続可能な物流サービスの推進に向けた協業に関する基本合意書を締結しました。今後、両社の経営資源を有効活用し、お客様の利便性向上に資する輸送サービスの構築と事業成長を図るとともに、物流業界が抱える「2024年問題」や「カーボンニュートラル」などの課題解決に向けた取組みに貢献していきます。
②法人ビジネス領域の拡大
世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、ヤマトグループは、サプライチェーン全体に拡がる顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを新たな成長領域と位置づけています。かかる中、引き続き、営業とオペレーションが一体となり、専用ネットワークの構築・拡大を推進するとともに、グループの経営資源を最大限活用し、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に取り組んでいます。
また、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」に向けて、EVの導入やドライアイスを使わない保冷輸送などのグリーン物流を推進しています。当第1四半期連結累計期間においては、当社のGHG排出量削減を推進するとともに、お客様が保有する在庫や生産活動の最適化に向けて、より環境負荷の少ないサプライチェーンを構築するため、国際規格ISO 14083:2023に基づくGHG排出量可視化ツールの開発を開始しました。
③持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進
ヤマトグループは、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値を拡大し、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、デジタル戦略、人事戦略の推進、サステナブル経営およびガバナンスの強化に取り組んでいます。
デジタル戦略については、「事業とデジタル」を一体的に推進する体制を整備するとともに、あらゆる情報をリアルタイムに把握し、社内外のシステムと連携できるデジタル情報基盤「ヤマトデジタルプラットフォーム」の活用による、お客様に対する提供価値の拡大やオペレーションの効率化に取り組んでいます。
人事戦略については、社員の成長をグループの成長につなげる「人材マネジメント方針」に基づき、新たな付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築や、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上などに取り組んでいます。
サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)への取組みを推進しています。
環境については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、引き続き、「EV20,000台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。
当第1四半期連結累計期間においては、サステナブルな物流の実現に向け、水素燃料活用の可能性と実用性を検証するべく、燃料電池大型トラックの走行実証を開始しました。また、群馬県とヤマト運輸株式会社がカーボンニュートラル実現に向けた共創に関する連携協定を締結しました。今後、両者が掲げる目標や特色・強みを掛け合わせることで、カーボンニュートラルの実現および生活者・事業者・自治体の全てにメリットがある持続可能な社会の実現を目指し取り組んでいきます。
社会については、引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に向けて取り組んでいます。
ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの強化を推進するとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンス体制の下で、事業構造改革に取り組んでいます。
<セグメント別の概況>
○リテール部門
① リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供するとともに、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。そして、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様150万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。
② また、ネットワーク・オペレーション全体の生産性を向上させるため、宅急便ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。当第1四半期連結累計期間においては、都市部を中心に小規模・多店舗展開してきた宅急便営業所の集約・大型化に関する実証や、保冷専用ネットワークの構築を推進するとともに、配達エリアや配達ルートを、業務量の変動に合わせて柔軟に設定する仕組みの構築を進めました。
③ 外部顧客への営業収益は、宅配便の単価は上昇したものの、取扱数量が減少したことなどにより2,082億98百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ1.3%減少しました。営業利益は、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みが進展したことなどにより、前第1四半期連結累計期間に比べ69億39百万円増加しました。
○法人部門
① 法人部門は、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に向けて、営業とオペレーションが一体となり、専用ネットワークの構築・拡大を推進するとともに、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営課題に立脚した改善提案や、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営など、アカウント営業の強化に取り組んでいます。
② EC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進しています。また、大手EC事業者様との連携の下、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。
③ また、実店舗とECのオムニチャネルでの販売体制の構築を進める小売業の事業者様に対し、集約・大型化した拠点と輸配送ネットワークを組み合わせ、お客様のオムニチャネルでの販売在庫を流動化し、在庫と物流を一元管理して最適化する取組みを推進しています。さらに、店舗向け商品ならびに公式通販サイト向け商品の調達から保管、梱包、配送までの全ての物流業務をヤマトグループが一括管理するなど、総合的な価値提供に資する提案営業に注力しています。
④ 成長が加速する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進しています。当第1四半期連結累計期間においては、ECプラットフォーム事業者様と連携し、出品者・購入者の個人情報を保護した匿名配送とともに、「クロネコメンバーズ」との連携による受け取り利便性の向上など、より安心・安全で快適な越境ECを実現する越境EC匿名配送サービスの提供を開始しました。
⑤ 外部顧客への営業収益は、EC需要への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより1,979億77百万円となり、ほぼ前年並みとなりました。営業利益は、リテール部門への配達委託に関する費用が増加したことなどにより、前第1四半期連結累計期間に比べ78億4百万円減少しました。
(参考)
区分
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減
伸率(%)
宅急便・宅急便コンパクト・EAZY
(百万個)
449
442
△7
△1.6
ネコポス
(百万個)
104
108
4
4.2
クロネコDM便
(百万冊)
208
201
△6
△3.2
〇その他
① 当第1四半期連結累計期間においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。
② 外部顧客への営業収益は139億37百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ5.9%減少しました。また、営業利益は33億51百万円となり、前第1四半期連結累計期間に比べ4億74百万円減少しました。
<安全・地域共創などの取組み>
① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当第1四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送っていた「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで再開しました。また、安全の意識向上を図るため、グループ全体で「交通事故ゼロ運動」「労働災害防止運動」を実施しました。
② ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスや、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。また、当第1四半期連結累計期間においては、ふるさと納税を通じた地域産業の持続的な成長に向け、産直ECプラットフォーム事業者様などと連携し、新潟県加茂市の産品に関するプロモーションから出荷・配送までの包括的な支援を開始しました。
③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
(2)財政状態
総資産は1兆1,127億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億93百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が40億92百万円増加したことによるものであります。
負債は5,111億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ199億70百万円増加しました。これは主に、夏季賞与を計上したことなどにより未払費用が517億95百万円増加した一方で、賞与引当金が220億84百万円減少したことおよび、法人税等を納付したことにより未払法人税等が131億6百万円減少したことによるものであります。
純資産は6,016億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ147億77百万円減少しました。これは主に、剰余金の配当を83億43百万円実施したことに加え、自己株式を93億34百万円取得したことなどによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の55.1%から53.5%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、ヤマトグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は8億72百万円であります。
なお、ヤマトグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
