【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在(2023年2月8日)においてヤマトグループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、経済活動の正常化により、内需は緩やかな持ち直し傾向にあります。その一方で、国際情勢の不安定化に伴う資源・エネルギー価格の高止まりや原材料価格の高騰など、世界的なインフレ傾向が続いており、政策金利を連続して引き上げている米欧の景気に減速の兆候が見られるなど、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。
また、新型コロナウイルス感染症を契機としたテレワークの定着、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、消費行動や生活様式が変化し、産業のEC化が進展しています。
このような状況下、ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制のもと、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組みました。
当第3四半期連結累計期間の連結業績は、以下のとおりとなりました。
区分
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減
伸率(%)
営業収益
(百万円)
1,372,386
1,395,967
23,580
1.7
営業利益
(百万円)
79,172
66,400
△12,772
△16.1
経常利益
(百万円)
85,183
64,235
△20,948
△24.6
親会社株主に帰属する四半期純利益
(百万円)
47,779
39,087
△8,692
△18.2
当第3四半期連結累計期間の営業収益は1兆3,959億67百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ235億80百万円の増収となりました。
これは、成長が続くEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力したことなどによるものです。
営業費用は1兆3,295億66百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ363億53百万円増加しました。
これは、時給単価や燃料単価、電気代などの上昇に加え、拡大するEC需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
この結果、当第3四半期連結累計期間の営業利益は664億円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ127億72百万円の減益となりました。
<ヤマトグループ全体としての取組み>
ヤマトグループは、引き続き、社員の衛生管理に留意しながら、宅急便をはじめとする物流サービスの安定提供に取り組みました。そして、中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、お客様や社会の多様化するニーズに対し総合的な価値提供を拡大させるため、以下の取組みを進めています。
①法人顧客への価値提供の拡大
拡大するEC需要や法人のお客様のサプライチェーンの変化に対応し、セールスドライバーと法人営業担当者が連携してお客様の課題解決に取り組むとともに、拠点と輸配送ネットワークを最大活用し、在庫の適正化と納品・配送のリードタイム短縮を両立させて物流コストの最適化を支援するなど、引き続き、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供に取り組みました。
②ネットワーク・オペレーションの構造改革
拡大するEC需要に対し、都市部を中心に、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を進めるとともに、宅急便営業所の集約・大型化やターミナルの再定義、ITシステムを活用した作業オペレーションの効率化や安全・品質・働きやすさの向上などの取組みを推進しました。
③持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進
持続的な企業価値向上を実現すべく、中期経営計画「Oneヤマト2023」では、データ戦略とイノベーション戦略の推進、経営体制の刷新とガバナンスの強化、「運創業」を支える人事戦略、資本効率の向上、およびサステナブル経営の強化に取り組んでいます。
データ戦略については、データ活用のさらなる高度化に向けて、引き続きデジタルデータの整備とデジタル基盤の強化を図るとともに、デジタルデータを活用したサービスおよび、オペレーションの改善を進めています。
イノベーション戦略については、スタートアップの発掘と連携、投資を通じた新規事業の共創など、オープンイノベーションに向けた取組みを進めています。
ガバナンスの強化については、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの高度化に継続して取り組むとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンスの強化を進めています。
サステナブル経営の強化については、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させるなど、環境と社会に配慮した経営を推進しています。特に環境については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、「EV20,000台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。当第3四半期連結累計期間においては、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)提言への賛同を表明するとともに、同提言に基づき、事業活動に影響を及ぼす気候変動のリスクと機会に関する情報を、当社コーポレートサイトに開示しました。今後も気候変動や社会課題への対応など、サステナビリティの取組みを加速させ、持続可能な企業成長を推進していきます。
<セグメント別の概況>
○リテール部門
① リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供しており、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。また、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様150万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。
② 当第3四半期連結累計期間は、さらなる顧客体験の向上に向け、宅急便のweb集荷依頼サービスにおける機能の拡充や、フリマ事業者様、マンションの宅配ロッカーサービス事業者様と連携し、マンションの宅配ロッカーから非対面で商品を発送できる機能を拡充するなど、お客様の利便性向上に取り組みました。
③ 外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果6,940億10百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ0.9%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前第3四半期連結累計期間に比べ5.8%増加し、営業利益は前第3四半期連結累計期間に比べ103億24百万円減少しました。
○法人部門
① 法人部門は、ビジネスの中・上流領域を含む企業物流のサプライチェーン全体への価値提供を推進するため、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営判断に資するサプライチェーンマネジメント(SCM)戦略の企画立案、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営まで担うアカウント営業の強化に取り組んでいます。
② 成長が続くEC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進しています。また、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。さらに、需要が拡大する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進しています。
③ また、実店舗とECのオムニチャネルでの販売体制の構築を進める小売業の事業者様に対し、集約・大型化した拠点と輸送ネットワークを組み合わせ、お客様のオムニチャネルでの販売在庫を流動化し、在庫と物流を一元管理して最適化する取組みを推進しています。さらに、店舗向け商品ならびに公式通販サイト向け商品の調達から保管、梱包、配送までのすべての物流業務をヤマトグループが一括管理するなど、総合的な価値提供に資する提案営業に注力しています。
④ 当第3四半期連結累計期間においては、2022年9月にリードロジスティクスパートナー契約を締結した自動車部品メーカー様の、物流・在庫の最適化による総ロジスティクスコストの削減、自動車部品メーカー様のお客様に対する価値向上、GHG排出量の可視化・削減による環境負荷が少ない物流の実現など、サプライチェーン全体の変革を進めています。また、ヤマト運輸株式会社の仕分けターミナルと保冷機能が一体となった拠点を活用した、食品販売事業者様のD2C(Direct to Consumer/消費者直接取引)流通スキームの構築や、ファッション企業様とサステナブルなサプライチェーン実現に向けたロジスティクスパートナーシップ協定を締結するなど、引き続き、ヤマトグループの経営資源を最大限に活用し、サプライチェーンの上流から下流まで「End to End」での価値提供に取り組んでいます。
⑤ 外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより6,569億67百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ6.0%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前第3四半期連結累計期間に比べ5.1%増加し、営業利益は前第3四半期連結累計期間に比べ25億1百万円減少しました。
(参考)
区分
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
増減
伸率(%)
宅急便・宅急便コンパクト・EAZY
(百万個)
1,454
1,492
37
2.6
ネコポス
(百万個)
284
311
26
9.4
クロネコDM便
(百万冊)
623
607
△16
△2.7
〇その他
① 当第3四半期連結累計期間においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。
② 外部顧客への営業収益は449億89百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ30.3%減少しました。また、営業利益は111億69百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べ17億10百万円減少しました。
<ESGの取組み>
① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送っていた「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで再開しました。また、安全の意識向上を図るため、グループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施しました。
② ヤマトグループは、企業価値の最大化を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みの中で、経営体制の強化に向けた施策を実践しています。そして、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。
③ ヤマトグループは、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」で掲げた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」のもと、「サステナブル中期計画2023[環境・社会]」を策定し、サステナブル経営の強化に取り組んでいます。
④ このうち「環境」の分野では、事業活動の環境負荷を減らすため総量目標に加え、資材や車など、物流業界として革新的な技術の普及に貢献できる分野についても目標を定めるとともに、多様なパートナーと協働したグリーン物流や、環境負荷が少ない商品・サービスの提供を目標とし、環境価値の創出に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みとして、2022年7月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された、当社単独提案事業「グリーンデリバリーの実現に向けたEVの導入・運用」と、共同提案事業「商用電動車普及に向けたエネルギーマネジメントシステムの構築・大規模実証」についても引き続き推進しています。
⑤ また、「社会」の分野では、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に取り組んでいます。引き続き、ヤマトグループ社員向けの「ユニバーサルマナー検定」により、障がい者のご自宅や宅急便営業所での荷物の受け取り・発送における適切なサポートなど、ユニバーサルマナー向上のための知識の習得と、顧客対応責任者を中心とした浸透活動を通じて、人権・多様性を尊重する社会の実現に貢献します。
⑥ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスやIoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。
⑦ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。
(2)財政状態
総資産は1兆1,607億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ738億78百万円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が772億45百万円増加したことによるものであります。
負債は5,491億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ605億30百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が294億99百万円、未払消費税等が174億49百万円、および短期借入金が100億円増加したことによるものであります。
純資産は6,115億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億48百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益が390億87百万円となった一方で、剰余金の配当を167億83百万円実施したことに加え、自己株式を100億円取得したことなどによるものであります。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度の54.3%から52.2%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、ヤマトグループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の金額は13億34百万円であります。
なお、ヤマトグループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
