【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日まで)の世界経済は、燃料・資源価格が高止まりしており、またロシアによるウクライナ侵攻の長期化等に伴い地政学的リスクの高い状況が継続しており、不透明感が増しています。このような状況の中、当社グループは前期より開始した中期事業計画“KAYAKU Vision 2025”が2年目に入り、引き続き事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取組を進めています。この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高はファインケミカルズ事業領域が前年同四半期を下回ったものの、モビリティ&イメージング事業領域及びライフサイエンス事業領域が前年同四半期を上回ったことにより、485億8千4百万円となり、前年同四半期に比べ2億8千7百万円(0.6%)増加しました。営業利益は原材料価格高騰の影響に加え、ファインケミカルズ事業領域の売上高減少により、23億3千3百万円となり、前年同四半期に比べ40億4千6百万円(63.4%)減少しました。経常利益は為替差益等により、41億7千9百万円となり、前年同四半期に比べ44億5千4百万円(51.6%)減少しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、26億6千1百万円となり、前年同四半期に比べ32億9千5百万円(55.3%)減少しました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。(モビリティ&イメージング事業領域)売上高は192億5千万円となり、前年同四半期に比べ25億5千5百万円(15.3%)増加しました。セイフティシステムズ事業は、国内は半導体不足等の影響による自動車の減産が続いたものの当第1四半期連結累計期間後半より需要が緩やかに回復したことにより、エアバッグ用インフレータは前年同四半期と同水準となり、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前年同四半期を上回りました。また、海外は世界的なインフレ進行や一部地域ではコロナ拡大の影響による需要低迷があったものの総じて堅調な需要に支えられ、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブは前年同四半期を上回りました。この結果、セイフティシステムズ事業全体としては前年同四半期を上回りました。ポラテクノ事業は、X線分析装置用部材が堅調に推移したことに加え、染料系偏光フィルムの需要が緩やかに回復したことにより、前年同四半期を上回りました。セグメント利益は原材料価格高騰による製造原価の上昇や販売費、開発費等が増加したことにより、14億7千9百万円となり、前年同四半期に比べ4億4千9百万円(23.3%)減少しました。
(ファインケミカルズ事業領域)売上高は139億4千6百万円となり、前年同四半期に比べ28億6千1百万円(17.0%)減少しました。機能性材料事業は、世界的な物価上昇による民生向け需要の低迷及び半導体関連部材のサプライチェーンの在庫調整の影響を受けエポキシ樹脂をはじめ各製品群が低調に推移したことにより、機能性材料事業全体で前年同四半期を下回りました。色素材料事業は、産業用インクジェットプリンタ用色素が前年同四半期を下回ったことに加え、コンシューマ用インクジェットプリンタ用色素が低調に推移したことにより、色素材料事業全体で前年同四半期を下回りました。触媒事業は好調に推移し前年同四半期を上回りました。セグメント利益は機能性材料事業及び色素材料事業の売上高が減少したことにより、12億4千5百万円となり、前年同四半期に比べ22億4千7百万円(64.3%)減少しました。
(ライフサイエンス事業領域)売上高は153億8千7百万円となり、前年同四半期に比べ5億9千3百万円(4.0%)増加しました。医薬事業の国内向け製剤は、光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包」の市場浸透、ジェネリック抗がん薬「ペメトレキセド点滴静注液」の伸長、前期に上市した抗体バイオシミラー「ベバシズマブBS」が寄与したものの、薬価改定の影響を受け、前年同四半期を下回りました。国内向け原薬、診断薬は前年同四半期を下回ったものの、輸出、受託事業は前年同四半期を上回り、医薬事業全体としては前年同四半期を上回りました。アグロ事業の国内向け販売は前年同四半期を下回ったものの、輸出が前年同四半期を上回り、アグロ事業全体としては前年同四半期を上回りました。不動産事業は、前年同四半期並みとなりました。セグメント利益は医薬事業において研究開発費の増加と薬価改定による影響等により、16億3千8百万円となり、前年同四半期に比べ12億9百万円(42.5%)減少しました。
なお、当第1四半期連結会計期間より、組織変更に伴い「機能化学品事業」、「医薬事業」、「セイフティシステムズ事業」としていた報告セグメントを「モビリティ&イメージング事業領域」、「ファインケミカルズ事業領域」、「ライフサイエンス事業領域」に変更しており、各セグメントの前年同期比につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた上で算出しております。
(2) 財政状態の状況 資産、負債及び純資産の状況総資産は3,430億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ201億4千3百万円増加しました。主な増加は、現金及び預金81億5千2百万円、投資有価証券40億2千8百万円、受取手形及び売掛金35億1千2百万円であります。負債は794億7千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ116億4千6百万円増加しました。主な増加は短期借入金85億5千8百万円であります。純資産は2,635億2千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億9千6百万円増加しました。主な増加は為替換算調整勘定66億5千3百万円、その他有価証券評価差額金33億8千3百万円であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題前連結会計年度の有価証券報告書の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載から、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は38億1千7百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、事業活動に必要な資金を確保するため、安定的な営業キャッシュ・フローの創出と幅広い資金調達手段の確保に努めております。必要な資金については、主に手元資金と営業活動からのキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入や社債発行等により調達しております。大型投資案件等の大規模な支出が必要な際には、当社グループの経営動向や財政状態及び市場環境等を考慮しながら、最適かつ最も効率的な方法により、資金調達を実施しております。